犬・猫の炎症性腸疾患(IBD)は治る?症状・治療法を解説

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犬・猫の炎症性腸疾患(IBD)は治る?症状・治療法を解説

愛犬や愛猫が炎症性腸疾患(IBD)と診断されたとき、「治るの?」「この先どうなるの?」と不安になる飼い主さんは多いです。

IBDは腸に炎症が続く慢性的な疾患で、完全に治すことは難しいとされていますが、治療や食事管理によって症状を抑え、普段通りの生活ができる状態(寛解)を目指すことは可能です。

この記事では、犬・猫のIBDの症状や原因、診断の流れ、治療・食事のポイントまで、初めてでも理解しやすいようまとめています。

不安が少しでも軽くなるよう、一緒に確認していきましょう。

炎症性腸疾患(IBD)とは?

炎症性腸疾患(IBD)とは、胃・小腸・大腸などの消化管に慢性的な炎症が起こり、下痢や嘔吐、食欲不振が長く続きやすい病気です。

近年では「免疫抑制剤反応性腸症(IRE)」と呼ばれることもあり、なかなか治らない胃腸トラブルの背景にIBDが隠れていた…というケースも珍しくありません。

特徴は、原因がひとつに断定できない点。
食物アレルギー、腸内細菌バランス、免疫の過剰反応、遺伝的素因など複数の要因が重なって発症すると考えられています。

とはいえ、治療に反応することが多く、適切なケアで症状が落ち着くこともあります。
まずは、IBDがどのような病気なのかを理解し、これからの治療や食事選びの参考にしていきましょう。

IBDの主な症状

IBDの主な症状

犬や猫のIBDで最も多く見られるのは、慢性的に続く下痢です。

そのほかに、

  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 体重の減少
  • お腹の痛み など

このようなに、さまざまな消化器症状が現れることがあります。

IBDによる嘔吐が続く場合、獣医師の判断で吐き気止め薬(セレニア)が処方されることがあります。

下痢は3週間以上続くことが多く、下痢止めだけでは改善しないことが一般的です。

症状が進行すると、腸の粘膜がダメージを受け、血中のタンパク質が漏れ出す蛋白漏出性腸症(PLE)へ進行することもあるため、早めに治療を行い、炎症をコントロールしてあげることがとても大切です。

IBDの原因

犬や猫がなぜIBDを発症するのかは、いまだに完全には解明されていません。
現時点では、免疫反応の異常・腸内環境の乱れ・アレルギー反応・遺伝的素因・生活環境など、複数の要因が重なって発症すると考えられています。

また、遺伝的な傾向がみられる犬種がいるという報告もあり、チワワ、ミニチュアダックスフンド、フレンチブルドッグ、トイプードルなどは発症しやすいとされています。

このほか、食物アレルギーが引き金になっているケースでは、皮膚の赤みやかゆみなどの皮膚症状を併発することも多いため、消化器症状だけで判断できないこともあります。

炎症性腸疾患の診断方法

炎症性腸疾患の診断方法

犬・猫のIBDを診断する際は、まず他の病気の可能性をひとつずつ排除していく除外診断が基本になります。
問診のほか、血液検査・糞便検査・アレルギー検査(リンパ球検査など)を組み合わせて進めていきます。

それでも断定できない場合は、内視鏡検査や開腹手術による生検(粘膜を採取して顕微鏡で評価)が実施されることがあります。

IBDの診断には時間がかかることも多く、原因を特定するまでに複数回の検査や通院が必要になるケースがあります。

犬猫のIBD治療法

犬猫のIBD治療法

犬や猫の炎症性腸疾患(IBD)の治療では、下痢や嘔吐などの症状を抑え、安定した状態(寛解)を目指すことが基本となります。

この病気は、一度よくなっても時間が経つと再発しやすいのが特徴。
そのため、お薬の投与はもちろん、食事や生活習慣の管理などを組み合わせて総合的にケアしていくことが重要です。

実際の治療では、次のような方法が用いられています。

どの治療をどの程度行うかは、その子の症状の重さや体質によって変わるため、獣医師と相談しながら適切な治療方法を選んであげましょう。

薬物療法

薬物療法

犬や猫のIBDでは、まず腸の炎症を抑えるお薬が治療の中心になります。
最初に使われることが多いのは、「プレドニゾロン」などのステロイド剤です。

  • 炎症を短期間で抑える作用がある
  • 体重に対してやや高めの量から開始 → 状態が安定したら徐々に減量するのが一般的
  • 副作用のリスクを抑えるために、自己判断で中止しないことが重要

ステロイドで十分に改善しない場合や、減らしたいときは免疫抑制剤「シクロスポリン」を併用することがあります。

より重いケースでは、獣医師の判断で「クロラムブシル」などの抗がん剤を少量使用することも。
また症状に合わせて、抗菌薬で下痢を抑える場合もあります。

IBDは「完治させる」より、寛解(症状が落ち着いた状態)を維持する治療が基本方針です。

複数の薬を組み合わせながら、状態を見てコントロールしていきます。

食事療法

近年、炎症性腸疾患(IBD)の犬や猫の多くは食事療法によって改善が見られることが報告されています。
この治療で重要なのは、炎症で弱っている腸にできるだけ負担をかけないようにすること。

合うフードは犬・猫によって異なりますが、以下のようなポイントを押さえると改善が期待できます。

食事管理の基本ポイント
  • 消化しやすいフードを選ぶ(ウェット・ペースト状など)
  • 低脂肪・低繊維のもの、またはIBD向け療法食を使用
  • アレルゲンとなりやすいタンパク質を避ける(原因がアレルギーの場合)
  • 食事量は一度にたくさん与えず、少量×複数回(1日3〜4回)
  • フードの切り替えは一気に変えず、少しずつ混ぜて移行

すぐに効果が出ないこともありますが、数週間単位で様子を見ながら、獣医師と相談して進めていきましょう。

整腸剤・腸内環境ケア

IBDの治療では、薬物療法・食事療法にあわせて腸内環境を整えるケアも行われます。
とくに「プロバイオティクス(善玉菌のサプリ)」は、腸内細菌のバランスを整える補助的な役割としてよく使われます。

単体で症状を治す力は強くありませんが、併用することで次のようなメリットが期待できます。

  • 下痢の悪化を予防
  • 腸粘膜の回復をサポート
  • 寛解(落ち着いた状態)の維持に役立つ

IBDは「薬+食事+腸内ケア」の組み合わせで改善しやすいとされ、整腸剤は治療の土台を支える脇役のようなイメージ。
腸内環境が整うと再発リスクの軽減にもつながるため、継続的なケアとして取り入れられることもあります。

再生医療

炎症性腸疾患(IBD)の治療では、薬や食事だけでなかなか安定しないケースもあります。
そのような時に、近年選択肢として注目されているのが、間葉系幹細胞(MSC)を使った再生医療です。

間葉系幹細胞には、

  • 炎症をしずめる
  • 免疫のバランスを整える

といった働きがあり、薬物療法で改善がゆっくりな症例でも症状が和らぐことがあると報告されています。

ただし、再生医療はどこの動物病院でも受けられるわけではありません。
基本的に、高度医療を提供する施設に限られていることがほとんどです。

さらに「重症でお薬が効きにくい炎症性腸疾患(IBD)」の場合にだけ、選択肢のひとつとして検討されています。

まずは、かかりつけの獣医師に相談しながら、治療の選択肢のひとつとして検討してみるとよいでしょう。

日常生活でのケア

炎症性腸疾患(IBD)の治療では、病院での治療だけでなく、普段の生活ケアもとても重要です。
ポイントは、腸への負担を減らし、体調がブレにくい環境を作ること。
次のような点を意識してあげましょう。

食事は「低脂肪・消化しやすいもの」を基本に
  • 胃腸に負担の少ない療法食を選ぶ
  • 食事の切り替えは少しずつ(急な変更は悪化の原因)
  • 一度にたくさん食べさせるより、少量×複数回の食事がおすすめ
ストレスを溜めない環境づくり
  • 適度な運動・遊びでリフレッシュ
  • 生活環境の変化はゆっくりと
  • お留守番や音刺激など、ストレス源がある場合は最小限に
生活リズムを整える
  • 食事・散歩・睡眠の時間はできるだけ一定に
  • 規則正しい生活は腸の動きを安定させ寛解維持に役立つ
うんちの観察・記録
  • 便の形・色・量・頻度をメモしておく
     →小さな変化に早く気づける
  • 体調の違和感があれば、様子見せず動物病院へ相談

日々のケアで体調の波を小さくし、快適な生活を保つことができます。
「いつもと違うかも?」と感じたら、早めの受診が安心です。

犬猫のIBDの治療にかかる費用

犬猫のIBDの治療にかかる費用

炎症性腸疾患(IBD)の治療費は、検査・投薬・通院頻度・入院の有無などによって大きく変わります。
特に診断確定のために精密検査を行う場合は費用が高くなる傾向があります。

中でも負担が大きいのが内視鏡検査です。
麻酔や病理検査、入院が必要になるケースもあり、23万円前後の費用がかかることもあるとされています。

また、治療が長期間にわたるとトータルの医療費が増えるケースもあります。
実際に、慢性的な下痢で受診した柴犬が検査と治療を重ね、IBDと確定するまでに総額50万円以上かかった例も報告されています。

費用は動物病院や地域、症状の重さによって大きく変動します。
ここで紹介している金額は一例であり、実際の料金は必ず動物病院に確認してください。

治療で使われる主な薬と費用の目安

炎症性腸疾患(IBD)の治療には、炎症を抑えたり、免疫の働きを調整したりするためにいくつかのお薬が使われます。

症状の重さ・反応の度合いに応じて薬を組み合わせて使用するケースが多く、以下のようなものが代表的です。

薬の種類 役割
ステロイド剤
(プレドニゾロン)
最初に使われることが多い薬。炎症を抑える効果が高く、早期改善が期待できる。
免疫抑制剤
(シクロスポリン)
ステロイドの効果が不十分なとき、または副作用を抑えたいときに併用される。
抗菌薬
(メトロニダゾールなど)
下痢や腸内細菌バランスの改善を目的に使用されることがある。
抗がん剤
(クロラムブシル)
重症でステロイドが効きにくい症例で選択されることがある。
吐き気止め薬
(マロピタント/セレニアなど)
嘔吐症状の緩和に使われることがある。

薬代は病院ごとに設定が異なるうえ、体重や投与量によっても金額に大きく幅が出ます。
そのため 一律の相場を断言することは難しいのですが、IBDは長期的な管理が必要な病気のため、継続的に治療費がかかることは理解しておきたいポイントです。

  • 通院ごとに診察料・薬代がかかる
  • 服薬期間は長期になることが多い

これらのお薬は動物病院で処方されるのが一般的ですが、治療の継続にはコストや通院の負担がかかることもあります。
当サイト「ぽちたま薬局」では IBD治療で使用されるお薬も取り扱っておりますので、継続治療の選択肢としてご活用ください。

よくある質問

よくある質問

犬や猫の炎症性腸疾患(IBD)について、多くの飼い主さんが気になる疑問をまとめました。
ごはんの内容や避けたい食材、自然に治るのかどうかなど、日常で役立つ情報をQ&A形式で紹介します。

犬猫がIBDになったら、どんなご飯をあげたらいい?

IBDの子は腸が炎症を起こしているため、消化にやさしいフードを選ぶことが大切です。
脂肪や繊維が多い食事は負担になりやすく、うまく吸収できず下痢が続いてしまうこともあります。

そのため、

  • 低脂肪で消化しやすい療法食
  • アレルギー反応を起こしにくいタンパク質(加水分解食など)
  • といったフードが採用されることが多いです。

ただし、どの食事が合うかは犬・猫ごとに異なるため、獣医師と相談しながら選ぶのがもっとも確実です。
焦らず様子を見ながら、少しずつ切り替えてあげましょう。

炎症性腸疾患で食べてはいけないものは何?

IBDの子は腸のバリア機能が弱っているため、消化に負担のかかる食材は避けたいものです。
とくに注意したい食材は次のとおりです。

  • 脂肪の多い肉・おやつ
  • 不溶性食物繊維が多い食材
  • 乳製品(乳糖不耐性の子は下痢が悪化しやすい)

「絶対にNG」というより、体調が不安定な時は控える方が安全というイメージでOKです。
判断に迷う場合は獣医師に相談し、少しずつ試しながら合うものを探していきましょう。

犬猫の炎症性腸疾患は自然に治る?

残念ながら、IBDは自然に治るタイプの病気ではありません。
放置すると下痢や嘔吐が慢性化し、重症化した場合は低アルブミン血症など命に関わる状態になることもあります。

ただし、適切な治療と食事管理で症状を抑え、寛解状態で生活できる子は多くいます。
普段と変わらない生活を送れているケースもめずらしくありません。

早期治療がカギになるため、3週間以上下痢が続く・繰り返す・元気がないなどの異変があれば、早めの受診を。

まとめ

犬や猫の炎症性腸疾患(IBD)は、慢性的な腸の炎症が続き、下痢や嘔吐などの症状が慢性化しやすい病気です。

残念ながら現時点で「完全に治す」ことは難しいとされていますが、薬物療法・食事管理・整腸ケア・必要に応じた再生医療などを組み合わせることで、症状を抑えながら穏やかに過ごせる“寛解”を目指すことは可能です。

診断までに時間がかかり、検査費や通院費が高額になる場合もありますが、早期の治療開始と日々のケアが、快適な生活につながる大切なポイント。
フードの見直しや生活リズムの調整、体調の小さな変化に気づくことも、飼い主さんにできる大事なサポートです。

愛犬・愛猫の様子がいつもと違うと感じたら、無理をさせず早めに動物病院へ。
その子に合わせた治療とケアで、少しずつ前向きに向き合っていきましょう。

参考サイト(外部リンク)

  • 犬の炎症性腸疾患における粘膜微生物叢に対するグルココルチコイドと食事の影響
  • 犬と猫の炎症性腸疾患(IBD)の治療
  • シクロスポリンの持続点滴を行った炎症性腸疾患の犬の1例
  • 【炎症性腸疾患(IBD)】専門医が解説~食事・症状・治療(ステロイドなど)
  • 黒太郎ちゃんの闘病日記|炎症性腸疾患(IBD)
  • 犬猫などペットの薬通販「ぽちたま薬局」

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