チンチラの体に毛が抜けた部分を見つけると、病気なのかストレスなのか、すぐに病院へ行くべきなのか迷ってしまいますよね。
チンチラの脱毛は、見た目と抜けた場所でかなり原因をしぼり込めます。
- チンチラの脱毛の主な原因は「ファースリップ」「毛噛み」「皮膚真菌症(カビ)」の3つです
- 地肌がつるんときれいならファースリップ、毛が短く虫食い状なら毛噛み、フケやかさぶたがあれば真菌症を疑います
- 口のまわり・あご・前足が濡れて毛が抜けているときは、歯の病気のサインのこともあります
- 真菌症は人や他の動物にうつる可能性があるため、疑わしいときは早めに動物病院へ相談しましょう
ぽちたま薬局ではチンチラに使用されるお薬も取り扱っています
毛が抜けたら最初に見ること
脱毛に気づいたら、まずは抜けた部分の地肌の状態と、体調の変化を確認しましょう。
チンチラは毛がとても密なため、皮膚の変化に気づきにくい動物です。毛を指でそっと分けて、地肌を見てみてください。
MSD獣医マニュアルでは、体重の減少、背中を丸めた姿勢、毛並みのボサボサ、呼吸の乱れ、元気がないといった様子を、チンチラの病気のサインとして挙げています。
脱毛と一緒にこうした変化があるときは、脱毛そのものより体調不良を優先して考えましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」)

- 抜けた部分に赤み・フケ・かさぶたがある、または脱毛が広がっている
- 口のまわり・あご・前足が濡れていて、その部分の毛が抜けている
- 食欲が落ちた、体重が減った、フンが小さい・少ない
- 毛並み全体がボサボサしている、元気がない
- 家族の皮膚に赤い円形の発疹が出た(人の皮膚科も受診を)
反対に、抱っこやケンカのあとに一か所だけごっそり抜け、地肌がきれいで本人も元気なら、ファースリップの可能性が高いと考えられます。
ただし判断に迷う場合は、自己判断せずに動物病院で相談しましょう。
チンチラの脱毛は3タイプ
チンチラの毛が抜ける原因には、大きく分けて次の3つがあります。見分けるポイントは「地肌の状態」「毛の残り方」「場所」です。

| タイプ | 見た目・場所 | 主なきっかけ |
|---|---|---|
| ファースリップ | 大きな毛の束がごっそり抜け、地肌はつるんときれい | 乱暴な抱き方、ケンカ、強い興奮 |
| 毛噛み | 毛が短くかじられて虫食い状。肩・わき腹・体の側面・足に多く、下毛が見えて黒っぽく見える | ストレスなど。親から子へ受け継がれることも |
| 皮膚真菌症 | フケを伴う小さな脱毛。鼻・耳の後ろ・前足に多い | 真菌(カビ)の感染 |
MSD獣医マニュアル(獣医師向け・飼い主向け)の記述をもとに作成
ファースリップ:身を守るための自然な反応
ファースリップは、つかまれたときに毛の束を手放して逃げるための防御反応です。
MSD獣医マニュアルによると、乱暴な扱い、ケンカ、興奮しすぎる状況で起こり、毛が抜けたあとにはなめらかできれいな地肌が見えます。
病気ではありませんが、生えそろうまでに数か月かかり、新しい毛は色合いが違うことがよくあるとされています。
予防の基本は、毛をつかんで持ち上げないことです。慣れている子なら、しっぽの付け根を持ちつつ、もう片方の手で体の下を支えて抱き上げます。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラと暮らすうえでの注意点(飼い主向け)」、MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
毛噛み(ファーチューイング):ストレスのサインかも
毛噛みは、自分や同居している子の毛をかじってしまう行動です。
MSD獣医マニュアルでは、虫に食われたような毛並みになり、肩・わき腹・体の側面・足の毛が抜けると説明されています。下毛が見えるため、その部分が周りより黒っぽく見えるのが特徴です。
毛噛みは、本来の行動ができないストレスから起こる「転位行動」の可能性が指摘されています。また、母親から子へこのクセが伝わることも多いとされます。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
見落としやすいのが、毛噛みは歯の病気のサインのひとつにも挙げられている点です。ストレス対策をしても毛噛みが続くときは、歯のチェックも含めて動物病院で相談しましょう(口周りの脱毛は歯を疑う)。
皮膚真菌症(カビ):フケ・かさぶたがあれば要注意
皮膚糸状菌という真菌(カビ)が皮膚や毛に感染して起こる病気です。3タイプのうち、治療が必要で、人や他の動物にうつる可能性があるのはこの真菌症です。詳しくは次の章で解説します。
チンチラの真菌症の症状と原因
症状が出やすいのは鼻・耳の後ろ・前足
MSD獣医マニュアルによると、真菌症のチンチラには鼻、耳の後ろ、前足にフケを伴う小さな脱毛が見られます。
病変は体のどこにでも出る可能性があり、進行すると、境目のはっきりした広い範囲に炎症とかさぶたができるとされています。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)

「目の周りの毛が抜ける」と心配して調べる方も多いですが、目の周りは真菌症のほか、涙や目やにで毛が濡れて抜けることもあります。
涙が増えるのは歯の病気のサインにも挙げられているため、目の周りの脱毛が続くときは早めに相談しましょう。
「不潔にしているからなる」とは限らない
国内の飼育情報では、真菌症は「不衛生な環境で起こる」と説明されることがよくあります。
環境を清潔に保つことはもちろん大切ですが、獣医学の資料を見ると、話はもう少し複雑です。
MSD獣医マニュアル(獣医師向け)では、チンチラは症状を出さないまま真菌を持っている(不顕性キャリア)ことがあるとされています。
毛皮用に飼育されていたチンチラの調査では、皮膚が正常な個体の5%、毛にダメージがある個体の30%から、真菌(トリコフィトン・メンタグロフィテス)が見つかったと紹介されています。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
つまり、ケージをきれいにしていても、もともと真菌を持っている子が発症することはありえるということです。「ちゃんと掃除しているからカビではないはず」と思い込まず、フケやかさぶたがあれば一度診てもらうのが安心です。
資料で見方が違う
真菌症がどのくらい多い病気かは、同じMSD獣医マニュアルの中でも書き方が異なります。
飼い主向け版では「チンチラの感染症はまれだが、皮膚真菌症は例外」とされている一方、獣医師向け版では「症状が出ることは多くないが、症状のないキャリアがいる」とされています。
どちらにしても、脱毛があるならカビの可能性を外さずに考えるのが安全です。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」、MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
動物病院での検査と治療
MSD獣医マニュアルによると、真菌症は見た目に加えて、専用の培地で真菌を育てる培養検査や、毛の遺伝子検査(PCR)で診断されます。
犬や猫でよく使われる紫外線ライト(ウッド灯)の検査は、チンチラではあまり役に立たないとされています。チンチラの真菌症の多くは、この光で光らない種類の真菌が原因だからです。
治療は、抗真菌薬の飲み薬が第一に挙げられており、培養検査で2回続けて陰性になるまで続けるとされています。
見た目が治っても自己判断で薬をやめず、獣医師の指示に従いましょう。また、環境から再び感染することがあるため、本人の治療と同時にケージや用品の掃除・消毒も欠かせません。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
人用の水虫薬や、ほかの動物用の薬を自己判断で使うのは避けましょう。チンチラは体が小さく、薬の種類や量は獣医師の判断が必要です。
口周りの脱毛は歯を疑う
脱毛の場所が口のまわり・あご・前足なら、皮膚の病気だけでなく歯の病気も考えましょう。MSD獣医マニュアルでは、チンチラの歯の病気のサインとして次のようなものを挙げています。
- よだれで口のまわりの毛が汚れ、かさぶたができて毛が抜ける
- あごや前足が濡れてゴワゴワになる
- 涙が増える
- 毛並みが悪くなる、毛噛みをする
- 食べる量が減る、やわらかい物ばかり選ぶ、体重やフンが減る
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
前足は、よだれをぬぐうときに濡れやすい場所です。前足の脱毛は真菌症でもよく見られるため、濡れているか・フケがあるかをあわせて確認しておくと、受診時に伝えやすくなります。
歯のトラブルのサインや予防は、こちらの記事で詳しく解説しています。
人や他のペットにうつる?
3タイプのうち、うつる可能性があるのは皮膚真菌症です。MSD獣医マニュアルでは、チンチラの皮膚真菌症は人や他の動物にうつると明記されています。
実際に国内でも、飼っているチンチラから飼い主に真菌が感染したと考えられる症例が報告されています。
鼻の横に赤い発疹が出た女性の皮膚から真菌が見つかり、同じ時期に脱毛していたチンチラの患部からも同じ真菌が検出されました。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」、西日本皮膚科(2003)「チンチラから感染した体部白癬の1例」)
真菌症が疑われるあいだは、次のことを心がけましょう。
- お世話や掃除のあとはしっかり手を洗う
- 多頭飼いの場合はケージを分け、砂浴びの容器や掃除道具も共用しない
- 小さな子どもや、ほかのペットとの接触を控える
- 家族の皮膚に赤い円形の発疹が出たら、皮膚科で「チンチラを飼っている」と伝える
家でできる予防とケア
抱き方を見直す(ファースリップ対策)
毛をつかんで持ち上げないことが一番の予防です。慣れている子はしっぽの付け根を持ちながら体の下を支え、慣れていない子は無理に抱き上げないようにしましょう。
多頭飼いでケンカが続く場合は、ケージを分けることも検討してください。
隠れ家とストレス対策(毛噛み対策)
チンチラは臆病な動物で、野生では岩のすき間に身を隠して暮らしています。MSD獣医マニュアルでは、飼育下でも隠れられる場所が必要とされています。
ケージには身を隠せる巣箱やトンネルを置き、昼間は静かな場所で休ませてあげましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」、MSD獣医マニュアル「チンチラのすまいづくり(飼い主向け)」)
高温多湿を避ける
MSD獣医マニュアルでは、26.7℃を超える暖かく湿った環境では、チンチラの毛がもつれて固まるとされています。
毛玉やゴワつきが気になるときは、室温と湿度も見直してみましょう。暑さは熱中症の原因にもなるため、夏場は特に注意が必要です。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
砂浴びとケージの掃除
砂浴びは、チンチラの皮膚と被毛を健康に保つために欠かせません。ただし、砂を入れっぱなしにするとフンや食べ物で汚れてしまいます。
使ったあとは容器を取り出し、汚れた砂は交換しましょう。MSD獣医マニュアル(飼い主向け)のお世話チェックリストでは、床材は毎日交換し、ケージ全体は週に1回掃除・消毒することが勧められています。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」)
砂浴びの頻度
砂浴びの回数は、同じMSD獣医マニュアルでも版によって違います。
飼い主向け版では「深さ5〜10cmの砂で毎日10分ほど」、獣医師向け版では「深さ約2.5cmの砂で週2〜3回、1回15分まで」とされ、獣医師向け版は砂浴びのしすぎで目を傷めることがあるとも注意しています。
目の周りが赤い・涙が多いときは、砂浴びの頻度も含めて動物病院で相談しましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラのすまいづくり(飼い主向け)」、MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
真菌症の治療中は、砂浴びの砂を通して再感染したり、ほかの子にうつったりする可能性も考えられます。治療中の砂浴びの方法は、獣医師に確認しておきましょう。
チンチラの抜け毛Q&A
抜けた毛はまた生えてくる?
ファースリップの場合、毛は生えてきますが、MSD獣医マニュアルでは生えそろうまでに数か月かかり、新しい毛は色合いが違うことがあるとされています。
毛噛みや真菌症の場合は、原因に対処することが先決です。
換毛期で毛が抜けることはある?
国内の飼育情報では、チンチラにも換毛期があると紹介されることがあります。一方、今回確認したMSD獣医マニュアルには、チンチラの換毛期についての記載は見当たりませんでした。
いずれにしても、地肌が見えるほど抜けている、フケやかさぶたがある場合は、換毛期と決めつけずに相談するのが安心です。
チンチラの毛は1つの毛穴から何本生えている?
MSD獣医マニュアル(飼い主向け)では、チンチラは1つの毛穴から最大60本の毛が生えているとされています(人は1〜3本)。国内の飼育情報では「約80本」とされることもあり、数字には幅があります。
この密な毛のおかげで体温を保てる一方、皮膚の異常が外から見えにくいという面もあります。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの特徴と体のつくり(飼い主向け)」)
オス特有の「毛」のトラブルはある?
オスのチンチラでは、ペニスに毛が輪のように巻きつく「ファーリング」が起こることがあります。
MSD獣医マニュアルでは、痛みを伴い、尿が出なくなることもあるとされています。おしっこが出にくそう、陰部が腫れているといった様子があれば、すぐに動物病院へ相談しましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
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毛や皮膚とあわせて、毎日の様子から気づける体調のサインもチェックしておきましょう。
まとめ
- チンチラの脱毛は「ファースリップ」「毛噛み」「皮膚真菌症」の3タイプに分けて考えると見分けやすくなります
- 地肌がきれいならファースリップ、虫食い状で黒っぽいなら毛噛み、フケ・かさぶたがあれば真菌症を疑います
- 真菌症は症状のないキャリアもいるため、「清潔にしているから大丈夫」とは限りません
- 口のまわり・あご・前足が濡れて抜けているときや、毛噛みが続くときは歯の病気も考えましょう
- 真菌症は人や他の動物にうつる可能性があります。疑わしいときは早めに動物病院へ相談し、自己判断で薬を使わないようにしましょう
ぽちたま薬局ではチンチラに使用されるお薬も取り扱っています

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。







