ハムスターの毛が抜けてハゲている、フケやかさぶたが出ている…。小さな体に変化が見えると、どうしたらいいのか不安になりますよね。
- ハムスターの脱毛の原因は、ダニ・細菌やカビの感染、ケージへのこすれ、同居個体による毛かじり、タンパク質不足、ホルモンの病気、腎臓病、皮膚のリンパ腫など幅広く、見た目だけで1つに決めることはできません
- 家で確認したい手がかりは「かゆがっているか」と「どこが抜けているか」の2つ。動物病院に伝えると診断の助けになります
- かゆがらない脱毛=軽い、とは限りません。かゆみの少ない脱毛の中に、高齢期の病気が隠れていることがあります
- 体重が減っている、食欲が落ちている、脱毛が急に広がっているときは、早めに動物病院への相談を検討してください

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目次
ハムスターの脱毛で早めに受診したいサイン
脱毛の原因は幅広いので、まずは落ち着いて毛の抜け方だけでなく全身の様子を見てあげてください。脱毛と一緒に次のような変化が見られるときは、皮膚だけでなく体の中の病気が関わっている可能性があります。
たとえば皮膚のリンパ腫では、食欲の低下や体重の減少とともに、まだらな脱毛が見られると報告されています。
また腎臓の病気では、体重の減少に加えて飲む水の量や尿の量が増える(ケージが濡れやすくなる)ことがあります。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」/MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」

- 体重が減っている・食べる量が落ちている
- 脱毛が短い期間で目に見えて広がっている
- 皮膚が赤くただれている、じくじくしている、膿や血が出ている
- 水を飲む量や尿の量が増えた
- しこりやふくらみがある
- かゆがって掻き壊している、眠れないほど体を掻いている
- ダニの治療を受けたのに治らない、何度もぶり返す
かゆみと場所で見る、ハムスターの脱毛原因
ハムスターの脱毛は、ケージへのこすれ、食事のタンパク質不足、同居しているハムスターによる毛かじりといった生活上の原因から、ダニやカビの感染、ホルモンの病気、腎臓病、リンパ腫まで、さまざまな原因で起こります。
原因を特定するには、皮膚の検査や血液検査が必要になることもあります。
出典:MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
米国の獣医皮膚科専門医による解説では、うさぎやげっ歯類の皮膚病を「かゆみがあるタイプ」と「かゆみのない脱毛タイプ」に分けて考えています。家での観察もこの2つの軸で整理すると、動物病院で症状を伝えやすくなります。
出典:dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」
下の表は「こういう見た目のときに、こういう原因が候補にあがる」という目安です。当てはまっても、それだけで病名が決まるわけではありません。
かゆがっている脱毛で考えられる原因
| 場所・見た目 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 耳・鼻・顔・陰部・しっぽに、かさぶたやイボ状のできもの | 皮膚に穴を掘るタイプのダニ(ヒゼンダニの仲間) |
| 床材に触れるお腹まわりなど | 床材や掃除に使った洗剤などによる刺激 |
| 掻き壊した傷・赤み・じくじく | かゆみの原因に加えて、傷からの細菌感染 |
ヒゼンダニの仲間によるダニ症は、ハムスターでは主に耳・顔・陰部・しっぽに出るとされています。また床材については、洗剤や消毒剤が残ったケージのほか、シダー材などの木くずで刺激が出たという報告もあります。
出典:dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」
かゆみが目立たない脱毛で考えられる原因
| 場所・見た目 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 背中〜腰にかけて毛が薄く、乾いたフケが出る | ニキビダニ(毛包虫)症 |
| ケージの金網などにこすれる場所 | ケージへのこすれ |
| 多頭飼いで、毛がかじり取られたように短い | 同居しているハムスターによる毛かじり |
| 全体的に毛が薄い・毛づやが悪い | タンパク質不足など食事の偏り、腎臓病などの体の病気 |
| 左右対称に抜ける、皮膚が黒ずむ | ホルモン(副腎)の病気、皮膚のリンパ腫 |
| 丸く抜けて、フケ・かさぶた・赤みがある | 皮膚糸状菌(カビ)症 ※ハムスターではまれ |
出典:MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」/dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」/MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」
かゆみのない脱毛の中には、生活環境を見直せばよいものと、体の中の病気のサインになっているものが混ざっています。「かゆがっていないから大丈夫」と判断せず、体重や食欲もあわせて見てあげてください。
ハムスターのニキビダニ症はかゆくないことも
ハムスターの脱毛で特によく名前があがるのが、ニキビダニ(毛包虫)です。「ダニ=強いかゆみ」というイメージがありますが、ハムスターのニキビダニ症は少し事情が違います。
ニキビダニは健康なハムスターにもいる
ハムスターのニキビダニは珍しいものではなく、1匹に2種類が同時に見つかることもよくあります。そしてダニがいても症状が出ないことが多いとされています。
症状が出てくるのは、栄養不良・加齢・体の病気といった「きっかけ」があるときです。
毛並みが荒れる、毛が抜ける、フケが出るといった変化が、主に背中からお尻にかけて見られます。
かゆみの有無は資料によって書き方が違う
実は、ニキビダニ症でかゆみが出るかどうかについては、専門資料の間でも書き方が分かれています。
- MSD獣医マニュアル(獣医師向け):軽度〜中等度の脱毛、かゆみ、皮膚の赤みが、背中・後ろ足・顔に出るとしている
- 米国の獣医皮膚科専門医の解説:症状は通常かゆみを伴わない脱毛とフケで、2種類のうち片方のダニではかゆみが強めに出ることがあるとしている
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」/dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」
どちらか一方が間違いというより、「かゆみがあるとは限らない」と受け止めておくのが現実的です。かゆがっていなくても、背中を中心にフケを伴う脱毛があれば、ニキビダニ症も候補になります。
治らない・ぶり返すときは「きっかけ」を探す
ニキビダニ症の治療には、薬浴や、セラメクチン・イベルメクチンといった駆虫薬が使われます。
ただし、治療に反応しない、または再発を繰り返すハムスターでは、重い基礎疾患を抱えていることが多いと報告されています。
米国の獣医皮膚科専門医の解説でも、治療は症状が治まるまで続けながら、あわせて背景にある病気を探すことが勧められています。
ダニを減らすことと同じくらい、「なぜ今ダニが増えたのか」を動物病院で一緒に確認することが大切です。
出典:dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」
ダニの見分け方
ニキビダニは毛穴や皮膚の表面にすむダニで、家で見つけるのは難しいです。動物病院では、皮膚の表面を削り取ったり毛を抜いたりして、顕微鏡で確認します。
高齢ハムスターの脱毛は副腎?リンパ腫?
高齢のハムスターで、左右対称に毛が抜けたり皮膚が黒ずんだりすると、「副腎の病気(クッシング症候群)」の名前を目にすることがあります。ただ、この点も専門資料の間で見方が分かれています。
- 米国の獣医皮膚科専門医の解説:副腎の病気(副腎皮質機能亢進症)による脱毛はハムスターで最もよく見られるとしている。脱毛のほか、皮膚の黒ずみ、水をたくさん飲む・尿が増える、よく食べるといった変化が出ることがある
- MSD獣医マニュアル(獣医師向け):ゴールデンハムスターでは副腎の腫瘍(腺腫)自体はよく見られるものの、症状を伴うクッシング症候群が確認された報告は少ないとしている
出典:dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」/MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」
見分けにくい「皮膚のリンパ腫」
MSD獣医マニュアルでは、成体のゴールデンハムスターにときどき見られる皮膚型のリンパ腫が、初めのうちはまだらな脱毛と皮膚の黒ずみを示すため、副腎の病気と間違われることがあると注意を促しています。
皮膚型リンパ腫は食欲低下や体重減少を伴い、進行が速いとされています。
見た目が似ていても、病気によって対応や見通しは大きく変わります。高齢のハムスターの脱毛で、体重が減ってきた、短い期間で広がったという場合は、「年のせい」と決めつけず、早めに動物病院で検査を相談してください。
また、ジャンガリアンハムスターはゴールデンハムスターより腫瘍が多く、その多くが乳腺の腫瘍など皮膚まわりにできるものとされています。
脱毛と一緒にしこりに気づいたときも、早めの受診を検討しましょう。
病気ではない毛や皮膚の変化もある
毛や皮膚の変化がすべて病気というわけではありません。心配しすぎないために、よくある「正常な変化」も知っておきましょう。
ゴールデンハムスターの脇腹にある「臭腺」
ゴールデンハムスターの脇腹(肋骨の後ろあたり)には、左右1対の臭腺(フランクグランド)があります。皮脂腺と色素を持つ細胞、太い毛でできていて、なわばりのにおい付けに使われます。オスのほうが大きく、黒っぽく色づいているのが特徴です。
左右対称の位置に黒っぽい部分があっても、それだけで皮膚病とは限りません。
ただし、この臭腺は腫瘍ができることもある場所なので、急に大きくなった、盛り上がってきた、ただれてきたといった変化があれば動物病院で確認してもらいましょう。

毛の生え替わり
動物の皮膚病の一般的な解説では、抜け毛が増えても、まだらな脱毛や左右対称の脱毛ができていなければ、自然な毛の生え替わりの一段階である可能性が高いとされています。
抜け毛の量だけでなく、地肌が見えるほどのハゲができているかを確認してみてください。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「動物の皮膚トラブル」
ハムスターの皮膚病の検査と家でできること
動物病院で行われる主な検査
脱毛の原因を調べる検査には、皮膚の表面を削り取ってダニを探す検査、毛を抜いて毛の状態やダニ・カビを調べる検査、皮膚に押し当てたスライドで細菌を調べる検査、カビの培養検査などがあります。
体の病気が疑われるときは、血液検査が加わることもあります。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「動物の皮膚トラブル」/MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
受診するときは、次のようなことをメモしておくと役立ちます。
- いつ頃から、どこの毛が抜け始めたか(スマホで写真を撮っておくと変化を比べやすい)
- かゆがって体を掻く様子があるか
- 体重・食欲・飲む水の量に変化があるか
- 床材・フード・掃除用品を最近変えたか
- ほかのハムスターと一緒に飼っているか
家で見直したい飼育環境
- フードはハムスター用の総合栄養ペレットを中心に。種子類のミックスフードは、好きな種だけを選んで食べてしまい栄養が偏りやすいため避けるよう勧められています。タンパク質不足は脱毛の原因の1つです
- ケージは単独飼いが基本。同居個体による毛かじりやケンカの傷が脱毛や膿のたまり(膿瘍)につながることがあります
- 床材・掃除用品を見直す。刺激の強い木くずや、洗剤・消毒剤の拭き残しがないか確認しましょう
- 体にこすれる場所がないか確認する。ケージの金網などに体をこすりつけていないか様子を見てください
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」/MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」/dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」
ハムスターの皮膚病でよくある質問
ハムスターの皮膚病は人にうつる?
ハムスターにつくダニは、一般的には人には寄生しないとされています。一方で、皮膚糸状菌(カビ)による皮膚病は、ほかの動物や人にうつることがあります。
丸いハゲ・フケ・かさぶた・赤みが見られるときは、ケージの掃除は手袋をして行い、お世話のあとはしっかり手を洗いましょう。
出典:MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
なお、ゴールデンハムスターではカビによる皮膚病が自然に起こることは非常にまれとされています。うつるかどうかを必要以上に心配するより、まずは動物病院で原因を確認してもらうのが近道です。
ほかのハムスターにはうつる?
ニキビダニは直接の接触でうつるとされています。多頭飼いの場合、1匹に皮膚の症状が出たら、ほかの子の皮膚もチェックしてあげてください。
ハムスターの脱毛は自然に治る?
毛の生え替わりやケージへのこすれなど、原因が一時的なものや取り除けるものであれば、毛が戻ることもあります。
一方で、ダニ症や体の病気が原因の場合は、その原因に合わせた対処が必要です。地肌が見えるハゲが広がる、体重が減るといった変化があれば、自然に治るのを待たずに動物病院への相談を検討しましょう。
市販薬や犬猫用の薬を使ってもいい?
自己判断での使用は避けましょう。
ハムスターでは一部の抗生物質が腸内細菌のバランスを崩し、命に関わる下痢を起こすことがあるため、獣医師の処方がない抗生物質は与えないよう注意が促されています。
出典:MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
また、げっ歯類はこまめに毛づくろいをするため、体に塗った薬をなめて体内に取り込んでしまうおそれがあります。
同じ脱毛でも原因によって使う薬はまったく違うので、薬を使う場合は、原因と使い方を獣医師に確認してからにしてください。
出典:dvm360(米国獣医学会議録)「うさぎとげっ歯類の皮膚病」
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ハムスターのほかの病気や、目のまわりの脱毛が気になる方は、こちらの記事も参考にしてください。
ダニの種類ごとの見分け方は、こちらの記事で解説しています。
まとめ
- ハムスターの脱毛の原因は、生活環境・ダニ・感染症・食事・ホルモンの病気・腎臓病・リンパ腫など幅広い
- 家では「かゆがっているか」と「どこが抜けているか」を観察し、動物病院に伝える
- ニキビダニ症は、かゆみがはっきりしないこともある。治らない・ぶり返すときは背景の病気を探す
- 高齢のハムスターの脱毛は、副腎の病気と皮膚のリンパ腫が見分けにくい。体重減少や急な広がりがあれば早めに受診を検討
- ゴールデンハムスターの脇腹の黒っぽい臭腺や、ハゲを伴わない抜け毛は、病気でないことも多い
- 市販薬や犬猫用の薬を自己判断で使わず、獣医師に相談する
※この記事は獣医学の資料をもとにまとめたものです。ハムスターの健康状態や投薬については、必ず獣医師にご相談ください。
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幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。







