アポキルは、犬のかゆみを和らげてくれるお薬です。
かゆみが比較的早く治まり、効果は24時間続くという優れたお薬なので動物病院で処方される機会も増えています。
一方で、アポキルは長期で服用すると癌になるのではないか、という声も……。
しかし、アポキルを使用することと癌になることに因果関係があるというデータは現在ありません。
ではなぜそのような声があるのか、効果や使用上の注意について詳しく説明していきます。
目次
アポキルの効果はかゆみの抑制
アポキルは、かゆみの抑制に効果的な分子標的薬です。
分子標的薬には、異常な細胞を分子レベルで捉えて、効率よく攻撃するというメリットがあります。
そのため、アポキルは正常な細胞に大きなダメージを与えることなくかゆみを伝える経路を遮断します。
アポキルは犬が我慢できないかゆみも早期に抑制するので、掻き壊しの予防になるのです。
また、患部の炎症や裂傷、脱毛などの改善にも効果を発揮します。
アポキルの効果時間は24時間
アポキルの効果は、投与後4時間ほどで現れ24時間持続します。
ただ、アポキルの血中濃度がピークに到達するのは1時間以内ですが、半減期は4時間ほど。
そのため、血中濃度が安定するまでの初期はアポキルを1日2回投与しましょう。
14日を経過すると効果時間は24時間に安定するため、1日1錠の投薬に切り替えてください。
アポキルを長期服用すると癌(がん)になる?
アポキルは、長期で服用すると癌になるのではないか、という声をときどき耳にします。
しかし、実際にはアポキルで癌が発生したというデータはありません。
それではなぜ、現状起こっていない話が出回っているのでしょうか。
考えられる理由は、以下の通りです。
アポキルには免疫抑制作用がある
アポキルには免疫抑制作用があります。
長期使用するとがん細胞に対する免疫も抑制して癌になる…と思われたことから話が出回った可能性があります。
しかし、アポキルを使って癌が発生するという事実はありません。あくまでも多数ある癌の発生メカニズムの仮説のうちのひとつです。
実際には証明されていないので、むやみに信じないようにしてください。
また、上記のような作用があるのでアポキルを1年以上使用する場合は獣医師さんに相談しましょう。
アポキルに副作用はある?
アポキルは、基本的に副作用が少ないお薬。
稀に下痢や嘔吐などの副作用は報告されていますが、多くが無治療または対処療法で治まっています。
しかし、先述したとおりアポキルには免疫を抑制する作用があります。
そのため、長期での服用は膀胱炎や外耳炎、マラセチア性皮膚炎などの合併症も引き起こす恐れがあるため注意が必要です。
アポキルの副作用や安全性についての詳しい情報は、コチラから確認できます。
アポキルを使うときの注意点
安全性の高いアポキルですが、使用する際にはいくつか注意点もあります。
適切に使用しなければ副作用などのリスクが高まるかもしれません。
以下の注意点を確認しましょう。
アポキルの使用を勝手にやめない
まず、アポキルの使用を勝手にやめないこと。
愛犬に長期使用する際、免疫抑制作用や副作用が心配だからやめたいという飼い主さんもいると思います。
しかし、自己判断で中止すると抑制していた症状をリバウンドさせる恐れがあります。
投与をやめたい場合は、必ず獣医師さんに相談しましょう。
アポキルのやめ方や注意点などの詳しい情報は、こちらのコラムも参考にしてください。
併用には注意が必要
アポキルを使用する際は、併用するお薬に注意が必要です。
飼い主さんとして気になるのは、併用禁忌に指定されているお薬、とくにステロイドとの併用についてではないでしょうか。
現状、アポキルに併用の制限や禁止されているお薬はありません。
しかし、免疫抑制作用があるステロイドなどとの併用は作用が強まるため、副作用のリスクが高まる恐れもあります。
別のお薬との併用を考えているなら、獣医師さんに相談しましょう。
アポキルとステロイドの違いについては、以下のコラムから確認できます。
猫にも同様に効果はある?
アポキルは、犬用に開発されていますが、猫にも同じように効果があります。
実際に、猫にアポキルを処方する動物病院もあり、効果が確認された実例もあるようです。
しかし、アポキルは猫用に開発されたお薬ではありません。
投与については獣医師さんと相談して、慎重におこないましょう。
猫のアポキル使用については、こちらのコラムでも確認できます。
まとめ
アポキルは、アトピー性皮膚炎などによるかゆみを和らげる犬のお薬です。
即効性に優れており、掻き壊しの予防にもつながるため、動物病院で処方されるケースも増えています。
一方で、長期投与による合併症を引き起こすリスクや、自己判断での中止は症状をリバウンドさせる可能性があることも留意しておきたいところ。
アポキルを使用する際は、獣医師さんに相談するのが安心です。
安全を考慮しながら、愛犬のかゆみの症状を和らげてあげましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。