この記事では、人用のイベルメクチン(先発薬:ストロメクトール)の副作用、禁忌、飲み合わせについて、国内の添付文書をもとに解説します。
イベルメクチンは、疥癬(かいせん)や腸管糞線虫症の治療に用いられる飲み薬です。
決められた用量で使う場合は副作用の少ない薬とされていますが、まれに重い副作用が報告されています。服用前に、どんな症状に注意すればよいかを確認しておきましょう。
なお、この記事で扱うのは人用のイベルメクチンです。犬のフィラリア予防薬として使われるイベルメクチン製剤とは異なります。
副作用を避けるには、適切な用法・用量を守り、服用前に医師・薬剤師へ相談することが大切です。体重別の服用量は、イベルメクチンの通販・個人輸入ページで確認できます。
イベルメクチンの副作用一覧
イベルメクチンの添付文書では、重大な副作用4つと、頻度別のその他の副作用が記載されています。
イベルメクチンの主な副作用と発生頻度
| 部位 | 0.1~5%未満 | 0.1%未満 | 頻度不明 |
|---|---|---|---|
| 過敏症 | かゆみ(そう痒)、発疹 | かゆみの一時的な悪化、じんましん | |
| 肝臓 | 肝機能異常(AST・ALT・総ビリルビン・γ-GTPの上昇) | Al-Pの上昇 | |
| 腎臓 | BUNの上昇 | ||
| 消化器 | 吐き気、嘔吐 | 下痢、食欲不振、便秘、腹痛 | |
| 精神神経系 | めまい、眠気(傾眠)、ふるえ(振戦) | ||
| 血液 | 貧血、好酸球の増加 | 白血球の減少、リンパ球の増加、単球の減少 | |
| その他 | LDHの上昇 | 血尿 | だるさ・疲労、低血圧、気管支ぜんそくの悪化 |
出典:ストロメクトール錠3mg 添付文書
重大な副作用と初期症状
次の重大な副作用が報告されています。いずれも発生頻度は不明です。
当てはまる症状が出たら服用を中止し、すぐに医師の診察を受けてください。
| 重大な副作用 | 主な初期症状 |
|---|---|
| 中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群) | 発熱、目の充血、唇や口の中のただれ、全身の発疹・水ぶくれ |
| 肝機能障害、黄疸 | だるさ、食欲不振、吐き気、皮膚や白目が黄色くなる、尿が茶色くなる |
| 血小板減少 | 鼻血、歯ぐきの出血、青あざができやすい、血が止まりにくい |
| 意識障害 | 意識がぼんやりする、反応が鈍くなる、昏睡 |
意識障害は、2021年10月の添付文書改訂で重大な副作用に追加されました。
添付文書では、服用後の自動車の運転など危険を伴う機械の操作にも注意するよう求められています。
副作用はいつまで続く?
イベルメクチンの副作用が続く期間は、症状や体調によって異なります。
一時的に現れる症状もありますが、症状が長引く場合や悪化する場合は、自己判断せずに医師に相談してください。
疥癬の治療では、服用後に一時的にかゆみが強くなることがあります。また、ヒゼンダニが死滅した後も、アレルギー反応によってかゆみが続くことがあります。
かゆみが続くからといって自己判断で追加服用することは避け、医師に相談しましょう。
イベルメクチンの副作用の症例一覧と調べ方
国内で報告された副作用の症例は、医薬品医療機器総合機構(PMDA)のウェブサイトで誰でも確認できます。
副作用が疑われる症例報告とは
PMDAは、製薬会社や医療機関から報告された国内の副作用の症例を、一覧表(ラインリスト)の形で公開しています。
公開されているのは、2004年4月以降に受理された報告です。
一覧では、報告ごとに副作用の名前、患者の年代・性別、転帰(回復したかどうか)などを確認できます。
症例一覧の調べ方
- ①PMDAの「副作用が疑われる症例報告に関する情報(外部サイト)」のページを開く
- ②「副作用が疑われる症例報告ラインリスト検索ページ」に進む
- ③医薬品名に「イベルメクチン」または「ストロメクトール」と入力して検索する
症例一覧を見るときの注意点
公開されている症例は、あくまで「副作用が疑われる」報告です。薬との因果関係が確認されたものとは限りません。
報告件数の多さが、そのまま副作用の起こりやすさを表すわけでもありません。
同じ症例が複数回報告されている場合もあります。副作用の起こりやすさの目安は、上の「主な副作用と発生頻度」の表を参考にしてください。
2021〜2025年度に報告された副作用
PMDAの「報告副作用一覧」をもとに、2021〜2025年度の5年間に報告されたイベルメクチン(内用薬)の副作用を集計しました。5年間の合計は162件です。
| 器官別大分類 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 神経系障害 | 2 | 13 | 1 | 7 | 3 | 26 |
| 臨床検査 | 0 | 2 | 0 | 1 | 23 | 26 |
| 感染症および寄生虫症 | 8 | 0 | 3 | 1 | 3 | 15 |
| 皮膚および皮下組織障害 | 0 | 4 | 0 | 2 | 7 | 13 |
| 一般・全身障害および投与部位の状態 | 1 | 4 | 3 | 3 | 2 | 13 |
| 代謝および栄養障害 | 1 | 5 | 1 | 0 | 5 | 12 |
| 腎および尿路障害 | 1 | 2 | 1 | 0 | 4 | 8 |
| 胃腸障害 | 1 | 2 | 1 | 2 | 2 | 8 |
| 血液およびリンパ系障害 | 1 | 1 | 1 | 2 | 0 | 5 |
| 肝胆道系障害 | 1 | 2 | 1 | 1 | 0 | 5 |
| 呼吸器、胸郭および縦隔障害 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 5 |
| 傷害、中毒および処置合併症 | 1 | 2 | 0 | 1 | 1 | 5 |
| その他(心臓、血管、精神など) | 3 | 7 | 1 | 2 | 8 | 21 |
| 合計 | 23 | 46 | 13 | 22 | 58 | 162 |
参考
PMDA「副作用が疑われる症例報告に関する情報」の「報告副作用一覧」(イベルメクチン・内用薬、2021〜2025年度)をもとに独自集計(2026年10月確認)(外部リンク)
報告された主な有害事象・使用状況
| 有害事象・使用状況 | 5年間の件数 | 添付文書との関係 |
|---|---|---|
| 意識障害(意識変容状態、意識レベルの低下、意識消失) | 18 | 重大な副作用「意識障害」に該当 |
| 重い皮膚症状(スティーブンス・ジョンソン症候群、水疱性皮膚炎、類天疱瘡など) | 7 | SJSは重大な副作用に該当。その他の皮膚疾患は別の病態 |
| 腎臓の障害(腎機能障害、腎不全、高窒素血症) | 6 | 腎機能障害や腎不全などの報告。添付文書にはBUN上昇の記載あり |
| 肝臓の障害(肝機能異常、肝障害、薬物性肝障害など) | 5 | 重大な副作用「肝機能障害」に関連 |
| 過量・適応外の使用(各種物質毒性、規定量以上の投与、適応外使用) | 5 | 副作用とは区別される、過量投与や適応外使用などの報告 |
| 血小板数減少 | 4 | 重大な副作用「血小板減少」に該当 |
| マゾッティ反応 | 3 | 特定の寄生虫感染症に関連する反応 |
今回集計した主な有害事象の中では、意識障害に関連する報告が18件と多くみられました。
意識障害は、国内外で症例が集積したことを受け、2021年10月に添付文書の「重大な副作用」に追加されています。
- 件数は「報告された副作用の数」で、患者の人数ではありません。1人の報告に複数の副作用が含まれることがあります。2025年度の「臨床検査」23件も検査項目ごとの報告件数であり、23人の患者に異常が生じたことを意味するものではありません
- 5年間の報告には、有害事象名として「死亡」が6件含まれています。ただし、これはイベルメクチンが原因で6人が死亡したことを意味するものではありません。PMDAでは、転帰が死亡となった症例について、医薬品と死亡との因果関係を個別に評価しています
- 「過量・適応外の使用」の報告もあります。承認された目的以外での服用や、決められた量を超える服用は避けてください
イベルメクチンの禁忌
イベルメクチンの添付文書で「禁忌(服用してはいけない人)」とされているのは、次の1つだけです。
本剤に含まれる成分に対して、過去にアレルギー反応(過敏症)を起こしたことがある方
禁忌ではないが、注意が必要な方
次に当てはまる方は禁忌ではありませんが、安全性が確立していないなどの理由から、服用には注意が必要です。
禁忌に当てはまらないことは、誰でも安全に服用できるという意味ではありません。必ず医師に相談したうえで判断してください。
妊娠中・妊娠の可能性がある方
妊娠中の安全性は確立していません。また、動物実験では胎児への影響(催奇形性)が認められています。
治療によるメリットがリスクを上回ると判断される場合にのみ使用されます。
授乳中の方
イベルメクチンは母乳中に移行することが報告されています。
授乳中の方は、治療によるメリットと母乳栄養のメリットを考慮し、授乳を続けるか中止するかを医師と相談して判断してください。
高齢の方
高齢者は肝臓・腎臓・心臓の機能が低下していることが多く、ほかの病気やお薬を抱えていることも多いため、服用には注意が必要です。
体重15kg未満のお子さま
体重15kg未満の小児を対象とした臨床試験は行われておらず、安全性は確立していません。
肝臓や腎臓に持病がある方
副作用として、肝機能の数値や、腎臓の働きの目安となる数値(BUN)の上昇が報告されています。
持病がある方や治療中の方は、服用前に主治医に相談してください。
特定の寄生虫感染症がある方・免疫機能が低下している方
ロア糸状虫症やオンコセルカ症に感染している方では、重い神経症状や炎症性反応などが報告されています。
また、HIV感染者やHTLV-1感染者など免疫機能が低下している方では、通常より多い服用回数が必要になったり、治りきらなかったりする場合があります。該当する方は、必ず医師の管理のもとで治療を受けてください。
イベルメクチンの飲み合わせ
国内の添付文書には、イベルメクチンと一緒に飲んではいけない薬(併用禁忌)や、注意が必要な薬(併用注意)の記載はありません。
ただし、海外の添付文書には注意喚起があるため、あわせて確認しておきましょう。
海外で報告されている飲み合わせ:ワルファリン
米国やニュージーランドの添付文書では、血液をサラサラにする薬「ワルファリン」とイベルメクチンを一緒に使ったときに、血液の固まりにくさを示す数値(INR)が上がったという報告が、まれにあると記載されています。
INRが上がると、出血しやすくなったり、血が止まりにくくなったりするおそれがあります。ワルファリンを服用中の方は、イベルメクチンを使う前に必ず主治医に相談してください。
参考
米国FDA ストロメクトールの添付文書改訂に関する承認通知(2008年)(外部リンク)
食事・牛乳・お酒との関係
イベルメクチンは、空腹時に水で飲む薬です。
脂肪分の多い食事のあとに飲むと、空腹時より薬の吸収量が増えたという試験結果が添付文書に記載されているため、食事と一緒には飲まないようにしましょう。
また、添付文書では水のみで服用することとされているため、牛乳やジュースなどで飲むのも避けてください。
お酒との飲み合わせについては、添付文書に記載はありません。ただし、イベルメクチンにはめまいや眠気、意識障害の副作用が報告されているため、服用当日の飲酒は控えるのが無難です。
ほかのお薬を飲んでいる方へ
添付文書に記載がなくても、体質や持病によって影響が出ることはあります。ほかに飲んでいるお薬やサプリメントがある方は、服用前に医師・薬剤師に伝えてください。
イベルメクチンの副作用に関するよくある質問
Q. イベルメクチンは肝臓に悪い?
副作用として、肝機能の数値(AST、ALT、γ-GTP、総ビリルビン)の上昇が0.1~5%未満の頻度で報告されています。まれに、重大な副作用として肝機能障害や黄疸があらわれることもあります。
だるさ、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなるといった症状が出たら、すぐに受診してください。
Q. 腎臓への影響はある?
副作用として、腎臓の働きを示す数値であるBUNの上昇が0.1~5%未満の頻度で報告されています。
また、0.1%未満ですが血尿の報告もあります。なお、BUNは脱水などでも上がるため、数値の上昇がそのまま腎臓の病気を意味するわけではありません。腎臓に持病がある方は、服用前に主治医に相談してください。
Q. 飲むと眠くなる?
頻度は不明ですが、眠気(傾眠)やめまいの副作用が報告されています。
重大な副作用として意識障害も報告されているため、服用後の自動車の運転や危険を伴う作業には注意してください。
Q. 目が充血したら?
目の充血は、中毒性表皮壊死融解症や皮膚粘膜眼症候群といった、重い皮膚の副作用の初期症状のことがあります。
発熱、唇のただれ、全身の発疹などを伴う場合は、服用を中止してすぐに受診してください。
Q. 使用期限が切れたイベルメクチンは飲める?
使用期限を過ぎたお薬は、効果や品質が保証されません。期限切れのものは服用しないでください。
Q. 個人輸入したイベルメクチンで副作用が出たら?
まずは服用を中止し、医療機関を受診してください。受診の際は、服用した薬の名前(パッケージや説明書)と、飲んだ量・日時を伝えるとスムーズです。
なお、国内で承認された医薬品で健康被害が起きた場合の公的な救済制度(医薬品副作用被害救済制度)は、個人輸入した医薬品は対象外です。この点を理解したうえで、用法・用量を守って使用してください。
まとめ
イベルメクチンは、決められた用量で使えば副作用の少ない薬とされていますが、まれに重い副作用が報告されています。服用前に、次の3点を確認しておきましょう。
- 禁忌は「成分に過敏症の既往がある方」のみ。妊娠・授乳中、高齢者、体重15kg未満の小児、肝臓・腎臓に持病がある方は医師に相談する
- 国内の添付文書に飲み合わせの記載はないが、ワルファリンを服用中の方は主治医に相談する
- 空腹時に水で飲み、重大な副作用の初期症状が出たらすぐに受診する
副作用と注意点を確認したうえで購入を検討する方は、イベルメクチンの通販・個人輸入ページをご覧ください。
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参考文献
- ストロメクトール錠3mg 添付文書(PMDA)
- ストロメクトール錠3mg くすりのしおり(くすりの適正使用協議会)
- 副作用が疑われる症例報告に関する情報(PMDA)
- ストロメクトールの添付文書改訂に関する承認通知(米国FDA、2008年)
- ストロメクトール添付文書(ニュージーランドMedsafe)
- 医薬品副作用被害救済制度(PMDA)
- 医薬品等の個人輸入について(厚生労働省)

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