猫は犬に比べて目の疾患が出やすいため、目薬を処方される機会も多いですが、たいていの猫は目薬が嫌いです。
無理に捕まえて目薬をさそうとすると嫌われてしまい、普段から飼い主に寄り付かなくなるなど、なおさらさしにくい状況になる可能性があります。
だからといって放置すると目の症状はなかなか良くならず、悪化してしまう場合もあります。
ここでは基本的な目薬のさし方から、暴れて逃げる猫にもさすことができる裏技やコツを伝授します。
目次
猫への目薬のさしかた
まずは猫への基本的な目薬のさしかたを説明します。
以下の手順で猫の体を支えることから始めます。
それぞれのやり方について、次の項目で詳しく説明します。
後ろから覆いかぶさるように支える
・テーブルなど少し高い場所に、猫と人を同じ方向に向かせて座らせます。
・猫の体に後ろから覆いかぶさるようにし、上から包みこみます。
こうすることで、猫がジャンプして逃げ出したり、お尻を後ろ側にずりずりと引きずって逃げたりするのを防ぐことができます。
下から包むように顎を持つ
・親指と人差し指の間を広げ、他の指はそろえた状態にします。
・広げた親指と人差し指で下から包むように、猫の顎を持ちます。
この時に自分の腕は猫の体に引き寄せ、肘は台につけておき、猫が左右に暴れるのを防ぎます。
猫の頭の後ろ側から目薬をさす
・目薬は、親指、中指、人差し指でしっかりと握り、先が下を向くようにします。
・しっかり脇をしめ、手の小指の下あたりの側面を猫の耳あたりにつけます。
・そのまま猫の頭の後ろ側から目薬をさします。
目薬を持っている手の空いている指、または顎を捕まえている親指、人差し指で猫のまぶたや顔の皮膚を少し引っ張り、眼を開けさせることができると、さらにさしやすくなります。
上手に目薬をさす裏ワザ
ここでは暴れて逃げてしまう猫ちゃんでも、簡単に目薬をさせる裏技を紹介します。
猫を洗濯ネットに入れる
実は実践者も多い、洗濯ネットに入れる方法があります。
狭い場所を好む猫の性質を利用した方法で、こうすることで暴れん坊な猫でも途端に落ち着くことがあります。
網目の大き目な猫の倍くらいのサイズのネットを用意し、中におやつを入れる、毛布でくるんでおとなしくさせるなど、工夫して中に入れましょう。
無事洗濯ネットの中に猫を入れることができたら、チャックなどの開閉部分から顔だけ出します。
あとはそのままネットの上から猫の上におおいかぶさり、目薬をさします。
猫をバスタオルで包む
猫をバスタオルで包み、暴れない状態にしてからさす方法もあります。
・テーブルなどの上にバスタオルを敷きます。
・その上に猫を乗せ、しっぽ側のバスタオルを前に折り返します。
・顔の部分のバスタオルを首にピッタリ沿うようにし、お尻側に向けて折り返します。
・バスタオルの左右を体に巻き付けます。
・猫の上に覆いかぶさり、目薬をさします。
バスタオルで猫の体をすっぽりと包むことができるため、前足で目をかくなどの行為を防ぐこともできます。
ちゅ~るで気をそらす
猫ちゃんの大好きなおやつ、ちゅ~るを使って目薬をさす方法です。
おやつに関心を向けさせ、目線をそらすことで不安感を解消します。
・猫にちゅ~るをあげます。
・ぺろぺろなめ続けている猫の目が真上を向く角度になるように、ちゅ~るの位置を調整します。
・真上に向いた目に向かって、上から目薬をさします。
寝ているときにさす
触られることが大嫌いで、なかなか抱っこできない猫の場合、寝ている時にさす方法があります。
・猫を起こさないようにそっと近づきます。
・猫の目のまぶたの縁、まつ毛の生え際に1滴ずつ目薬をさします。
目薬を眼の縁やまつ毛の生え際に垂らしてあげるだけでも、涙が流れる管「涙道」を通って、眼全体に有効成分がいきわたります。
目薬をさす時のコツ
目薬をさすにはいくつかコツがあるため、ここでは4つのコツを紹介します。
目薬を視界に入れない
人間もそうですが、猫も目の前から得体のしれないものが近づいてくると恐怖を感じます。
そのため目薬を手に持ち、猫の真正面から迫るのはやめましょう。
目薬を視界に入れないように、直前まで手の中に隠し、さすときはさっと後ろからさしましょう。
参考
目薬のさし方 – 草津犬猫病院(滋賀県草津市の動物病院)(外部リンク)
強くおさえすぎない
猫が逃げてしまわないようにおさえることは大切ですが、逃がさないように強くおさえすぎてしまうと、力がはいりすぎて猫が痛い思いをするため、目薬は嫌なものだというイメージを植え付けてしまいます。
猫が逃げない程度の力でおさえてあげましょう。
役割分担をする
家族に協力してくれる人がいる場合は、二人がかりで目薬をさしましょう。
ひとりでやるよりも楽に、早く終えることができます。
・ひとりが猫の上に覆いかぶさり、逃げないように体と顔を固定し、指で顔の皮膚やまぶたをひっぱりあげて目を開けます。
・もうひとりが猫の後ろ側からさっと目薬をさします。
皮膚や毛から離してさす
目薬をさすときは、皮膚や毛から離してさすようにしましょう。
犬や猫の毛には雑菌がいるため、目薬の先端が触れてしまった場合、ボトル内に雑菌が入り込みボトルの中で増えます。
そうなると雑菌だらけの目薬液を猫の目にさすことになってしまい、よけいに症状が悪化する可能性があります。
もし皮膚や毛が目薬についてしまった場合は、医師に相談するか、新しい目薬に変更しましょう。
猫が暴れる、嫌がる場合は?
猫が暴れて嫌がっている場合、無理に押さえつけてしまうと恐怖心が植え付けられ、飼い主の顔や目薬を見るだけで逃げ出してしまい、さらに点眼の難易度が上がる可能性があります。
そのときは一旦解放して仕切り直しをしましょう。
少し時間が経過し猫が落ち着いたら、普段通りになでてリラックスさせてから再挑戦します。
猫への目薬のよくある質問
ここでは猫と目薬に関する質問や回答を紹介します。
Q1:目薬を舐めてしまった場合は?
目薬をさすのに失敗してしまい、口の近くに液が垂れて舐めてしまったような場合、数滴程度の量ならとくに問題ありません。
そもそも目と鼻、喉の奥は細い管でつながっているため、目薬をさすと管を通って多少喉に流れます。
口に入ってはいけない成分は使用されていないため、少量なら問題ありません。
Q2:指示されていたよりも多くつけてしまったら?
ほとんどの目薬は、数滴多くさした程度ならとくに問題はありません。
しかし種類によって多くさしたことでトラブルになる可能性があるため、気になる場合は獣医師に確認しましょう。
Q3:目薬で猫から嫌われたりしませんか?
目薬をさされることに嫌なイメージを持ってしまった場合、嫌われる可能性があります。
以下をこころがけると、嫌われる度合いを軽くすることができます。
・普段どおりなでてリラックスした状態で、さっとさす
・仕方なく押さえつけてさした場合は、終わってから褒めてご褒美をあげる
「目薬=ご褒美をもらえる」など、良いイメージと結びつけてあげることができれば、目薬をしても猫に嫌われることはありません。
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