「最近、足がうまく動かせていない気がする」
「背骨や顎が曲がってきた気がする…」
それはもしかしたら、くる病のサインかもしれません。
くる病は、カルシウム不足・ビタミンD3不足・UVB不足によって骨が弱くなる病気で、カナヘビ・ヤモリなど室内で飼育される爬虫類に多く見られます。
初期症状が非常にわかりにくく、悪化してから気付くことも少なくありません。
この記事では、くる病の基礎知識から、病院での治療、発症後に飼い主さんができることまでわかりやすく解説します。
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目次
くる病ってどんな病気?

くる病は、骨を作るために必要なカルシウムが足りなくなったり、うまく使えなくなったりすることで、骨が弱くなる病気です。
爬虫類では、カルシウム不足だけでなく、ビタミンD3不足やUVB不足、温度管理の不備などが関係して起こることがあります。
骨が弱くなると、足や背骨、顎、甲羅が変形したり、軽い衝撃で骨折してしまうことがあります。
カルシウムが骨に届くまでの仕組み
まず、健康な状態でカルシウムが骨に届くまでの流れを見てみましょう。
✅ 正常な流れ
それに対してくる病は、以下のような流れで発症します。
⚠️ くる病が起きるとき
参考
爬虫類の栄養性二次性副甲状腺機能亢進症の臨床解説(VIN Veterinary Partner)(外部リンク)
くる病は「飼育環境の病気」
くる病の多くは、遺伝や感染症ではなく、食事内容やUVBライト、温度管理など飼育環境が関係します
特に、成長期のトカゲやカメ、昆虫を主食にするカナヘビ・ヤモリなどでは注意が必要です。
食欲がある段階で発見できれば予後は良好ですが、進行すると重篤な状態になることもあります。
参考
爬虫類の代謝性・栄養性疾患の臨床解説(Merck Veterinary Manual)(外部リンク)
なぜ爬虫類はくる病になりやすいの?
室内飼育ではUVBが不足しやすい
野生の爬虫類は太陽光のUVBを浴びてビタミンD3を合成しています。
しかし室内飼育では、たとえ窓越しに日光が入っても、ガラスがUVBをほぼ遮断してしまいます。
UVBライトがなければ、ビタミンD3が十分に合成できず、カルシウムを与えても吸収されにくくなります。
昆虫だけではカルシウムが不足しやすい
カナヘビ・ヤモリなどの昆虫食種で特に問題になるのが、餌のカルシウムとリンの比率です。
コオロギ・ミルワームなどの昆虫は、そのままではカルシウムが少なく、リンとのバランスが崩れやすいです。
そのため、必要なカルシウムが不足しやすくなります。
また、カルシウムを与えていても、量が足りなかったり、UVB・ビタミンD3・温度管理などが不十分だったりすると、うまく利用できないことがあります。
こんな症状が出たら要注意
くる病の初期症状は非常にわかりにくく「なんとなく元気がない」程度に見えることがほとんどです。
その為、日々の調子の波ぐらいに捉えられることが多いです。
- 動きが鈍い・歩き方がぎこちない
- 食欲が落ちている
- 体を持ち上げられない・腹ばいになる時間が増える
しかし、進行すると外見に明らかな変化が見られるようになります。
- 四肢の変形・曲がり
- 背骨の湾曲
- 顎が柔らかくなる・変形する(ラバージョー)
- 自発骨折(軽い衝撃で骨が折れる)
- 指先・尻尾がピクピクする
- 痙攣発作
種類別のリスクと症状
くる病を発症しやすい爬虫類と、原因、現れやすい症状を表にまとめました。
| 種類 | 主な理由 | 見られやすい症状 | リスク |
|---|---|---|---|
| カナヘビ | 昆虫食でカルシウム不足になりやすい・日光浴やUVBライトが重要 | 体を持ち上げられず腹ばいで移動する・尻尾や四肢が曲がっている・食欲の著しい低下 | ★★★ 高い |
| ヤモリ | 昆虫食でカルシウム不足になりやすい・種類によってUVBやビタミンD3管理が必要 | 指がうまく使えず壁に張り付けない・指先・尻尾がぴくぴくする・体が痩せてきた | ★★☆ 中〜高い |
| カメ | 甲羅や骨の成長にカルシウムとUVBが重要・成長期に特に注意 | 甲羅が柔らかくなっている・変形している・四肢が曲がっている・食欲の著しい低下 | ★★★ 高い |
すぐ病院へ!様子見NGのサイン

くる病は一度進行すると完全に元の状態に戻ることが難しい病気です。
進行を止めることはできても、すでに変形した骨を元に戻すことはほぼできません。
その為、早期発見・早期治療が何より重要です。
- 体を持ち上げられない・腹ばいのまま動けない
- 四肢・背骨・顎に変形が見られる
- 指先・尻尾がぴくぴくする
- 痙攣発作が起きている
- 骨折している・または骨折が疑われる
- 食欲がまったくない状態が続いている
特に痙攣発作・骨折・体を持ち上げられない状態は緊急性が高いため、すぐに動物病院へ連絡してください。
病院ではどんな治療をするの?
診断について
レントゲン検査で骨の状態や変形、骨折の有無を確認します。
必要に応じて血液検査を行い、カルシウムやリンなどの状態を確認することもあります。
主な治療法
治療では、症状の程度に応じてカルシウム剤やビタミンD3の補充、輸液、鎮痛剤などが使われることがあります。
骨折や痛みがある場合は、固定処置や痛みを抑える治療が行われることもあります。
また、くる病は薬だけで治す病気ではありません。
UVBライト、温度管理、食事内容を見直すことが、治療と再発予防のためにとても重要です。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| カルシウム注射 | 重症の場合、グルコン酸カルシウムを注射で補給する |
| 経口カルシウムサプリ | 獣医師の指示に従い、一定期間継続して補給する |
| ビタミンD3補充 | 不足している場合は注射または経口で補充する |
| 鎮痛剤 | 骨折・痛みがある場合はメロキシカムなどを使用する |
| 抗菌薬 | 傷や二次感染が疑われる場合に使用されることがある |
| 飼育環境の改善 | UVBライトの設置・食事内容の見直しが治療の最重要ポイント |
鎮痛剤「メロキシカム」は、ぽちたま薬局でも取り扱いがございます。
※商品ページは犬猫用のご説明となっている点にご注意ください。投与法・投与量については、獣医師と相談の上慎重にご利用ください。
参考
獣医師によるMBD治療の実践解説(WPVet Reptile Rounds)(外部リンク)
【発症後】飼い主さんができること

経口サプリの与え方
病院から処方・推奨された経口カルシウムサプリは、獣医師の指示通りの量・頻度で継続することが大切です。
- 液体タイプは飲み水に混ぜるか、シリンジで直接投与する
- 粉末タイプは餌にまぶして与える(ダスティング)
- 自己判断で量を増やさない(高カルシウム血症のリスク)
- 症状が改善しても、獣医師の指示なく中断しない
UVBライトの改善
くる病の根本原因がUVB不足の場合、ライトの改善が治療・予防の両方に直結します。
- 種類に合ったUVB強度のライトを選ぶ
- ライトからの距離・照射時間を適切に設定する
- UVBライトは使用時間とともに紫外線量が低下するため、6〜12か月を目安に交換する
- ガラス・アクリル越しではUVBが届きにくいため、遮るものがない位置に設置する
種類別の注意点
カナヘビの場合
野生で採集された個体の場合は特に、室内飼育に切り替えた際ににUVBが不足しやすく、カルシウム・ビタミンD3の欠乏に陥りやすい傾向があります。
天気の良い日には、脱走や熱中症に注意しながら、短時間の日光浴の機会を作ってあげることも効果的です。
体温管理は消化や代謝にも直結するため、適切な温度環境を整えることもくる病予防の重要な要素です。
ヤモリの場合
ヤモリは夜行性の種類が多いですが、種類や飼育環境によってはUVBライトが役立つことがあります。
レオパ(ヒョウモントカゲモドキ)は強いUVBを必要としない場合もありますが、飼育環境や食事内容に不安がある場合は、低UVBライトの設置も検討してみましょう。
また、骨が弱くなっている場合は、温浴やハンドリング時に骨折させてしまう危険があるため、慎重に扱いましょう。
カメの場合
カメは甲羅や骨の形成にカルシウムを多く必要とするため、特に幼体・成長期はカルシウム不足に注意です。
水棲ガメの場合は水質の悪化が体調不良で起こすこともあるので、水はこまめに替えましょう。
また、体を温められる場所を必ず確保し、自然な体温調節ができる環境を整えてあげましょう。
発症を防ぐ日常ケアと予防
くる病は、適切な飼育環境を整えることで予防しやすい病気です。
日頃から以下のポイントを意識して、発症・再発を防ぎましょう。
UVBライトを正しく使う
UVBライトは種類によって照射できる紫外線の強さが異なるため、爬虫類に合った強度のものを選びましょう。
また、UVBライトは使用時間とともに紫外線量が低下していくため、6〜12か月を目安に交換しましょう。
ガラスやアクリル越しではUVBが届きにくくなるため、遮るものがない位置に設置することも大切です。
ダスティングを習慣化する
餌昆虫を与える前に、カルシウムパウダーをまぶして与えることを「ダスティング」といいます。
カルシウム単体のパウダーと、カルシウム+ビタミンD3が配合されたパウダーを使い分けながら与えるのが一般的。
ただし、ビタミンD3は過剰摂取すると臓器にダメージを与えることがあるため、適量を守りましょう。
ガットローディングを行う
ガットローディングとは、餌昆虫に栄養価の高い食材を事前に食べさせてから爬虫類に与える方法です。
ダスティングとあわせて行うことで、餌昆虫の栄養バランスをさらに高めることができます。
定期的な体重・体型チェック
週に1回程度を目安に体重を測定し、急激な減少がないか確認しましょう。
あわせて、身体の形状に変化がないかも観察することが早期発見につながります。
定期健診を受ける
症状が出ていなくても、年に1〜2回を目安に爬虫類を診られる動物病院で検診を受けることをおすすめします。
血液検査でカルシウム・ビタミンD3の値を確認することで、発症前に対処できることもあります。
変形した骨は戻らない、早期発見を!
くる病は、カルシウム・ビタミンD3・UVBの不足によって骨が弱くなる病気です。
一度変形した骨は元に戻らないため、早期発見・早期治療が何より重要です。
しかし、食事管理や環境管理を見直すことで多くの場合は予防できる病気でもあります。
少しでも気になる変化があれば、早めに爬虫類を診られる動物病院へ相談しましょう。
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