猫の緑内障は、眼球内にある液体(房水)がうまく排出されなくなり、内部の圧力が高まって眼圧が上がる病気です。

眼圧が上がると視神経が圧迫されて激しい痛みが起こり、最終的に視力低下や失明を招く恐れがあります。
特に7~10歳のシニア期にかけて発症しやすいとされており、この年齢になる猫ちゃんは定期的に健診を受けておくと安心です。
緑内障になると、まずは目薬を用いて眼圧を下げることになります。
このとき使われる目薬には、大きく分けて2つのタイプがあります。
(1)房水の排出を促して眼圧を下げる目薬
(2)房水の産生を抑えて眼圧を下げる目薬
犬では(1)のタイプもよく使われますが、猫の場合は効果が乏しいケースが多く、一般的には(2)の「房水の産生を抑えて眼圧を下げる目薬」がメインで使用されます。
目の中の液体の量を減らして、パンパンになった眼球の圧力を逃がしてあげるイメージです。
>>緑内障の治療方法は、後半で詳しくご紹介しています。
ここからは、猫の緑内障に用いられる代表的な目薬を紹介します。
動物病院で処方されることが多い緑内障の目薬です。
有効成分のドルゾラミドが、目の中で房水が作られるときに必要な炭酸脱水素酵素の働きをブロックし、高くなった眼圧を下げてくれます。
>>トルソプト点眼液の詳細はこちら
上記の点眼液と同じ有効成分(ドルゾラミド)に、「チモロール」という成分を配合した、配合点眼薬です。
チモロールも房水の産生量を減らす作用をもち、これら2つの成分が異なるルートから減産に働きかけます。
より強力に眼圧を下げる必要があるときなど、獣医師の指示がある場合に使用されます。
>>ドルゾックス-T点眼薬の詳細はこちら
猫の緑内障では以下のような症状が見られます。
緑内障の初期症状は大変わかりにくいですが、見た目に若干の変化があらわれることがあります。
ぜひ、見分け方の参考としてください。
末期の緑内障に進行すると、視力が低下して壁にぶつかる、段差を怖がるといった行動の変化がみられます。
また、強い痛みから元気がなくなって食欲が落ちることもあります。

猫の緑内障は、一度発症してしまうと完治することはありません。
緑内障は視力を失ってしまうことがほとんどであるため、視力を保つよりも痛みを和らげることをゴールとして治療法を考える必要があリます。
一般的には、目薬を使って眼圧を下げたり炎症を抑えたりして痛みを和らげる方法、レーザー手術で眼圧を下げる方法、眼球摘出で痛みから解放する方法などが挙げられます。
以下では、より具体的な治療法を3つに分けてくわしく解説します。
前述したように、緑内障を発症した場合、視力を維持することや眼圧を下げることが最も重要な治療となるため、目薬での治療を行います。
猫の目の状態によって処方される種類は異なりますが、以下のとおり、主に眼圧低下や痛みの緩和を目的としています。
このほか、視力を失っている場合でも、眼圧を下げて痛みを緩和させるために目薬が処方されます。
目薬での治療にかかる費用の相場は7,000円程度(診察料・眼圧検査・目薬代含む)。
眼圧のモニタリングや10分~30分置きの目薬が必要で入院を伴う場合があり、その分費用が高くなることもあります。
いずれにしても、費用は地域や病院によって大きく差がありますので、事前に確認しておくと安心です。
レーザー手術は、房水をつくる「毛様体」をレーザーで焼くなどして、房水の生産と排出のバランスを正常な状態に保ち、眼圧を下げる効果が期待できます。
視力が残っていて、目薬での治療をしても効果が得られなかった場合に行うことが多いです。
切開を必要としないため出血や痛みを最小限に抑えられますが、高度な技術や専門の機器が必要となり、手術可能な動物病院は限られます。
また、手術後も眼圧検査や目薬による治療を継続する必要があるため、通院や治療費の負担が大きくなることも少なくありません。
レーザー手術の相場は15万円程度で、これに検査や目薬の処方などの費用含めると、さらに高額になることが考えられます。
レーザー手術を検討している方は、どのくらい費用がかかるのかあらかじめ病院へ確認しておきましょう。
完全に視力を失っており、眼圧が下がらず痛みが続いている場合は、痛みから解放する手段として眼球の摘出手術を行うのもひとつの手段です。
猫は痛みがあると、食欲がなくなったり元気に動き回らなくなったりして、日常生活に支障をきたして衰弱してしまう可能性があります。
眼球の摘出を行えば、目の痛みから解放されるだけでなく目薬による治療もなくなり、ストレスなく元気に日常生活を送れるようになることが期待できます。
ただ、愛猫の目がなくなることへの悲しみから、眼球摘出手術に抵抗を感じる飼い主さんも少なくありません。
眼球摘出後は眼窩を閉じる処置(眼窩縫縮)などが行われますが、病状や病院の方針によっては、義眼の挿入が可能な場合もあります。
見た目が痛々しくてつらい場合は、獣医師に相談してみましょう。
眼球の摘出手術の費用の相場は10万円前後です。
手術費用のほか、眼圧の検査、血液検査、レントゲンなどの検査費用もかかるため、さらに高額になることが考えられます。
最後に、猫の緑内障について、飼い主さんが抱きやすい疑問をまとめました。
猫の緑内障治療に使われる目薬では、点眼後に目がしみるなどの刺激症状が出ることがあります。
そのほか、お薬の種類によっては、目のかゆみ、充血、腫れ、皮膚の発疹のほか、吐き気や胃腸の不調が見られることもあります。
これらの症状が認められた場合は、すぐに使用を中止し、早めに獣医師の診察を受けてください。
残念ながら、猫の緑内障は完治が難しいとされる病気です。
基本的には眼圧を下げる目薬などを使いながら、痛みを緩和するための治療を続ける必要があります。
目薬によって眼圧をコントロールできれば、元気な状態を維持していくことは十分に可能です。
緑内障を放置すると、愛猫は強い頭痛のような痛みにさらされ続けることになります。
最終的には失明に至り、眼球が肥大化して合併症を引き起こすリスクも高まります。
少しでも異変を感じたら、一刻も早いケアが必要です。
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