「昨日まで元気に食べていたのに、急にご飯を食べなくなった」
「うんちが少ない気がする…」
そんな変化は、うっ滞のサインかもしれません。
うっ滞は、うさぎに最もよく見られる消化器トラブルです。
放置すると命に関わることもあり、早めの対応がとても重要です。
この記事では、うっ滞の基礎知識から、病院での治療、発症後に飼い主さんができることまでわかりやすく解説します。
目次
うっ滞ってどんな病気?

うっ滞とは、うさぎの胃や腸のぜん動運動(食べ物を消化管へ送る動き)が低下・停止した状態のことです。
正式名称は「消化管うっ滞(GIスタシス)」といいます。
うさぎの消化管は、食事をしていない間も常に動き続けているのが正常です。
しかし何らかの原因で消化管の動きが低下すると、胃腸内に内容物やガスがたまり、お腹の張りや強い痛みを引き起こします。
さらに食欲低下や脱水が進むことで、腸内環境の乱れや症状状態の悪化につながります。
参考
ウサギの胃うっ滞・毛球・非感染性疾患に関する解説(Merck Veterinary Manual)(外部リンク)
「毛球症」との違い
以前は、胃の中に毛がたまる「毛球症」と説明されることもありました。
しかし現在では毛だけでなく、食事やストレス、歯の病気など様々な原因によって消化管の動きが低下し、結果として毛や内容物が排出されにくくなるケースが多いと考えられています。
うっ滞はうさぎにとって身近な病気
うっ滞は決して珍しい病気ではありません。
報告によって差はありますが、動物病院を受診するうさぎで比較的よく見られる症候群のひとつとされ、過去の報告では来院したうさぎの25%以上に認められたとされています。
参考
うさぎの消化管うっ滞症候群に関する解説(University of Illinois)(外部リンク)
うっ滞の主な原因
うっ滞の原因はひとつではなく、複数の要因が関与していることがほとんどです。
- 繊維質不足(牧草が少なくペレットやおやつが多い食生活)
- ストレス・急激な環境変化
- 運動不足
- 歯の不正咬合(歯が伸びすぎて食べにくい状態)
- 換毛期の毛の飲み込みすぎ
- 腎臓病・肝臓病・腫瘍などの他の病気
- 痛みを伴う病気(歯の病気、尿路疾患、関節痛など)
こんな症状が出たら要注意
うっ滞の症状は、初期は気づきにくい小さな変化から始まります。
日頃からうさぎの食事量・うんちの状態・行動パターンを把握しておくことが、早期発見につながります。
うっ滞の初期症状
初期症状は、日々の調子の波と間違えてしまうような小さな変化が多いです。
- ごはんの量が減った・好きなものしか食べない
- うんちが小さい・少ない・形がいびつ
- 元気がない・動きが少ない
- 水をあまり飲まない
症状が進行・悪化すると
ここまで状態が悪くなると、活動量が明らかに落ちてきます。
こうなる前に、初期症状の時点で動物病院へ連れていくことが重要です。
- ごはんをまったく食べなくなる
- うんちが出なくなる
- お腹が張る・触られるのを嫌がる
- うずくまってじっとしている
- 歯ぎしりをする・お腹を床に押しつける(痛みのサイン)
- 呼吸が浅く速くなる
- 耳や手足が冷たい
うさぎのうんち状態チェック表
うんちの変化は、うっ滞に気づくきっかけになりやすいサインです。
こちらの表を参考に毎日のうんちチェックを習慣にしましょう。
| チェック項目 | 正常 | 要注意 | 受診する目安 |
|---|---|---|---|
| 大きさ | そろっている | いつもより小さい | 極端に小さい・ほとんど出ない |
| 量 | いつも通り | 明らかに少ない | 半日以上ほとんど出ない |
| 形 | 丸くて崩れにくい | いびつ・小粒が混じる | 粘液が混じる、下痢状、出ない |
| 色 | 普段と大きく変わらない | いつもより極端に黒い・薄い | 黒いタール状、血が混じる |
| 盲腸便 | 普段通り食べている | 残ることが増えた | 大量に残る状態が続く、食欲低下を伴う |
すぐ病院へ!様子見NGのサイン

うっ滞で食事が摂れなくなると、消化管のぜん動運動がさらに低下し、ますます食欲がなくなるという悪循環に陥ります。
以下の症状が見られたら、その日のうちに動物病院へ連絡してください。
- 半日以上ごはんを食べていない
- うんちが極端に少ない・出ていない
- お腹が張っている
- いつもと違うお腹の音がする
- うずくまってじっとしている・動かない
- 歯ぎしりをしている・お腹を床に押しつけている
- 呼吸が速い・浅い
特に食欲不振は、犬や猫以上に緊急性が高い症状です。
食べない時間が長くなるほど消化管の動きがさらに低下し、脱水や肝臓への負担、全身状態の悪化につながることがあります。
「いつもと違う」と感じたら、迷わず受診しましょう。
病院ではどんな治療をするの?

診断について
触診でお腹の張りやガスの有無を確認し、レントゲンや超音波検査で胃腸の状態・ガスの溜まり方・異物の有無などを確認します。
血液検査で脱水や臓器への影響も調べます。
主な治療法
治療の基本は「水分補給・痛みのケア・栄養補給・原因の治療」の4本柱です。
| 治療方法 | 内容 |
|---|---|
| 輸液(皮下・静脈) | 脱水を補正し、消化管の動きを助ける |
| 消化管運動促進薬 | 腸閉塞などがないことを確認したうえで、必要に応じてぜん動運動を促す薬を使用 |
| 痛み止め | お腹の痛みを和らげ、食欲回復を助ける |
| 強制給餌 | 腸閉塞や重度の胃拡張が疑われない場合に、獣医師の指示のもとで高繊維流動食を少量ずつ投与 |
| 歯科処置 | 不正咬合が原因の場合は歯の処置も必要 |
| 外科手術 | 腸閉塞・重度の胃拡張など内科治療では対応できない場合 |
メトクロプラミド(消化管促進薬)はぽちたま薬局でも取り扱いがございます。
※腸閉塞があるうさぎには使用できないため、投与については獣医師と相談の上慎重に行ってください。商品ページは犬猫用のご説明となっている点にご注意ください。
参考
うさぎの消化管うっ滞に対する治療の最新知見とアドバンスドセラピー(Lichtenberger & Lennox, 2010)(外部リンク)
お腹のマッサージは自己判断でやらないで!
胃にガスが大量に溜まっている急性胃拡張の状態でマッサージをすることは禁忌です。
状態を悪化させる危険があるため、自己判断でのマッサージは絶対に避け、必ず動物病院の指示に従ってください。
入院しないこともある?
症状が重い場合や脱水が強い場合、腸閉塞が疑われる場合は入院が必要になることがあります。
一方で、状態が安定していて、自宅での投薬・給餌・観察が可能な場合は、通院しながら自宅ケアに移行するケースもあります。
うさぎは環境の変化に敏感なため、入院と自宅ケアのどちらがよいかは、症状や性格、自宅でのケア体制をふまえて獣医師が判断します。
【発症後】飼い主さんができること
看病で飼い主さんが気を付けること
強制給餌のやり方
自力で食べられない場合、獣医師の指示のもとで強制給餌が必要になります。
はじめて行う場合は必ず動物病院でやり方を教えてもらってから実施しましょう。
- ペレットを水でよく溶かしてペースト状にする(専用の高繊維流動食を使う場合も)
- シリンジに入れ、うさぎの口の端から少量ずつ入れる
- 一度に大量に入れると誤嚥の危険があるため、少量ずつ時間をかける
- 1日の目標量・回数は必ず獣医師の指示に従う
お腹が大きく張っている、強い痛みがある、ぐったりしている場合は、自己判断で強制給餌をしないでください。
腸閉塞や急性胃拡張があると、状態を悪化させるおそれがあります。
【←うさぎの薬の飲ませ方ブログへの内部リンク】
水分補給を助ける
自分で水を飲めない場合は、獣医師に相談のうえ、シリンジで少量ずつ補助することがあります。
無理に流し込むと誤嚥の危険があるため、嫌がる場合やぐったりしている場合は行わないでください。
普段から食べ慣れている水菜・チンゲン菜などを少量与えることで、水分補給の助けになる場合もあります。
症状の記録をスマホで残す
うんちの量・大きさ・食事量・様子の変化などを記録しておくと、通院時に獣医師が状態を把握しやすくなります。
うんちの写真を撮っておくのも有効です。
飼育環境で飼い主さんが気を付けること
適度な運動を促す
状態が落ち着いてきたら、無理のない範囲で体を動かすことも回復の助けになります。
サークルなどで安全に運動できるスペースを確保し、獣医師の指示に従って少しずつ自由運動の時間を作りましょう。
温度・湿度の管理
夏の暑さ・冬の寒さ・急激な温度変化はうさぎの体に大きな負担をかけます。
室温は20〜24℃前後、湿度は40〜60%を目安に、暑すぎ・寒すぎ・急激な温度変化を避けましょう。
特に夏場は熱中症に注意が必要です。
ストレスを減らす
ストレスはうさぎにとって大きなストレスになります。
回復中はできるだけ静かで落ち着ける環境を整えましょう。
発症を防ぐ日常ケアと腸内環境
うっ滞の予防で最も重要なのは「腸を常に動かし続けること」です。
そのために日頃から以下を意識しましょう。
- 牧草メインの食生活を守る
チモシーなどの牧草を常に食べられる状態にし、ペレットやおやつは適量に抑える - 新鮮な水をいつでも飲めるようにする
水切れがないよう、毎日交換する習慣をつける - 毎日の運動習慣を確保する
体を動かすことで消化管の蠕動運動が促される - 定期的なブラッシングを行う
特に換毛期は毛の飲み込みを減らすために重要 - ストレスの少ない環境を整える
急激な環境変化を避け、安心できる生活空間を保つ - 定期的な健康チェックを受ける
歯の状態・体重変化を定期的に確認する
腸内環境との関係も研究されている
近年の研究では、うっ滞を発症したうさぎでは、健康なうさぎと比べて一部の腸内細菌の構成に違いが見られたと報告されています。
ただし、腸内細菌の変化がうっ滞の原因なのか、うっ滞によって起こる結果なのかは、まだ明確には分かっていません。
そのため、予防の基本はあくまで牧草中心の食事・十分な水分・運動・ストレス管理・歯のチェックです。
腸内環境のサポートとして、獣医師に相談のうえでプロバイオティクスなどのサプリメントを取り入れることもあります。
ただし、サプリメントだけでうっ滞を予防・治療できるわけではありません。
牧草中心の食事、水分、運動、ストレス管理、歯の健康チェックを基本に考えましょう。
プロバイオティクスサプリメントはぽちたま薬局でも取り扱いがございます。
※うさぎ用のペーストタイプのプロバイオティクスサプリメントです。
参考
ペットうさぎの消化管うっ滞(RGIS)が腸内細菌叢に与える影響(Rahic-Seggerman et al., 2025)(外部リンク)
身近な病気でも、放置すると命の危険が…
うっ滞は、うさぎにとって珍しい病気ではありません。
しかし、だからと言って楽観視できるような病気ではなく、対応が遅れることで取り返しのつかない事態を招くこともあります。
ご飯を食べない、うずくまったまま動かないなど、いつもと違う様子があれば迷わず受診しましょう。

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。






