チンチラの目のまわりが濡れていたり、目やにがついていたりすると、目の病気なのか、砂浴びの砂が入っただけなのか心配になりますよね。
じつはチンチラの目やには、目そのものより「一緒に出ている症状」を見るほうが原因をしぼり込みやすいんです。
- チンチラの目やにの主な原因は「砂浴びの砂による刺激」「細菌などの感染症」「歯の病気」の3つです
- チンチラでは、伸びすぎた奥歯の根が涙の通り道を圧迫して、涙目や目やにが出ることがあります。目薬だけで済ませず、歯のチェックも大切です
- 目だけの症状なら砂の刺激、鼻水やくしゃみもあれば感染症、よだれや食べ方の変化もあれば歯を疑う、というように一緒に出ている症状で見分けます
- 人用やほかの動物用の目薬・抗生物質は、自己判断で使わないようにしましょう

ぽちたま薬局ではチンチラに使用されるお薬も取り扱っています
すぐ受診したい目やにのサイン
目やにに気づいたら、まずは目のまわりだけでなく、食欲・フン・口元・鼻もあわせて確認しましょう。
次のような様子があるときは、様子を見ずに動物病院へ相談するのがおすすめです。

- 目やにで目が開かない、黄色や緑色の膿のような目やにが出ている
- 目やにと一緒に、食欲が落ちた・フンが減った・元気がない
- よだれが出る、あごや前足が濡れている、食べるのが遅くなった
- 目が飛び出して見える、顔や目のまわりが腫れている
- あごや首のあたりにしこりがある
- 頭が傾く、ふらつくなど、歩き方や様子がおかしい
MSD獣医マニュアルの獣医師向け解説では、チンチラの緑膿菌感染症は結膜炎が最初のサインになることが多く、そのあとに食欲不振や元気消失、フンの減少が続くことが多いとされています。
また、レンサ球菌の一種による感染症では、首まわりのしこり(膿瘍)と結膜炎が見られるとされています。
さらに、歯の病気が進んだチンチラでは、目の奥に膿がたまって目が飛び出して見える(眼球突出)ことがあると報告されています。
また、伸びすぎた歯の根が原因で、あごに膿瘍(うみのかたまり)ができることもあるとされています。目やにだけを見て「目の病気」と決めつけず、全身の様子もチェックしてあげてください。
出典:MSD獣医マニュアル「チンチラ(獣医師向け解説)」/MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」/Ciência Rural(2012)「チンチラの歯の病気から起こった細菌性結膜炎の症例報告」
一緒に出る症状で原因を見分ける
チンチラの目やには、原因によって一緒に出やすい症状が違います。目やにの様子とあわせて、次の表で当てはまるものを探してみてください。
| 一緒に見られる様子 | 考えられる原因 | ポイント |
|---|---|---|
| 目だけに症状があり、鼻水やくしゃみ、元気・食欲の変化はない | 砂浴びの砂による刺激 | 砂浴びの回数や時間が多すぎないかを見直す |
| 鼻水・くしゃみがある、食欲が落ちた、フンが減った | 細菌などの感染症 | 全身の病気の始まりのことも。早めに受診を |
| よだれ、あご・前足の濡れ、食べるのが遅い、体重が減った | 歯の病気(不正咬合) | 奥歯の根が涙の通り道を圧迫していることがある |
| 目が白っぽい、目をしょぼしょぼさせる、まぶしそうにする | 白内障・角膜の傷など | 目そのものの病気。目の検査が必要 |
もちろん、原因が1つとは限りません。たとえば歯の病気で涙があふれ、そこに細菌がついて目やにがひどくなる、というように重なって起こることもあります。表はあくまで目安として、気になるときは獣医師に相談しましょう。
涙目・目やにと歯の深い関係
チンチラの目やにで、ぜひ知っておいてほしいのが歯との関係です。チンチラの歯は一生伸び続けます。
MSD獣医マニュアルの飼い主向け解説では、伸びすぎた歯の根があごの骨や涙の通り道(涙管)を圧迫して、目の分泌物や、あごの膿瘍の原因になることがあるとしています。

ブラジルの大学が報告した3頭の症例では、どのチンチラも食べる量が減って体重が落ち、よだれと涙目が続いたあと、膿のような目やにが出るようになりました。
調べたところ、伸びた奥歯の根が涙の通り道(鼻涙管)をふさいでいて、涙が流れずにたまった目に細菌が感染していたことがわかっています。3頭とも、市販のペレットを中心に食べていたとされています。
同じ報告では、イギリスで歯の病気と診断されたチンチラ56頭のうち、11頭(約20%)に目の分泌物が見られたという調査も紹介されています。
食べていても注意
MSD獣医マニュアルの獣医師向け解説では、チンチラは歯の病気があっても、重い合併症が起こるまで食べられて体型も保てることが多いとされています。
「ごはんを食べているから歯は大丈夫」とは言い切れないので、涙目が続くときは歯のチェックもお願いしてみましょう。
歯の病気のサインとしては、よだれ、あごや前足の濡れ、食べ物の好みが柔らかいものに変わる、体重やフンの量が減る、毛並みが悪くなるなども挙げられています。歯について詳しくは、こちらの記事でも解説しています。
出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」/MSD獣医マニュアル「チンチラ(獣医師向け解説)」/Ciência Rural(2012)「チンチラの歯の病気から起こった細菌性結膜炎の症例報告」
砂浴びの砂による結膜炎
チンチラにとって砂浴びは、毛と皮膚を健康に保つために欠かせない習慣です。
ただ、MSD獣医マニュアルの獣医師向け解説では、砂浴びの回数が多すぎると目が刺激されて結膜炎になることがあり、その場合は鼻水などかぜのような症状をともなわないとしています。
つまり、「目だけに症状があって、鼻やくしゃみ、食欲には変化がない」ときは、砂浴びの砂が関係している可能性があります。
ただし、適切な砂浴びの頻度は、同じMSD獣医マニュアルの中でも記載が分かれています。
| 資料 | 砂浴びの目安 |
|---|---|
| 獣医師向け解説 | 週2〜3回、1回15分まで(砂の深さは約2.5cm) |
| 飼い主向け解説 | 毎日10分 |
どちらが正しいとは言い切れませんが、目やにが出ているときは、砂浴び容器を入れっぱなしにしていないか、1回の時間が長すぎないかを一度見直してみるとよいでしょう。
砂浴びを一時的に休むか、いつ再開するかは、受診したときに獣医師に相談してください。
出典:MSD獣医マニュアル「チンチラ(獣医師向け解説)」/MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」
感染症による目やに
MSD獣医マニュアルの獣医師向け解説では、「チンチラは感染症にかかりやすい」という印象は誤りで、ペットのチンチラが感染症にかかることは少ないとしています。
そのうえで、目やにの原因になる感染症として、次のようなものが挙げられています。
緑膿菌(りょくのうきん)
チンチラでもっとも重要な病原体とされ、結膜炎から見つかる菌としても最も多いとされています。
健康なチンチラの約40%からも見つかる菌で、ストレスやほかの病気、汚れた飲み水がきっかけで発症しやすくなるとされています。
結膜炎が最初のサインになり、その後に食欲不振や元気消失、フンの減少が続くことが多いため、目やにと一緒に体調の変化があるときは注意が必要です。
また、いくつもの薬が効きにくいタイプがよく見られるため、どの薬が効くかを調べる検査をもとに治療を選ぶことが勧められています。
レンサ球菌の一種
首まわりなどの皮膚の下にできるしこり(膿瘍)と、結膜炎が見られるとされています。人にもうつる可能性がある菌とされているため、診断されたら獣医師の説明に沿って衛生管理をしましょう。
人のヘルペスウイルス
チンチラは、人の口唇ヘルペスなどの原因になる単純ヘルペスウイルス1型に感染することがあるとされています。
症例報告では、結膜炎のあとにけいれんやふらつきなどの神経症状が出ており、目から感染して脳に広がったと考えられています。
まれな報告ではありますが、口唇ヘルペスが出ているときは、チンチラに顔を近づけない、お世話の前に手を洗うといった配慮をしておくと安心です(予防策として資料に明記されているものではありません)。
くしゃみや鼻水が一緒に出ている場合は、こちらの記事もあわせて確認してみてください。
目が白い・傷など他の目の病気
目やにや涙目のほかにも、チンチラは目のトラブルが少なくない動物です。
ドイツの大学の動物病院で2000〜2010年に診察したペットのチンチラを振り返った調査では、多かった目の病気は次のとおりでした。
| 目の病気 | 見つかった数 |
|---|---|
| 水晶体の異常(主に白内障) | 10頭・15眼 |
| 角膜の異常(主に角膜の傷) | 13頭・14眼 |
| 結膜の病気 | 9頭・10眼 |
この調査では、チンチラには目立たない小さな目の変化がよく見られるため、ふだんの健康診断でも目をしっかり調べることが勧められています。
また、MSD獣医マニュアルでは、年をとったチンチラに白内障などが起こることがあるとされています。
目を細める、しょぼしょぼさせる、目が白っぽく見えるといった様子があるときは、目そのものの病気の可能性もあります。目薬で様子を見る前に、動物病院で目の検査をしてもらいましょう。
出典:ベルリン自由大学 獣医学部(2014)「ペットのチンチラに見られた目の病気」/MSD獣医マニュアル「チンチラ(獣医師向け解説)」
家でできること・NGなこと
受診までのあいだや、受診後のケアで意識したいことをまとめました。
- 目のまわりの写真を撮っておく:目やにの色や量、片目か両目か、いつから出ているかを記録しておくと、診察で伝えやすくなります
- 食欲・フン・口元もチェックする:食べる量、フンの量と大きさ、よだれやあごの濡れがないかも見ておきましょう
- 砂浴びの頻度と時間を見直す:砂浴び容器を入れっぱなしにしていないか確認します
- 飲み水と給水器を清潔に保つ:汚れた飲み水は、緑膿菌に感染するきっかけの1つとされています
- 人用・ほかの動物用の薬は使わない:MSD獣医マニュアルの飼い主向け解説では、チンチラにとって安全ではない抗生物質もあるため、獣医師の指示があるときだけ使うよう勧めています。家にある目薬で済ませるのは避けましょう
目のまわりの汚れの拭き方や、固まった目やにの取り方は、受診したときに獣医師に教えてもらうと安心です。病気のチンチラはストレスを受けやすいとされているので、扱うときはやさしく、短時間で済ませてあげてください。
出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」/MSD獣医マニュアル「チンチラ(獣医師向け解説)」
動物病院で行われる検査
目やにで受診すると、原因に応じて次のような検査が行われることがあります。MSD獣医マニュアルの獣医師向け解説をもとに紹介します。
- 目やにの検査:緑膿菌は複数の薬が効きにくいタイプがよく見られるため、菌を育てて、どの薬が効くかを調べる検査(培養・薬剤感受性検査)をもとに治療を選ぶことが勧められています
- 歯の検査:起きている状態で口の中を見ると、病変の約半分を見落とすとされ、全身麻酔下での口の中の検査が勧められています。X線検査やCT検査で、歯の根の伸び具合を確認することもあります
チンチラを診てくれる動物病院は多くありません。元気なうちから、チンチラの診療に慣れた病院を探しておくと、いざというときに慌てずにすみます。
チンチラの目やにのよくある質問
片目だけでも受診したほうがいい?
片目だけの目やにでも、歯や感染症が原因のことがあります。
歯の病気から細菌性結膜炎になった3頭の症例報告では、2頭は両目、1頭は片目に目やにが出ていました。片目だけだからと安心せず、ほかのサインがないかもあわせて確認しましょう。
どのくらい様子を見ていい?
この記事で紹介した資料には、様子を見てよい期間の目安は示されていません。
受診したいサインに1つでも当てはまるとき、目やにがなかなか減らないとき、くり返すときは、早めに動物病院へ相談しましょう。
人やほかの動物にうつる?
原因によっては、うつる可能性があります。MSD獣医マニュアルでは、首のしこりや結膜炎の原因になるレンサ球菌の一種は人にうつる可能性があるとされています。
また、猫のヘルペスウイルスが飼い猫からチンチラにうつった報告もあります(このときチンチラに症状は出ていません)。多頭飼いや猫と同居している場合は、お世話のあとに手を洗いましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラ(獣医師向け解説)」)
あわせて読みたい
目のまわりの毛が抜けている場合や、ほかの小動物の目やにが気になる方は、こちらの記事もどうぞ。
まとめ
- チンチラの目やにの主な原因は、砂浴びの砂による刺激、細菌などの感染症、歯の病気の3つです
- 目だけの症状なら砂の刺激、鼻水・くしゃみや食欲低下があれば感染症、よだれや食べ方の変化があれば歯を疑います
- 伸びすぎた奥歯の根が涙の通り道を圧迫して、涙目や目やにが出ることがあります。食べていても歯の病気が隠れていることがあります
- 目が開かない、膿のような目やに、食欲やフンの減少、目の飛び出し、あごや首のしこりがあれば早めに受診しましょう
- 砂浴びの頻度は資料によって記載が分かれるため、気になるときは獣医師に相談してください
- 人用やほかの動物用の目薬・抗生物質は、自己判断で使わないようにしましょう
ぽちたま薬局ではチンチラに使用されるお薬も取り扱っています

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。






