セキセイインコの羽が最近やけに抜けるし、生えてこない…。「もしかしてPBFD?」と不安になって調べている方も多いと思います。
- 抜けたあとに新しい羽が生えてきて、まっすぐ伸びるなら、まずは換羽(羽の生え替わり)の可能性があります
- 根元がくびれた羽・中で出血した羽軸・抜けたまま生えない風切羽や尾羽は、PBFDを疑って検査を相談したいサインです
- PBFDに特効薬はなく、治療は体を支えるケアが中心とされています
- 人や哺乳類にはうつらないとされますが、鳥同士では羽の粉やフンで広がります
- ほかの鳥がいる家では、結果が出るまで別の部屋で過ごさせるのが安心です

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すぐ病院に相談したい羽のサイン
PBFDは、羽だけでなく免疫の働きにも影響する病気です。
獣医師向けの資料では、病気が進むと免疫が落ち、多くの鳥はほかの感染症(二次感染)で命を落とすとされています。
羽の異変そのものより、体調の変化が重なっていないかを先に確認してください。

- 羽の異常に加えて、元気や食欲がない
- ふくらんでじっとしている・体重が減ってきた
- 下痢や呼吸の様子がおかしい
- 生えかけの羽が折れて、出血が止まらない
- くちばしの形が変わってきた・欠けてきた
- ヒナや若い鳥で、急に羽の異常が出はじめた
生えかけの羽は中に血が通っているため、折れると出血が続くことがあります。
止血しても2〜3分で止まらない場合は、鳥を診られる動物病院への相談がすすめられています。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」/VCA動物病院「鳥の血管羽(生えかけの羽)について」
PBFD(オウム嘴羽病)とは?
PBFDは、サーコウイルスというとても小さなウイルスが原因の感染症です。日本語では「オウム嘴羽病(しうびょう)」と呼ばれます。
名前のとおり、もともとは羽とくちばしに異常が出る病気として見つかりました。
ただ現在では、くちばしに異常が出ないケースも多いとされています。「くちばしが普通だからPBFDではない」とは言い切れません。
おもに若い鳥がかかる病気で、3歳を超えてから発症する例は少ないとされています。
セキセイインコは陽性率が高い鳥種
国内の動物病院とペットショップの鳥1,070羽を調べた研究では、セキセイインコの陽性率は40.1%でした。調べた鳥種の中でも高い数字です。
数字の読み方
この40.1%は「日本のセキセイインコの4割が発症している」という意味ではありません。
対象は動物病院に来た鳥やペットショップの鳥で、2007年に発表された調査です。また、陽性=発症ではなく、症状のない陽性の鳥も含まれています。
同じ調査では、セキセイインコには従来のPCR検査では見つけにくい変異型のウイルスが多いことも報告されています。
検査を受けるときは、どの方法で調べるのかを病院に確認しておくと安心です。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」/日本獣医師会雑誌「わが国におけるオウム嘴羽病の疫学調査」
PBFDの初期症状|羽で見る4つのサイン
PBFDのウイルスは、伸びている途中の羽の形成をじゃまします。そのため最初の変化は、新しく生えてくる羽に出やすいのが特徴です。
| サイン | どう見えるか |
|---|---|
| 羽の根元がくびれる | 根元が細くつままれたような形・こん棒のような形になる |
| 羽軸の中で出血 | 伸びかけの羽軸の中に血がたまる。抜けた羽の羽軸がつぶれていることも |
| 抜けやすく生えない | 羽が簡単に抜け、生え戻りが遅い・生えてこない |
| 色が抜ける | 色のついた羽の色が抜けたように変わる |
こうした羽の異常は、換羽のたびに目立ってくるとされています。1回の換羽だけで判断せず、生え替わりのたびに変化を見ていくことが大切です。
セキセイインコは風切羽と尾羽に出やすい
PBFDの出方は鳥種によって大きく違います。セキセイインコでは、翼の羽(風切羽)と尾羽だけが抜ける個体が多いと報告されています。
「長い羽ばかり抜けて、飛べなくなってきた」というのは、注意して見ておきたい変化です。
岩手大学の感染実験でも、ウイルスを接種したセキセイインコで尾羽が抜け、抜けた羽の羽軸には圧縮と出血が見られました。
黒っぽい羽軸=PBFDとは限らない
「羽軸が黒い」と心配される方もいますが、ここは注意が必要です。
生えかけの羽(筆毛)は、成長のために中を血が流れています。根元が濃い青っぽい色に見えるのは正常な状態です。羽が伸びきると、血の流れは止まります。
気にしたいのは、伸びかけの羽が抜け落ちる、根元がくびれている、羽軸がつぶれて中に血が残っているといった、形の異常が重なっているときです。
オカメインコは
オカメインコや白色のオウムのように粉(脂粉)の多い鳥もいます。
典型的なPBFDでは、最初のサインとして「くちばしの粉がなくなり、ツヤツヤして見える」ことが知られています。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」/日本獣医師会雑誌「オウム嘴羽病とパチェコ氏病を併発したセキセイインコの1例及び感染実験」/VCA動物病院「鳥の血管羽(生えかけの羽)について」
換羽・毛引きとPBFDの見分け方
鳥は少なくとも年に1回、ほとんどの羽を生え替えます。羽が抜けること自体は、病気とは限りません。
| 見るところ | 換羽 | PBFDを疑う |
|---|---|---|
| 抜け方 | 全身の羽が順番に生え替わる | 風切羽・尾羽が抜けたままになる |
| 生え戻り | 新しい羽が生え、4〜6週ほどで伸びきる | 生えない・とても遅い |
| 新しい羽の形 | まっすぐ正常 | くびれ・ねじれ・中で出血 |
| 経過 | 時期が過ぎれば落ち着く | 換羽のたびに悪化する |
自分で抜いているなら「毛引き」
インコが自分で羽をかじったり、引き抜いたりしている場合は「毛引き(羽毛損傷行動)」の可能性があります。
原因は栄養の偏り、退屈やストレス、発情、内臓の病気などさまざまです。同居の鳥にかじられているケースもあります。
なお、一般に思われているほどダニなどの寄生虫が羽の脱落の原因になることは少ないとされています。「ダニのせい」と決めつけず、まずは原因を調べてもらいましょう。
フレンチモルトは別のウイルスでも起こる
セキセイインコの若い鳥で風切羽や尾羽が生えそろわない状態は「フレンチモルト」と呼ばれます。
これはPBFDだけでなく、鳥ポリオーマウイルスという別のウイルスでも起こることがあります。見た目だけでは区別がつかないため、検査で原因を確かめることになります。
出典:MSD獣医マニュアル「羽が抜ける原因」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」/VCA動物病院「鳥の血管羽(生えかけの羽)について」
PBFDは治る?治療と陰転の考え方
現時点で、PBFDのウイルスそのものを治す特効薬はありません。治療は、栄養管理やストレスを減らす環境づくり、二次感染への対応など、体を支えるケアが中心です。
羽の異常があっても、数カ月から数年にわたって暮らす鳥もいるとされています。
陽性でも元気な鳥はどうなる?
症状がないのに検査で陽性になった鳥は、その後発症することもあれば、体がウイルスを抑え込むこともあるとされています。若い鳥の中には回復する例もあります。
そのため、症状のない陽性の鳥は隔離して、時間をおいて再検査することがすすめられています。
「陰転=完治」と言い切れない理由
再検査で陰性になる「陰転」は、飼い主さんにとって大きな安心材料です。ただ、ウイルスが完全にいなくなったとは言い切れない点は知っておきたいところです。
岩手大学の感染実験(セキセイインコ・オカメインコ各5羽)では、いったん全羽がPCR検査で陰性になったあと、免疫を下げる薬を使うと再び陽性になりました。
少ない羽数での実験なので、すべての鳥に当てはまるとは限りません。それでも、陰転後もストレスを避けて、獣医師と相談しながら様子を見ていく考え方につながります。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」/カナダ・マニトバ州政府「オウム嘴羽病(PBFD)の基礎知識」/日本獣医師会雑誌「オウム嘴羽病とパチェコ氏病を併発したセキセイインコの1例及び感染実験」
人や他の鳥にうつる?
PBFDのウイルスは、人や哺乳類には感染しないとされています。飼い主さんや同居の犬・猫への感染の心配は少ないと考えられます。
一方で、鳥同士ではうつります。ウイルスは羽、羽の粉(脂粉)、フン、口の分泌物に含まれ、吸い込んだり口に入ったりして感染します。
親鳥からヒナへうつることもあります。
多頭飼いでできる感染対策
このウイルスは環境中でとても安定していて、一般的な消毒薬が効きにくいとされています。人の服や体、キャリー、エサ入れなどを介して広がることもあります。
- 疑わしい鳥は、ほかの鳥とは別の部屋で過ごさせる
- お世話は健康な鳥を先に、疑わしい鳥を最後にする
- 抜けた羽や羽の粉はこまめに掃除し、ほこりを舞わせない
- キャリーや食器は共用しない
- 新しく迎える鳥は、すぐに一緒にせず検査と隔離期間をとる
マニトバ州政府の資料では、新しく迎えた鳥は2カ月間隔離することがすすめられています。どの消毒方法が使えるかは、動物病院に相談してください。
出典:カナダ・マニトバ州政府「オウム嘴羽病(PBFD)の基礎知識」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」
病院での検査と持っていくもの
PBFDは、症状の見た目と、PCR検査の結果をあわせて診断されます。PCR検査には、フン・羽の粉・血液などが使われます。
受診のときは、次のものがあると説明がスムーズです。
- 抜けた羽(袋に入れて持参)
- 羽が抜けはじめた時期と、気になる部位のメモ
- 体重の記録(あれば)
- ほかに一緒に飼っている鳥の有無
前述のとおり、セキセイインコは変異型ウイルスが多いと報告されています。どの検査方法で調べるのかも、あわせて確認しておくと安心です。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥のウイルス性疾患」/日本獣医師会雑誌「わが国におけるオウム嘴羽病の疫学調査」
PBFDのよくある質問
Q. PBFDは人にうつりますか?
A. 人や哺乳類には感染しないとされています。ただし、人の服や手を介して、ほかの鳥にウイルスを運んでしまうことはあります。
Q. 大人のセキセイインコでも発症しますか?
A. おもに若い鳥がかかる病気で、3歳を超えてから発症する例は少ないとされています。ただし、若いうちに感染して症状が出ないまま過ごしている場合もあります。
Q. 陰転したら治ったと考えていいですか?
A. 大きな安心材料ですが、ウイルスが体から完全に消えたとまでは言い切れません。陰転後の検査の間隔や暮らし方は、獣医師と相談して決めましょう。
Q. 羽が抜けたらすぐPBFDを疑うべきですか?
A. 換羽や毛引きなど、羽が抜ける理由はほかにもあります。抜け方・生え戻り・新しい羽の形を観察し、気になる点があれば検査を相談してください。
※この記事は公開されている獣医学の資料をもとにまとめたものです。PBFDの診断や治療方針は、鳥を診られる動物病院で獣医師に相談してください。
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インコの体調の変化について、こちらの記事でも詳しく解説しています。
まとめ
- 抜けたあと新しい羽がまっすぐ生えてくるなら、換羽の可能性がある
- 根元のくびれ・羽軸の中の出血・生えない風切羽や尾羽はPBFDのサイン
- 生えかけの羽に血が通っているのは正常で、黒っぽい羽軸だけでは判断できない
- 特効薬はなく、治療は体を支えるケアが中心
- 人にはうつらないとされるが、鳥同士では羽の粉やフンで広がる
- 陰転しても油断せず、獣医師と相談しながら見守る
ぽちたま薬局では、インコ・オウム・文鳥などの鳥類に使用されるお薬も取り扱っています。

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。







