犬のアトピー性皮膚炎の主な症状はかゆみで、進行すると慢性的な皮膚炎となります。
皮膚炎になると皮膚が厚くなったり、脱毛によって皮膚がゴワゴワになったりします。
犬のアトピー性皮膚炎は、遺伝やダニなど原因はさまざまであり、完治が難しい病気です。
そのため、生涯アトピー体質と向き合う必要があります。
今回は、犬のアトピー性皮膚炎に効くシャンプーと選び方、おすすめの商品について紹介します。
シャンプー療法の効果
シャンプー療法は、シャンプー剤に含まれる薬用成分を直接皮膚に浸透させることで、アトピー性皮膚炎の回復を補助します。
そもそもシャンプーは皮膚を清潔な状態にし、バリア機能が正常に働くようにサポートする役割があります。
アトピー性皮膚炎の治療では、原因物質である余分な角質や過剰に増えた細菌などを取り除き、バリア機能の回復につながるのがシャンプー療法です。
シャンプー後は汚れが落ちるため、皮膚が柔らかくなり、その後のケア剤などが浸透しやすくなります。
シャンプーをする際は、犬の症状に応じたシャンプー剤を選びましょう。
また、シャンプーの頻度は1週間に2回程度から開始し、症状にあわせてシャンプーの回数を増減します。
参考
犬アトピー性皮膚炎に対する抗原特異的免疫療法の回顧的検討(外部リンク)
犬の薬用シャンプーの種類と選び方
アトピー性皮膚炎を患っている犬には、犬用の薬用シャンプーを使います。
しかし、薬用シャンプーであれば、なんでもいいわけではありません。
皮膚炎の原因や症状によって、使うべきシャンプーが異なります。
犬用の薬用シャンプーの種類は、以下のとおりです。
•保湿
•抗菌
•抗真菌
•角質溶解
アトピー性皮膚炎の場合、炎症などで皮膚がダメージを受けており、敏感肌と同じ状態と考えられます。
そのため、刺激の低い保湿成分が含まれたシャンプーを使いましょう。
少しでも皮膚の状態をよくするには、犬の肌の状態に合ったシャンプーを使用することが重要です。
犬の肌に合っていないものを使用すると、かゆみが治らないどころか、症状が悪化する恐れもあります。
症状を悪化させないために、シャンプーを選ぶ際は獣医師に相談するといいでしょう。
保湿性シャンプーの効果と注意点
アトピー性皮膚炎に最適な保湿性シャンプーには、皮膚の保湿作用や皮膚柔軟作用があります。
乾燥した皮膚に水分を与えて、過剰な皮脂の分泌を抑えるといった効果につながるでしょう。
しかし、保湿成分が入ったシャンプーすべてが、低刺激とは限りません。
刺激の強いシャンプーを選ばないためにも、どのような成分が入っているか確認してから購入しましょう。
保湿性シャンプーに含まれる成分と、低刺激なアミノ酸系界面活性剤シャンプーの成分は、以下のとおりです。
保湿成分 | グリセリン・尿素・セラミド関連物質・ヒアルロン酸・コラーゲン・乳酸ナトリウム・プロピレングリコール・オートミール・オーツ・ハーブ など |
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低刺激になる成分 | ラウロイルメチルアラニン・ココイルグルタミン酸ナトリウム・ラウロイルアスパラギン酸ナトリウム など |
また、刺激の強い成分は以下のとおりです。
刺激の強い成分が入っていないか、購入前に確認しましょう。
刺激の強い成分
・ラウリル酸ナトリウム
・ラウレス酸ナトリウム
・ラウレス硫酸アンモニウム
犬アトピー性皮膚炎におすすめのシャンプー
アトピー性皮膚炎の犬におすすめのシャンプーを2つご紹介します。
①オートミールを配合し、敏感肌の犬や猫に最適な「エピスース」
主な成分や効果については、以下のとおりです。
主成分 | コロイド状オートミール |
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界面活性剤 | アミノ酸系 |
効果・特徴 | 保湿やかゆみの軽減、アトピーによる乾燥肌、乾燥によるかゆみを伴う肌 |
エピスースは保湿効果以外に、肌の上の常在菌叢(肌フローラ)を守る働きもあります。
②セラミドが配合された、「アデルミル」
主な成分や効果については、以下のとおりです。
主成分 | セラミド1、セラミド3、セラミド6、コレステロール、必須脂肪酸 |
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界面活性剤 | アミノ酸、非イオン系 |
効果・特徴 | 保湿や炎症緩和、アトピー素因などのアレルギー体質、敏感肌 |
アデルミルには地肌を乾燥から守るために、保湿成分が5種類配合されています。
また、余計なものを極力省いており、無香料無着色のシャンプーです。
どちらのシャンプーも病院以外に、Amazonや楽天でも購入できる市販の商品です。
先述したように獣医師に相談したうえで、愛犬にあったシャンプーを使いましょう。
シャンプーの仕方
薬用シャンプーを購入したあとは、正しい手順でシャンプーを行いましょう。
以下ではシャンプーから、保湿ケアまでの流れをご紹介します。
1.ブラッシング
2.予洗い
3.本洗い
4.すすぎ後、保湿ケア
5.乾燥
シャンプー前にブラッシングを行い、毛玉を取り除くことで、汚れをより落としやすくなるしょう。
予洗いではシャンプー剤を使用せず、ぬるま湯で皮膚までお湯を浸透させます。
その後ぬるま湯でうすめたシャンプーを使用して、犬の体全体を洗います。
マッサージするように足の裏や指の間などの、細かい部分も忘れずに洗いましょう。
なお、お湯の温度としては35℃前後が最適です。
洗った後は入念に泡が残らないようにすすぎをし、タオルやドライヤーによって乾燥を行います。
ドライヤーを使用する際は、風によって熱くなりすぎないように注意する必要があります。
また、必要に応じてシャンプーの後に保湿ケアも取り入れ、皮膚が乾燥しない状態を作りましょう。
シャンプーの頻度
アトピー性皮膚炎の場合はシャンプーによって、皮膚の表面についたアレルゲンを流すことが目的です。
国際的なガイドラインでは、週に1回を目安とするように示されています。
また、保湿ケアについてはシャンプーと同様か、症状が深刻な場合は週に2〜3回取り入れましょう。
注意点
シャンプーをするうえでの注意点を守らないと、症状が悪化する恐れがあります。
特に先述したように、アトピー性皮膚炎の犬は敏感肌のため、お湯の温度が高すぎたり、ドライヤーの熱を近づけすぎたりすると、刺激となってしまいます。
乾燥をさせる際は、タオルでしっかりと水分を拭き取り、その後に乾かしきれない部分をドライヤーで乾かしましょう。
また、自然乾燥で終了させるのは、もってのほかです。
しっかりと乾かさないと、細菌が繁殖しやすくなり、皮膚炎の悪化やニオイにつながります。
タオルドライの後は、適切な距離からドライヤーを使用しましょう。
さらに、保湿をしてから乾かしても乾燥が気になる際は、追加で部分的な保湿を行う必要もあります。
まとめ
•シャンプー療法は、アトピー性皮膚炎の回復を補助する
•アトピー性皮膚炎には、犬用の薬用シャンプーを使用すること
•薬用シャンプーには「保湿系」「抗菌」「抗真菌」「角質溶解」がある
•アトピー性皮膚炎には、保湿系の低刺激な薬用シャンプーを使うといい
•おすすめのシャンプーはエピスースと、アデルミルの2つ
•皮膚の状態にあったシャンプーを使用して、正しい手順でシャンプーを行う
犬の薬用シャンプーは市販品もありますが、アトピー性皮膚炎の犬に使う場合は、獣医師に相談したうえで、愛犬にあったシャンプーを使いましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。