愛猫のおしっこが出ない、いつもより量が少ないといった変化に気づき、「何時間出なかったら危険?」「元気があれば様子を見ても大丈夫?」と不安に感じていませんか?
猫のおしっこが出ない・少ない原因には、膀胱炎や尿石症、脱水などが考えられます。
特に、尿道が塞がる「尿道閉塞」は、放置すると命に関わる危険な状態です。
何度もトイレに行くのにおしっこが出ない、または数滴しか出ない場合は、元気があってもすぐに動物病院を受診してください。
この記事では、猫のおしっこが出ない・少ない場合は何時間で危険なのか、考えられる原因や症状、対処法について解説します。
動物病院で行われる検査や治療、再発を防ぐためのポイントも紹介するので、愛猫のおしっこの異常に気づいた際の参考にしてください。
猫のおしっこが出ない・少ないときは何時間で危険?

猫のおしっこが出ない場合、「何時間までなら大丈夫」という明確な基準はありません。
特に、何度もトイレに行くのに尿が出ない場合は、尿道閉塞の可能性があるため、すぐに動物病院を受診する必要があります。
尿道が完全に塞がると、体内に老廃物が蓄積し、腎機能の低下や電解質異常を引き起こします。
完全に尿道が塞がると、24~48時間以内に命に関わる状態になることもあり、さらに早く容体が悪化する場合もあります。
48時間まで様子を見てよいわけではありません。排尿姿勢を取っても尿が出ない場合は、経過時間にかかわらず直ちに受診してください。
また、おしっこがまったく出ないわけではなくても、普段より尿量が少ない場合は注意が必要です。
水分摂取量の減少や脱水などが原因となることもありますが、何度も排尿姿勢を取るのに数滴しか出ない場合は、尿道閉塞の可能性があるため緊急受診が必要です。
一方、トイレで確認できる尿の量が普段より少ない場合も、排尿回数や飲水量、食欲などを確認し、早めに獣医師へ相談しましょう。
なお、元気や食欲があっても、尿道閉塞などの病気を否定することはできません。
猫の様子だけで判断せず、実際におしっこが出ているか、どのくらいの量が出ているかを確認することが大切です。
参考
Feline Lower Urinary Tract Disease(外部リンク)
2025 iCatCare consensus guidelines on the diagnosis and management of lower urinary tract diseases in cats(外部リンク)
猫のおしっこが出ない・少ないときに見られる症状

猫のおしっこが出ない・少ない場合は、排尿時の様子や尿の状態に加えて、食欲や元気などにも変化が現れることがあります。
特に、以下のような症状が見られる場合は注意が必要です。
- 何度もトイレに行くのに、おしっこが出ない
- 排尿姿勢を取ったまま、いきんだり鳴いたりする
- おしっこが数滴しか出ない、または血尿が出る
- 陰部を頻繁になめる
- 食欲がなくなる、嘔吐する
- 元気がなくなり、ぐったりする
何度もトイレに行く、排尿時に痛がるといった症状は、膀胱炎や尿道閉塞などで見られます。
また、排尿時にいきむ様子が、便秘と間違われることもあります。
特に、おしっこが出ない状態に加えて、嘔吐や食欲不振、ぐったりするなどの症状が見られる場合は、重篤な状態に陥っている可能性があります。
ただし、症状が軽く見えても尿道閉塞が起きている場合があります。
何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ない、または数滴しか出ない場合は、ほかの症状が現れるのを待たずに、すぐに動物病院を受診してください。
猫のおしっこが出ない・少ない原因

猫のおしっこが出ない・少ない原因には、尿道閉塞や膀胱炎、尿石症などの病気のほか、脱水やストレスなどが考えられます。
原因によって治療法や緊急性が異なるため、排尿時の様子やほかの症状を確認することが大切です。
ここでは、猫のおしっこが出ない・少ない場合に考えられる主な原因について解説します。
尿道閉塞(尿道栓・結石など)
尿道閉塞とは、尿道栓や結石などによって尿道が塞がり、おしっこを正常に排出できなくなる状態です。
特に、尿道が細く長いオス猫に起こりやすく、何度もトイレに行くのに尿が出ない、排尿時に痛がるなどの症状が見られます。
尿道閉塞は、放置すると急性腎障害や命に関わる電解質異常を引き起こす危険があるため、緊急の治療が必要です。
おしっこがまったく出ない、または数滴しか出ない場合は、すぐに動物病院を受診してください。
尿道閉塞は、ストルバイト結石などの尿石が原因で起こる場合もあります。
猫のストルバイト結石の原因や治療法、再発を防ぐためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
参考
犬と猫の閉塞性尿路疾患-メルク獣医マニュアル(外部リンク)
膀胱炎
膀胱炎は、膀胱に炎症が起こる病気です。膀胱の痛みや不快感によって、何度もトイレに行く、1回のおしっこの量が少なくなる、血尿が出るなどの症状が現れます。
猫の膀胱炎には、原因がはっきりしない「特発性膀胱炎」や、細菌感染による「細菌性膀胱炎」などがあり、原因によって治療法が異なります。
なお、膀胱炎と尿道閉塞は症状が似ているため、見た目だけで判断することはできません。
何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ない場合は、尿道閉塞の可能性も考えて、直ちに受診してください。
猫の膀胱炎で見られる症状や、受診の目安については、以下の記事も参考にしてください。
尿石症
尿石症は、腎臓や膀胱、尿道などの尿路に結石ができる病気です。
膀胱に結石ができると、膀胱の粘膜が刺激され、頻尿や血尿、排尿時の痛みなどを引き起こすことがあります。
また、結石が尿道に詰まると、尿道閉塞を引き起こす危険もあります。
猫に多い結石には、ストルバイト結石やシュウ酸カルシウム結石などがあり、結石の種類によって治療法が異なります。
ストルバイト結石は、獣医師の指導のもとで専用の療法食を使用すると溶かせる場合があります。
一方、シュウ酸カルシウム結石は食事で溶かすことができません。
腎臓の病気や脱水
腎臓の病気や脱水によって、おしっこの量が少なくなる場合もあります。
例えば、重度の脱水では尿量が減少することがあり、急性腎障害によって腎臓の働きが急激に低下すると、おしっこがほとんど作られなくなる場合もあります。
おしっこが少ない原因は、尿道が塞がっていることだけではありません。
飲水量の減少や食欲不振、嘔吐などが見られる場合も、早めに動物病院を受診しましょう。
参考
犬と猫の腎機能障害-メルク獣医マニュアル(外部リンク)
ストレスやトイレ環境の変化
引っ越しや新しいペットを迎えたことによるストレス、トイレの汚れや設置場所の変化などによって、猫がトイレを避けたり、別の場所で排尿したりする場合があります。
また、ストレスは猫の特発性膀胱炎に関係していると考えられており、頻尿や血尿などの症状につながることもあります。
ただし、おしっこが出ない原因をストレスだと自己判断するのは危険です。
排尿姿勢を取っても尿が出ない場合は、尿道閉塞などの病気を疑い、すぐに動物病院を受診してください。
その他の病気
そのほか、膀胱や尿道の腫瘍、神経の異常などによって、正常に排尿できなくなる場合もあります。
排尿の異常は、見た目だけで原因を特定することが難しく、適切な治療を受けるためには動物病院での検査が必要です。
おしっこが出ない、または数滴しか出ない場合は直ちに受診し、普段より尿量が少ない状態が続く場合も早めに獣医師へ相談しましょう。
参考
猫の泌尿器系の非感染性疾患-メルク獣医マニュアル(外部リンク)
オス猫は尿道閉塞に注意

オス猫はメス猫に比べて尿道が細く長いため、尿道栓や結石などが詰まりやすく、尿道閉塞を起こすリスクが高いとされています。
特に、何度もトイレに行くのにおしっこが出ない、排尿姿勢を取っても数滴しか出ないといった症状が見られる場合は注意が必要です。
また、去勢済みのオス猫でも尿道閉塞は起こります。
去勢の有無にかかわらず、おしっこが出ない場合はすぐに動物病院を受診してください。
なお、メス猫でも尿道閉塞が起こる可能性はあるため、性別だけで緊急性を判断しないことが大切です。
猫のおしっこが出ない・少ないときの対処法

猫のおしっこが出ない・少ない場合は、排尿時の様子や尿の量を確認しましょう。ただし、尿が出ない状態が疑われるときは、確認のために受診を遅らせないでください。
何度もトイレに行くのにおしっこが出ない、または数滴しか出ない場合は、尿道閉塞の可能性があるため、すぐに動物病院を受診してください。
受診する際は、最後におしっこをした時間や尿の量、トイレに行く回数、嘔吐や食欲不振などの症状を獣医師に伝えると、診察に役立ちます。
また、普段より尿量が少ない場合も、飲水量や排尿回数を確認し、早めに動物病院へ相談しましょう。
なお、自宅でお腹を押したり、膀胱をマッサージしたりして、無理におしっこを出そうとするのは危険です。
膀胱や尿道を傷つけるおそれがあるため、自己判断で対処せず、獣医師の診察を受けてください。
猫のおしっこが出ない場合に動物病院で行われる検査・治療

猫のおしっこが出ない場合、動物病院では排尿できない原因や全身の状態を確認し、必要な検査・治療を行います。
主な検査には、膀胱に尿がたまっているかを確認する触診のほか、尿検査や血液検査、超音波検査、レントゲン検査などがあります。
これらの検査によって、尿道閉塞や膀胱炎、尿石症などの可能性を調べます。
尿道閉塞が確認された場合は、全身状態に応じた処置を行ったうえで、通常は尿道にカテーテルを挿入し、詰まりを取り除いて尿を排出させます。
また、脱水や腎機能の低下、電解質異常などが見られる場合は、点滴や入院による治療を行うこともあります。
尿道閉塞を繰り返す場合や、結石の状態によっては、手術が必要になるケースもあります。
一方、膀胱炎や尿石症などが原因の場合は、診断結果に応じて痛みを和らげる治療や食事療法などを行います。細菌感染が確認された場合には、抗菌薬を使用することもあります。
治療法はおしっこが出ない原因や猫の状態によって異なるため、早めに受診し、適切な検査・治療を受けることが大切です。
猫のおしっこが出ない・少ない状態を繰り返さないための予防法

尿道閉塞や膀胱炎、尿石症などの再発リスクを減らすためには、原因に応じた治療に加え、日頃から水分摂取量やトイレ環境に気を配り、排尿の様子を確認することが大切です。
主な予防法には、以下のようなものがあります。
- 水分を摂取しやすい環境を整える: 新鮮な水を複数の場所に用意したり、ウェットフードを取り入れたりして、水分摂取量を増やす工夫をする
- トイレを清潔で快適に保つ: こまめに掃除し、猫が落ち着いて排尿できる場所に設置する
- ストレスを減らす: 安心して過ごせる場所を用意し、生活環境の急激な変化をできるだけ避ける
- 原因に応じて食事を管理する: 尿石症などと診断された場合は、獣医師の指示に従って適切な療法食を使用する
- 排尿の回数や量を確認する: トイレの回数や猫砂にできる尿の塊の大きさを日頃から確認し、変化に早く気づけるようにする
ただし、おしっこが出ない・少ない原因によって、適切な予防法は異なります。
特に、尿道閉塞や尿石症などの治療を受けた猫は、獣医師の指示に従って定期的に検査を受け、再発の有無を確認しましょう。
また、膀胱炎や尿石症の再発予防では、食事管理が重要になる場合もあります。
フードの選び方や水分摂取量を増やす工夫については、以下の記事で詳しく解説しています。
よくある質問

猫のおしっこが出ない・少ない場合について、よくある質問をまとめました。
猫のおしっこが12時間出ない場合は危険?
12時間おしっこが出ていることを確認できない場合は、動物病院に相談してください。
特に、何度もトイレに行くのに尿が出ない、または数滴しか出ない場合は、尿道閉塞の可能性があります。
尿道閉塞は短時間でも危険な状態になることがあるため、12時間経っていなくても、排尿できない場合はすぐに受診しましょう。
水を飲んでいてもおしっこが出ないことはある?
水を飲んでいても、尿道閉塞などによっておしっこが出なくなることがあります。
飲水量が普段と変わらず、元気や食欲があっても、尿道閉塞を否定することはできません。
何度も排尿姿勢を取るのに尿が出ない場合は、すぐに動物病院を受診してください。
トイレに行かない場合も病気の可能性はある?
トイレ環境への不満やストレスのほか、脱水や腎臓の病気などが原因で、トイレに行く回数が減る場合もあります。
トイレ以外の場所で排尿していないか確認し、排尿が確認できない場合は動物病院へ相談しましょう。排尿姿勢を取っても尿が出ない場合は、すぐに受診してください。
まとめ
猫のおしっこが出ない・少ない原因には、尿道閉塞や膀胱炎、尿石症、脱水など、さまざまなものがあります。
特に、何度もトイレに行くのにおしっこが出ない、または数滴しか出ない場合は、尿道閉塞の可能性があるため、すぐに動物病院を受診してください。
元気や食欲があっても、排尿できない状態を放置するのは危険です。
また、再発を防ぐためには、原因に応じた治療に加え、水分摂取やトイレ環境、食事の管理なども大切です。
日頃から愛猫のおしっこの回数や量を確認し、普段と違う様子が見られた場合は、早めに獣医師へ相談しましょう。

ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。










