コリーやオーストラリアン・シェパード、シェルティなど、いわゆるコリー系の犬種には、イベルメクチンという成分のフィラリア予防薬は避けるべきとの見解があります。
フィラリア予防に使用されるイベルメクチンはとても低用量の為、心配はいらないとの見解もありますが、やはりリスクは回避したいですよね。
この記事では、実際のところはどうなのか解説するとともに、コリー種にもおすすめのフィラリア予防薬を紹介します。
ちなみに、有効成分としてイベルメクチンが使用されていないフィラリア予防薬を以下にまとめました。
※値段は全て小型犬用を掲載してあります
目次
犬に使われるフィラリア予防薬の成分
犬用のフィラリア予防薬には、主に以下のような成分が用いられます。どれもフィラリアの予防効果に違いはありません。
- ・イベルメクチン
- ・ミルベマイシンオキシム
- ・セラメクチン
- ・モキシデクチン
コリー種に注意すべきフィラリア予防薬
冒頭でも触れましたが、コリー種が注意すべきフィラリア予防薬は、「イベルメクチン」が含まれるものです。
イベルメクチンが含まれるフィラリア予防薬には以下のような製品があります。
- ・イベルメック錠
- ・カルドメックチュアブル
- ・ハートメクチン錠
- ・パナメクチンチュアブル
コリー種は、遺伝的にイベルメクチンの影響を受けやすい犬種だと言われています。
しかし、フィラリア予防で使われるイベルメクチンはとても低用量のため、フィラリア予防で使うだけなら心配は要らないとしている獣医師さんもいます。
コリー種に対して問題になるのはニキビダニや疥癬の駆虫に使う際の用量で、犬の体重1kgあたりイベルメクチン200μgと高用量の場合です。
参考
・イベルメクチン中毒: MDR1に変異の無い犬ニキビダニ症の1例(外部リンク)
コリー種にイベルメクチンの副作用が出やすい理由
コリー種にイベルメクチンの副作用が出やすい理由は、コリー種が持つ遺伝子に関係があります。
コリー種の犬の約8割は、MDR1遺伝子というものが欠損していると言われています。
このMDR1遺伝子は主に血液脳関門に存在しており、体内に入って来た薬物などの異物が、脳や脊髄などの生体にとって重要な組織に侵入して問題を起こさないように、異物を外へ汲み出す働きをしています。
コリー種の犬は、血液脳関門のバリアとも言うべきこの仕組みが欠損していたり、不完全であったりするために、通常よりも多くのイベルメクチンを脳や脊髄に取り込んでしまうため、中毒症状などの副作用を起こすのです。
遺伝的に、イベルメクチンに対して副作用を起こさない個体もいますが、起こすか起こさないかは遺伝子検査をしない限りわかりません。
このような背景があることで、コリー種にはイベルメクチンが使えないと言われているのです。
コリー種におすすめのフィラリア予防薬
コリー種への使用であっても、高い安全性が確認されているフィラリア予防薬にはどのようなものがあるのでしょうか。
動物病院でもよく処方されるお薬を、成分別にご紹介します。
モキシデクチン
モキシデクチンを含むフィラリア予防薬をご紹介します。
モキシデクチンは、イベルメクチンに対する感受性の高いコリー種に投与しても異常が確認されなかったと発表されており、安全性の高い成分です。
しかし、コリー種への投与は過剰投与を避け、用法・用量を守ることが推奨されています。
シンパリカトリオ
3つの有効成分がフィラリア、ノミ・マダニ、お腹の虫に効くオールインワンのフィラリア予防薬。
ミートフレーバーのチュアブル錠なので食いつき抜群。コリーにおすすめのお薬です。
セラメクチン
セラメクチンを含むフィラリア予防薬をご紹介します。
セラメクチンはフィラリア予防の低用量であれば、安全に投与できることが確認されています。
また、皮膚に滴下するスポットタイプのお薬のみのため、内服するタイプよりも副作用が出にくいという特徴があります。
内服するお薬が苦手な犬に適していますが、皮膚の弱い犬への投与は不向きなため、慎重にするべきです。
レボリューション
レボリューションは、ゾエティスが製造するフィラリア予防と、ノミ・耳ダニの駆除をおこなうことができるお薬です。
スポットタイプなので、月に1回、背中の肩甲骨のあたりに薬液を垂らすことで投与します。
飲むお薬が苦手な犬に適しています。
ミルベマイシンオキシム
ミルベマイシンオキシムは、コリー種にも安全に投与できるよう作られた成分です。
しかし、コリー種は他の犬種と比べて薬物に対する安全域が狭いため、特に注意して用法・用量を守る必要があります。
特に、最近のフィラリア予防薬は犬が食べたがる美味しい味付けがされたお薬が多く、飼い主が意図しないところで食べてしまったりしないように保管の仕方には充分注意しましょう。
参考
・コリー, シェルティ及び日本犬雑種における血漿ミルベマイシンD濃度(外部リンク)
ネクスガードスペクトラ
現在、主流となっているフィラリア予防薬。テレビCMでもおなじみのノミダニ駆除薬ネクスガードにミルベマイシンオキシムを配合したオールインワンのお薬です。
ジャーキー状のおやつタイプのため、犬の食いつきがよく、投与に手間がかかりません。
クレデリオプラス
こちらもテレビCMで話題のノミダニ駆除薬クレデリオにミルベマイシンオキシムを配合したフィラリア予防のお薬です。
フレーバー錠で食いつきが良いと評判のお薬です。
まとめ
コリー種に使えないフィラリア予防薬があると聞くととても不安になりますが、フィラリア予防薬は有効成分が低用量なので、用量用法をしっかり守れば安全に使用することができます。
安全で手軽に投与できるように工夫されているものばかりですが、医薬品である以上はそれぞれのお薬で守るべき注意点があります。
愛犬を守るべきお薬が必要以上に心配の種となることが無いよう、飼い主もお薬のことをしっかりと知っておくことが大切です。
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ペットの医薬品の個人輸入サイト「ぽちたま薬局」の創設に携わる。
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1日のマクロ栄養素のバランスとミクロ栄養素の摂取量に異常なまでにこだわる、筋トレとプロテインを嗜む海外サプリマニアの40代管理職。
調理師免許を持つ。