逆流性食道炎は、犬の消化器疾患としても多く見られる病気です。
短頭種が好発しやすいとされていますが、どの種類であっても発症する可能性はあります。
この記事では、犬の逆流性食道炎に使用されるお薬の種類や効果について解説していきます。
そのほか、逆流性食道炎の予防方法も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
犬の逆流性食道炎とは
犬の逆流性食道炎は、人間と同じように胃酸の逆流が起こることで、食道に炎症や潰瘍が見られる病気です。
通常、犬の食道と胃の間にある下部食道括約筋はとても強い力で収縮して、胃にあるものを逆流させないようにしています。
逆流性食道炎は、何かしらの原因で下部食道括約筋がうまく機能しなくなり、食道まで胃酸が逆流して粘膜を刺激することで起こります。
よく見られる症状
逆流性食道炎の犬によく見られる症状は、以下の通りです。
・水や食べ物を胃に入れる前に吐き出す
・嘔吐する
・食欲にムラがある
・よだれが増える
・口臭が発生している
・咳が出る
上記の症状は、胃酸の逆流によって食道に炎症が生じたり、組織が破壊されたりすることで起こります。
しかし、嘔吐はしないが舌なめずりを頻繁にする、一過性の食欲不振はあったが他に変化はないなど、症状の頻度や重さがハッキリしておらず、気づくことが難しいとも言われます。
原因
犬が逆流性食道炎を発症する原因は、さまざまです。
代表的なものでは、以下のような原因が挙げられます。
■全身麻酔後
全身麻酔は、一時的に筋肉を緩ませるため、胃酸が逆流しやすくなります。
逆流性食道炎は、全身麻酔をおこなった犬の約16%が発症するという報告があり、高齢犬は特に多いと言われています。
■食道裂孔ヘルニア
食道裂孔ヘルニアは胃の一部がお腹ではなく、食道裂孔という食道が通る穴に入り込んでしまっている状態です。
犬の食道裂孔ヘルニア先天性であることがほとんどで、シャー・ペイやフレンチ・ブルドッグなどの短頭種に多く見られます。
犬の逆流性食道炎の検査方法
犬の逆流性食道炎は、以下のような検査方法が用いられます。
・内視鏡検査
・X線検査(レントゲン検査)
・血液検査
これらの検査は、正確な診断をおこなうために必要な方法です。
内視鏡検査を用いたケースでは、潰瘍が見つかる場合もあります。
しかし、内視鏡検査は全身麻酔が必要で犬に負担がかかるため、多くは他の検査や臨床症状に基づいて診断されます。
犬の逆流性食道炎に使用される薬
犬の逆流性食道炎の治療では、症状や病状に応じて使用されるお薬はさまざま。
投薬するにあたって、お薬の効果だけではなく副作用や注意点を知っておくことも大切です。
愛犬にお薬を投与する場合は、必ず獣医師さんの指示に従って治療を行いましょう。
消化管粘膜保護薬
スクラルファート
消化管粘膜保護薬は、逆流性食道炎に伴う炎症や潰瘍を覆うように付着して、粘膜を保護しながら治していくお薬です。
治療に用いられることが多いスクラルファートは、シロップタイプの投与しやすいお薬で副作用もほとんどありませんが、稀に便秘の症状が見られる場合があります。
またスクラルファートは、ご飯や他のお薬と同じタイミングで与えると、吸収の妨げや効果を低下させる恐れがあるため、2時間ほど空けて投薬してください。
胃酸分泌抑制薬
ファモチジン、ランソプラゾール、オメプラゾールなど
胃酸分泌抑制薬は、胃酸の分泌を最小限に抑えることで、胃痛、胃もたれ、胃炎、潰瘍、逆流性食道炎に伴う不調などを改善していくお薬です。
また、胃酸分泌抑制薬は症状の程度や状況によって使い分けが必要で、副作用に腎臓クリアランスの低下も報告されているため、必ず獣医師の指導のもと投与してください。
ぽちたま薬局では、犬や猫にも使用できる「ファモチジン錠(ガスター)」を取り扱っています。
動物病院で同じお薬を処方されている場合は、当サイトでの購入に切り替えることで費用を抑えることも可能です。
消化管運動促進薬
エリスロマイシン、モサプリド、メトクロプラミドなど
消化管運動促進薬は、食道と胃の間にある筋肉の働きを促す作用があり、胃酸の逆流を抑えることで、嘔吐、吐き気、食欲不振などの症状を改善します。
また、消化管運動促進薬も状況に応じて選択が必要で、副作用には一時的な興奮や運動失調、運動異常、震え、怯え、攻撃性などが報告されています。
さらに、腸閉塞や消化管出血の可能性がある場合や、発作障害がある犬にも使用できないため、獣医師さんに相談したうえで投与しましょう。
当サイト、ぽちたま薬局ではシロップタイプの「メトクロプラミド(エメプリド)」も取り扱っています。
参考
消化器薬-モサプリドとメトクロプラミドにおける再考察(外部リンク)
犬の逆流性食道炎の予防
犬の逆流性食道炎を予防するためには、正しく食事管理することや生活習慣を改善することも重要です。
食事の内容や方法を改善してあげることで、症状の緩和や予防につながります。
愛犬の食事管理をおこなう際は、以下のポイントに気をつけてあげましょう。
■食事を少量にして回数を増やす
胃の負担を減らすために、1日に食べるご飯の量を小分けにして与える。
■低脂肪で高タンパク質の食事にする
食べたものが胃に長くとどまらないように、スムーズに消化できるものを与える。
参考
犬の巨大食道症 | Purina Institute(外部リンク)
まとめ
犬の逆流性食道炎は、胃酸の逆流が生じることで不快な症状を引き起こす病気です。
短頭種に多いと言われていますが、どの犬であっても発症する可能性があり、全身麻酔のあとや食道裂孔ヘルニアなど、さまざまな原因によって起こります。
しかし逆流性食道炎に関しては、病状や状況に適したお薬を投与すれば改善されることがほとんどです。
さらに、食事内容や生活習慣の見直しなどを取り入れることで、症状を緩和したり、予防したりもできます。
逆流性食道炎は、必ず獣医師さんの指示に従って適切な治療をおこい、愛犬がなるべく快適な毎日を送れるようにサポートしてあげましょう。
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このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。