「うさぎの歯って何本あるの?」「最近、牧草の減りが遅い気がする…」。うさぎの歯は外から見えにくいぶん、一度気になり始めると心配になりますよね。
- うさぎの歯は全部で28本。前歯も奥歯も一生伸び続ける
- 不正咬合は、歯が伸びる量と削れる量のバランスが崩れて起こる。大きな原因は牧草不足とされている
- 奥歯は家ではほぼ見えない。「食べ方・よだれ・目・あご」の変化で気づくのが現実的
- 食べない・よだれ・顔の腫れ・目の突出があれば、早めに動物病院へ
- 予防の主役は牧草。歯を家で切るのは避ける

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目次
今すぐ病院に連絡したいサイン
まずは急ぎかどうかの確認から。次の様子があるときは、様子見をせずに動物病院への相談を検討してください。

- 牧草もペレットも食べない、または食べようとしてやめてしまう
- 糞が小さい・少ない・出ていない
- よだれで口元やあごの下の毛が濡れている
- あごや顔が腫れている、しこりがある
- 目が飛び出して見える、涙や目やにが続いている
- 前歯が伸びて口が閉じられない
出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの歯のケア」/MSD獣医マニュアル「うさぎの感染によらない病気」/埼玉県獣医師会「ウサギの奥歯(臼歯)の話」
とくに気をつけたいのが「食べない」サインです。MSD獣医マニュアルは、食べる量が落ちることはうさぎの体に大きな影響を及ぼし、胃腸の動きが滞る状態(うっ滞)の原因のひとつに痛みを挙げています。歯の痛みで食べられない状態が続くと、歯の問題が胃腸のトラブルに広がるおそれがあります。
食欲が落ちているときの考え方や対処は、こちらで詳しくまとめています。
うさぎの歯は全部で28本
日本歯科医師会「かむかむ いきもの塾 ウサギ」によると、うさぎの歯は全部で28本。生まれる前か生まれた直後に乳歯が抜けて永久歯に替わり、その歯が一生伸び続けます。こうした歯を「常生歯(じょうせいし)」といいます。
伸びるスピードもかなりのもので、前歯(切歯)は1週間に2mm程度、1年で10〜12cmほど伸びるとされています。うさぎは牧草のようにかたくて繊維の多いものを食べることで、この伸びを削って長さを保っています。

| 歯の種類 | 上あご | 下あご |
|---|---|---|
| 切歯(前歯) | 4本 うち小切歯2本 |
2本 |
| 前臼歯(奥歯) | 6本 | 4本 |
| 後臼歯(奥歯) | 6本 | 6本 |
| 合計 | 16本 | 12本 |
出典:日本歯科医師会「かむかむ いきもの塾 ウサギ」(左右の本数を合計して作表)
同じページでは、食べるときは前歯で草をちぎって奥歯ですり潰すこと、そのとき1分間に120回ほど噛んでいることも紹介されています。前歯の印象が強いうさぎですが、実は奥歯が上下あわせて22本もあり、毎日よく働いています。
小切歯とは
うさぎの上の前歯の裏には、小さな歯がもう1対あります。これが「小切歯」です。この歯があることが、うさぎがネズミの仲間(げっ歯目)とは別の「ウサギ目」に分けられるきっかけになりました。うさぎは、げっ歯類ではないんです。
家でできる不正咬合の見分け方
不正咬合(ふせいこうごう)は、上下の歯がきちんと噛み合わず、歯が均等にすり減らなくなる状態です。MSD獣医マニュアルは、前歯にも奥歯にも起こりうる、うさぎに多い病気のひとつとしています。
見分けるうえで知っておきたいのは、奥歯は家ではほぼ見えないということ。埼玉県獣医師会も、うさぎは犬や猫のように口を大きく開けられないため、自宅で奥歯を観察するのはまず不可能だとしています。だからこそ、口の中ではなく「食べ方」と「顔まわり」の変化を見るのが現実的です。

| 気づくポイント | 見る場所 | 考えられること |
|---|---|---|
| 前歯が長い・曲がって伸びる・口が閉じない | 前歯 | 前歯の不正咬合 |
| 食べたそうなのにうまく食べられない | 食事のとき | 歯が当たって痛む・噛みにくい |
| よだれ、あごの下の毛が濡れている | 口元・あご下 | 奥歯のとがりや口の中の傷 |
| 歯ぎしりが増えた | 音 | 口の痛み |
| 涙・目やにが続く、目が飛び出して見える | 目 | 歯の根元のトラブル |
| あごや顔の腫れ・しこり | あご・ほお | 歯の根元の膿(膿瘍) |
出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの歯のケア」/MSD獣医マニュアル「うさぎの感染によらない病気」/埼玉県獣医師会「ウサギの奥歯(臼歯)の話」
目のサインが歯の表に入っているのは意外かもしれません。MSD獣医マニュアルは、涙が続く・目が飛び出すといった目の症状で来院したうさぎには、歯の検査もしっかり行うべきだとしています。目の症状が、実は歯から来ていることがあるわけです。
前歯が伸びたら、奥歯も疑う
もうひとつ大事なのが、前歯と奥歯はつながっているという点です。MSD獣医マニュアルは、大人のうさぎで急に前歯が伸びてきた場合、原因は奥歯にあることが多く、前歯を切るだけでは足りないとしています。奥歯が伸びて噛み合わせが崩れると、前歯が自然に削れなくなるためです。
前歯の伸びすぎに気づいたら、奥歯まで診てもらえる、うさぎの診療に慣れた動物病院で相談するのがおすすめです。
不正咬合の原因は食事と遺伝
不正咬合の原因は、大きく「食事」「遺伝」「前歯へのダメージ」の3つに分けられます。
いちばん多いのは牧草不足
埼玉県獣医師会によると、奥歯の伸びすぎの原因は食生活にあるとされています。ペレット(ラビットフード)は栄養バランスには優れていますが、牧草より高カロリーなので少ない量でお腹が満たされ、しかも粒を噛み潰して飲み込めてしまいます。その結果、奥歯をすり合わせる動きが減り、削れる量より伸びる量が多くなっていきます。
MSD獣医マニュアルも同じく、牧草ではなくペレット中心で食べているうさぎは、歯が十分に削れず伸びすぎやすいとしています。
生まれつき噛み合わせがずれている
不正咬合は、うさぎでもっとも多い遺伝性の病気のひとつとされています。MSD獣医マニュアルによると、遺伝による不正咬合は生後3〜8週ごろには見つかることが多く、食事など飼い方が原因のものは、もっと時間をかけて進むとされています。
ケージをかじって前歯を傷める
若いうさぎがケージの金網をかじったり引っぱったりして前歯を傷め、それがきっかけで噛み合わせがずれることもあります(MSD獣医マニュアル)。
放っておくと歯の根元に広がる
伸びすぎた奥歯は、口の中で舌やほおに刺さることがあります。さらに無理に噛み続けることで強い圧がかかり、歯は本来とは逆の、あごの骨の方向にも伸びていきます。埼玉県獣医師会は、進行するとあごの骨を変形させ、あご周りや目の下に膿がたまったり、眼球が押し出されたりすることがあるとしています。
不正咬合の治療と治療費
動物病院でする検査
前歯は外から見えますが、奥歯をきちんと調べるのは簡単ではありません。MSD獣医マニュアルは、口の中の十分な検査には深い鎮静か全身麻酔が必要で、レントゲンや、頭の立体的な構造がわかるCTが役立つとしています。
伸びた歯を削って整える
治療の中心は、伸びすぎた歯やとがった部分を削って噛み合わせを整える処置です。埼玉県獣医師会は、奥歯まで伸びてしまった場合は全身麻酔をかけ、歯科用の器具で削って全体の噛み合わせを調整する必要があるとしています。歯の根元に膿がたまっている場合は、原因の歯を抜く治療や、長期の投薬が選ばれることもあります(MSD獣医マニュアル)。
なお、MSD獣医マニュアルは、ニッパーのような切る道具で歯を切ると、その圧で歯全体が割れるおそれがあり、専用のドリルで削るべきだとしています。家庭の爪切りやニッパーで歯を切るのは避けてください。
一度で終わらず、定期的な通院になることが多い
知っておきたいのは、処置をしても歯が元のバランスに戻るわけではないということです。埼玉県獣医師会によると、軽い伸びすぎなら処置と食事の見直しで整えられるケースもある一方、程度によっては定期的に処置をしないと、いずれ同じ状態に戻ってしまいます。
治療費は処置内容で大きく変わる
治療費は、麻酔や鎮静を使うか、レントゲンやCTを撮るか、どのくらいの間隔で通うかで大きく変わります。前述のとおり定期的な通院になることも多いため、1回の金額だけでなく、通院の頻度も含めて見積もりを確認しておくと安心です。すでに不正咬合があるうさぎは、食事の切り替え方も獣医師と相談しながら進めてください。
不正咬合を防ぐ毎日の食事
遺伝によるものは防ぎきれませんが、食事が原因のものは毎日の習慣で減らせる可能性があります。

- 牧草を主食にする:MSD獣医マニュアルは、牧草をたっぷり食べることが歯をすり減らし、歯のトラブルのリスクを下げるとしています
- ペレットを主役にしない:少量でお腹が満たされ、牧草を食べる量が減る原因になります
- 「すり潰す」食事を意識する:埼玉県獣医師会は、牧草や葉野菜をメインに、噛み潰すのではなくすり潰す食事を心がけるよう勧めています。薄くて硬めの牧草は、よくすり潰さないと飲み込めないため奥歯を削る力が高いとされています
- ケージかじりを放っておかない:金網をかじる癖は前歯を傷めるきっかけになります
- 動物病院で定期的に歯を診てもらう:奥歯は家では見えないので、うさぎの診療に慣れた病院でのチェックが頼りです
家でできるのは、毎日の小さな変化に気づくこと。牧草の減り方、糞の大きさと量、体重、あごの下をなでたときのしこりや濡れがないかを、ふだんから見ておくと変化に気づきやすくなります。
かじり木は?
かじり木はストレス解消や前歯の遊びには役立ちますが、奥歯をすり合わせる動きは主に牧草を「すり潰して食べる」ことで生まれます。歯の予防の主役はあくまで牧草、かじり木は補助と考えるのがおすすめです。
よくある質問
うさぎの歯は全部で何本?
28本です。上あごに16本(小切歯を含む前歯4本・奥歯12本)、下あごに12本(前歯2本・奥歯10本)あります(日本歯科医師会)。
うさぎが歯をカチカチ・ギリギリ鳴らすのは大丈夫?
情報源によって書き方が分かれるところです。日本歯科医師会は、うさぎが食事以外に歯ぎしりで歯の長さを調整することもあると紹介している一方、MSD獣医マニュアルは、歯ぎしりを歯の病気のサインのひとつに挙げています。
歯を鳴らすこと自体がすぐ異常とは限りません。ただ、食べる量が減った・よだれが出る・じっと動かないといった変化が一緒にあるなら、痛みのサインの可能性があるので動物病院への相談を検討してください。
伸びた歯を家で切ってもいい?
おすすめしません。歯を切る道具の圧で歯が割れるおそれがあるとMSD獣医マニュアルが注意しているほか、前歯が伸びる原因が奥歯にあることも多く、前歯を切るだけでは解決しません。
不正咬合は治る?
軽いものは処置と食事の見直しで整えられるケースがあるものの、処置で歯が元どおりのバランスに戻るわけではなく、程度によっては定期的な処置が必要になります(埼玉県獣医師会)。「付き合っていく病気」と考えておくと、通院の計画が立てやすくなります。
治療費はどのくらい?
麻酔・鎮静の有無、レントゲンやCTの有無、通院の間隔で大きく変わります。定期的な通院になりやすいので、受診時に1回あたりの費用と通院頻度の目安をあわせて確認しておくと安心です。
あわせて読みたい
歯の痛みで食べない状態が続くと、胃腸の動きが滞るうっ滞につながることがあります。食欲が落ちたときの見方はこちら。
まとめ
- うさぎの歯は全部で28本。前歯も奥歯も一生伸び続ける
- 不正咬合は、伸びる量と削れる量のバランスが崩れて起こる。大きな原因は牧草不足
- 奥歯は家ではほぼ見えない。食べ方・よだれ・目・あごの変化で気づく
- 大人のうさぎで前歯が急に伸びたら、奥歯が原因のことが多い
- 食べない・よだれ・顔の腫れ・目の突出は早めに動物病院へ
- 治療は歯を削るのが中心。定期的な通院になることが多い
- 予防の主役は牧草。歯を家で切るのは避ける
歯のトラブルは、毎日の牧草の減り方にいちばん早く表れます。「いつもと同じくらい食べているか」を見ておくことが、何よりの早期発見につながります。
ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
参考にした情報
この記事は一般的な情報をまとめたものです。診断や治療の判断は動物病院で行ってください。

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