うさぎのお尻が汚れていたり、ケージにゆるい便が落ちていたりすると、「これは下痢なの?」「病院に行くべき?」と一気に不安になりますよね。
じつはうさぎの場合、その便が本当の下痢なのか、盲腸便が残っただけなのかで、急ぎ方がまったく変わります。
- うさぎに水のような本当の下痢が出ることは、じつは多くない。多いのは「盲腸便がうまく食べられずお尻に付いている」状態
- 見分けの決め手はコロコロした硬い便も一緒に出ているか。出ていれば盲腸便の乱れ、出ていなければ本当の下痢を疑う
- 緊急度を決めるのは食べているか・糞が出ているか。食べず糞も出ていないなら、元気そうに見えても急ぐ
- 盲腸便の乱れは食事が原因のことが多く、おやつを止めて牧草を増やすところから立て直せる

ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
目次
うさぎの下痢で急を要するサイン
先に、迷わず動物病院へ連絡してほしいケースからお伝えします。うさぎは捕食される側の動物なので、痛みや不調をほとんど表に出しません。
じっと静かにしているだけのことも多く、飼い主さんが「あれ?」と気づいた時点ですでに進行している、というのは獣医学の教科書にも書かれている典型的なパターンです。

- 丸1日近く食べていない、糞がほとんど出ていない
- 水のような便が続き、ぐったりしている・体が冷たい
- ゼリー状の粘液が付いた便が出て、お腹が張っている
- 生後2か月前後までの子うさぎが下痢をしている
- 抗生物質を飲ませている最中に下痢が始まった
とくに水様の下痢とぐったりが重なるときは、クロストリジウムという細菌が出す毒素による腸毒素血症が疑われます。
MSD獣医マニュアルでは、この病気は元気のなさ、毛づやの悪化、会陰部に付着した緑褐色の便といった症状を示し、48時間以内に死亡することがあると記載されています。
夕方までふつうに見えていたうさぎが翌朝には亡くなっていた、という経過も珍しくないとされています。
自然発生では生後4〜8週齢での発症が中心ですが、不適切な経口抗生物質を与えた場合はどの年齢でも起こり得ます。
経口の抗生物質には、うさぎの腸内細菌のバランスを崩して腸毒素血症を招くため使ってはいけない種類があります。
人用の薬や、以前ほかの動物に処方された薬を自己判断で使わないでください。
うさぎの下痢と盲腸便の見分け方
ここからが本題です。うさぎの飼い主さんから「下痢です」と相談される便の多くは、じつは本当の下痢ではありません。
米国の動物医療センターMSPCA-Angellの解説では、うさぎに液状の本当の下痢が出ることはまれで、実際に多いのは柔らかくべたついた便がお尻や尾のまわりにこびり付く状態だと説明されています。
強いにおいを伴い、良くなったり悪くなったりを繰り返すのが特徴です。
決め手はコロコロ便が一緒に出ているか
同じ解説で、もうひとつ重要な指摘があります。この状態のうさぎは、べたついた便とは別に正常な便も出していることがほとんどだという点です。
つまりコロコロした硬い便がいつもどおり出ているなら、それは盲腸便がうまく食べられずに残っている可能性が高く、本当の下痢とは分けて考えられます。
| 便の種類 | 見た目 | 意味するもの |
|---|---|---|
| 硬便(コロコロ便) | 乾いた丸い粒 | 正常。これが出ているかが判断の軸 |
| 盲腸便 | ぶどうの房状。柔らかく粘液に包まれている | 正常。本来は明け方に自分で食べるため目にしにくい |
| べたついた便 | 形が崩れ、お尻や尾に付く。においが強い | 盲腸便の乱れ。食事の見直しが中心 |
| 水様便 | 形がなく液状。硬便が出ていない | 本当の下痢。受診を急ぐ |

盲腸便とは
盲腸で微生物が牧草の繊維を分解してつくる、栄養のかたまりのような便です。
粘液に包まれた状態のまま噛まずに飲み込むことで、胃酸から守られながら小腸で吸収されます。
短鎖脂肪酸やビタミンB群を供給し、うさぎが取り込む窒素の最大3割を担うと報告されています。
食べ残されているということは、それだけ栄養を取り逃がしているということです。
出典:MSPCA-Angell「飼いうさぎの盲腸内細菌叢の乱れ ― 決め手は牧草」
緊急度は「食べているか・糞が出ているか」で決まる
もうひとつの軸が、食欲と排便です。うさぎは食べる量が減ると水を飲む量も減り、消化管の中身がペースト状に固くなっていきます。
そのまま動きが止まると胃が張って痛みが出て、脱水が進み、エネルギー不足から肝リピドーシス(脂肪肝)が比較的早く起こる、という悪循環に入ります。
MSD獣医マニュアルは、この流れの深刻さを認識して断ち切ることが何より重要だとしています。
そして見落とされがちなのが、消化管の動きが落ちること自体が盲腸内の環境を乱し、盲腸便の異常を引き起こすという関係です。
便の異常と食欲不振は別々の問題ではなく、同じ流れの上にあります。だからこそ「便がゆるい」だけでなく「食べているか・糞が出ているか」をセットで見る必要があります。

うさぎが下痢をする主な原因
糖質・でんぷんの多い食事
もっとも多いきっかけです。MSPCA-Angellは、飼い主さんが知らないうちに盲腸内細菌叢を乱してしまう最大の要因として、糖質やでんぷんが多く繊維の少ない食べ物を挙げています。
こうした食事は盲腸と結腸の動きを鈍らせ、長く続くと酵母が増え、ふだんは少数のはずの大腸菌やクロストリジウムが増殖して、軟便や、重い場合には本当の下痢につながります。
牧草不足と消化管の停滞
長い繊維はそれ自体が消化管を機械的に刺激して動かす役割を持っています。
牧草が減ると腸の動きが落ち、飲み込んだ毛も流れにくくなって、うっ滞へ進みます。うっ滞と便の異常はセットで起きやすい症状です。
ストレス・環境の変化
引っ越し、模様替え、暑さ寒さ、工事の音。うさぎは環境の変化に敏感で、それが消化管の動きに直結します。
思い当たることがあれば、原因を取り除くだけで落ち着くこともあります。
歯の異常
臼歯が伸びて口の中を傷つけていると、痛みで食べる量が減り、繊維不足から便が乱れます。
よだれ、食べにくそうなしぐさ、顎まわりの汚れがあるときは、歯も一緒に診てもらってください。
感染症・基礎疾患
子うさぎでは寄生虫や細菌の感染が重い下痢を起こします。
MSD獣医マニュアルによれば、ティザー病は生後6〜12週の離乳期に多く、激しい水様性の下痢を示して1〜3日で死亡することがあります。
成体でも、腫瘍や内臓疾患の症状として便に変化が出ることがあります。
病院に行くまでに家でできること
ここで扱うのは、コロコロ便も出ていて食欲もあり、盲腸便の乱れが疑われるケースです。
水様便・食欲不振・糞が出ない場合は、家で様子を見ずに受診してください。
まず、おやつをすべて止める
MSPCA-Angellが挙げている見直し対象は、果物、クラッカー、パン、シリアル、市販のおやつ、混ぜ物入りのペレットです。
にんじんもでんぷんが多く、個体によっては負担になるとされています。これらはいったん全部やめて、繊維を増やす方向へ切り替えます。

牧草を増やし、量を整える
- チモシー・オーチャードグラス・オーツヘイなどイネ科の牧草を増やす
- アルファルファはマメ科で糖質とタンパク質が多いため避ける
- 葉物野菜(ロメインレタス、エンダイブ、タンポポの葉など)は体重約2.3kgあたり1日2カップ程度を目安に
- ペレットは盲腸便が落ち着いてから、体重約2.3kgあたり1/8カップで再開する
- 牧草と葉物だけでも、健康なうさぎに必要な栄養は満たせるとされている
盲腸便が正常な状態に戻るまでには、乱れの程度によって数日から数週間かかることがあります。
すぐ変わらなくても、焦って元の食事に戻さないでください。
出典:MSPCA-Angell「飼いうさぎの盲腸内細菌叢の乱れ ― 決め手は牧草」
水は器で
うさぎは給水ボトルよりも器から与えたほうが、飲む水の量がはっきり増えると報告されています。飲水量が落ちると消化管の中身が固くなるので、下痢のときも予防のときも効果的な工夫です。
下痢を繰り返さないための予防
- 牧草を主食に据え、繊維をしっかり取らせる
- ストレスと肥満を避ける。肥満だと体を曲げられず盲腸便を食べ残しやすくなる
- かじれるもの・遊べるものを用意して退屈を減らす
- 毎日ブラッシングして、飲み込む毛を減らす
- 「いつもの便」の見た目と量を覚えておく。変化に最初に気づけるのは飼い主さんだけ
うさぎの下痢のよくある質問
元気も食欲もあるのに下痢。様子を見ていい?
コロコロの硬い便も一緒に出ていて、食べる量も糞の量もいつもどおりなら、盲腸便の乱れの可能性が高く、まず食事の見直しから始められます。
ただし硬便が出ていない、量が減っているといった場合は、元気に見えても受診を検討してください。
下痢は何日続いたら危ない?
日数より状態です。水様便でぐったりしている場合は48時間以内に急変することがあり、日数を数えている時間はありません。
逆に盲腸便の乱れは数週間かけて戻ることもあります。「何日続いたか」ではなく「硬便が出ているか・食べているか」で判断してください。
市販の下痢止めを飲ませてもいい?
自己判断での投薬は避けてください。うさぎでは薬の種類によって腸内細菌のバランスが崩れ、かえって命に関わる状態を招くことがあります。まず動物病院に相談を。
受診のとき、何を持っていけばいい?
実際の便をラップなどに包んで持参すると診断の助けになります。
あわせて、いつから始まったか、食べているもの、最近の環境の変化、飲ませている薬をメモしておくとスムーズです。
あわせて読みたい
食欲が落ちている、糞が小さくなったという場合は、うっ滞が進んでいる可能性があります。
下痢と同じ流れの上にある症状なので、こちらも確認してみてください。
まとめ
- うさぎに本当の下痢が出ることは多くない。多いのは盲腸便の乱れ
- コロコロの硬い便も出ているかどうかが、見分けの決め手
- 食べているか・糞が出ているかが、緊急度を決める
- 水様便でぐったり、丸1日近く食べていない、抗生物質の服用中に始まった下痢はすぐ連絡を
- 盲腸便の乱れは、おやつを止めて牧草を増やすところから立て直す
- 正常に戻るまで数日から数週間かかることがある。途中で元に戻さない
うさぎの体調は、毎日の便にかなり正直に出ます。「いつもの便」を知っておくことが、いちばん早い発見につながります。
ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
参考にした情報
この記事は一般的な情報をまとめたものです。診断や治療の判断は動物病院で行ってください。

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。







