新型コロナウイルスに関係する内容の記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省や首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている情報もご確認ください。またワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。
新型コロナ治療薬として承認された「レムデシビル」。
報道でもよく取り上げられていますね。
中等症から重症の際に使われるお薬ですが、どのようなお薬なのでしょうか。
ここではレムデシビルについて詳しく解説します。
目次
新型コロナ治療薬「レムデシビル」について
新型コロナ治療薬の「レムデシビル」。
日本で1番目のコロナ治療薬として特例承認を受けたのは2020年5月のことです。
日本国内で流通している販売名は「ベクルリー点滴静注液」。
その名の通り、点滴で体内に入れるタイプのコロナ治療薬です。
レムデシビルは、ウイルスの複製に関する「RNAポリメラーゼ」というものの働きを阻害します。
ウイルスの複製を妨げることによって、症状を改善していく効果が期待されるお薬です。
【RNAポリメラーゼとは】
生命現象の中でタンパク質は重要な働きをしています。
タンパク質の設計図は遺伝子DNAに存在します。遺伝子DNAに書かれたタンパク質の情報はいったんmRNA(メッセンジャーRNA)に転写された後に、リボソームによってアミノ酸へと翻訳されタンパク質ができます。ここでDNAからmRNAへの転写を行うのがRNAポリメラーゼです。
レムデシビルの作用はアビガンに似ているが…
「ウイルスの複製を妨ぐことによって、症状を改善していく」
というこの作用の仕方は、あの「アビガン(ファビピラビル)」に似てますね。
レムデシビルはすでに日本で承認されています。
一方、アビガンについてはまだ承認されていません。
どちらも新しいお薬であり、今後の知見が得られることを期待するものですが、なぜこのような差がついたのでしょう。
レムデシビルは「点滴薬」で、人工呼吸器を必要とし、重症化するリスクの高い患者さんの死亡率を下げる目的で使われます。
一方、アビガンは、経口で薬を服用する体力を有している患者さんに使うことしかできません。
レムデシビルの方が、より重症な患者に使われるのです。
そのため、お薬の使用のリスクをメリットが上回るという時に選択されるお薬といえます。
これにより、いち早く承認を受けたものと推察することができます。
レムデシビルの効果、変異株にも効果あり!?
レムデシビルは、デルタ型などをはじめとする変異ウイルスにも効果があるという、韓国での研究結果が報告されています。
今後は、変異ウイルスの増加と拡散が心配されますが、その対策もできそうで安心できますね。
投与対象は「中等症~重症」
レムデシビルの投与対象は、中等症Ⅰ~重症です。
酸素吸入は不要なものの、肺などに炎症の起こる「中等症Ⅰ」の時期からの投与が適当とされています。
レムデシビルの価格ですが、1瓶100mgで63,342円と言われています…。
レムデシビルの投与方法は以下の通り。
【レムデシビルの投与方法】
投与初日に200mgを、投与2日目以降は100mgを1日1回点滴静注する。
なお、総投与期間は10日までとする。
ということは、初日に12万円かかり、最大で696,762円かかるかもってことですか(白目)。
ひえええええお高い~。
コロナ感染で仕事ができない中、医療費の心配をしなくちゃいけないのかと気が遠くなりそうなお値段ですが、2021年8月にはレムデシビル使用が保険適用されるようになりました。
また、新型コロナウイルス感染症は、陽性と判定されてからは医療費が公的負担となります(2021年10月現在)。
新型コロナに感染しないことが何よりですが、感染したとしても費用面での心配はなさそうなので安心しました。
そもそもレムデシビルはどんな薬?
そもそもレムデシビルは、エボラ出血熱の治療のために開発が進められていたお薬です。
まだ、どこの国でも承認されていませんでした。
しかも、肝心のエボラ出血熱には効果が見られなかったともいわれています。
レムデシビルは、ウイルスの増殖に関係するRNAポリメラーゼの働きを阻害する作用を持っています。
そのため、「RNAウイルス」である新型コロナウイルスに効果があったのですね。
新型コロナウイルスは、そのRNAウイルスの中でも「1本鎖RNAウイルス」というものに分類されるそうです。
1本鎖RNAウイルスとは
1本鎖RNAウイルス[プラス鎖]
◎ゲノム本体そのものがmRNAとして働き、ウイルス蛋白質を作り出す。細胞質内で自らが持つRNA依存性RNAポリメラーゼで複製する。
◆コロナウイルス、エンテロウイルス、風疹ウイルス、日本脳炎ウイルス、デング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス、ノロウイルス
※日経メディカル「そもそもウイルスってどんなものでしたっけ?」より引用
ちなみに、「1本鎖RNAウイルス」は、変異株が出現する速度が速いなどと言われています…だから、あっという間にデルタ株などの変異型が出現したのですね。
【最新ニュース】レムデシビルのコロナ関連記事
レムデシビルについて言及している記事をまとめました。
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新型コロナウイルス感染症治療薬「ベクルリー(R)点滴 静注用100mg(一般名:レムデシビル)」 一般流通開始
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レムデシビルの一般流通が10月18日から開始
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インド「レムデシビル」輸出禁止 コロナ国内感染急増で
レムデシビルの副作用
主な副作用
・貧血
・悪心、嘔吐、便秘、下痢
・注入部位疼痛、疲労、発熱
・高トランスアミナーゼ血症
・ALT増加、AST増加、トランスアミナーゼ上昇、プロトロンビン時間延長、肝酵素上昇、肝機能検査値上昇、糸球体濾過率減少、血中クレアチニン増加、血中ビリルビン増加
・高トリグリセリド血症
・頭痛、浮動性めまい
・不眠症
・発疹、そう痒症
・静脈炎
重い副作用
・肝機能障害:ALT上昇に加えて、肝機能障害の徴候又は検査値異常(抱合型ビリルビン、ALP又はINRの異常)が認められた場合には、投与を中止すること。
・過敏症(Infusion Reaction、アナフィラキシーを含む):低血圧、血圧上昇、頻脈、徐脈、低酸素症、発熱、呼吸困難、喘鳴、血管性浮腫、発疹、悪心、嘔吐、発汗、悪寒等があらわれることがある。
レムデシビルの注意事項
注意が必要な人
・腎機能障害患者
・肝機能障害患者
・妊婦、授乳婦
・小児等
・高齢者
妊娠中の安全性について
レムデシビルの添付文書上では、妊娠中の使用について、有益性投与(治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与)の扱いになっています。
ですが、レムデシビルについての動物実験では、胎児に対する催奇形性などの影響は見られていません。
また、妊娠中記以降に使用した100例ほどの報告では、薬剤に関連する母児への悪影響も見られていません。
新型コロナ治療薬「レムデシビル」まとめ
- レムデシビルは日本で1番目に承認されたコロナ治療薬
- デルタ型変異をはじめとする変異ウイルス11種に効果があるという研究結果が出ている
- 投与対象は中等症Ⅰ~重症
- 2021年8月より保険適用されている
- 高額だがレムデシビルを含む新型コロナ治療は公費負担になるので治療費の心配はない
新型コロナをはじめとする既存の感染症は、免疫力が高いと軽症で済んでしまう場合が多いです。
また、日ごろの心がけひとつで、感染を予防することができます。
免疫力を上げるには、運動やバランスの良い食事を心がけ、なるべく規則正しい生活をし、入浴などで体温を高く保つことが大切といわれています。
手洗いや消毒、マスクの着用は、新型コロナウイルスの予防に効果的です。
人混みも避けましょう。
新型コロナ感染者数は減ってきていますが、気を抜かずに地道に対策を続けることが、感染拡大の予防には何よりも大切です。
【参考】
一般社団法人 日本感染症学会「COVID-19に対する薬物治療の考え方第8版」
猫が大好き!な、ぽちたま薬局ライターです。
我が家の2匹を含んだ地上にいるすべての猫たちのために!猫のための情報をおとどけします!現在は猫の食事について日々勉強中(*‘ω‘)