うさぎの腫瘍|しこりの種類と余命、しこりにならない腫瘍のサイン

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うさぎの腫瘍|しこりの種類と余命、しこりにならない腫瘍のサイン

なでていたら体にしこりがあった、お腹がふくらんでいる気がする……。「腫瘍だったらどうしよう」と、不安でいっぱいになりますよね。

この記事の結論

うさぎでいちばん多い腫瘍は、避妊手術をしていないメスの子宮腺癌とされています(MSD獣医マニュアル)。

家では次のポイントを押さえておきましょう。

  • 体のしこりは、腫瘍のほかに膿のかたまり(膿瘍)のこともある → 触っただけでは区別できないので受診を
  • 子宮や胸の中の腫瘍はしこりとして触れにくい → 血尿、目が飛び出す、呼吸が苦しそうなどがサイン
  • 余命は腫瘍の種類と転移の有無で大きく変わる → 早く見つけるほど選べる治療が増える

うさぎの腫瘍ができやすい場所の図。乳腺・皮膚・精巣は触れてわかり、子宮・胸腺は外から触れにくい

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すぐ受診したい腫瘍のサイン

腫瘍は少しずつ進むことが多い病気ですが、体の中で大きくなった腫瘍が、呼吸や血の流れを邪魔し始めることがあります。胸の中にできる胸腺腫では、目が飛び出して見えることが典型的なサインとされています(MSD獣医マニュアル)。

また、うさぎは具合が悪くても隠す動物です。次のようなサインがあれば、しこりの有無にかかわらず早めに動物病院へ相談しましょう。

うさぎの腫瘍で早めに受診したいサインのチェック表

こんなときは早めに動物病院へ
  • 目が飛び出して見える、目の出方が日によって違う
  • 呼吸が速い・苦しそう、動きたがらない、食欲が落ちた
  • おしっこに血が混じる、陰部から出血している
  • しこりが大きくなっている、破れて血や膿が出ている
  • 睾丸が片方だけ大きい、形が変わった
  • 糞が小さい・少ない、いつもと様子が違う

出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの感染症以外の病気」/Journal of Exotic Pet Medicine「胸腺腫と診断された飼いうさぎの治療別の経過と生存期間」/Veterinary Pathology「子宮腺癌だけではない ― 飼いうさぎにできる腫瘍と腫瘍以外のしこり」

食欲が落ちて糞が出なくなるのは、腫瘍に限らずうっ滞のサインでもあります。こちらも参考にしてください。

うさぎに多い腫瘍の種類

ドイツの検査機関に2008〜2019年に送られた、飼いうさぎのしこり1,238件を調べた研究があります(Veterinary Pathology誌の総説)。腫瘍が見つかったうさぎの平均年齢は5.7歳で、寿命をおよそ9歳とすると中年期にあたります。

この研究とMSD獣医マニュアルをもとに、うさぎに多い腫瘍をまとめると次のとおりです。

腫瘍 気づきやすいサイン 特徴
子宮腺癌 血尿、陰部からの出血 避妊していないメスに最も多い。肝臓や肺に転移しやすい
乳腺腫瘍 お腹側、乳首まわりのしこり ほぼメスに発生。調べた例の94%が悪性の特徴を持っていた
皮膚の腫瘍 体の表面のしこり 毛芽腫(毛の根元の細胞からできる腫瘍)が最多。種類によって良性・悪性の割合が違う
精巣腫瘍 睾丸が大きくなる、左右差 高齢のオスに多い(平均6.8歳)
胸腺腫 目が飛び出す、呼吸が荒い 胸の中にでき、外からは触れない
リンパ腫 目・皮膚・内臓などさまざま 年齢を問わず起こり、2歳未満の若いうさぎにも見られる

出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの感染症以外の病気」/Veterinary Pathology「子宮腺癌だけではない ― 飼いうさぎにできる腫瘍と腫瘍以外のしこり」

皮膚の腫瘍は種類で良性・悪性が分かれる

同じ研究では、皮膚の表面側の細胞からできた病変の90%は良性でした。一方で、線維肉腫など皮膚の下の組織(間葉系)からできた腫瘍は73%が悪性で、特に高齢のうさぎに多く見られています。

「皮膚のしこりだから大丈夫」とは言い切れないのは、このためです。

オスにも乳腺腫瘍?

乳腺腫瘍はほぼメスの病気です。性別がわかっている乳腺の病変226件のうち、オスの腺癌は1件だけでした(Veterinary Pathology)。まれですがゼロではないので、オスでもお腹のしこりに気づいたら相談しましょう。

しこり=腫瘍とは限らない

うさぎのしこりで見落とせないのが、膿のかたまり(膿瘍)です。うさぎの膿はチーズのように固まりやすく、見た目が腫瘍の壊死した部分と似ていることがあると報告されています(Veterinary Pathology)。

そのため、腫瘍と膿瘍は触っただけでは区別できません。硬さや動き方で「たぶん良性」と自己判断せず、動物病院で調べてもらいましょう。

顔やあごのしこりは歯の病気の可能性も

あごや目の下のしこりは、歯の根に膿がたまる歯根膿瘍のこともあります。MSD獣医マニュアルによると、うさぎの歯の膿瘍は厚い膜に包まれて抗菌薬が効きにくく、腫瘍と同じように丸ごと取り除く治療が理想とされています。

膿瘍だとしても、放っておいてよいしこりではありません。歯の病気については、こちらで詳しく解説しています。

しこりにならない腫瘍もある

うさぎの腫瘍で気をつけたいのは、いちばん多い子宮腺癌が体の外から触れるしこりにならないことです。「しこりがないから大丈夫」とは言えません。

子宮腺癌のサインは「おしっこの赤さ」

子宮腺癌は、避妊していない3歳以上のメスの最大60%に見られるという記載があります(MSD獣医マニュアル)。

一方、ミズーリ大学獣医学部の資料では「5歳以上で最大50%」とされており、情報源によって数字には幅があります。

どちらにしても、年齢を重ねた未避妊のメスでは珍しくない腫瘍です。腫瘍が大きくなると内部が壊死して出血し、それをきっかけに見つかることが多いとされています(Veterinary Pathology)。

おしっこが赤いときは血尿かどうかの見分けも大切です。こちらの記事で詳しく解説しています。

胸腺腫のサインは「目」と「呼吸」

胸腺腫は胸の中にできる腫瘍で、大きくなると頭から心臓へ戻る血の流れを邪魔し、目が前に押し出されることがあります(MSD獣医マニュアル)。呼吸が苦しい・速い、運動を嫌がるといった症状も挙げられています(Journal of Exotic Pet Medicine)。

目が飛び出す仕組みや、ほかの原因との見分け方、治療法の違いは、こちらの記事で詳しく解説しています。

腫瘍の良性・悪性の見分け方

良性か悪性かは、見た目や硬さではわかりません。はっきりさせるには、動物病院での検査が必要です。

  • 細い針でしこりの細胞を取って顕微鏡で見る検査(細胞診)
  • 取り出した組織を詳しく調べる検査(病理組織検査)。確定診断にはこちらが必要になることが多い
  • レントゲンや超音波で、体の中の腫瘍や転移の有無を確認する検査

子宮腺癌の確定には病理組織検査が必要とされ(ミズーリ大学獣医学部)、胸腺腫とリンパ腫の区別にも針での検査や組織検査が必要です(MSD獣医マニュアル)。どこまで検査するかは、年齢や体力も含めて獣医師と相談しましょう。

うさぎの腫瘍の余命は?

いちばん気になるところだと思いますが、余命は腫瘍の種類、転移の有無、選んだ治療で大きく変わり、ひとつの数字では言えません。ここでは、研究や資料で報告されている見通しを種類ごとに紹介します。

うさぎの腫瘍の余命を左右する3つの要素。腫瘍の種類、転移の有無、選んだ治療

子宮腺癌は転移の前に見つけられるかが鍵

子宮腺癌は、肝臓や肺などに転移しやすい腫瘍です(MSD獣医マニュアル)。亡くなったうさぎの解剖結果をまとめた報告では、約8割に肺への転移が見られたとされています。

ただし進行した例が多く含まれやすい調べ方である点も、同じ論文で注意されています(Veterinary Pathology)。

ミズーリ大学獣医学部の資料では、腫瘍が見つかってから亡くなるまで(多くは転移後)は12〜24か月とされています。これは研究・繁殖用うさぎの教科書をもとにした記載で、治療をした場合の数字ではありません。

乳腺腫瘍は手術後1年以上の例も

乳腺の腺癌で手術を受け、その後の経過がわかったうさぎのうち、45%が1年以上生存していました(Veterinary Pathology)。悪性の特徴を持つ腫瘍が多いわりに高い割合で、著者も予想外だったとしています。

ただし経過がわかったのは22匹と少なく、1年以上たってから肺への転移で亡くなった例も含まれています。

胸腺腫は治療法の評価が分かれる

胸腺腫は分類上は良性で、ゆっくり大きくなり、転移はまれとされます。ただし胸の中で大きくなること自体が、命に関わることがあります(Journal of Exotic Pet Medicine)。

治療について、MSD獣医マニュアルは「手術で比較的取りやすいことがある」「放射線治療のあと何年も生きた例がある」と紹介しています。

一方、東京のエキゾチック動物病院も参加した2021年の研究は、うさぎの胸の手術は術後に亡くなる例が多く、経験のある外科医がいなければ一般的には勧められないとしています。

同じ研究では、ステロイド薬のみの治療でも、治療しなかった場合より生存期間が有意に長くなりました。

どの治療が合うかは、腫瘍の大きさや体力、通える病院の設備によって変わります。担当の獣医師とよく相談してください。

リンパ腫は見通しが厳しいことが多い

リンパ腫には抗がん剤による治療が試みられることがありますが、進行が速いタイプが多く、見通しは厳しいことが多いとされています(MSD獣医マニュアル)。

避妊手術で防げる腫瘍

MSD獣医マニュアルは、子宮腺癌が多いことを、繁殖の予定がないメスに生後4〜6か月での避妊手術を勧める主な理由に挙げています。乳腺腫瘍や子宮の腫瘍には、ホルモンの影響があると考えられています(Veterinary Pathology)。

すでに年齢を重ねた未避妊のメスでは、麻酔のリスクと腫瘍のリスクの両方を考える必要があります。手術をするか、するならいつかは、健康診断を受けながら獣医師と相談して決めましょう。

家でできるしこりチェック

しこりや体の変化に早く気づけるのは、毎日そばにいる飼い主さんです。なでたりブラッシングしたりするついでに、次のことを習慣にしてみてください。

家でできるうさぎのしこりチェック。全身を触る、日付と大きさを記録する、目・呼吸・おしっこも見る

  • 体全体を、頭から背中・お腹・足先までやさしく触る。メスは乳首まわり、オスは睾丸の左右差も確認
  • しこりを見つけたら、日付・場所・大きさをメモして写真を撮る。硬貨などと並べると大きさの変化がわかりやすい
  • 目の出方、呼吸の速さ、おしっこの色、食欲と糞の量もいつもと比べる

しこりを自分でつぶしたり、針で刺したりするのはやめましょう。痛みや感染の原因になるうえ、病院での検査がしにくくなることがあります。メモと写真は、受診のときにそのまま獣医師に見せると役立ちます。

まとめ

  • うさぎで最も多い腫瘍は、避妊していないメスの子宮腺癌。しこりにならず、血尿や出血で気づくことが多い
  • 乳腺・皮膚・精巣の腫瘍は触れてわかることがある。乳腺腫瘍は多くが悪性の特徴を持つ
  • 胸腺腫では目が飛び出す、呼吸が苦しいなどのサインが出ることがある
  • しこりは膿瘍のことも多く、触っただけでは腫瘍と区別できない。自己判断せず受診を
  • 余命は種類・転移・治療で大きく変わる。早く見つけるほど選べる治療が増える
  • 繁殖予定のないメスの避妊手術は、子宮腺癌の予防として勧められている

ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。

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この記事は獣医学の資料をもとに作成していますが、獣医師の監修は受けていません。症状の判断や治療、お薬の使用については、必ず動物病院にご相談ください。

参考にした資料

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