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新型コロナウイルスの治療薬バリシチニブとは

新型コロナウイルスに関係する内容の記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。またワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。

2021年4月23日、新型コロナウイルス治療薬として国内で3例目に承認された薬が「バリシチニブ」です。
ここではバリシチニブがどのような薬なのか、効果や副作用なども含め説明したいと思います。

新型コロナウイルス治療薬として承認された「バリシチニブ」とは

バリシチニブ(商品名:オルミエント)とは、もともと関節リウマチやアトピー性皮膚炎などに使われている錠剤タイプの飲み薬です。

バリシチニブの効果・効能

バリシチニブには、炎症を抑える効果があるため、間接リウマチの関節炎や、アトピー性皮膚炎の皮膚の炎症を鎮める目的で使用されている薬です。

新型コロナ感染症の治療薬としては、酸素吸入が必要な中等度以上の肺炎に適用されます。

関節リウマチへの効果

リウマチは関節の中に慢性的な炎症を起こす疾患で、症状が進むと全身の関節が破壊され、寝たきりになってしまう方もいます。
炎症が起きている関節の中に、刺激を細胞内に伝える酵素群がありますが、バリシチニブはその酵素の働きの邪魔をする事で、細胞の中で刺激を遮断し炎症を抑えます。

また、関節の破壊が進行するのを抑える作用も認められています。

アトピー性皮膚炎への効果

悪くなったり、良くなったりを繰り返す、かゆみを伴う湿疹をアトピー性皮膚炎と言いますが、外用薬を使ってもコントロールする事がむつかしい症状の方に、バリシチニブが投与されます。
バリシチニブの、細胞の中で刺激を遮断することで炎症を抑える作用を利用して、皮膚炎の炎症を抑えます。

新型コロナ感染症への効果

バリシチニブは体内で刺激を細胞に伝える酵素を阻害する事で、免疫反応の過剰な活性化を抑制する効果があります。
新型コロナ感染症は、自分の免疫機能によって、酸素吸入を必要とするほどの重症化した肺炎を起こすことが多く、症状も急激に悪くなるため、治療が難しい感染症です。

しかし、このバリシチニブの「刺激を細胞に伝える酵素を阻害する」作用によって、免疫機能によって起こる炎症を抑えることができます

コロナ重症化、死亡リスクの低減

新型コロナウイルス感染症は肺炎を起こしやすい感染症です。重症化してしまった肺炎には、1日1回、1錠(4mg)を服用します。最大期間は14日間とされており、抗ウイルス薬のレムデシビルと併用する事で、重症化や死亡リスクを減らす事ができます。

バリシチニブの副作用


免疫力を低下させるため、以下の症状が現れる場合があります。

・感染症(気管支炎、咽頭炎、鼻炎、インフルエンザ、膀胱炎、肺炎、胃腸炎、腎盂腎炎、単純ヘルペス、帯状疱疹、寄生虫症)
・肝機能値異常、高脂血症
・吐き気

まれに、以下のような重い副作用が現れる場合があります。

重い感染症、消化管穿孔、白血球などの血球減少、間質性肺炎、肝臓障害、肺塞栓症、静脈血栓症

注意が必要な人

以下の方は服用を避けたほうが良いです。

新型コロナウイルス感染症以外の感染症に感染している人、重い腎臓病、結核、白血球や赤血球がかなり減少している人、妊娠中、またはその可能性がある人、授乳中の人。

以下の方は服用の際に注意が必要です。

感染症、または疑いのある人、帯状疱疹、結核にかかった事がある人、B型肝炎ウイルスを持っている、またはかかったことがある人、白血球、赤血球が減少している人、腎臓病、がん、間質性肺炎にかかったことがある、腎臓病、腸管憩室炎の人、高齢の人、静脈血栓塞栓症を起こしやすい人、手術の前後など。

併用注意・禁忌薬

プロベネシド(尿酸排泄促進薬)
 バリシチニブを1日1回2mgにするなど減量が必要。

併用経験がないため、推奨しない薬剤
抗リウマチ生物製剤
他の経口ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤
強力な免疫抑制剤(免疫調整生物製剤、経口JAK阻害剤、シクロスポリン等)

新型コロナウイルス治療薬「バリシチニブ」まとめ

  • バリシチニブはもともと関節リウマチやアトピー性皮膚炎などの治療薬
  • 新型コロナウイルス感染症の治療薬としては、酸素吸入が必要な中等度以上の肺炎に適用
  • 免疫反応の過剰な活性化によって起こる炎症を抑制する効果がある
  • 服用すると免疫力を低下させるため、感染症への注意が必要
  • 妊娠中、またはその可能性がある人、授乳中の人は服用できない

新型コロナウイルス感染症の治療薬とはいうものの、その使用は酸素吸入が必要な中程度以上の肺炎に適用するなど、状態によって使い方が左右される薬です。
安易に服用せず、服用の際は必ず医師の指示の元、行うようにしましょう。

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