メガバクテリア症は、セキセイインコやオカメインコなどでよく確認される、胃の病気です。
感染していても症状が出ない鳥がいる一方で、胃に炎症が起こると、嘔吐や未消化便、体重減少などが見られることがあります。
この記事では、メガバクテリア症の症状、病院で行われる治療、飼い主さんができることを分かりやすく解説します。
ぽちたま薬局では、インコ・オウム・文鳥などの鳥類に必要な医薬品なども取り扱っています。
鳥類の薬はコチラ
>>インコ・オウム・文鳥など鳥類に使われるお薬一覧へ
目次
メガバクテリア症ってどんな病気?
メガバクテリア症とは、「マクロラブダス・オルニトガスター」という真菌の仲間が鳥の胃に感染し、消化器症状を引き起こす病気です。
「マクロラブダス症」とも呼ばれます。
「細菌」ではなく「真菌の仲間」
「メガバクテリア」という名前がついていますが、マクロラブダスは細菌ではありません。
発見当初は大きな細菌と考えられていましたが、その後真菌の仲間であることが分かりました。
そのため、治療には主に抗真菌薬が使われます。
ほかの細菌感染を併発している場合であれば、抗菌薬が使われることがあります。
異常を感じても、飼い主さんの自己判断で薬を与えないことが大切です。
鳥の胃にすみつき、消化を妨げる
マクロラブダスは、主に鳥の腺胃と筋胃の境目付近にすみつきます。
腺胃は消化液を分泌する胃で、筋胃はいわゆる砂肝にあたる部分です。
この周辺に炎症が起こると、消化能力が低下し、未消化便や体重減少などの症状が現れます。
既に感染した鳥のフンや吐き戻しなどを介して、ほかの鳥に広がると考えられています。
親鳥が雛に餌を与える際に感染したり、汚れた餌入れや水入れなどが感染に関わる可能性もあります。
繁殖施設や多くの鳥が集まる環境ですでに感染し、お迎え前からマクロラブダスを持っている場合もあります。
参考
オカメインコ・セキセイインコ・ヨウムにおけるマクロラブダス感染と臨床症状の調査(PMC, 2023)(外部リンク)
感染していても症状が出ないことがある

感染していても、すぐに症状が出るとは限りません。
症状がない鳥から、健康診断や糞便検査で偶然見つかることもあります。
一方で、環境の変化や体力の低下、ストレスなどをきっかけに、症状が現れたり悪化したりすることがあります。
発症や体調悪化に関係すると考えられる主な要因には、次のようなものがあります。
- お迎え直後などの大きな環境変化
- 換羽や発情による体力の消耗
- 栄養バランスの乱れ
- 急激な温度変化
- ほかの病気による体力や免疫力の低下
- 過密飼育や同居鳥とのトラブル
- 睡眠不足や慢性的なストレス
しかし、体調管理をしていれば必ず防げるというわけではありません。
多頭飼育では感染を広げないための対策を行いながら、体調の変化に早く気付くことが大切です。
こんな症状が出たら要注意
症状が見られる場合は、胃に炎症や消化機能の低下が起きている可能性があるため、早めに鳥を診られる動物病院へ相談しましょう。
メガバクテリア症の主な症状
- 吐き戻し・嘔吐
- 黒っぽい便・タール状の便
- 未消化の餌が混じった便
- 体重減少(食べているのに痩せていく)
- 食欲不振・元気がない
- 羽を膨らませてじっとしている
- 下痢
黒っぽい便やタール状の便は、胃からの出血によって起こることがあります。
ただし、黒い便が必ず出るわけではなく、症状の現れ方には個体差があります。
「吐き戻し」と「嘔吐」の違い
インコは、求愛行動や雛への給餌として、正常な吐き戻しを行うことがあります。
一方、病気による嘔吐では、特定の相手やおもちゃとは関係なく突然吐いたり、吐いたものが顔や頭の羽に付いたりすることがあります。
| 求愛・育雛行動の吐き戻し | 病気による嘔吐の疑い | |
|---|---|---|
| 様子 | 特定の相手やおもちゃに向けて、決まった動作で餌を戻す | 特定の対象がなく突然吐く・吐いたものが顔や頭に付くことがある |
| 対象 | 飼い主・同居鳥・鏡・おもちゃなど | 特定の対象とは関係なく起こる |
| 便の状態 | 基本的に正常 | 未消化便・下痢・黒っぽい便などを伴うことがある |
| 元気 | 吐き戻した後も元気で普段どおり | 元気がない・羽を膨らませる・食欲が落ちる |
判断がつかないときは、吐いている様子を動画で撮影し、鳥を診られる獣医師に確認してもらいましょう。
参考
マクロラブダスの診断・治療に関するレビュー(Phalen, 2014)(外部リンク)
すぐ病院へ!様子見NGのサイン

以下の症状が見られたら、様子を見ずにできるだけ早く鳥を診られる動物病院へ連絡してください。
- 黒っぽい便・タール状の便が出ている
- 未消化の餌が混じった便が続いている
- 嘔吐を繰り返している
- 体重が急激に減っている
- 羽を膨らませてじっとしている
- 食欲がほとんどない
- ぐったりしている
- 止まり木に止まれない・ケージの底にいる
目に見えて元気がないときには、すでに体力がかなり低下している場合があります。
1回の糞便検査で陰性でも否定できない
マクロラブダスは、常に同じ量がフンに含まれているわけではありません。
そのため、1回の糞便検査で見つからなかった場合でも、感染を完全には否定できないことがあります。
症状や診察結果に応じて、再検査やPCR検査などが検討されます。
参考
糞便PCR検査に関する研究(PMC, 2024)(外部リンク)
病院での検査と治療
診断について
まず、採取したフンを顕微鏡で調べ、マクロラブダスが含まれていないか確認します。
1回の検査で見つからないこともあるため、症状が続く場合は、再検査やPCR検査が行われることがあります。
あわせて、体重減少や脱水などの全身状態を確認し、必要に応じてレントゲン検査や血液検査を行います。
主な治療法
マクロラブダスは真菌の仲間なので、治療には抗真菌薬が使われます。
代表的な薬がアンホテリシンBで、一般的には口から投与します。
ただし、治療への反応には個体差があり、効果が十分に表れない場合や、一度症状が良くなった後に再発する場合もあります。
状態や治療の反応によって、別の抗真菌薬や治療法が検討されることもあります。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 抗真菌薬 | アンホテリシンBなどを口から投与する |
| 胃の症状を和らげる薬 | 胃の粘膜を保護する薬や吐き気を抑える薬を使用する場合がある |
| 栄養補給 | 食欲や体重の状態に応じて、消化しやすい食事への調整や病院での栄養補給を行う |
| 保温・輸液 | 体温低下や脱水がある場合に行う |
治療は数週間にわたることがあります。
獣医師が治療期間を判断しますが、症状が良くなっても自己判断で薬をやめてはいけません。
症状が再発する可能性があるので、必ず獣医師の指示どおりに投薬を続けましょう。
飼い主さんができること

毎日の体調チェック
メガバクテリア症では、食べているように見えても体重が減ることがあります。
変化に気付けるよう、可能な限り毎日同じ時間帯に体重を測り、記録しておきましょう。
体重が急激に減った場合は、早めに動物病院へ相談してください。
また、餌入れに殻だけが残っていないか、実際に食べる量が減っていないかも確認しましょう。
栄養・温度・睡眠管理
栄養管理
シードだけの食事はビタミンやミネラルが不足し、栄養が偏りやすくなります。
鳥の種類に合わせてペレットや野菜なども取り入れ、食事全体のバランスを整えましょう。
ただし、シード中心の鳥を急にペレットだけの食事へ切り替えると食べなくなることがあります。
体重や食べた量を確認しながら、少しずつ慣らしていくことが大切です。
食事の見直しだけでは難しい場合は、栄養補助食品を取り入れることもあります。
使用する場合は、食事内容や鳥の状態について獣医師に相談しましょう。
鳥用の栄養補助食品はぽちたま薬局でも取り扱いがございます。
※自己判断での使用は避け、獣医師に相談してください。
温度管理
急な冷え込みや温度変化は、鳥の体力を消耗させます。
その鳥が普段快適に過ごしている室温で安定させましょう。
睡眠・発情管理
夜はケージの周囲を暗く静かにし、安心して眠れる環境を作りましょう。
睡眠時間は10~12時間程度が目安になりますが、種類や年齢、生活リズムによって異なります。
また、発情が長く続くと鳥の体に負担がかかることがあります。
背中や腰、尾の付け根などをなでる行為や、巣箱・暗い隙間を用意することは、発情を促す場合があるため避けましょう。
感染を広げないために
食器類は毎日洗い、フンや吐き戻した餌で汚れたままにしないよう注意しましょう。
多頭飼いの場合は、食器の共用を避けることも大切です。
嘔吐や未消化便などの症状が見られる鳥は、可能な範囲でほかの鳥と生活空間を分け、食器やケージ用品を共用しないようにしましょう。
隔離する場所や方法について迷う場合は、鳥を診られる獣医師に相談してください。
お迎え直後にやること
お迎え直後は、環境の変化によって体調を崩しやすい時期です。
元気に見えても、なるべく早めに鳥を診られる動物病院で健康診断を受けましょう。
- 鳥を診られる動物病院で健康診断を受ける
- 必要に応じて糞便検査を受ける
- 多頭飼育では、新しい鳥を一定期間隔離する
- 隔離中は餌入れや水入れを共用しない
- お迎え直後は過度なハンドリングを避ける
- 静かな環境で少しずつ新しい生活に慣れさせる
- 毎日体重を測って記録する
- 食べた量やフンの状態を確認する
やってはいけないNG行動
抗菌薬を自己判断で与える
マクロラブダス自体には、一般的な抗菌薬は効きません。
不要な抗菌薬は、腸内環境を乱したり、体調悪化を招く恐れがあります。
余っている薬や、ほかの鳥に処方された薬を与えてはいけません。
症状が改善したからと投薬を中断する
見た目の症状が落ち着いても、治ったとは限りません。
獣医師の指示があるまでは、投薬を中止してはいけません。
一律に高い温度で保温する
保温が必要な場合がありますが、すべての鳥類を同列に高温で飼育する必要はありません。
口を開けて呼吸する、翼を体から離す、水を多く飲むなど、暑がる様子が見られたら、温度が高すぎる可能性があります。
嘔吐を求愛行動だと決めつける
求愛による吐き戻しと病気による嘔吐は、見分けが難しいことがあります。
元気消失や体重減少、未消化便、黒っぽい便などを伴う場合は、早めに受診しましょう。
まとめ
メガバクテリア症は、マクロラブダス・オルニトガスターという真菌の仲間が原因の病気です。
発症すると嘔吐、未消化便、体重減少、元気消失などが見られます。
多頭飼育では、新しく迎えた鳥の隔離や健康診断、食器やケージの衛生管理を行い、感染を広げないことが大切です。
また、毎日の体重測定や食事量、フンの確認は、体調変化の早期発見につながります。
症状が見られた場合は、自己判断で薬を使わず、早めに鳥を診られる動物病院へ相談してください。
ぽちたま薬局では、インコ・オウム・文鳥などの鳥類に必要な医薬品なども取り扱っています。
鳥類の薬はコチラ
>>インコ・オウム・文鳥など鳥類に使われるお薬一覧へ

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。







