愛猫が膀胱炎と診断され、「どんなフードを与えればいい?」「いつものご飯を続けても大丈夫?」と悩んでいる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
猫の膀胱炎では、原因によっては療法食による食事管理が必要になることがあります。
また、飲水量を増やすためにウェットフードを取り入れるなど、食事から水分を摂取しやすくする工夫も大切です。
ただし、膀胱炎の原因は特発性膀胱炎や細菌感染、尿石症などさまざまで、適した食事も猫の状態によって異なります。
そのため、自己判断でフードを変更するのではなく、獣医師に相談しながら選ぶことが重要です。
この記事では、猫の膀胱炎に適したフードの選び方をはじめ、療法食と市販フードの違い、ドライとウェットのどちらがよいのかについて解説します。
療法食を食べない場合の対処法や、いつまで続けるのか、食事による再発予防についても紹介するので、愛猫の膀胱炎でフード選びに悩んでいる方は参考にしてください。
猫の膀胱炎ではフード選びが重要

猫の膀胱炎では、治療とあわせてフードを見直すことが重要です。
特に、膀胱結石や尿石症が関係している場合は、尿石の種類に応じてミネラルバランスや尿pHなどに配慮した療法食が使用されることがあります。
また、猫はもともと積極的に水を飲まない傾向があるため、食事から水分を摂取できるよう工夫することも大切です。
水分摂取量が増えると尿量が増え、尿中のミネラルなどの濃度を薄めることにつながります。
ただし、猫の膀胱炎には、原因がはっきりしない特発性膀胱炎や細菌性膀胱炎などもあり、すべての膀胱炎がフードだけで改善するわけではありません。
猫の状態や膀胱炎の原因によって適した食事は異なるため、自己判断で療法食などに切り替えず、獣医師に相談しながらフードを選びましょう。
猫の膀胱炎におすすめされるフードの選び方

猫の膀胱炎では、原因や尿の状態、猫の体質などによって適したフードが異なります。
特に尿石症が関係している場合は、自己判断でフードを選ぶのではなく、尿検査などの結果をもとに獣医師と相談して選ぶことが大切です。
ここでは、猫の膀胱炎でフードを選ぶ際に確認したいポイントを紹介します。
水分を摂取しやすいフードを選ぶ
猫の膀胱炎や尿路トラブルの食事管理では、十分な水分を摂取し、尿量を確保することが重要です。
水分摂取量が増えることで尿が薄まり、尿中のミネラルなどの濃度を下げることにつながります。
また、尿量が増えて排尿回数が増えることで、膀胱内に尿がとどまる時間を短くすることも期待できます。
水をあまり飲まない猫の場合は、水分を多く含むウェットフードを取り入れるなど、食事から水分を摂取しやすくする方法もあります。
ただし、ウェットフードであれば何でもよいわけではありません。
尿石症などで療法食を指示されている場合は、獣医師に相談したうえで適したフードを選びましょう。
尿石の種類に合った療法食を選ぶ
膀胱炎の症状に尿石症が関係している場合は、尿石の種類に合った療法食を選ぶことが重要です。
猫にみられる代表的な尿石には、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石などがあります。
ストルバイト結石では、尿の状態やミネラルバランスを調整した療法食によって結石の溶解を目指せる場合があります。
一方、シュウ酸カルシウム結石は食事によって溶かすことができないため、同じ尿石症でも治療方法は異なります。
そのため、「尿路ケア用」と表示されているフードを自己判断で選ぶのではなく、尿検査や画像検査などで原因を確認し、獣医師の指示に従って適切な療法食を使用しましょう。
ミネラルバランスに配慮されたフードを選ぶ
尿石症の食事管理では、マグネシウムやリン、カルシウムなどのミネラルと尿石形成の関係を考慮する必要があります。
尿路の健康維持に配慮したフードや療法食には、これらのミネラルバランスや尿pHなどを考えて設計されたものがあります。
ただし、特定のミネラルを単純に減らせば尿石を予防できるわけではありません。
必要な栄養素を適切に摂取しながら、尿石の種類や猫の状態に合わせて食事を管理することが大切です。
成分表示だけで判断するのが難しい場合や、すでに膀胱炎・尿石症と診断されている場合は、獣医師に相談してフードを選びましょう。
適正体重を維持できるフードを選ぶ
フードを選ぶ際は、尿路への配慮だけでなく、適正体重を維持できるかどうかも確認しましょう。
肥満を防ぐためには、猫の年齢や体重、活動量に合ったカロリーのフードを選び、適切な量を与えることが大切です。
特に療法食へ切り替える場合は、これまでのフードと同じ量を与えるのではなく、パッケージに記載された給与量などを目安に調整します。
体重や体型を定期的に確認し、太りすぎや痩せすぎを防ぎながら食事管理を続けましょう。
猫の膀胱炎には療法食と市販フード、どちらがいい?

猫が膀胱炎と診断された場合、療法食と一般的な市販フードのどちらが適しているかは、膀胱炎の原因や猫の状態によって異なります。
療法食は、特定の病気や健康状態に合わせて栄養成分などを調整したフードです。
下部尿路疾患向けの療法食には、尿石の形成に関わるミネラルバランスや尿pHなどに配慮して設計されたものがあります。
一方、市販されている一般的なキャットフードの中にも、「下部尿路の健康維持に配慮」などと表示された商品があります。
しかし、健康維持に配慮した一般的なキャットフードと、特定の病気や健康状態の食事管理を目的とした療法食は異なります。
特に、ストルバイト結石の溶解などを目的として療法食を使用する場合は、ほかのフードやおやつを与えることで食事療法に影響する可能性があります。
そのため、膀胱炎と診断された猫のフードを選ぶ際は、「下部尿路ケア」といった表示だけで判断せず、獣医師に相談して原因や尿の状態に合ったものを選びましょう。
また、療法食を含め、猫の膀胱炎では診察や検査、薬などにも費用がかかります。
猫の膀胱炎にかかる治療費や費用の内訳については、以下の記事で詳しく解説しています。
猫の膀胱炎に使われる主な療法食
猫の膀胱炎や尿石症の食事管理には、下部尿路疾患に配慮して栄養成分を調整した療法食が使用されることがあります。
代表的な療法食には、ロイヤルカナンの「ユリナリーS/O」や、ヒルズの「プリスクリプション・ダイエット c/d マルチケア」シリーズなどがあります。
| 猫の膀胱炎に使われる主な療法食 | |
|---|---|
| 療法食 | 主な特徴 |
| ロイヤルカナン ユリナリーS/O |
ストルバイト結石症やシュウ酸カルシウム結石症の猫向け。ミネラルバランスを調整し、ストルバイトが形成されにくい弱酸性の尿や健康的な尿量の維持に配慮 |
| ヒルズ プリスクリプション・ダイエット c/d マルチケア |
下部尿路疾患の食事管理を目的とした療法食。ミネラルなどを調整し、ストルバイト尿石の溶解やシュウ酸カルシウム尿石の形成抑制に配慮 |
ロイヤルカナンの「ユリナリーS/O」にはドライとウェットがあり、下部尿路疾患の猫向けにマグネシウムなどのミネラル成分が調整されています。
また、同シリーズには、ストレス刺激の多い生活に配慮した「ユリナリーS/O+CLT」や、肥満ぎみの猫向けにカロリー密度を調整した「ユリナリーS/O ライト」などもあります。
ヒルズの「c/d マルチケア」にもドライやウェットなどがあり、「c/d マルチケア コンフォート」では下部尿路疾患に加えて、ストレスにも配慮した栄養設計がされています。
このように、同じ下部尿路疾患向けの療法食でも、対象となる尿石や猫の体重、ストレスへの配慮などによって特徴が異なります。
療法食は自己判断で選ぶのではなく、尿検査などで膀胱炎や尿石症の原因を確認したうえで、獣医師の指示に従って愛猫に適したものを使用しましょう。
参考
ユリナリーS/O(猫用ドライ)|Royal Canin(外部リンク)
〈猫用〉c/d シーディー マルチケア チキン ドライ|ヒルズ(外部リンク)
猫の膀胱炎にはドライとウェットどちらがいい?

猫の膀胱炎では水分摂取量を増やすことが重要なため、ドライフードと比べて水分を多く含むウェットフードを取り入れる方法があります。
ウェットフードは食事と一緒に水分を摂取できるため、水をあまり飲まない猫の水分補給にも役立ちます。
水分摂取量が増えることで尿量が増え、尿を薄めることにもつながります。
一方、ドライフードにも保存しやすい、必要な量を与えやすいなどのメリットがあります。
また、下部尿路疾患向けの療法食にはドライタイプもあるため、膀胱炎だからといって必ずウェットフードに切り替えなければならないわけではありません。
大切なのは、ドライかウェットかだけで判断するのではなく、膀胱炎の原因や猫の状態に合ったフードを選び、十分な水分を摂取できるようにすることです。
ドライフードを与える場合は、水飲み場を増やす、新鮮な水を用意するなど、普段の生活でも水を飲みやすい環境を整えてあげましょう。
猫が膀胱炎の療法食を食べないときの対処法
膀胱炎や尿石症の治療で療法食をすすめられても、味や香り、食感などが変わることで食べてくれない猫もいます。
療法食を食べない場合は、まず以下のような方法を試してみましょう。
- 今までのフードから少しずつ切り替える
- 同じ目的の療法食で別の味や種類を試す
- ドライを食べない場合はウェットタイプを検討する
- ウェットフードを人肌程度に温めて香りを立たせる
- 食器や食事をする場所を見直す
フードを切り替える際は、今までのフードに新しい療法食を少量ずつ混ぜ、猫の様子を見ながら徐々に割合を増やしていく方法があります。
ただし、治療目的によって切り替え方が異なるため、まずは獣医師に確認しましょう。
ただし、ストルバイト結石の溶解などを目的として療法食を与えている場合、ほかのフードやおやつを混ぜることで食事療法に影響する可能性があります。
どのように切り替えるかも含め、獣医師の指示に従うことが大切です。
また、猫が療法食を食べないからといって、食事をとれない状態のまま無理に療法食だけを与え続けるのは避けましょう。
どうしても食べてくれない場合は、自己判断で療法食を中止するのではなく、獣医師に相談してください。
別のメーカーや味、ドライ・ウェットなど、治療目的に合った別の療法食へ変更できる場合があります。
猫の膀胱炎の療法食はいつまで続ける?

猫の膀胱炎で療法食を与える期間は、膀胱炎の原因や療法食を使用する目的によって異なります。
例えば、ストルバイト結石を溶かす目的で療法食を使用する場合は、獣医師の指示に従って一定期間与え、尿検査や画像検査などで結石の状態を確認しながら食事管理を続けます。
一方、尿石症や一部の下部尿路疾患では、再発予防を目的として、症状が落ち着いたあとも療法食による食事管理を継続することがあります。
そのため、症状がなくなったからといって、自己判断で療法食をやめたり元のフードに戻したりしないことが大切です。
定期的に動物病院で尿の状態などを確認し、療法食をいつまで続けるのか、別のフードへ変更してよいのかを獣医師に相談しましょう。
また、療法食を続けていても症状がなかなか改善しない場合や、一度治ったあとに膀胱炎を繰り返す場合は、食事以外の原因が関係している可能性もあります。
猫の膀胱炎がなかなか治らない原因や、繰り返す場合の対処法については、以下の記事で詳しく解説しています。
猫の膀胱炎で食べてはいけないものは?

猫が膀胱炎になったからといって、すべての猫に共通する「食べてはいけないもの」が決まっているわけではありません。
膀胱炎の原因や尿石の種類によって適した食事は異なるため、特定の食品を自己判断で制限するのではなく、猫の状態に合わせて食事を管理することが大切です。
特に注意したいのが、療法食による治療中に、ほかのフードやおやつを自己判断で与えることです。
ストルバイト結石の溶解などを目的とした療法食は、ミネラルバランスや尿pHなどを考慮して設計されています。
ほかのフードやおやつを一緒に与えると、療法食による食事管理に影響する可能性があります。
また、人間用の食べ物には、猫に適さない味付けや食材が使われているものもあるため、膀胱炎の有無にかかわらず安易に与えるのは避けましょう。
療法食を使用している場合は、フードだけでなくおやつについても獣医師に確認し、指示された食事内容を守ることが重要です。
食事以外で猫の膀胱炎を予防するポイント
猫の膀胱炎を予防するためには、食事管理だけでなく、日頃の生活環境を整えることも大切です。
特に意識したいポイントは、以下のとおりです。
- 水飲み場を複数用意し、いつでも新鮮な水を飲めるようにする
- トイレを清潔に保ち、猫が落ち着いて排尿できる環境を整える
- 遊びや休める場所を用意し、ストレスを減らす
- 排尿回数や尿の量・色などを日頃から確認する
- 適正体重を維持する
猫の特発性膀胱炎にはストレスが関係していると考えられているため、猫が安心して過ごせる環境を整えることが再発予防につながります。
また、トイレを我慢することがないよう、清潔で使いやすいトイレを用意することも重要です。
多頭飼いの場合は、ほかの猫を気にせず排泄できるよう、トイレの数や設置場所にも配慮しましょう。
膀胱炎は一度治ったあとに再発することもあるため、普段から愛猫のおしっこの状態をチェックし、血尿や頻尿などの変化がみられた場合は早めに動物病院を受診してください。
猫の膀胱炎の治療法や自宅でできるケアについては、以下の記事で詳しく解説しています。
よくある質問

猫の膀胱炎とフードについては、「フードだけで治るの?」「おやつは与えてもいい?」など、食事管理に関する疑問を持つ飼い主さんも多いでしょう。
ここでは、猫の膀胱炎のフードや療法食に関するよくある質問について回答します。
猫の膀胱炎はフードだけで治る?
猫の膀胱炎は、フードだけで治るとは限りません。
猫の膀胱炎には、原因がはっきりしない特発性膀胱炎のほか、細菌感染や尿石症などさまざまな原因があり、それぞれ必要な治療が異なります。
尿石症などでは療法食による食事管理が治療の一環として行われることがありますが、薬やそのほかの治療が必要になる場合もあります。
頻尿や血尿、排尿時の痛みなどがみられる場合は、フードだけで様子を見ず、動物病院を受診して原因を調べてもらいましょう。
膀胱炎の猫にちゅーるを与えてもいい?
膀胱炎の猫でもちゅーるを与えられる場合はありますが、療法食による食事管理を行っている場合は、与える前に獣医師へ確認しましょう。
ちゅーるには一般的なおやつのほか、下部尿路の健康維持に配慮した商品もあります。
ただし、「下部尿路の健康維持に配慮」と表示されたおやつは、病気の治療を目的とした療法食とは異なります。
特にストルバイト結石の溶解などを目的として療法食を与えている場合は、ちゅーるを含むほかの食べ物が食事療法に影響する可能性があります。
ストルバイトの猫は療法食だけを与えたほうがいい?
ストルバイト結石を溶かす目的で療法食を使用している場合は、基本的に獣医師から指示された療法食を与え、ほかのフードやおやつは自己判断で追加しないようにします。
療法食は、尿のpHやミネラルバランスなどを調整することで、ストルバイト結石の溶解をサポートするよう設計されています。
そのため、一般的なフードやおやつなどを一緒に与えると、療法食による食事管理に影響する可能性があります。
療法食以外のものを与えたい場合や、療法食を食べてくれない場合は、自己判断で変更せず獣医師に相談してください。
手作りごはんでも膀胱炎の食事管理はできる?
自己判断で手作りごはんを療法食の代わりにすることはおすすめできません。
猫に必要な栄養素を満たしながら、尿石の種類に応じてミネラルバランスや尿のpHなどにも配慮した食事を家庭で作るのは簡単ではありません。
特に尿石症の治療を目的として療法食を指示されている場合は、手作りごはんへ変更することで治療に影響する可能性があります。
手作り食を取り入れたい場合は、獣医師や獣医栄養学に詳しい専門家に相談し、愛猫の状態に合った食事内容を検討しましょう。
まとめ
猫の膀胱炎では、原因や尿の状態に合わせて適切なフードを選ぶことが大切です。
尿石症が関係している場合は、尿石の種類に応じた療法食が使用されることがあります。
また、水分摂取量を増やすためにウェットフードを取り入れるなど、日頃の食事を工夫することも膀胱炎の管理に役立ちます。
ただし、膀胱炎の原因によって必要な治療や食事管理は異なるため、自己判断で療法食を選んだり中止したりせず、獣医師の指示に従うことが重要です。
また、膀胱炎の治療では、猫の状態や原因に応じて薬が使用されることもあります。
ぽちたま薬局では、猫の膀胱炎に使用される治療薬を取り扱っています。
猫の膀胱炎に使われる薬については、以下のページからご確認いただけます。

ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。










