エキノコックスとは、簡単に説明すると寄生虫の一種です。
主にキタキツネやネズミに寄生しますが、犬や猫も例外ではありません。
さらに人にも感染するため、ペットを飼っている方はとくにリスクがあります。
また、エキノコックスが多く生息しているのは北海道ですが、ほかの都道府県でも報告があるため注意が必要です。
この記事では、エキノコックス症の症状や感染経路、対策について解説していきます。
目次
エキノコックス症の症状は肝腫大や腹痛。脳に転移することも…
人で確認されているエキノコックス症の初期症状は以下の通りです。
・肝腫大
・腹痛
・黄疸
・貧血
・発熱
・腹水貯蓄
肝臓・肺・腎臓・脳などで包虫とも呼ばれるエキノコックスがゆっくりと増大し、周囲の臓器を圧迫します。
初期症状は肝臓の腫大、腹痛、黄疸、貧血、発熱など。これを放置すると、約6ヶ月で腹水が貯蓄し、死に至るとされています。
参考
・厚生労働省 エキノコックス症について (外部リンク)
エキノコックス症の致死率は?
エキノコックス症は、致死率の高い感染症。治療を受けなければ、多くの患者が死に至ります。
日本での死亡例も報告されており、決して他人事ではありません。
しかも手術を受けた場合であっても死亡率は平均2.2%に上っています。
治療後も患者の約6.5%が再発するとも言われており、回復には長い時間がかかってしまうのです。
参考
・厚生労働省検疫所 エキノコックス症について (ファクトシート)(外部リンク)
エキノコックス症の潜伏期間は5~15年
エキノコックスの潜伏期間は5~15年。そのため初期症状が発現するまで成人だと10年ほどと言われています。
エキノコックス症は肝臓に腫瘍に似た病変を発生させ、近くの臓器や離れている脳などの臓器にゆっくりと増大していくのが特徴。
自覚症状がなくとも感染している場合がある、恐ろしい病気なのです。
エキノコックスの人への感染経路は?
エキノコックスから人への感染経路は、主に動物との接触や水。
エキノコックスは、卵を食べた野ネズミの体内で幼虫になり、その野ネズミを食べたキツネの体内で成虫に成長します。
そしてキツネの体内でエキノコックスが卵を産み、糞と一緒に排出されます。
その卵が山菜や水につき、人の口に入ってしまうことで感染につながるのです。
また、犬や猫もキツネと同様エキノコックスにとっては終宿主なので、寄生されたネズミを食べることで感染する可能性があります。
エキノコックス症は人から人に感染する?
エキノコックス症は、人から人へ感染することはありません。
人が感染する原因になるのはエキノコックスの卵のみ。
そのため、万が一幼虫が口の中に入ってしまっても人はエキノコックスに感染しません。
エキノコックスは北海道以外にも生息している?
エキノコックスは、北海道以外にも生息しています。
寒冷な気候である北海道はエキノコックスの卵の生存に適しているうえ、野生のキツネやネズミなども多く生息しているため、感染が拡大しやすい地域です。
しかし、1927年~2001年の感染者数を見ると全国2位に青森、それ以外の地域でも感染報告がされていることがわかります。
なぜ北海道以外の地域でも感染者が出るのか、それには以下の原因が考えられます。
参考
・NHK青森放送局 エキノコックス症 北海道の病気じゃなかったの?(外部リンク)
北海道で感染した飼い犬が引っ越しで本州に渡った
もともとは北海道で飼われていた犬がエキノコックスに寄生されており、そのまま引っ越しで本州に渡ったことで感染が広がった可能性があります。
また、近年はペットと泊まれるホテルが増えて、旅行も一緒に楽しみやすくなりました。
そのため、北海道や海外などに旅行した際にペットがエキノコックスに寄生されて、感染が広がったということも考えられるでしょう。
エキノコックス症の対策はどうしたらいい?
ここまでエキノコックス症について解説してきましたが、どのような対策をしていけばいいのでしょうか。
たしかにエキノコックス症は危険な病気。しかし、しっかり対策すれば感染を防ぐことが可能です。
詳しい対策を、以下より説明します。
感染源となるキツネに触らない
エキノコックス症の感染源となるキツネには触らないようにしましょう。
普段は見る機会が少ないため、野生のキツネに遭遇したら触りたくなる気持ちもわかります。
しかし、キツネはエキノコックス症の感染源。観光などで北海道を訪れた際は、キツネや排せつ物などに触れないように注意しましょう。
よく手を洗う
エキノコックス症は、帰宅時によく手を洗って対策しましょう。
山に入った帰りはとくに気を付けたいですね。山にはキツネや野ネズミも生息しているため、植物にエキノコックスの卵が付着している可能性があります。
手はもちろん、山で採った山菜などもよく洗うことを徹底してください。
沢水や湧き水をそのまま飲まない
沢水や湧き水は、そのまま飲まないようにしましょう。
上水道や沸かした水などは人が飲んでも安全ですが、沢水や湧き水はエキノコックスの卵に汚染されている可能性があります。
自然の水=綺麗な水と思い込んでは危険です。
エキノコックス症の検査をすることも大切
エキノコックス症から自身を守るためには、検査をすることも大切です。
先述した通り、エキノコックス症に感染しても十数年は無症状。感染していたとしても気づけないかもしれません。
しかしキツネに触ったことがある方や、ペットが野ネズミを口にする可能性があるなら、感染しているかもしれないことを自覚しましょう。
発症前や無症状でも、検査によってエキノコックスを発見できる可能性があります。
早期発見できればエキノコックス症は治る
エキノコックス症は、早期に発見できれば治ります。
現在確立されている治療法は、薬物療法と手術で病変を切除するかの二択。根治するためには手術で切除するしかありません。
もし発見が遅くて病変を完全に切除できない場合、生涯にわたって再発を繰り返す恐れがあります。
エキノコックス症を完治させるためには、早期に発見して治療することが大切なのです。
犬や猫への感染を防ぐには?
先述した通りエキノコックスは犬や猫にも寄生するため、家でペットを飼っている方は注意が必要です。
犬や猫への感染を防ぐために、飼い主さんがすべき対策はどういったものがあるのでしょうか。以下で説明します。
野ネズミを犬や猫が食べないように注意する
犬や猫を飼っている場合は、野ネズミを食べないように注意しましょう。
感染した野ネズミを食べるとそこから犬や猫に感染します。放し飼いはしないようにして、散歩中も拾い食いに注意してください。
また、猫は犬に比べて寄生後の発育が悪く、エキノコックスにとっては非好適宿主といわれています。
とはいえ猫も野ネズミを食べる可能性があるため、感染しないとは断言できません。犬と同様、対策が必要でしょう。
エキノコックスに効果がある駆除薬を投与する
犬や猫への感染は、エキノコックスに効果がある駆除薬を投与することで対策できます。
実は犬や猫が感染した場合はほとんどが無症状。稀に下痢や血便、食欲不振などの症状も見られますが、大半は気づけません。
もしも症状が出てから対策をすればいいと考えているなら、それはとても危険なことです。定期的な駆除薬の投薬をおすすめします。
まとめ
エキノコックスは主にキツネやネズミに寄生しますが、犬や猫、人間にも感染します。
また、北海道以外の地域でも感染が報告されているためどこに住んでいても危険があることを覚えておきましょう。
エキノコックス症は、感染対策や早期発見による治療が大切です。
人から人へうつる可能性はありませんが、犬や猫は寄生される恐れがあります。
ペットには定期的に駆除薬を投与して、普段から対策してあげましょう。
ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフのブログです。
このブログではペットのご飯を中心にペットの健康について考えたいと思います。