ジアルジア症-犬から人への感染リスクと対策

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ジアルジア症-犬から人への感染リスクと対策

ジアルジア症は、犬から人へ感染するリスクについて解説しています。

感染経路や症状、治療方法についても詳しく説明しているので、ぜひ参考にしてください。

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ジアルジア症とは

ジアルジア症とは、Giardia属の原虫が腸に寄生することで起こる感染症です。

寄生虫の一種であるジアルジアには、栄養型とシスト型と呼ばれる2つの形態があります。
どちらの形態のジアルジアも非常に小さいため、肉眼では確認できません。

また、ジアルジア症は犬だけでなく、猫や人にも感染する可能性があります。

犬のジアルジア症については、こちらの記事で詳しく解説しています。

ジアルジアは犬から人に感染する?

ジアルジアは犬から人に感染する?

ジアルジアは、犬から人への感染について、明らかになっていません。
しかし、ジアルジア症は日本でも感染が報告されている人類共通感染症です。

ジアルジアの中でも「G. intestinalis」という人に寄生する種類は、犬や猫、ネズミなどからも検出されています。

G. intestinalis が持つ7つの遺伝子「assemblage A~G」のうち、人が宿主となる遺伝子型は、以下の3つです。

・Assemblage A Ⅰ:人、犬、猫、家畜類
・Assemblage A Ⅱ:人
・Assemblage B:人、犬、ラット

しかし、近年は上記だけではなく、犬に特異的とされる遺伝子型「assemblage C、D」は、人からも検出されています。
ジアルジアは、犬から人へ感染する可能性にも注意しておきましょう。

参考
イヌのジアルジア保有状況(外部リンク)

ジアルジアの感染経路

ジアルジアの感染経路

ジアルジアの感染経路は、以下の通りです。

■人の場合
・汚染された水や生野菜、生ジュースなどの摂取
・嚢子(シスト)が付着した手指
・感染者が入ったプール
・犬やフェレットなどの動物

■犬の場合
・食糞
・汚染された水や食べ物
・感染源が付着した被毛

人でも犬であっても、感染源となるのはシスト型のジアルジアです。
シストは、ジアルジアに感染した宿主の便に排出されます。
そのため、便で汚染された水やシストが付着した被毛には注意が必要です。

さらに、シストがハエに付着することで運ばれて、感染する可能性もあります。

参考
ジアルジアの分類と分子疫学(外部リンク)
犬のジアルジア症感染症(外部リンク)

ジアルジア症の症状

ここからは、ジアルジア症で認められる症状を紹介します。

肉眼で確認できないジアルジアを早期に発見するためにも、症状の発現には注意しましょう。

人の症状

人がジアルジア症に感染した場合は、主に消化器症状が認められます。
ジアルジア症の感染は世界中でありますが、特に亜熱帯地域への長期滞在や、未開地での頻繁な飲食や水泳には注意しましょう。

また、ジアルジア症は1~2週間程度の潜伏期間の後に症状が発現しますが、寄生数が少ない場合は無症状のケースもあります。

人がアルジア症に感染した場合に見られる症状は、以下の通りです。

  • 急性または慢性の下痢
  • 腹痛
  • ガスの貯留
  • 食欲不振
  • 吐き気
  • 発熱
  • 嘔吐

参考
ジアルジア症│厚生労働省検疫所(外部リンク)

犬の症状

ジアルジア症に感染した犬は、ほとんどが無症状です。
しかし、感染が多いとされる子犬は免疫力が弱いため、以下の症状が認められる場合があります。

  • 下痢
  • 血便
  • 食欲不振
  • 腹痛

犬のジアルジア症は、症状が改善しても再感染する可能性があるため、注意が必要です。

ジアルジア症は、環境中に潜んだ感染源などが原因となって、症状が繰り返されるケースもあります。
多頭飼育している場合は、特に感染が拡大しやすいため注意しましょう。

ジアルジア症の診断・検査方法

ジアルジア症の診断で最も簡単にできる検査は、検便です。
便の検査でランブル鞭毛虫が放出した抗原のタンパク質を検出する方法です。

顕微鏡による便の検査で寄生虫が見つかることもありますが、ジアルジアに感染した人や犬の便に常に排出されるわけではありません。
そのため、繰り返し便の検査を行います。

ジアルジア症の治療方法

ジアルジア症の治療方法

海外では、ジアルジア症の治療方法として、多くの治療薬が使用されています。
しかし、日本で取り扱っているジアルジア感染への治療薬は、多くありません。

ここからは、人と犬それぞれの治療法を紹介します。

人の治療法

ジアルジア症に感染した人の治療法には、脱水を予防するための水分補給と同時に、寄生虫に対する投薬が用いられます。

主に使用される治療薬は、「チニダゾール」「メトロニダゾール」などです。
チニダゾールはメトロニダゾールに比べて、副作用が少ないという特徴があります。

しかし、どちらの治療薬でも服用から数日以内に飲酒すると、吐き気や嘔吐、紅潮、頭痛が認められる場合があります。
ジアルジア症は、治療薬の服用方法に注意して、水分補給をしながら治療しましょう。

犬の治療法

犬のジアルジア症に使用される主な駆虫薬は、「ニトロイミダゾール系薬剤」「ベンズイミダゾール系薬剤」です。

〈ニトロイミダゾール系薬剤〉
■メトロニダゾール(最も一般的に使用される)
・用量:12.5~32.5mg/kgを1日2回
・投薬期間:5~8日

■チニダゾール
・用量:50mg/kg を1 日1 回
・投薬期間:3日

〈ベンズイミダゾール系薬剤〉※ジアルジアと同時に消化管内線虫の駆除も可能
■フェバンテル配合剤(フェバンテルとして)
・用量:30mg/kgを1日1回
・投薬期間:3日

■フェンベンダゾール(個人輸入でのみ使用可能)
・用量:50mg/kgを1日1回
・投薬期間:3日

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ジアルジア症の予防法

ジアルジア症には、有効なワクチンがありません。
以下の予防法を参考にして、感染対策をしましょう。

■人
・安全性の低い生水を飲まない
・水泳の際は水を飲まないようにする
・動物との接触後は体を洗う
・犬の排泄物処理後や食事前は手をよく洗う

■犬
・散歩中に水たまりや落下物に口を付けさせない
・誤食を防ぐためにしつけをしておく
・多頭飼育の環境で下痢をしている犬は隔離する
・犬の排泄物は速やかに処理する

ジアルジアの感染源となるシストには、熱湯消毒が効果的です。
ケージやトイレなど、愛犬が使用するものは熱湯消毒してから乾燥させましょう。

よくある質問

ここからは、ジアルジア症に関するよくある質問を紹介していきます。

Q.ジアルジアの生存期間は?

ジアルジアは、水中で3ヶ月以上も生存できます。

基本的に、ジアルジアは環境中に耐える能力が高い寄生虫です。
そのため、シストが室内に潜んでいれば、愛犬の治療が終わった後でも、再感染する恐れがあります。

ジアルジアは乾燥と過熱に弱いですが、適度な湿度があれば長期間の生存が可能です。

Q.犬のジアルジアを完治させるには?

犬のジアルジアを完治させるには、駆虫薬の投与が効果的です。
治療期間は獣医師さんの指示に従って、体内にジアルジアがいなくなるまで投薬を続けます。

さらに、再感染を防ぐために環境中の清掃も欠かせません。
愛犬に投薬しながら、トイレやケージなどは熱湯消毒を行い、飼い主さんの手もしっかり洗って、清潔に保つことが大切です。

Q.子犬がジアルジアに感染する確率は?

子犬がジアルジアに感染する確率は、約33%と言われています。
成犬はほとんどが無症状ですが、体が未発達である子犬は、感染症に対する免疫力が弱い状態です。

また、たくさんの子犬がいるペットショップやブリーダー犬舎は感染が広がりやすいため、ジアルジア症の感染リスクが増します。
子犬は、ジアルジア症を発症しやすいため注意しましょう。

Q.犬のジアルジア症の致死率

犬のジアルジア症は、致死率が低いとされる感染症です。
健康な犬への感染であれば、適切な治療を受けることで完治できます。

しかし、子犬や高齢犬などへの感染には注意が必要です。
免疫力が低下している犬にジアルジア症が感染した場合は、下痢や脱水症状が続くことで危険な状態になる可能性もあります。

犬のジアルジア症の致死率は低いとされていますが、感染は放置しないようにしましょう。

まとめ

ジアルジア症は、原虫が腸に寄生すること起こる感染症です。
犬への感染は、感染動物の便に排出されたシストが口に入ることで起こります。
基本的に、健康な犬は無症状ですが、子犬や高齢犬、基礎疾患のある犬に感染して下痢や脱水症状が続く場合は、重症化する恐れもあります。
さらに、ジアルジア症は犬だけでなく、猫や人にも感染する可能性があるため注意が必要です。

愛犬に感染させないためにも、散歩中はシストに汚染された水や、落下物を口に入れさせないように注意してください。

万が一、愛犬がジアルジア症に感染してしまった場合は、獣医師さんの指示に従って駆虫薬を投与してください。
また、愛犬のトイレやケージなどはジアルジアに有効な熱湯消毒を行い、感染対策も徹底しましょう。

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