犬のバベシア症とは?症状や治療法、予防策まで徹底解説

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犬のバベシア症とは?症状や治療法、予防策まで徹底解説

犬のバベシア症は、マダニが媒介する感染症のひとつです。

この病気にかかると、貧血や発熱、黄疸などの症状が見られ、さらに尿の色が茶色や赤っぽくなる血色素尿を引き起こすこともあります。
感染が進むと、軽度の症状でも悪化して命にかかわる可能性があるため、早期発見と適切な治療が重要です。

本記事では、犬のバベシア症について、症状の詳細や治療法、予防策について解説します。

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犬のバベシア症とは

犬のバベシア症は、マダニが原因で起こる感染症です。
感染の仕組みは、バベシア原虫に感染したマダニが吸血する際に、犬の血液中に原虫を送り込むことで、犬の体内に入り込むことから始まります。

バベシア原虫にはいくつかの種類がありますが、国内でよく見られるのは「Babesia gibsoni」です。
この原虫は、犬の赤血球に寄生しながら破壊を繰り返し、体内で増殖します。

犬のバベシア症の症状

犬のバベシア症の症状

犬がバベシア症にかかると、赤血球が破壊されることが原因で、さまざまな症状を引き起こします。
初期段階の軽い症状から、重症化して命にかかわる危険な状態に陥ることもあるため注意が必要です。

ここから、主な症状や合併症、重症化による影響について詳しく解説します。

主な症状

バベシア症の主な症状には、以下のようなものがあります。

■食欲不振や沈鬱(ちんうつ)
初期症状として、元気がなくなったり、食欲が低下したりします。

■溶血性貧血
赤血球が破壊されることで、以下の異常が見られます。
・歯ぐきやまぶたの裏などが青白くなる(粘膜の蒼白)
・皮膚や目が黄色くなる(黄疸)

■間欠的な発熱
一時的に高熱が出たり、治ったりを繰り返す場合があります。

■血小板減少症
血液が固まりにくくなり、以下の症状が現れることがあります。
・鼻血が出る
・歯茎からの出血

■嘔吐や体重減少
食欲不振が続くことで、体重が減少する場合があります。

■血色素尿(赤色や茶色の尿)
おしっこの色が赤っぽく変化することがあります。
これは血液が混ざることで起こります。

参考
犬バベシア症(外部リンク)

合併症

バベシア症が重症化すると、以下のような合併症が発生する可能性があります。

・腎機能障害
・肝機能障害
・神経症状

これらの合併症は、特に南アフリカで報告されているB. rossiによる重症例で多く見られます。
一方で、日本で主に感染が確認されているB. gibsoniでは、重篤な合併症の報告はありませんが、腎機能の低下が確認されているため注意が必要です。

腎機能障害

バベシア症による腎機能障害には、次のような特徴がみられます。

・脱水症状がなくても起こる腎障害
おしっこの量が極端に減少する、または仮性無尿や乏尿が見られる場合があります。

・尿検査での異常
おしっこに多量のタンパク質や、腎機能障害を示す円柱という物質が含まれることがあります。

・赤血球のうっ滞
原虫が感染した赤血球が腎臓内に停滞することで、腎機能を低下させる原因となることがあります。

神経症状

バベシア症が進行すると、以下のような神経症状が現れる場合があります。

・運動失調や筋肉の振戦
筋肉の震えや、正常な動作ができないといった様子が見られることがあります。

・意識障害
感染が脳にまで影響を及ぼすと、意識レベルが低下する可能性があります。

・低酸素による症状
貧血による酸素不足が、脳や神経系に影響を及ぼす場合があります。

なお、B. gibsoniが直接神経症状を引き起こすという明確な証拠はありません。
しかし、犬にとって重度の低酸素状態は、神経障害の原因となる可能性があります。

犬のバベシア症の診断方法

犬のバベシア症の診断方法

犬のバベシア症は、以下のような方法を用いて確定診断を行います。

・血液塗抹標本
顕微鏡を使用して血液を観察し、原虫の存在を確認する検査です。
ただし、原虫の寄生数が少ない場合には、感染の確認ができないこともあります。

・血液検査、遺伝子検査(PCR法)
血液検査では、バベシアに対する抗体を調べます。
PCR法では、バベシアの固有の遺伝子を増幅させて感染の有無を確認します。
血液塗抹標本で原虫を確認できない場合などに実施されることが多いです。

これらの検査を組み合わせることで、感染の有無を正確に判断します。

犬のバベシア症の治療方法

犬のバベシア症の治療方法

バベシア症に感染した犬の治療には、以下のお薬が使用されます。

・ジミナゼン
ジミナゼンは、世界中で最も広く使用されている抗バベシア原虫薬。
このお薬は駆虫効果が高く、速攻性にも優れていることが特徴です。

・ペンタミジン
・アジスロマイシン
・クリンダマイシン
など

これらのお薬は、抗菌作用や抗生物質としての効果を発揮し、原虫の増殖を抑えます。
治療の目的は、以下のように進められます。

1.原虫の増殖を抑制する

お薬を使用して、症状の悪化を防ぎます。

2.犬の体力を回復させる

治療中は、犬の免疫力や体力の回復をサポートします。

ただし、現在のところ、バベシアを完全に駆除できる治療薬は存在しません。
そのため、以下の点に注意が必要です。

・症状が改善しても、原虫が犬の体内に残ることがある。
・犬の体力や免疫力が低下すると、再発のリスクが高まる

治療後も再発防止のために定期的な健康チェックを行い、愛犬の健康状態を管理することが重要です。


犬のバベシア症の予防策

犬のバベシア症の予防策

犬のバベシア症を防ぐには、マダニに寄生されないことが重要です。
具体的な予防策を紹介します。

・マダニ駆除薬の定期的な使用
ネクスガードやクレデリオ錠などの駆除薬を定期的に投与することで、マダニから愛犬を守れます。
投与期間は地域によって異なりますが、一般的には春先から秋までが推奨されています。

・散歩後のチェック
散歩やお出かけの後は、愛犬の皮膚や被毛を丁寧に確認しましょう。
万が一マダニが寄生している場合、そのままにしないことが大切です。

・マダニの安全な除去
吸血しているマダニは頭部が皮膚に食い込んでいるため、無理に取り除くのは危険です。
見つけた場合は、速やかに動物病院を受診してください。

マダニが原虫を犬へ感染させるには、最低でも2~3日間の吸血が必要です。
そのため、早めのチェックと対策が予防につながります。

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よくある質問

犬のバベシア症に関するよくある質問と回答をまとめました。
予防や治療を考える際の参考にしてください。

バベシア症は完治しますか?

バベシア症は、適切な治療によって症状を改善することが可能ですが、完全な治癒は困難です。

軽度であっても症状を放置すれば、重症化して命にかかわる可能性もあります。

治療して症状が治まったあとでも、犬の体内には原虫が潜み続けるため、注意が必要です。

バベシア症は人に感染する可能性は?

犬のバベシア症は、人にうつる病気ではありません。
しかし、以下のような場合は犬同士で感染するリスクがあります。

・母犬から子犬への感染
・感染犬の血液を使用した輸血

犬のバベシアは再発する?

バベシア症に感染した犬は、回復したようにみえても、無症状のまま体内に原虫が潜んでいる状態です。
そのため、犬の体力や免疫力が低下したり、ストレスを感じたりすることで、再発することがあります。

まとめ

犬のバベシア症は、マダニの吸血によって感染が広がる危険な病気です。
原虫が赤血球に寄生して破壊することで、食欲不振や貧血、発熱、血色素尿など、さまざまな症状を引き起こします。

早期に治療することで症状を改善することは可能ですが、原虫を体内から完全に排除することは難しいのが現状です。
症状が治まったあとも無症状のまま、原虫が犬の体内に潜み続けるため、体力や免疫力が低下した際に再発する可能性があります。

犬のバベシア症は、重症化すれば命にかかわる可能性も否定できません。
愛犬に疑わしい症状がみられる場合は、まず検査を受けて適切に治療することが大切です。

バベシア症に対する最大の予防策は、マダニに吸血されないことです。
マダニ駆除薬の定期的な使用や、散歩後の被毛チェックを徹底することも欠かせません。
日ごろから愛犬の様子を観察し、定期的な健康診断を受けることで、早期発見・早期治療を心がけましょう。

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