犬のてんかん治療では、発作の頻度や程度を抑えるために、抗てんかん薬による治療が行われます。
てんかん薬は発作をコントロールするために重要な薬ですが、眠気やふらつき、食欲の変化などの副作用がみられることがあります。
また、てんかんの治療は長期にわたることが多いため、「薬をずっと飲ませても大丈夫?」「老犬への負担はない?」と心配になる飼い主さんもいるでしょう。
この記事では、犬のてんかん薬でみられる主な副作用をはじめ、コンセーブやイーケプラ、フェノバールなど薬ごとの副作用、老犬への影響、長期服用の注意点について解説します。
てんかん薬を飲んでも発作が起こる場合の対応についても紹介していますので、愛犬のてんかん治療に不安がある方は参考にしてください。
目次
犬のてんかん薬でみられる主な副作用

犬のてんかん薬では、主に以下のような副作用がみられることがあります。
- 眠気・元気がない
- ふらつき・運動失調
- 食欲の増加・低下
- 嘔吐・下痢
- 肝機能への影響
なかでも眠気やふらつきは、てんかん薬の投与開始後や投与量を増やした際にみられることがある症状です。
薬に体が慣れてくると落ち着く場合もありますが、症状が強い場合や長く続く場合は、自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、獣医師に相談してください。
また、副作用の種類や現れ方は、使用するてんかん薬によって異なります。
フェノバルビタールなど、長期投与による肝機能への影響に注意が必要な薬もあるため、治療中は定期的な血液検査や血中濃度の測定を行いながら、愛犬の状態を確認することが大切です。
犬のてんかん薬の種類と副作用

犬のてんかん治療では、ゾニサミドやレベチラセタム、フェノバルビタールなど、さまざまな有効成分を含む抗てんかん薬が使用されます。
薬によって起こりやすい副作用や注意点が異なるため、それぞれの特徴を理解しておくことが大切です。
代表的な犬のてんかん薬と主な副作用は、以下のとおりです。
| 薬剤名 | 有効成分 | 主な副作用 |
|---|---|---|
| コンセーブ、エピレス | ゾニサミド | 食欲低下、嘔吐、ふらつきなど |
| イーケプラ | レベチラセタム | 眠気、ふらつき、嘔吐、食欲低下など |
| フェノバール | フェノバルビタール | 眠気、ふらつき、食欲増加、多飲多尿など |
| 臭化カリウム | 臭化カリウム | 眠気、ふらつき、食欲増加、消化器症状など |
コンセーブ・エピレス(ゾニサミド)の副作用
コンセーブとエピレスは、どちらもゾニサミドを有効成分とする犬用の抗てんかん薬です。
副作用として、嘔吐や流涎、軟便、食欲低下、興奮、震え、活力低下などがみられることがあります。
過剰投与では、ふらつきなどの運動失調や食欲低下、震えなどがみられることがあるため、獣医師から指示された用量を守って投与することが重要です。
治療中は発作の状態だけでなく、副作用の有無や血液検査などを確認しながら、必要に応じて投与量を調整します。
イーケプラ(レベチラセタム)の副作用
イーケプラは、レベチラセタムを有効成分とする抗てんかん薬です。
犬では比較的副作用が少ないとされていますが、眠気やふらつき(運動失調)、落ち着きがなくなる、嘔吐、食欲低下などがみられることがあります。
特に眠気やふらつきは、投与開始後やほかの抗てんかん薬と併用している場合などにみられることがあります。
副作用が気になる場合でも自己判断で投薬を中止せず、愛犬の様子を記録したうえで獣医師に相談しましょう。
フェノバール(フェノバルビタール)の副作用
フェノバールは、フェノバルビタールを有効成分とする抗てんかん薬です。
主な副作用として、眠気やふらつき、食欲の増加、水を飲む量や尿量の増加などがあります。
眠気やふらつきは投与を始めた直後などにみられやすく、時間の経過とともに軽減する場合があります。
一方、長期投与では肝臓への影響にも注意が必要です。
そのため、フェノバルビタールによる治療では、定期的な血液検査や血中濃度の測定などを行い、副作用と発作のコントロール状況を確認しながら治療を続けます。
臭化カリウムの副作用
臭化カリウムは、犬のてんかん治療に使用される抗てんかん薬のひとつです。
単独で使用するほか、ほかの抗てんかん薬と併用することもあります。
主な副作用として、眠気やふらつき、食欲の増加、多飲などがみられることがあります。
また、胃腸を刺激することがあり、嘔吐などの消化器症状が現れる場合もあります。
臭化カリウムは体内から排出されるまでに時間がかかるため、投薬中は愛犬の状態を確認しながら、必要に応じて血中濃度を測定して投与量を調整します。
老犬はてんかん薬の副作用に注意が必要?

老犬にてんかん薬を使用する場合は、副作用や体調の変化をより慎重に確認することが大切です。
高齢になると肝臓や腎臓などの機能が低下していることがあり、薬の代謝や排泄に影響する可能性があります。
また、持病の治療でほかの薬を服用している場合は、薬の飲み合わせにも注意が必要です。
そのため、老犬のてんかん治療では、年齢だけでなく健康状態や持病、使用している薬などを考慮して、適切なてんかん薬や投与量を検討します。
治療中は発作の頻度だけでなく、食欲や歩き方など普段の様子も確認し、定期的な診察や血液検査を受けることが大切です。
老犬のてんかん発作は脳の病気が原因の場合もある
老犬になって初めててんかん発作が起きた場合は、脳の病気が隠れていないか確認することも重要です。
犬のてんかんには原因が特定できない「特発性てんかん」のほか、脳に異常があることで発作を起こす「構造的てんかん」があります。
構造的てんかんの原因には、脳腫瘍や脳炎、脳血管障害などが挙げられます。
そのため、高齢になって初めて発作がみられた場合や、発作以外にも歩き方や行動などに異常がみられる場合は、必要に応じてMRIなどの画像検査を行い、原因を調べます。
てんかん発作が起きたからといって、必ずしも脳に病気があるとは限りません。
しかし、老犬では発作を抑えるだけでなく、その原因を調べたうえで適切な治療につなげることが大切です。
参考
High-field MRI findings in epileptic dogs with a normal inter-ictal neurological examination(外部リンク)
犬のてんかん薬はいつから始める?

犬がてんかん発作を起こしたからといって、必ずしも1回目の発作から継続的な投薬を始めるわけではありません。
てんかん薬による治療を始めるタイミングは、発作の回数や頻度、重症度、発作後の状態などをもとに獣医師が判断します。
長期的な投薬が検討される主なケースは、以下のとおりです。
- 6ヶ月以内に2回以上のてんかん発作が起きている
- 短時間に発作を繰り返す「群発発作」がみられる
- 発作が長時間続く「てんかん重積状態」を起こした
- 発作後の症状が重い、または長時間続く
- 発作の頻度や持続時間、重症度が悪化している
また、脳に構造的な異常が認められる場合など、発作の原因や犬の状態によっても治療開始の判断は異なります。
てんかん治療の目的は、必ずしも発作を完全になくすことだけではありません。
発作の回数や持続時間、重症度をできるだけ抑え、愛犬と飼い主さんのQOL(生活の質)を維持することも重要な治療目標です。
犬のてんかんの寛解や治療方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
犬のてんかん薬はいつまで飲む?長期服用による副作用は?

犬のてんかん治療では、発作をコントロールするために長期間にわたって薬を飲み続けるケースが多く、生涯にわたって投薬が必要になることもあります。
一方、長期間発作が起きていない場合などは、犬の状態に応じて減薬や投薬の中止を検討することもあります。
ただし、発作が起きなくなったからといって、飼い主さんの判断で薬を減らしたり、急に中止したりしてはいけません。
急な減薬や中止によって発作が再発するだけでなく、重い発作を引き起こすおそれがあります。
減薬や中止を検討する場合は、発作の経過を確認しながら、獣医師の指示のもとで少しずつ投与量を調整します。
また、てんかん薬を長期服用する場合は、副作用にも注意が必要です。
特にフェノバルビタールでは、長期投与によって多飲多尿や食欲の増加などがみられるほか、肝臓への影響にも注意する必要があります。
そのため、長期治療中は発作の有無だけでなく、定期的な血液検査や、薬によっては血中濃度の測定を行い、副作用がないか確認しながら治療を続けることが大切です。
犬にてんかん薬の副作用が出たときの対処法

てんかん薬を飲み始めてから眠気やふらつき、食欲の変化などがみられた場合は、症状や愛犬の様子を記録しておきましょう。
副作用のなかには、投薬を始めた直後や投与量を変更した際に現れ、薬に体が慣れるにつれて軽減するものもあります。
ただし、症状が強い場合や長く続いている場合、普段とは明らかに違う様子がみられる場合は、動物病院へ相談してください。
受診・相談する際は、以下の内容を伝えられるようにしておくとよいでしょう。
- 使用しているてんかん薬の名前と投与量
- 薬を飲ませた時間
- 症状が現れた時間や続いた時間
- 眠気やふらつき、嘔吐などの症状
- 発作の有無や回数
- ほかに使用している薬やサプリメント
また、副作用が心配だからといって、自己判断でてんかん薬の量を減らしたり、急に投薬を中止したりするのは避けてください。
急な中止によって発作が悪化する可能性があります。
副作用の程度によっては、獣医師の判断で投与量を調整したり、別のてんかん薬への変更や併用方法の見直しを行ったりすることがあります。
てんかん治療では、発作を抑える効果だけでなく、副作用による愛犬への負担も考慮しながら治療を続けることが大切です。
よくある質問

犬のてんかん薬や治療について、よくある質問に回答します。
犬のてんかんの第一選択薬は?
犬のてんかん治療では、フェノバルビタールや臭化カリウムなどが第一選択薬として使用されます。
ただし、すべての犬に同じ薬が適しているわけではありません。
発作の種類や頻度、持病、肝臓・腎臓の状態、副作用などを考慮して、獣医師が使用する薬を選択します。
また、犬のてんかん治療には、ゾニサミドも使用されています。
ゾニサミドは国内で犬の特発性てんかんに伴う発作の低減を目的とした動物用医薬品にも使用されている有効成分です。
ゾニサミドの特徴や価格については、以下の商品ページをご確認ください。
犬がてんかん薬を飲まないとどうなる?
てんかん薬を飲まなかったり、自己判断で急に中止したりすると、発作が再発・悪化する可能性があります。
特に長期間てんかん薬を服用している場合、急な中止によって発作を誘発するおそれがあるため注意が必要です。
薬を嫌がって飲まない場合や、飲み忘れてしまった場合も、自己判断で投与量を変更せず獣医師に相談しましょう。
てんかん薬を飲まない場合のリスクや、薬をやめる場合の注意点については、以下の記事で詳しく解説しています。
犬がてんかん発作を起こすと後遺症は残る?
短時間で治まるてんかん発作では、必ずしも後遺症が残るわけではありません。
発作後は、一時的にぼんやりする、ふらつく、落ち着きがなくなるなどの症状がみられることがありますが、時間の経過とともに普段の状態に戻ることもあります。
一方、発作が長時間続く「てんかん重積状態」では、脳や全身への負担が大きくなり、重篤な状態につながる可能性があります。
発作が5分以上続いている場合や、短時間に何度も発作を繰り返して意識が十分に回復しない場合は、緊急性が高いため速やかに動物病院を受診してください。
犬のてんかん薬の値段はどのくらい?
犬のてんかん薬にかかる費用は、使用する薬の種類や投与量、愛犬の体重などによって異なります。
また、てんかん治療では長期間にわたって投薬を続けるケースが多く、薬代に加えて診察や定期的な血液検査、血中濃度測定などの費用がかかる場合もあります。
当サイト「ぽちたま薬局」では、ゾニサミドやレベチラセタムなどの犬のてんかん薬を取り扱っています。
取り扱っている薬の種類や価格については、以下のページをご確認ください。
まとめ

犬のてんかん薬では、眠気やふらつき、食欲の変化、嘔吐・下痢などの副作用がみられることがあります。
また、薬の種類によっては、長期服用による肝機能への影響にも注意が必要です。
特に老犬では、肝臓や腎臓の機能、持病や併用している薬なども考慮しながら治療を進めることが大切です。
てんかん薬は発作をコントロールするために長期間の服用が必要になることも多いため、定期的な診察や血液検査などを受けながら、発作の状態と副作用の両方を確認していきましょう。
眠気やふらつきなど気になる症状がみられた場合も、自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、獣医師に相談してください。
愛犬の状態に合った治療を続け、発作をできるだけ抑えながらQOL(生活の質)を維持することが、てんかんと上手に付き合っていくためのポイントです。

ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。









