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緑内障とは、眼圧(眼球にかかる圧力)が高くなり、眼球と脳を繋いでいる「視神経」や眼球の内側で光を感じる「網膜」を圧迫して目の機能の低下や細胞の死滅などを引き起こす病気です。
眼圧が上がって視神経が圧迫されると、目に強い痛みを伴ったり視界の一部が見えなくなります。
緑内障の症状が進行して重症化すると、完全に目が見えなくなってしまう可能性があります。
とくに、猫や犬などの動物が緑内障を発症した場合、気付かぬうちに発症してたった数日で進行して失明する恐れがあるため、注意が必要です。
猫の緑内障には以下の初期症状が見られます。
これらに加えて、角膜に傷ができたときや結膜炎などの初期症状として生じることもあります。
このほか眼圧が高くなることで生じる症状としては
などが挙げられます。
このような症状が見られるようであれば、緑内障を発症している可能性が高いと言えるでしょう。
なお、片目だけ瞳孔散大が生じている場合は、他の目の病気から続発して緑内障が発症していることが多いです。
末期の緑内障に進行すると「牛眼(眼球肥大)」が起こり、飛び出してしまうほど眼球が大きくなって目が閉じられなくなることも。
また、牛眼の影響で水晶体の位置がずれてしまい「水晶体脱臼」を引き起こす原因にもなります。
猫の緑内障は、ほかの目の病気によって生じる「続発性緑内障」によるものがほとんどです。
続発性緑内障の原因になる目の病気はさまざまですが、特に多いのが「ぶどう膜炎」です。
ぶどう膜炎は目の中で炎症が起こり、眼球内を満たしている「房水」の排出を妨げて眼圧を上げてしまうため、緑内障を引き起こします。
また、ぶどう膜炎になりやすい猫の特徴としては
などに当てはまる猫はぶどう膜炎になりやすく、緑内障を発症する可能性も高いと言えます。
遺伝や生まれつきによる「先天性緑内障」や目の病気がなく両目に発症しやすい「原発性緑内障」もありますが、猫に生じることはほとんどありません。
猫の緑内障は、1度発症してしまうと完治することはありません。
緑内障は視力を失ってしまうことがほとんどため、視力を保つよりも痛みを和らげることをゴールとして治療法を考える必要があリます。
一般的には、眼圧を下げたり炎症を抑える目薬で症状や痛みを和らげる方法、レーザー手術で眼圧を下げる方法、眼球摘出で痛みから解放する方法などが挙げられます。
以下では、より具体的な治療法を3つに分けてくわしく解説します。
緑内障を発症した場合、視力を維持することや眼圧を下げることが最も重要な治療となるため、目薬での治療を行います。
猫の目の状態によって処方される種類は異なりますが
など、視力の低下を防ぐことと同時に痛みを和らげることを目的としています。
このほか、視力を失っている場合でも、眼圧を下げて痛みを緩和させるために目薬が処方されます。
あまり不安がることはありませんが、稀に目薬による副作用が生じることもあります。
よく見られる副作用には、まぶたやまぶたの内側の腫れ、結膜の充血、目薬のによる痛みなどがあります。
目薬での治療にかかる費用の相場は7,000円程度で、費用の中には診察料・眼圧検査・目薬が含まれています。
なお、眼圧のモニタリングや10分から30分置きの目薬が必要で入院を伴う場合があり、その分費用が高くなることもあります。
ぽちたま薬局では「ドルゾックス点眼薬」の取り扱いがございます。
有効成分の「ドルゾラミド」が、眼圧の上昇を抑え、緑内障の進行を抑えます。
レーザー手術では、房水をつくる「毛様体」をレーザーで焼き、房水の生産と排出のバランスを正常な状態に保ち、眼圧を下げる効果が期待できます。
視力が残っていて、目薬での治療をしても効果が得られなかった場合に行うことが多いです。
レーザー手術は切開しない手術なので安全性が高く、出血や痛みを最小限に抑えられますが、高度な技術や専門の機器が必要となり、手術可能な動物病院が限られます。
また、手術後も眼圧検査や目薬による治療を継続する必要があるため、通院や治療費での負担が大きくなることも。
なお、レーザー手術の相場は15万円程度です。
手術費用に加えて、検査や目薬の処方などの費用含めてより高額になることが考えられます。
レーザー手術を検討している方は、どのくらい費用がかかるのかあらかじめ確認しておきましょう。
完全に視力を失っており、眼圧が下がらず痛みが続いている場合は、痛みから解放する手段として眼球の摘出手術を行うのもひとつの手段です。
猫は痛みがあると食欲がなくなったり元気に動き回ることがなくなり、日常生活に支障をきたして衰弱してしまう可能性も。
眼球の摘出を行えば、目の痛みから解放されるだけでなく目薬による治療もなくなり、ストレスなく元気に日常生活を送れるようになります。
ただ、愛猫の目がなくなってしまうことへの悲しみやつらさがあり、眼球摘出手術への抵抗がある飼い主も少なくありません。
もし眼球摘出後の見た目が痛々しく気になる場合は義眼を挿入する方法も検討できるため、一度獣医師に相談してみましょう。
なお、眼球の摘出手術の費用の相場は10万円前後です。
手術費用のほか、眼圧の検査、血液検査、レントゲンなどの検査費用もかかるため、やや高額になることが考えられます。
猫の緑内障は、発症すると完治することのない目の病気のひとつです。
緑内障を確実に予防することは難しいですが、感染症やケガなどを未然に防ぐほか、目の病気を早期発見し治療していくことで続発する可能性を格段に減らすことができます。
そのためには日頃から目やにや赤みなどの異常がないか注意深く確認し、食欲不振やじっとして動かないなどの異変を見逃さないことが大切です。
愛猫に少しでも異変を感じたら、すぐに動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。
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