暑い日にうさぎがぐったりしていたり、いつもより呼吸が速かったりすると、「これって熱中症?」「今すぐ何をすればいい?」と焦りますよね。
熱中症は時間との勝負です。この記事では、まず急ぐべきサインと応急処置を先にお伝えし、そのあとで見分け方と予防を解説します。
- 耳が赤く熱い、口を開けて呼吸している、ぐったりしているのは熱中症のサイン。応急処置を始めながら、すぐ動物病院へ連絡
- 冷やし方の基本は「涼しい場所へ移す → 耳と体を冷たい水で濡らす → 風を当てる」。水に浸けたり、濡れタオルで体を覆ったりはしない
- 体を伸ばして寝そべる、呼吸が速いといった様子も、熱中症のサインに数えられている。「暑がっているだけ」と決めつけない
- 予防の基本は室温。MSD獣医マニュアルは理想を10〜21℃、27℃を超えると特に危険としている
- 落ち着いたように見えても受診を。治療後も24〜48時間は食欲を見守る

ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
目次
すぐ病院へ連絡すべき症状
うさぎは汗をかかず、犬のようにハアハアと口で熱を逃がすこともできません。熱を逃がす手段が少ないうえに密な被毛をまとっているため、熱中症のリスクが高い動物です。
さらに体調の悪さをぎりぎりまで隠す習性があり、飼い主さんが気づいた時点ですでに重症になっていることが多いとされています。
英国の動物病院慈善団体であるPDSAは、熱中症のサインとして次のような症状を挙げています。1つでも当てはまれば、次の章の応急処置を始めつつ、動物病院へ連絡してください。

- 耳が赤く、触ると熱い
- 短く速い呼吸をしている/口を開けて呼吸している
- 元気がなく、ぐったりしている
- ふるえ、ふらつき、けいれん、倒れて動かない、意識がない
- 口・鼻・お尻からの出血、血の混じった便
PDSAによれば、熱中症は体温が40.5℃を超えると起こりうる状態で、けいれん、臓器の障害、体内の出血、意識の消失、最悪の場合は死に至ることもあります。
高い体温が続くほどダメージは大きくなるため、早く冷やして早く治療を受けるほど、回復の見込みは高くなります。
熱中症の応急処置と冷やし方
応急処置は、動物病院に着くまでの「つなぎ」です。自宅で冷やして落ち着いたように見えても、必ず受診してください。手順はPDSAとMSD獣医マニュアルの案内をもとにまとめています。

1. 涼しい場所へ移す
日陰や、エアコンの効いた涼しい部屋へすぐに移します。慌てると、うさぎもパニックになりやすくなります。急ぎつつも、落ち着いて動きましょう。
2. 耳と体を濡らして冷やす
- まず耳を冷たい水で濡らします。PDSAは冷たい水道水で構わないとしています
- 次に体もゆっくり濡らしていきます。水が鼻や口に入らないよう十分に注意します
- 冷たく濡らしたタオルの上に乗せます
- ドアや窓を開ける、扇風機を回すなどして風を当てます
- 飲みたがれば冷たい水を。嫌がるなら無理に飲ませません
- 嫌がらなければ、タオルで包んだ保冷剤や冷凍野菜の上に座らせてもよいとされています
3. 連絡してから病院へ向かう
- 向かう前に電話をして、熱中症の疑いで今から行くことを伝えます
- 車はエアコンをつけるか、窓を開けて風を通します
- 通気用の穴があるキャリーに入れます
- できれば誰かに同乗してもらい、移動中も耳と体を濡らし続けます
出典:PDSA「うさぎの熱中症」/MSD獣医マニュアル「うさぎの全身に関わる病気」
やってはいけない冷やし方
冷やすことは大切ですが、やり方を間違えるとかえって熱が逃げにくくなります。
- 抱きしめる、濡れタオルで体を覆う:PDSAは、かえって熱がこもるとして勧めていません。タオルは体の下に敷きます
- 水や氷水に浸ける:獣医師向け情報サイトのLafeberVetは、冷水や氷水に浸けると体の表面の血管が強く縮み、かえって熱を逃がしにくくすると注意しています
- 冷やしすぎる:同じくLafeberVetは、体温を下げすぎて低体温にすると経過が悪くなるとしています。自宅で長時間冷やし続けるより、冷やしながら病院へ向かうのが基本です
資料による違い
国内の情報では「濡らしたタオルで全身を包む」冷やし方もよく紹介されています。一方でPDSAは、濡れタオルで体を覆うと熱がこもるとして、タオルは下に敷くよう案内しています。
また、PDSAは「体をゆっくり濡らす」ことを勧めていますが、LafeberVetは「水に浸ける」ことを避けるよう求めています。
濡らすのはよい、浸けるのは避ける、と考えると両方の案内に沿えます。迷ったときは、電話で動物病院の指示を仰いでください。
暑がりと熱中症の見分け方
「暑そうにしているだけなのか、もう熱中症なのか」は、いちばん迷うところだと思います。
ただ、MSD獣医マニュアルでは、体を伸ばして寝そべる、呼吸が速いといった、一見「暑がっているだけ」に見える様子も熱中症のサインとして挙げられています。はっきり線を引くのは難しいので、様子の段階ごとに、すぐに取るべき行動を決めておくのがおすすめです。
| 段階 | 様子と、すること |
|---|---|
| 暑さの サイン |
体を伸ばして寝そべる、呼吸がいつもより速い → すぐ部屋を涼しくして耳を濡らす。落ち着かなければ病院へ連絡 |
| 熱中症 の疑い |
耳が赤く熱い、短く速い呼吸、口を開けた呼吸、元気がない → 応急処置を始めて、病院へ連絡 |
| 重い 熱中症 |
ふるえ、ふらつき、けいれん、倒れる、出血や血便 → 冷やしながら今すぐ病院へ |
様子の出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの全身に関わる病気」/PDSA「うさぎの熱中症」。段階分けは当ブログで整理したものです
うさぎは不調を隠す動物なので、「様子を見よう」と迷ったときほど、早めに動物病院へ電話で相談するほうが安全です。
平熱の目安
PDSAによると、うさぎの平熱はおよそ38.6〜40℃で、熱中症は体温が40.5℃を超えると起こりうるとされています。獣医師向けのLafeberVetも、炎症の兆候がないのに体温が40〜40.6℃を超えるときは熱中症を疑うとしています。ただし、ぐったりしたうさぎの体温を自宅で無理に測る必要はありません。測る時間があれば、冷やして病院へ向かうことを優先してください。
熱中症になりやすい条件
PDSAによれば、うさぎの熱中症のほぼすべては、「暑い場所から逃げられず、体を冷やせない状況」で起こります。
- 過ごしている部屋やケージが暑くなりすぎている
- 日陰がない
- 温室、物置、閉め切った暑い部屋などに閉じ込められている
また、どのうさぎでも熱中症にはなりますが、次のうさぎは特にリスクが高いとされています。MSD獣医マニュアルも、妊娠中のうさぎは特に危険だと記しています。
- 妊娠中
- 太りぎみ
- 鼻の短い顔立ちの品種
- 高齢、または幼い
- 体調を崩している、ストレスを受けやすい
熱中症を防ぐ室温と環境
野生のうさぎは、暑い時間を涼しい巣穴で過ごし、涼しい朝夕だけ外に出てくることで体温を保っています。飼いうさぎにも、同じように「涼しくいられる場所」を用意してあげることが予防の基本です。

| 資料 | 理想の室温と、注意したい温度 |
|---|---|
| MSD 獣医 マニュアル |
理想:約10〜21℃(湿度は中程度、風通しよく) → 27℃を超えると特に危険 |
| PDSA | 理想:18〜20℃ → これより高い日は、涼める逃げ場を用意 |
出典:MSD獣医マニュアル「うさぎの全身に関わる病気」/PDSA「うさぎの熱中症」
どちらも欧米の資料で、日本の夏にそのまま当てはめると「かなり涼しめ」に感じるかもしれません。それでも、うさぎの体にとっての快適さはこの範囲だと考えて、27℃を超える環境には置かないようにエアコンで管理してあげてください。
PDSAは、室温のほかに次のような対策を挙げています。
- 涼める場所をつくる:凍らせたペットボトルを布で包み、うさぎが寄り添えるように置く
- 日陰と風通し:ケージや運動スペースに日陰を用意し、空気がこもらないようにする
- 水を切らさない:新鮮で冷たい水をいつでも飲めるようにし、器は直射日光の当たらない場所に置く
- こまめに確認:暑い日は、うさぎの様子と部屋の温度をこまめにチェックする
- 体重を管理する:太っていると体を冷やしにくくなる
- 毛のお手入れ:長毛種は夏にカットを検討し、定期的なブラッシングで余分な毛を取る
ケージの近くに温度計を置いておくと、人がいる場所とうさぎのいる場所の温度差に気づけます。
窓際は日差しで想像以上に温度が上がることがあるので、ケージの置き場所も一度見直してみてください。
回復後も24〜48時間は注意
熱中症は、その場で落ち着いても安心しきれない病気です。PDSAによると、重い熱中症では血液が固まりにくくなったり、腎臓・脳・腸・心臓・肺などに障害が出たりすることがあり、数日の入院が必要になる場合もあります。
また、治療を受けて家に帰ってきたあとも、24〜48時間は注意深く見守り、食べなくなったら、または様子が悪くなったら獣医師に知らせるよう案内されています。数日後に再診を求められることも多いようです。
うさぎにとって「食べない」は、それだけで命に関わるサインです。熱中症のあとの食欲の変化は、特に注意して見てあげてください。
よくある質問
Q. 何度から危ないですか?
MSD獣医マニュアルでは、うさぎは27℃を超えると特に危険とされ、理想はおよそ10〜21℃です。気温だけでなく、湿気の多さや風通しの悪さも熱中症のリスクを高めます。
Q. 扇風機だけで大丈夫ですか?
扇風機は空気を動かしますが、部屋の温度そのものを下げるわけではありません。
暑い日はエアコンで室温を下げたうえで、扇風機は風通しの補助として使うのが安心です。
なお、熱中症が疑われるときの応急処置では、扇風機の風は冷やす助けになります。
Q. 保冷剤や凍らせたペットボトルは使っていいですか?
使えます。PDSAは、凍らせたペットボトルを布で包んで置き、うさぎが寄り添えるようにする方法を紹介しています。うさぎが自分で近づいたり離れたりできる置き方にし、かじって中身を口にしないよう様子を見てあげてください。
Q. 留守番中や停電のときはどうすればいいですか?
うさぎの熱中症は「暑い部屋から逃げられない」ときに起こるため、暑い日にエアコンを切って外出するのは避けましょう。
停電やエアコンの故障に備えて、凍らせたペットボトルを冷凍庫に常備しておくと、いざというときの逃げ場をすぐにつくれます。
留守中の最高温度を記録できる温度計があると、日中の部屋の暑さを把握しやすくなります。
Q. 車で連れて行くときの注意は?
PDSAは、暑い日は窓を開けていても日陰でも、数分でも車内に残さないよう呼びかけています。移動が必要なときは、風通しのよいキャリーを使い、エアコンをつけるか窓を開け、こまめに様子を確認します。冷感マットも役立つとされています。
Q. 熱中症で死んでしまうことはありますか?
あります。PDSAによると、熱中症は進行が早く、重症の場合は死に至ることもある病気です。
一方で、軽いうちに素早く冷やして治療を受ければ、完全に回復する見込みが高いとされています。臓器の障害が出てからや、治療が遅れた場合は回復が難しくなるため、「迷ったら早く」を心がけてください。
あわせて読みたい
熱中症のあとは、食欲が落ちてうっ滞につながることがないか気をつけたいところです。食べない・糞が小さいときのサインはこちらで解説しています。
便の様子は、うさぎの体調を知るいちばんの手がかりです。ゆるい便が出たときの見分け方はこちら。
まとめ
- うさぎは汗をかかず口呼吸で熱を逃がせないため、熱中症になりやすい
- 耳が赤く熱い、口を開けた呼吸、ぐったりは熱中症のサイン。応急処置をしながら、すぐ病院へ連絡
- 体を伸ばす、呼吸が速いといった「暑がり」に見える様子も、熱中症のサインに数えられている
- 冷やし方は「涼しい場所へ → 耳と体を濡らす → 風を当てる」。浸けない、覆わない、冷やしすぎない
- 予防の基本は室温管理。理想は10〜21℃、27℃を超えると特に危険
- 落ち着いたように見えても受診を。治療後24〜48時間は食欲を見守る
熱中症は、環境さえ整っていれば防ぎやすい病気でもあります。暑くなりはじめる前に、ケージの置き場所とエアコンの設定を一度見直してみてください。
ぽちたま薬局ではうさぎに使用されるお薬も取り扱っています。
参考にした情報
この記事は一般的な情報をまとめたものです。診断や治療の判断は動物病院で行ってください。

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。






