インコや文鳥がケージの床でふくらんだまま動かないと、「もしかして卵詰まり?」と不安になりますよね。
卵詰まりは時間との勝負になりやすい病気です。まずは見分け方と、病院へ行くまでにやることを確認しておきましょう。
- 床でじっとする・尾を上下に振って呼吸する・いきんでもフンや卵が出ないときは卵詰まりを疑う
- お腹を押したり卵を引き出したりはせず、保温して早めに動物病院へ
- 文鳥のような小さな鳥は悪化が速く、1〜2日ももたないことがある
- 1羽飼いのメスでも起きる。再発予防のカギは発情を抑える環境と食事の見直し
ぽちたま薬局では、インコ・文鳥など鳥類に使用されるお薬も取り扱っています。
鳥類の薬はコチラ
>>インコ・オウム・文鳥など鳥類に使われるお薬一覧へ
卵詰まりかも?すぐやること
卵詰まりは、メスの鳥が卵を体の外へ出せず、体の中にとどまってしまう状態です。
セキセイインコ・オカメインコ・コザクラインコでよく見られ、文鳥のようなフィンチ類でも起こります。
疑わしいときに家でやることは、次の3つです。
①保温して静かな場所に置く
動物病院でも、卵詰まりの鳥はまず温かく湿度のある環境に置き、体力を支えながら卵が出るのを助けます。
獣医師の解説では、29〜32℃(85〜90°F)ほどの温かく湿った環境で症状がやわらぐケースも多いとされています。
家ではケージを暖かい部屋に移し、ペット用ヒーターや毛布で保温しましょう。暑がる様子がないかも見ながら調整します。
弱っている鳥を何度も手に取ると負担になります。触るのは最小限にして、静かに過ごさせてください。
②鳥を診られる動物病院に電話する
犬猫専門の病院では鳥を診られないこともあります。受診前に電話で、鳥の診察ができるか確認しておくと安心です。
電話では「最後に卵を産んだ日」「フンが出ているか」「いつから床にいるか」を伝えると話がスムーズです。
移動中もキャリーごとタオルで包むなどして、体を冷やさないようにしましょう。
③自分で卵を出そうとしない
ネットでは「お腹をマッサージする」「卵を押し出す」といった方法も見かけますが、家ではおすすめできません。
獣医師向けの資料でも、卵を動かして出す処置は熟練が必要でリスクが高いとされています。動物病院では鎮静や麻酔をかけたうえで行う処置です。
殻が割れて卵管が傷つくと、手術が必要になることもあります。お腹を押す・総排泄孔に指や綿棒を入れるといったことは避けてください。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器のトラブル(飼い主向け)」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器の病気(獣医師向け)」/AFA Watchbird「獣医師コラム ― 鳥の卵詰まり」

- ケージの床でうずくまり、止まり木に戻らない
- 尾を上下に振るように、苦しそうに呼吸している
- 足に力が入らず立てない
- 血の混じったフンが出た、またはフンがほとんど出ない
1つでも当てはまる場合は様子を見ず、鳥を診られる動物病院への相談を検討してください。
卵詰まりの見分け方と症状
卵詰まりで見られる主なサインは、次のとおりです。産卵期や産卵が続いているときにこうした様子があれば、卵詰まりを疑いましょう。
| サイン | どんな様子か |
|---|---|
| 床でじっとしている | 止まり木に止まらず、ケージの床や隅でうずくまる |
| ふくらんで目を閉じる | 羽毛をふくらませ、目を半分〜全部閉じて元気がない |
| 尾を上下に振る | 呼吸に合わせて尾が上下に動く。呼吸が苦しいサイン |
| いきむ | フンをするような動きを繰り返すのに、何も出ない |
| フンの変化 | フンが減る・出ない、血が混じる |
| 産卵が急に止まる | 続けて産んでいたのに、急に産まなくなった |
| お腹のふくらみ | 下腹部がふくらんで見える |
セキセイインコでは、足を大きく開き、体を起こしてペンギンのような姿勢で座ることもあります。
一方で、いきむ様子がはっきりせず、ただ元気がないように見えるだけのケースもあります。
お腹に卵が触れなくても安心できない
「お腹を触って卵があるか確かめる」という見分け方もよく紹介されますが、これだけで判断するのは危険です。
卵が体の奥にあるときや、太っている鳥では外から卵を触れないことがあります。
とくにセキセイインコは脂肪のかたまりができやすく、触ってもわかりにくい鳥です。
反対に、お腹のふくらみは腫瘍や腹水など卵以外の原因でも起こります。確実な診断にはレントゲン検査が必要です。
フンが出ないのは危険なサイン
卵が骨盤のあたりで詰まると、腸や尿の出口をふさぎ、フンや尿が出にくくなります。
鳥は1日に40〜80回もフンをする動物です。それが止まるのは体にとって大きな負担で、腎臓や神経がダメージを受けることもあります。
さらに卵が太い血管を圧迫すると、ショック状態に陥るおそれもあります。「フンが急に減った・出ない」は見逃さないでください。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器のトラブル(飼い主向け)」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器の病気(獣医師向け)」/AFA Watchbird「獣医師コラム ― 鳥の卵詰まり」
文鳥は悪化が速いので要注意
卵詰まりの経過は鳥の種類によって差があります。
獣医師の解説によると、文鳥やカナリアのような小型のスズメ目の鳥は症状が急に出て、急速に悪化しやすいとされています。
一方、インコ・オウムの仲間は数日もちこたえることもあるそうです。
同じ解説では、小型の鳥は卵詰まりの状態に1〜2日以上は耐えられないとも述べられています。
症状が出てから亡くなるまでが早いケースや、目立った前触れなく急死するケースもあります。「明日まで様子を見よう」は、とくに文鳥ではおすすめできません。
出典:AFA Watchbird「獣医師コラム ― 鳥の卵詰まり」
卵詰まりになる主な原因
卵詰まりの原因はひとつではなく、いくつかの要因が重なって起こると考えられています。
- カルシウム不足:卵の殻を作るのにも、卵を押し出す筋肉が縮むのにもカルシウムが必要です。シード(穀物)中心の食事はカルシウムが少なくなりがちです
- 産卵の繰り返し:卵を次々に産むと体のカルシウムや栄養が消耗し、殻の薄い卵や柔らかい卵ができやすくなります
- 初めての産卵:初産の鳥も卵詰まりを起こしやすいとされています
- 肥満・運動不足:卵を押し出す筋力が落ちる原因になります
- ビタミンA不足:栄養の偏りも要因のひとつです
- 環境の問題:合う巣箱がない、急に冷え込んだなど、環境も影響します
- 卵管の病気・体質:卵管の病気や腫瘍、大きすぎる卵、遺伝的な要因が関わることもあります
1羽でも卵を産む
鳥のメスは、オスがいなくても卵を産みます(無精卵)。獣医師の解説では、卵詰まりはつがい相手のいない1羽飼いのペットの鳥でよく見られるとされています。
飼い主になつきすぎて発情が続くことも
飼育下の鳥は一年中温かい環境で、食べ物も十分にあります。こうした条件は、季節に関係なく発情が続く原因になります。
また、手乗りで育った鳥は飼い主をパートナーと感じることがあります。
背中やお腹をなでる、口移しや手から温かいものを与えるといった行動が、発情や産卵のきっかけになることもあります。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器の病気(獣医師向け)」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器のトラブル(飼い主向け)」/AFA Watchbird「獣医師コラム ― 鳥の卵詰まり」
動物病院での卵詰まりの治療
卵詰まりの鳥は、病院でも緊急として扱われることが多い状態です。弱っている場合は、検査より先に体を安定させる処置が優先されます。
| 段階 | 主な内容 |
|---|---|
| 体を安定させる | 保温・加湿、輸液、カルシウムの注射など |
| 検査 | レントゲンで卵の大きさや位置を確認。血液検査を行うことも |
| 産卵を助ける | 総排泄孔を潤滑する、子宮の収縮を促す薬を使うなど |
| 卵を取り出す | 鎮静・麻酔下で卵を取り出す。必要に応じて卵の中身を吸い出し、殻をつぶして出す |
| 手術 | 卵が卵管に癒着している、卵が複数ある場合などに検討 |
内科的な処置や、卵を取り出す処置がうまくいけば、見通しは比較的良好とされています。
ただし、卵を出したあとも最大24時間ほどは元気がないことがあります。翌日にもう1個卵ができている場合もあるため、病院での再チェックが大切です。
また、卵詰まりを放置したり繰り返したりすると、卵管に卵の材料が詰まる「卵塞」や、お腹の中で炎症が起こる「卵黄性腹膜炎」などにつながることもあります。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器の病気(獣医師向け)」
卵詰まりを防ぐ発情対策
卵詰まりは、産卵が続くほど起こりやすくなります。予防の基本は、発情を長引かせない環境づくりと食事の見直しです。
明るい時間を長くしすぎない
獣医師向けの資料では、卵を産みすぎる鳥は1日の明るい時間が12時間を超える環境で飼われていることが多いとされています。
夜遅くまで部屋の明かりがついている場合は、ケージにカバーをかけるなどして、暗く静かに眠れる時間を確保しましょう。
治療として、明るい時間を8時間まで短くする方法がとられることもあります。具体的な時間は獣医師と相談して決めてください。
巣箱やお気に入りのおもちゃを片づける
巣箱や、鳥が執着しているおもちゃ・鏡などは発情のきっかけになります。産卵が続くときは、いったん片づけることが勧められています。
なでるのは頭だけにする
背中や体をなでると、鳥にとって求愛のサインになることがあります。スキンシップは頭まわりにとどめ、口移しで食べ物を与えるのも控えましょう。
シード中心の食事を見直す
カルシウムやビタミンAが少なく、カロリーの高い食事は生殖器のトラブルを招きやすいとされています。
獣医師の指導のもと、ペレットを取り入れるなど食事のバランスを見直しましょう。カルシウムの補い方も、量を含めて獣医師に相談すると安心です。
環境や食事を変えても産卵が止まらない場合は、ホルモンの働きを抑える注射や埋め込み薬が使われることもあります。
出典:MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器の病気(獣医師向け)」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器のトラブル(飼い主向け)」

卵詰まりのよくある質問
Q. 卵詰まりは自然に治ることもある?
保温と加湿だけで卵が出るケースもあります。ただ、小型の鳥は長くはもちこたえられず、自然に出るのを待っている間に悪化することもあります。
「出るかもしれない」と待つより、早めに動物病院へ相談するのが安全です。
Q. 卵詰まりを放置するとどうなる?
フンや尿が出せなくなったり、血管が圧迫されてショック状態に陥ったりと、命に関わる状態に進むことがあります。
卵が割れて卵管が傷ついたり、卵管炎や卵黄性腹膜炎につながったりするおそれもあります。
Q. 1羽飼いのメスでも卵詰まりになる?
なります。メスはオスがいなくても卵を産むため、1羽飼いでも卵詰まりは起こります。飼い主になついている鳥は発情が続きやすい点にも注意しましょう。
出典:AFA Watchbird「獣医師コラム ― 鳥の卵詰まり」/MSD獣医マニュアル「ペットの鳥の生殖器の病気(獣医師向け)」
あわせて読みたい
インコ・文鳥のほかの病気や、爬虫類の卵詰まりについてもまとめています。
まとめ
- 卵詰まりは、メスの鳥が卵を体の外に出せなくなる状態。セキセイインコ・オカメインコ・コザクラインコ・文鳥などで起こる
- 床でうずくまる、尾を振って苦しそうに呼吸する、いきんでもフンや卵が出ないときは要注意
- 家では保温して静かに過ごさせ、お腹を押したり卵を出そうとしたりはしない
- 文鳥など小型の鳥は悪化が速いので、様子見せずに早めに動物病院へ
- 再発予防は、明るい時間・巣箱・なで方・食事を見直して発情を長引かせないこと
ぽちたま薬局では、インコ・文鳥など鳥類に使用されるお薬も取り扱っています。

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。








