前回は犬と猫の手作りご飯のすすめという記事を書きましたが、必ずしも市販のペットフードが全てダメとかそういうことではありません。
今回はもう少し掘り下げて市販フードと手作りご飯、双方のメリットとデメリットを考察してみましたので、一緒に考えてみましょう。
手作りご飯のメリット・デメリット
手作りご飯のメリット
私個人としては、ご飯に愛情を込められるのが一番の利点と思っています。
『エサ』ではなく『ご飯』って感じがいいんです。
調理中もペットが喜ぶ姿を想像するだけでワクワクします。
実際に美味しそうに食べてくれると、調理の苦労など吹っ飛ぶことうけあいです。
ドライフードばかり食べていると、どうしても必要な水分が不足しがち。水分不足は泌尿器系のトラブルにもつながることも。
手作りご飯なら食材から十分な水分を摂取できますし、それでも不安な場合はご飯を材料の肉や魚のゆで汁でのばしてあげれば完璧です。
市販フードの多くは粗悪な炭水化物や不健康な脂肪分たっぷりのジャンクフードです。
手作りご飯では余計な材料は使わないので、市販フードから切り替えるだけで余分な体脂肪がみるみる落ちてスリムボディに!
ぽっちゃりした愛犬・愛猫の姿も愛くるしいですが、できれば健康体でいて欲しいですよね!
どこの部位かわからない不健康な謎肉や酸化した脂肪、その他にも人工的な食品添加物などは一切使わず、安全で栄養豊富な食材を自分で選ぶので安心。
上手く調理すれば栄養を損なわず与えられるので、病気の予防や健康管理に最適です。
最近では市販フードでも品種やサイズ、ライフステージに応じて、粒の大きさや配合を変える傾向にあります。
療養食は特定の疾病を悪化させないために考慮されており、病気の時は頼みの綱です。
でも手作りご飯ならもっときめ細やかに、アレルギー・病気に配慮しながらも好みに応じた食材選び、ベストな栄養バランスでの提供が可能です。
手作りご飯のデメリット
人間と同様に、犬にも猫にも一日に最適な摂取カロリーが決まっています。
オリジナルレシピの手作りフードの場合、カロリーや栄養バランスの計算を自分でしなければならず、これがやや面倒。
犬や猫にとって長ねぎ・玉ねぎ・ニンニクなどの野菜は有毒です。
その他にもエビ・タコ・イカ、チョコレートやお茶、鳥の骨や魚の骨など、与えると良くない食材がたくさんあります。
ペットのシェフたるもの、これらを頭に入れておかねばなりません。
新鮮な肉や魚、オーガニック野菜や良質なオイルなど、食材にこだわり過ぎるとコスト度外視になりがちです。
イベント的に厳選された食材で腕をふるってごちそうを作ったりする分には楽しいでしょうが、ペットにその価値は分かりません。
せっかく手間もお金もかけて作ったのに、食べてくれない時ほど悲しいことはありません。特に猫とか猫とか猫。
人工フレーバー無添加の自然な味わいに慣れるまでは、ご飯ということすら認識してくれず、「いつものはよ」とせっつかれることも。
そんな時は涙を拭って、調理法を変えたり、かつお節やお肉のゆで汁をまぶしてあげたりと、香りを強めて食欲を誘う工夫が必要になります。
保存料などが含まれていないため、火を通したとしても保存期間は長くても3日前後になってしまいます。生に近い状態で調理した場合は、ほとんど日持ちしません。
フリーザーパックに小分けして作った日付を書いて冷凍庫へ、というのが一般的な保存法になりますが、作り過ぎると自分たちの食材の保存スペースを圧迫します。
旅先や帰省先に手作りご飯を携帯したり、ペットホテルや知人宅に持ち込む際には、痛まないよう配慮が必要です。クーラーボックスに保冷剤を入れての運搬になりますが、中身がお父さんの釣果のおすそわけでもない限り、そんなものを持ち込まれた知人には上等なお土産が必要になることでしょう。
市販のフードのメリット・デメリット
市販のフードのメリット
市販のフードのメリットといったら、これにつきます。
朝のシリアルのように、袋や缶から出してフードボウルに盛るだけ。提供に1分もかからない手軽さは市販フードならでは。
何かと時間のない私たちにとって、これほど便利なものもないでしょう。
市販フードはカロリーや栄養バランスなどの計算がされており、面倒なことは考える必要がありません。
特に総合栄養食の市販フードは、後は水さえあれば生きていけるというシロモノ。
サイズだけでなく品種、ライフステージ毎に分かれていたり、アレルギーに対応したフードなどもあり、バリエーションも豊富です。
グルメなあの子もまっしぐら。市販フードは犬猫の嗜好性を追求したフレーバーが付いているので食いつき抜群です。チューブに入った猫のペースト状のアレにいたっては、がっつきすぎて怖いくらいです。
あらやだ!ワンちゃん、ネコちゃんのご飯切れちゃった!
こんな時でもスーパーやコンビニ、ペットショップ、ホームセンターなど、街の至る所でいつでも購入可能です。
2キロで数百円など、お手頃な商品もあるので経済的です。
市販フードは保存に優れているため、いくつもストックしておくことができます。
基本冷蔵の必要もないので、ペットと幼児の手の届かない冷暗所であればどこでも保管しておけます。
カリカリなどはストッカーに入れたり、その他のフードも缶やパッケージ毎持ち運べるので携帯に便利です。
お気に入りのフードやおやつを、お出かけや旅先にも持ち運べます。
ペットホテルや知人に預ける場合も預けるときに渡しておけば、留守中でもグルメなうちの子に「いつものやつ」を与えることができます。
市販のフードのデメリット
毎日袋から決まった量のカリカリを出して与えるだけというのは、作業感というか動物にエサやってる感がすごく、いたって味気ないものです。
市販フードは食いつきが悪いと売れないので、犬と猫が喜ぶ人工調味料やフレーバー、トランス脂肪酸脂(アメリカでは人への使用禁止。しかも酸化したやつ)などがてんこもりです。見た目を良くし、日持ちもさせないといけないので抗酸化剤、防腐剤、着色料なども使用されています。これらには発がん性やアレルギーなどの副作用が認められているものも多く、人間に使うと捕まるレベルの薬品が割と普通に入ってたりします。
『4Dミート・肉副産物』とは、人間の食肉や水産物の加工の際に排出される人間の食用には適さない部位です。
原材料に「○○ミール」や「肉副産物」と書かれていたら、これが使われています。
そのままでは見た目や臭いが悪く、食いつきも悪いのでフレーバーや発色剤、結着剤などの人工添加物で美味しそうに仕上げています。
4Dミート・肉副産物は少なくとも肉や魚ですが、安価なペットフードはコストカットのために小麦粉、トウモロコシ粉、大豆などの穀物でかさ増しをしています。遺伝子組み換えは当たり前。残留農薬やアレルギーの問題も。
また、過剰な炭水化物は肥満や糖尿病の原因になるので注意が必要です。
ペットの性格としつけにもよりますが、すぐにフードに飽きて食べなくなるペットのため、最適なフードを求めてさまよう飼い主さんをフードジプシーと言うそうですね。
一般にはペットのワガママとされていますが、実はフードに含まれる質の悪い油や添加物に拒否反応やアレルギー、下痢などの体調不良を示している場合もあります。犬も猫も利口な動物ですので、食べると害があるとわかれば食べません。
また年齢に合わないフードを与えている場合も。おじいちゃん・おばあちゃんに、コッテコテのギットギトなジャンクフードは拷問です。
不健康な原料を使った粗悪フードを避けるには、ヒューマングレードの原材料だとかオーガニック、放牧して育てたグラスフェッドなどのナチュラル系フードを選べば問題解決です。しかし、当然ですがこだわったいいものはそれなりにいい値段がします。
さも健康的でただならぬ高級感を漂わせるプレミアムフードというものがあります。
実物は見たことないけど、ネットでの評判が素晴らしいのできっといいものに違いない!
しかし、意外にもプレミアムなのは宣伝と値段とパッケージだけで、中身は粗悪品という商品が非常に多いので注意が必要です。
ぽちたま薬局のメルマガ担当。
手術しても再発する愛犬の腫瘍に悩まされていましたが、ご飯を手作りに変えてから病気の改善を目の当たりに。
それから5年、手作りご飯のチカラを信じて毎日レシピとメルマガ企画を考える日々を過ごしています。