犬の膿皮症は、ほかの動物や人にはうつらない皮膚病です。
この病気は、ブドウ球菌などの細菌が過剰に繁殖することで起こりますが、感染性がないため、飼い主さんや他のペットに影響を及ぼすことはありません。
しかし、「細菌が原因なら、うつる可能性もあるのでは?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
この記事では、犬の膿皮症がうつらない理由を詳しく解説するとともに、注意が必要なうつる皮膚病との違いや、膿皮症を予防する方法についてもご紹介します。
犬の膿皮症はうつる?
犬の膿皮症は、ほかの犬や猫、人間にはうつることはありません。
ただし、犬の皮膚病の中には、うつるものも存在するため注意が必要です。
ここからは、うつらない皮膚病とうつる皮膚病について、詳しく解説します。
うつらない皮膚病
うつらない皮膚病には、膿皮症、マラセチア性皮膚炎、毛包虫症などがあります。
これらは皮膚にかゆみや脱毛を引き起こす病気で、それぞれの原因は次のとおりです。
・膿皮症:ブドウ球菌
・マラセチア性皮膚炎:マラセチア(酵母菌)
・毛包虫症:ニキビダニ
膿皮症やマラセチア性皮膚炎の原因であるブドウ球菌やマラセチアは、犬の皮膚に存在する常在菌です。
通常は皮膚の健康を保つ役割も担っていますが、免疫力の低下や体質の影響で過剰に繁殖すると皮膚病を引き起こします。
また、毛包虫症の原因であるニキビダニも犬の皮膚に常在しているため、通常は害を及ぼしません。
しかし、これらの病気はいずれも伝染性ではないため、ほかの犬や猫、人にうつる心配はありません。
うつる皮膚病
うつる皮膚病には皮膚糸状菌症、疥癬、ノミアレルギー皮膚炎などがあります。
それぞれの原因は以下のとおりです。
・皮膚糸状菌症:カビ
・疥癬:ヒゼンダニ
・ノミアレルギー皮膚炎:ノミ
これらの病気は、犬の体に常在する菌や虫ではなく、環境からの影響や直接的な接触で感染します。
特にノミアレルギー皮膚炎の場合、アレルギー反応自体がうつるわけではありません。
しかし、ノミが犬から犬へ移動し、噛まれることで他の犬や猫に皮膚トラブルを引き起こす可能性があります。
※注意点:ノミはうつるため、感染拡大を防ぐための適切な対策が必要です。
参考
人と動物の共通感染症に関するガイドライン│環境省(外部リンク)
犬の膿皮症は自然に治る?
犬の膿皮症は、軽度であれば自然に治る場合もあります。
しかし、悪化する可能性が高いため、放置するのは危険です。
軽い膿皮症の場合、週2回の薬用シャンプーで細菌を抑えるだけの治療で、投薬なしに治ることもあります。
ただし、自然治癒を期待して何もしないと症状が悪化することがあります。
その結果、愛犬がつらい思いをするだけでなく、治療にかかる費用が増える恐れもあるでしょう。
さらに、症状が重度の場合や、アレルギーやホルモン異常などの基礎疾患がある場合、膿皮症が自然に治ることはありません。
このようなケースでは、必ず獣医師による適切な治療が必要です。
犬の膿皮症を予防する方法
犬の膿皮症を予防するには、日々のスキンケアや食事管理が大切です。
ここからは、膿皮症の予防や再発防止に役立つ具体的な方法を紹介します。
日常的なスキンケアの習慣化
膿皮症を防ぐためには、定期的なシャンプーで皮膚を清潔に保つことが重要です。
薬用シャンプーは効果的ですが、頻繁に使いすぎると皮膚に負担をかけることもあります。
基本的には月1回のシャンプーが目安ですが、使用するシャンプーによっては週1回の頻度が推奨される場合もあります。
商品ごとの使用方法に従い、適切な頻度でケアを行いましょう。
また、シャンプー後の乾燥も忘れてはいけません。
濡れたままの皮膚はブドウ球菌が増殖しやすいため、しっかりと毛を乾かしてあげることが大切です。
食事と栄養管理で免疫力を高める
膿皮症の予防には、免疫力を高める栄養バランスの良い食事も欠かせません。
>オメガ3脂肪酸、ビタミンAやE、乳酸菌などの栄養素は、皮膚の健康維持に役立ちます。
しかし、毎日手作りで栄養管理をするのは難しいこともあります。
そんなときは、以下のような食材をいつものフードにトッピングするのがおすすめです。
・レバー
・かぼちゃ
・たまご
・なたね油
・無糖のヨーグルト
・イワシ
・サバ
・サンマ
これらの食材を手軽に取り入れて、愛犬の健康をサポートしましょう。
まとめ
膿皮症やマラセチア性皮膚炎、毛包虫症などは、健康な犬の皮膚にも存在する常在菌や寄生虫が原因で発症します。
これらはほかの犬や猫、人にうつることはありません。
ただし、皮膚糸状菌症や疥癬、ノミアレルギー皮膚炎の原因であるノミは、接触や環境の影響で感染が広がる可能性があるため注意が必要です。
膿皮症は、日頃のスキンケアや栄養管理で予防が可能ですが、免疫力が低下すると発症するリスクがあります。
早期治療や適切なケアを心がけ、愛犬の健康を守りましょう。
また、いざというときに備えて、動物病院の受診と並行して使用できる治療薬を準備しておくと安心です。
膿皮症に対応した治療薬については、こちらのページをご覧ください。
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