なでた手にごっそり毛がついたり、背中に地肌が見えている場所を見つけたりすると、「病気かも」と心配になりますよね。
季節の換毛でたくさん毛が抜けるのは正常です。ただし換毛は大きな束で抜けても、はげるほどにはならないのが基本とされています(PDSA)。
家では次のポイントで見分けましょう。
- 地肌がはっきり見えるほど抜けている → 換毛以外の原因を考えて、動物病院への相談を検討
- 赤み・フケ・かさぶたがある、しきりにかく・なめる → 皮膚病や寄生虫の可能性
- あごの下・お尻・足の裏など、抜ける場所がかたよっている → 場所から原因をしぼれる
- 皮膚はきれいで、元気も食欲もいつも通り → 換毛の可能性。抜け毛を飲み込みすぎないようブラッシングを

ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
目次
すぐ受診したい脱毛のサイン
毛が抜ける原因の中には、強いかゆみや痛みをともなうものがあります。英国の動物病院団体PDSAも、毛が抜けているのに気づいたら獣医師に相談するよう呼びかけています。
特に注意したいのがお尻まわりです。お尻の毛が抜けるのは、ハエの幼虫が皮膚に入り込むハエウジ症の初期サインのことがあり、命に関わります。

- お尻・陰部まわりの毛が抜けて、濡れている・汚れている
- 皮膚が赤い、かさぶたやじゅくじゅくした傷がある、においがする
- しきりにかく・なめる・かじる、頭を振る
- フケが急に増えた、フケが動いているように見える
- あごの下や胸がよだれで濡れている
- 食欲が落ちた、糞が小さい・少ない、いつもと様子が違う
- 家族の腕などに、かゆい発疹が出てきた
出典:PDSA「うさぎの脱毛(毛が抜ける)」/MSD獣医マニュアル「うさぎの寄生虫の病気」/MSD獣医マニュアル「うさぎの感染症以外の病気」
換毛期のはげと病気の見分け方
うさぎは季節の変わり目などに毛が生え替わります。これが換毛で、この時期に抜け毛が増えるのは自然なことです。
換毛で「はげる」ことがあるかについては、情報源によって書き方が違います。PDSAは、換毛では大きな束で抜けることはあっても、はげることはないはずとしています。
一方、国内の飼い主向けの情報では、生え替わりの途中で一時的に毛が薄く見える部分ができることもあると紹介されています。
どちらにしても、判断の決め手は皮膚の状態です。「毛が薄い」と「地肌がはっきり見えて、皮膚に変化がある」は分けて考えましょう。
| 見るところ | 換毛による抜け毛 | 病気・トラブルによる脱毛 |
|---|---|---|
| 地肌 | 毛が抜けても、地肌がはっきり見えることは基本的にない | 地肌が見えるほど抜けている |
| 皮膚の表面 | 色や表面に変化はない | 赤み、フケ、かさぶた、ただれ |
| しぐさ | いつも通り | かく、なめる、かじる回数が増える |
| 様子 | 元気も食欲もいつも通り | いつもと様子が違うことがある |
換毛期は抜け毛を飲み込みすぎないように
うさぎはいつも毛づくろいをしているため、胃の中には普段から毛が入っています。食物繊維をしっかりとれていれば、毛は糞と一緒に出ていきます。
問題になるのは、飲み込む量が多すぎたり、胃に毛がたまったりしたときです。MSD獣医マニュアルは、予防として食物繊維の多い食事と、毎日のブラッシングで抜けた毛を取り除くことを挙げています。換毛期に食欲や糞が減ったときは、うっ滞も疑ってください。
はげている場所で考える原因
病気やトラブルによる脱毛は、原因によって抜けやすい場所がある程度決まっています。はげている場所と一緒に出ているサインを照らし合わせると、動物病院で伝えるべきことが整理しやすくなります。

| 場所・見た目 | 考えられる原因 | 一緒に確認したいこと |
|---|---|---|
| 頭・顔・耳のまわり、足先や爪の付け根 | 皮膚糸状菌症(カビ) | 丸く抜ける、赤み、白いフケのようなもの。人にもうつることがある |
| フケが目立つ場所 | ツメダニなどの毛に住むダニ | フケが多い。黒い紙の上に落とすと、フケが動いて見える |
| 耳の内側 | 耳ダニ | 茶色いかさぶた、頭を振る、耳をかく |
| あごの下、首の下のたるみ、胸 | よだれや水で濡れて起きる皮膚炎 | 濡れてベタつく、緑っぽく変色する。歯の病気や水入れの形が関係することも |
| 胸・お腹(主にメス) | 巣作りのために自分で抜く(妊娠・偽妊娠) | 抜いた毛で巣を作る様子がある。はげるほどでなければ通常の行動 |
| お尻・陰部のまわり | 尿や便の汚れによる皮膚炎、ハエウジ症 | 濡れて汚れている、赤くただれる、茶色いかさぶた |
| 後ろ足の裏 | ソアホック(足底皮膚炎) | 赤み、かさぶた、前足に体重をかけて座る |
| 前足の内側 | 鼻水や目やにを前足でぬぐっている | くしゃみ、鼻水、前足の毛が汚れて固まる |
| 体のあちこち、同居うさぎの口が届く場所 | 毛をかじる・むしる(食物繊維不足、退屈、ストレス、順位争い) | 自分で毛をかじる、同居うさぎにかじられている |
出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの細菌・真菌の病気」/同「うさぎの寄生虫の病気」/同「うさぎの感染症以外の病気」/MSPCA-Angell「エキゾチックアニマルの皮膚病入門」/PDSA「うさぎの脱毛(毛が抜ける)」
耳・足の裏・前足の内側がはげている場合は、それぞれの症状を詳しく解説した記事も参考にしてください。
脱毛の主な原因と注意点
ここでは、表に挙げた原因のうち、飼い主さんが知っておきたい注意点があるものを順に解説します。なお、皮膚・卵巣・精巣の腫瘍が脱毛の原因になることもありますが、まれとされています(PDSA)。
皮膚糸状菌症(カビ)は人にもうつる
皮膚糸状菌症は、カビの一種が皮膚や毛に感染する病気です。MSD獣医マニュアルによると、病変は頭から出ることが多く、そこから体のどこにでも広がる可能性があります。
見た目は、丸く盛り上がって赤くなり、白いふすまのようなフケがのった状態です。
この病気は人や他の動物にもうつるため、診断されたら家族にも注意が必要です。ブラシなどの道具を通して広がることもあり、症状がなくても菌を持っているうさぎは珍しくないとされています。
紫外線ライトを当てる検査で光らなくても、この病気は否定できません。確定には、毛や皮膚の培養・顕微鏡検査が使われます。治療は抗真菌薬の外用や内服で、獣医師の判断が必要です(MSD獣医マニュアル)。
ダニ・ノミは同居の犬猫にも注意
うさぎの毛に住むダニ(ツメダニなど)は、多くの場合は目立った症状が出ません。体力が落ちたときなどに、フケとして気づかれることがあります。このダニは人の腕などに軽い皮膚炎を起こすこともあります(MSD獣医マニュアル)。
ノミは、もともと犬や猫についていたものがうさぎに移ることが多いとされています。そのため、同じ家の犬や猫もまとめて駆除することが大切です。
また、犬猫用のノミ・ダニ薬の中には、うさぎに使ってはいけないものがあります。MSD獣医マニュアルは、フィプロニルという成分はうさぎに毒性のおそれがあり使用禁忌としています。
首輪タイプのノミ取りもすすめられていません。自己判断で犬猫用の薬を使わず、うさぎに使える薬かどうかを確認してください。
毛をかじる・むしるのは食事や環境のサインも
うさぎが自分の毛をかじるのは、食事の食物繊維が足りないことが原因のことが多いとされています。牧草を増やすことで改善が期待でき、退屈が原因の場合は遊びや環境の工夫でおさまることもあります(MSD獣医マニュアル)。
PDSAは、ストレスもよくある原因として挙げています。多頭飼いでは、優位なうさぎが相手の毛を抜いたり、マウンティングではげができたりすることがあります。関節炎などの痛みがある場所を、なめたりかじったりし続けることもあります。
あごの下の脱毛は歯や水入れもチェック
メスのうさぎは、首の下に皮膚のたるみ(肉垂)があります。ここが水を飲むたびに濡れたり、よだれで湿ったりすると炎症が起き、毛が抜けやすくなります。
MSD獣医マニュアルは、関係する要因として歯の不正咬合、口の広い水入れ、湿った床材を挙げています。感染すると緑色っぽく変色することもあります。
水入れについては注意が必要です。MSPCA-Angellは、ボトルより皿で飲むうさぎにこの皮膚炎が多いとしています。一方でMSD獣医マニュアルは、うさぎはボトルより皿のほうがずっと多く水を飲むとも述べています。
皿をやめるのではなく、口の小さい容器や高さのある皿にする方法が紹介されています。よだれが多いときは、歯の病気も疑ってください。
お尻まわりの脱毛は汚れを放置しない
お尻が濡れた状態が数日続くと、毛が抜けたり尿やけや皮膚の感染が起きたりしやすくなります(PDSA)。MSD獣医マニュアルによると、濡れて汚れた床や、おしっこをうまくコントロールできないことが原因になります。
汚れたお尻はハエを引き寄せ、ハエウジ症につながることもあります。お尻の汚れが続くときは、下痢や膀胱の病気など、汚れの原因そのものも動物病院で相談しましょう。
胸やお腹の脱毛は巣作りのことも
メスのうさぎは、妊娠中や偽妊娠(妊娠していないのに妊娠したような状態になること)のときに、自分の毛を抜いて巣を作ることがあります。PDSAは、はげるほどでなければ通常の行動で心配はいらないとしています。また、妊娠・偽妊娠・授乳中のホルモンの変化でも毛が抜けることがあります。
巣作りの様子がないのに胸やお腹だけが抜けている、地肌が見えるほど抜けている場合は、ほかの原因も考えて相談しましょう。
受診までに家でできること
原因をはっきりさせるには動物病院での検査が必要です。そのうえで、受診までの間に次のことをしておくと安心です。

- はげている場所・大きさ・皮膚の様子をスマホで撮り、日付と一緒に記録する
- さわったあとは手を洗う。ブラシやタオルはほかの動物と共用しない
- 犬猫用のノミ・ダニ薬や塗り薬を自己判断で使わない
- 牧草を切らさず、いつでも食べられるようにする
- 床やトイレを清潔で乾いた状態に保つ
- あごの下が濡れやすい子は、水入れの形や高さを見直す
出典:厚生労働省「動物由来感染症を知っていますか?」/MSD獣医マニュアル「うさぎの細菌・真菌の病気」/同「うさぎの寄生虫の病気」/同「うさぎの感染症以外の病気」
人にうつる?
皮膚糸状菌症や、毛に住むダニは人にも皮膚炎を起こすことがあります。厚生労働省は、動物の毛にカビがついていることがあるため、さわったら手を洗うよう呼びかけています。
ペットに症状がなくても、飼い主が知らないうちに感染することもあります。家族にかゆい発疹が出たら、病院でうさぎを飼っていることを医師に伝えましょう。うさぎが診断を受けたときは、人にうつる病気かどうかを獣医師に確認してください。
あわせて読みたい
フケが気になる、ほかにも体調の変化があるときは、こちらの記事も参考にしてください。
まとめ
- 換毛で毛がたくさん抜けるのは正常。ただし、はげるほど抜けるのは基本的に換毛以外のサイン
- 見分けの決め手は皮膚の状態。赤み・フケ・かさぶた・かゆみがあれば受診を検討
- はげている場所(頭・あごの下・お尻・足の裏など)から原因をある程度しぼれる
- お尻まわりの脱毛と汚れは、ハエウジ症につながることもあるので早めに相談
- 皮膚糸状菌症やダニは人にもうつることがある。さわったら手洗いを
- 犬猫用のノミ・ダニ薬を自己判断で使わない。フィプロニルはうさぎに禁忌
ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
この記事は獣医学の資料をもとに作成していますが、獣医師の監修は受けていません。症状の判断や治療、お薬の使用については、必ず動物病院にご相談ください。
参考にした資料

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。











