猫がドッグフードを食べることは、結論から言うとNGです。
しかし、犬と猫がいっしょに暮らす家庭では、うっかり飼い主さんが目を離したすきに猫がドッグフードを食べてしまうことも…。
ドッグフードは少量を食べた程度であれば問題ないとされていますが、中毒症状を引き起こす危険性や、与え続けることで健康を害する恐れがあります。
この記事では、猫がドッグフードを食べてはいけない理由と、食べてしまった時の対処法を解説していきます。
目次
猫がドッグフードを食べてはいけない理由
猫がドッグフードを食べてはいけない理由は、以下3つのリスクがあるためです。
ドッグフードを食べてすぐに健康を害することはあまりありませんが、長期的に食べることで影響を与える恐れがあります。
猫がドッグフードを食べてはいけない理由をリスクと併せて詳しく解説していきます。
タウリンが不足する
猫がドッグフードを食べ続けた場合、タウリンが不足するという問題が生じます。
タウリンとは、魚介類や動物の内臓などに多く含まれるアミノ酸の一種で、疲労回復や内臓機能の正常な働きを保つための重要な栄養素です。
猫にとっても必須の栄養素ですが、猫には体内でタウリンを生成する機能が備わっていません。
そのため食事で摂る必要がありますが、ドッグフードにはタウリンが含まれていないため、ドッグフードだけを食べ続けるとタウリンが不足してしまいます。
タウリン不足が続くと、下記のような病気や障害を引き起こす危険性があります。
・網膜萎縮症による失明
・拡張型心筋症
・生殖機能障害や発育障害など
【参考】
・アイン動物病院|猫に必要な栄養
・アルヒ動物病院 | タウリンについて
・坂井獣医科動物病院
中毒症状の危険性がある
猫がドッグフードを誤って食べてしまったとき、それがウェットフードであった場合は、特に注意する必要があります。
原材料に問題がなくとも犬用のウェットフードには、猫にとっては毒となってしまう保湿剤「プロピレングリコール」が含まれていることがあるためです。
猫がプロピレングリコールの含まれたドッグフードを食べてしまうと、貧血や中毒症状を起こす可能性があります。
プロピレングリコールは食品添加物のひとつで、キャットフードへの使用は禁じられていますが、犬用のウェットフードにはよく使われているため注意が必要です。
【参考】
環境省_ペットフード安全法基準規格等 [動物の愛護と適切な管理]
栄養バランスが崩れる
ドッグフードを猫が食べ続けると、栄養バランスが崩れる可能性があります。
犬と猫では必要とされる栄養素や必要量が異なるのです。
たとえば、1日に必要なタンパク質量で比較してみると、体重1kgにつき、犬が1.3〜2.8gに対し、猫は2.9〜3.9gと、猫の方が多くなっています。
また、ビタミンK、ビオチンなどは必須量が猫にしか定められていない栄養素です。
ペットフードはそれぞれに合った配合で作られているため、このような必須栄養素や必要量の違いから、ドッグフードを猫が食べ続けると栄養バランスを崩してしまう可能性があります。
【参考】
かみよし動物病院 犬・猫・ヒトの必要な栄養素の違い
ドッグフードとキャットフードの違い
ドッグフードとキャットフードの大きな違いは、それぞれに含まれる栄養素が異なることです。
犬は「雑食」、猫は「肉食」と両者の食性がそもそも異なっているため、それぞれが健康を維持するために必要とする栄養素も違います。
例えば栄養バランスで見てみると、犬と猫では必要な三大栄養素である炭水化物・脂質・タンパク質の割合が異なるのです。
肉食である猫は犬よりも脂質とタンパク質の割合が高く、キャットフードにも多く配合されています。
また、猫にとっての必須アミノ酸とされるタウリンは、犬は体内で生成できるためドッグフードには含まれていません。
猫にドッグフードを与え続けた場合に起こるリスク
ドッグフードを与え続けた場合、前述したタウリン不足が起こる可能性があり、特に注意が必要です。
タウリンは目や心臓、視力、繁殖、子猫の発達など、多くの重要な働きを担っていますが、猫は犬のようにタウリンを体内で生成できないため、食事から摂る必要があります。
しかし、ドッグフードのみを与え続け、食事からタウリンが摂取できない状態が続くと、タウリン欠乏症となり、特に心臓へ悪影響を与える恐れがあります。
また、タウリンが不足している母親から生まれた子猫は、体が小さかったり、虚弱になりやすい傾向にあります。
その他にも、猫にドッグフードを与え続けた場合、栄養不足から病気や体調不良を起こす可能性が高いです。
【参考】
みんなのどうぶつ病気大百科|猫の食事(2)成長と食事内容
猫がドッグフードを食べると失明するのは本当?
猫がドッグフードを食べると失明するという話がありますが、犬の食べ残しをうっかり食べてしまった程度ではすぐに影響が出るものではありません。
しかし、猫が長期的・継続的にドッグフードを食べる習慣があると、タウリン不足に伴う網膜萎縮症を起こし、失明する危険性があります。
また、網膜萎縮症に対する手術や治療薬はないため、視力の低下や異変に気づいてタウリンを与えても、回復は見込めず視力が元に戻ることはありません。
猫がドッグフードを食べてしまった時の対処法
犬と猫がいっしょに暮していると、飼い主さんが少し目を離したすきに愛猫がドッグフードを盗み食いしてしまったり、食べ残しのドッグフードを食べてしまうことがあります。
そこで、猫がドッグフードを食べてしまわないように、しっかりと対策をすることが大切です。
ここでは、猫がドッグフードを食べてしまった時の有効な対処法をご紹介します。
食事時間や食べる場所をずらす
犬と猫がいっしょに暮している家庭では、食べる時間や空間を工夫することが大切です。
猫は目の前に用意された自分の食事よりも、他の子が食べているものが気になってしまう習性があります。
そのため、猫と犬の食事場所と時間を同じにしてしまうと、犬の食事を猫が横取りしてしまうことがあります。
そこで、食事の時間をずらす、食べる時間が同じ場合は食べる場所を変えるといった工夫で、お互いの食事の奪い合いを防げます。
ドッグフードを置き餌にしない
ペットの好きなときに食べられるよう置き餌をすると、置き餌したドッグフードを猫が横取りしてしまう可能性があります。
また、置き餌でなくとも、犬の食べ残したドッグフードを猫がつまみ食いしてしまうこともあります。
置き餌はせずに、犬の食べ残したドッグフードもすぐに片付けましょう。
大量に食べてしまい吐いた・持病がある猫が食べてしまった時などは注意が必要
健康な猫が少量のドッグフードを誤って食べてしまった程度であれば、すぐに健康に影響するようなことは少なく、心配する必要はないでしょう。
しかし、大量に食べてしまった場合や、持病のある猫が食べてしまったときは、健康を害する恐れがあるため、注意が必要です。
猫がドッグフードを食べたあとに嘔吐や下痢が見られたり、、普段と異なる様子を見せたときは、念のため動物病院で診察を受けることをおすすめします。
猫にはキャットフードを与えましょう
キャットフードにはタウリンなど猫に必要な栄養素が配合されていて、ドッグフードより栄養価も高くなっています。
猫の健康を維持するためにも、猫にはキャットフードを与えましょう。
また、ドッグフードは猫が少量食べてしまった程度で影響が出ることは少ないですが、日常的に食べ続けることで栄養不足からなる深刻な病気につながる可能性があります。
そのため、猫にドッグフードを与えることは基本的にNGです。
誤って愛猫がドッグフードを食べてしまった経験がある飼い主さんは、今後は繰り返さないように餌の与え方を工夫してみてください。。
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