爬虫類の卵詰まりとは、卵を正常に産み出せない状態です。
また、卵巣内で成熟した卵胞が排卵されずに残る「卵胞鬱滞」もよく似た症状が見られます。
レオパやカナヘビ、ヤモリなどのメスは、交尾していなくても無精卵を形成することがあるため、1匹でも注意が必要です。
この記事では、爬虫類の卵詰まりと卵胞鬱滞の違い、症状、動物病院での治療、産卵場所の整え方について解説します。
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目次
爬虫類の卵詰まりってどんな状態?

「卵詰まり」とは、排卵された卵が輸卵管内に留まり、詰まってしまった状態です。
卵の大きさや形に問題がある場合だけでなく、飼育温度や栄養状態、産卵場所、脱水など、さまざまな要因が関係します。
オスがいなくても卵詰まりは起こる
冒頭でも触れた通り、爬虫類のメスは、交尾していなくても発情し、無精卵を形成することがあります。
そのため、メスだけの1匹飼育であっても、卵詰まりや卵胞鬱滞が起こる可能性があります。
成熟したメスを飼育している場合は、腹部の変化や食欲、行動を日頃から確認しましょう。
卵詰まりと卵胞鬱滞の違い
卵詰まりとよく似た、排卵後の卵停滞と、排卵前の卵胞鬱滞という病気もあります。
見た目の症状が似ることもありますが、卵が留まっている場所や治療方法は異なります。
| 排卵後卵停滞 | 卵胞鬱滞 | |
|---|---|---|
| 状態 | 排卵され、輸卵管内で形成された卵を正常に産み出せない | 成熟した卵胞が排卵されず、卵巣内に残っている |
| 画像検査 | 殻が形成された卵はレントゲンで確認しやすい | レントゲンだけでは判断しにくいことがあり、超音波検査が有効 |
| 主な治療 | 環境調整、全身状態の安定化、産卵誘発薬、卵の摘出、手術など | 全身状態の安定化や外科手術などが検討される |
どちらも放置すると、停滞した卵や卵胞の変性、感染、破裂などを起こすことがあります。
卵黄成分が体腔内に漏れると卵黄性体腔炎を引き起こし、急激に全身状態が悪化する可能性があります。
卵詰まりの症状
卵詰まりの初期は、食欲が落ちる、動きが鈍くなるなど、小さな変化から始まることがあります。
正常な産卵前にも似た行動が見られるため、様々な症状と照らし合わせて確認することが大切です。
- 食欲が落ちる・餌を食べなくなる
- 動きが鈍くなる・元気がなくなる
- 産卵場所を探してケージ内を落ち着きなく動く
- 産卵床を繰り返し掘るが産卵しない
- お腹が膨らんでいる
- 普段と異なる体重変化が見られる
- 重そうに歩く・動きにくそうにする
- 強くいきみ続けている
以前の産卵時と様子が大きく異なる場合や、食欲・活動性が明らかに低下している場合は、卵詰まりなどの異常を疑う必要があります。
種類別に見られやすい症状
| 種類 | 見られやすい変化 |
|---|---|
| カナヘビ | 産卵場所を探す、床材を繰り返し掘る、活動性が低下する、餌を食べなくなる |
| ヤモリ | 腹部が膨らむ、腹側から白い卵のようなものが見える、食欲や活動性が低下する |
| レオパ | 腹部が膨らむ、白い卵状のものが透けて見える、産卵床への出入りや掘る行動を繰り返す、食欲が落ちる |
腹側から白いものが見えても、見た目だけで正確に区別することはできません。
無理にお腹を触らず、食欲や行動に異常がある場合は、爬虫類を診られる動物病院へ相談しましょう。
すぐに病院へ行くべきサイン

卵詰まりや卵胞鬱滞は、放置すると卵や卵胞の破裂、感染、卵黄性体腔炎などを起こし、命に関わることがあります。
以下のいずれかが見られる場合は、できるだけ早く爬虫類を診られる動物病院へ連絡してください。
- ぐったりしている
- 起き上がれない
- 呼吸が荒い
- 後ろ脚をうまく動かせない
- 腹部が大きく膨らんでいる
- いきみ続けても産卵できない
- 総排泄腔から組織や卵の一部が出ている
- 出血や悪臭のある排泄物
- 以前の産卵時と様子が違う
爬虫類は体調不良を隠す傾向があります。
すでにぐったりしている場合は重症化している可能性があるため、自然に産卵するのを待たずに受診してください。
卵詰まりが起こる原因
卵詰まりは、複数の要因が重なって起こることがあります。
種類によっても異なりますが、主な原因は以下の通りです。
- 種類に合った産卵場所がない
- 飼育温度が低い
- カルシウムや栄養の不足
- UVB環境やビタミンD3管理の問題
- 脱水や体力の低下
- 肥満や運動不足
- 初産や若齢、体格に対して卵が大きい
- 卵が大きすぎる・形に異常がある
- 骨盤や産道が狭い
- 輸卵管の感染症・炎症
- 卵巣や輸卵管などの生殖器疾患
参考
爬虫類の卵詰まりの診断と治療(VCA Animal Hospitals)(外部リンク)
卵詰まりが疑われるときの対処法
飼い主さんが自宅で卵を取り出すことはできません。
まずは爬虫類を診られる動物病院へ連絡し、体力を消耗させないように安静を保ちましょう。
自宅でできること
- 種類に合った適温を維持する
- 静かで落ち着ける環境に移す
- 種類に合った産卵場所を用意する
- 食欲・排泄・体重・行動の変化を記録する
- 掘る行動やいきむ様子を動画で撮影する
- いつから症状があるかを確認する
- 病院へ行く前に爬虫類を診察できるか電話で確認する
移動時は、種類に合った温度を保ちながら、小さめのケースなどに入れて揺れや衝撃を避けてください。
やってはいけないこと
- お腹を揉む、外から卵を押し出す
- 総排泄腔から見える卵や組織を引っ張る
- 針などで卵を割る
- 長時間の温浴を繰り返す
腹部を強く圧迫すると、卵や卵胞が破裂し、卵黄成分が体内に漏れるおそれがあります。
温浴も、種類や状態によっては体力を消耗させるため、自己判断で行わず、獣医師の指示に従ってください。
よかれと思ってした行動が、取り返しのつかない事態を招くこともあります。
病院で行う検査と治療
動物病院では、まず飼育環境や産卵歴、食欲、排泄、症状が始まった時期などを確認します。
続いてレントゲン検査を行い、卵の数や大きさなどを確認します。
卵胞鬱滞など、レントゲンだけでは判断しにくい場合には、超音波検査で卵巣内の卵胞や体腔内の状態を調べます。
必要に応じて血液検査を行い、カルシウム値や脱水、感染、内臓機能などもくまなく調べます。
| 治療法 | 内容 |
|---|---|
| 温度・産卵環境の調整 | 全身状態が比較的安定し、卵の通過を妨げる閉塞がない場合に、適切な温度や産卵場所を整える |
| 輸液・支持療法 | 脱水を改善し、体温や全身状態を安定させる |
| カルシウムの補給 | 低カルシウム血症が疑われる場合などに、注射などでカルシウムを補給する |
| 産卵誘発薬 | 卵が産道を通過できる状態で、閉塞がないと判断された場合に、オキシトシンなどを使用することがある |
| 卵の摘出 | 総排泄腔側からの処置や内視鏡などを用いて、停滞した卵を取り除くことがある |
| 外科手術 | 内科治療で改善しない場合や、卵の閉塞・破損、卵胞鬱滞、感染などがある場合に、卵や卵巣・輸卵管の摘出を検討する |
産卵誘発薬は、卵の状態や閉塞の有無、全身状態を確認したうえで使用します。
卵が大きすぎる場合や位置に異常がある場合は、卵や輸卵管が破裂する危険があるため使用できません。
また、治療後も再発することがあるため、産卵場所や温度、栄養、UVB環境を見直しましょう。
参考
レオパの卵詰まりに対する内視鏡的卵除去の症例報告(PMC, 2023)(外部リンク)
爬虫類の卵詰まりの病態と管理に関する総合レビュー(PMC)(外部リンク)
種類別の産卵床・産卵場所

適切な産卵場所を用意することで、産卵をためらうリスクを下げられる可能性があります。
しかし、すべてのヤモリやトカゲが湿った土に穴を掘って産卵するわけではないため、飼育している種類の産卵方法に合わせて準備しましょう。
カナヘビ
カナヘビは、適度に湿り気があり、穴を掘れる土の中に卵を産むことがあります。
| 床材 | 湿らせた赤玉土やヤシガラ土など、掘った穴が崩れにくい土系の床材 |
|---|---|
| 容器・深さ | 全身が入り、数cm以上掘れる大きさと深さを確保する |
| 湿度 | 握ると軽くまとまるが、水がにじみ出ない程度を目安にする |
| 設置場所 | ケージ内の落ち着ける場所に設置する |
床材が乾燥しすぎていると穴を掘りにくくなりますが、過度に湿らせると衛生状態が悪化する可能性があります。
カビや汚れがないかも定期的に確認してください。
ヤモリ
ヤモリは、種類によって産卵方法が大きく異なります。
ニホンヤモリなどは、壁面の隙間、樹皮やコルク板の裏、流木などに卵を産み付けることがあります。
| 産卵場所 | コルク板、樹皮、流木、壁面の隙間など、落ち着いて卵を産み付けられる場所を用意する |
|---|---|
| 隠れ場所 | 周囲から見えにくく、個体が安心して入れるシェルターを設置する |
| 注意 | 種類によっては湿った床材や産卵用容器を利用するため、飼育している種類の産卵方法を確認する |
しかし、すべてのヤモリが湿った床材に卵を埋めるわけではありません。
ニホンヤモリ以外のヤモリを飼育している場合は、その種類に合った産卵環境を用意してください。
レオパ
レオパのメスは、オスと交尾していなくても無精卵を産むことがあります。
成熟したメスには、交尾の有無にかかわらず、湿り気のある産卵床を早めに用意しておきましょう。
| 床材 | 湿らせたバーミキュライト、赤玉土、ヤシガラ土など |
|---|---|
| 容器 | 全身が入れる大きさで、出入り口を設けた容器を使用する |
| 深さ | 卵を埋められる程度に、十分な厚さの床材を入れる |
| 湿度 | 握ると軽くまとまるが、水がにじみ出ない程度を維持する |
| 確認方法 | 個体を驚かせない範囲で、産卵の有無や床材の乾燥、汚れを確認する |
産卵床を頻繁に動かしたり、中を何度も掘り返したりすると、利用しなくなることがあります。
確認する際は、できるだけ驚かせないよう慎重ににしましょう。
卵詰まりを防ぐための日常ケア
適切な飼育環境や栄養管理によって、卵詰まりのリスクを下げられる可能性があります。
ただし、考えられる全ての要因の卵詰まりを予防できるわけではありません。
| ケア項目 | 内容 |
|---|---|
| 種類に合った産卵場所を用意する | 成熟したメスには、種類の産卵方法に合った床材、シェルター、壁面、隠れ場所などを用意する |
| 適切な温度勾配を保つ | 種類に合ったバスキングスポットや低温側を用意し、自分で体温を調整できる環境を整える |
| 栄養バランスを整える | 適切に管理された餌を与え、必要に応じてカルシウムをダスティングする |
| UVB・ビタミンD3を適切に管理する | 種類や飼育環境に合ったUVBライトやサプリメントを使用し、過不足を避ける |
| 体重を管理する | 定期的に体重を測り、急な増減や肥満がないか確認する |
| 毎日の様子を観察する | 食欲、排泄、腹部、掘る行動、産卵場所への出入りなどを確認する |
| 定期健診を受ける | 爬虫類を診られる動物病院で健康診断を受け、成熟したメスや産卵歴のある個体は受診頻度を相談する |
カルシウムやビタミン類の必要量は、爬虫類の種類、餌の内容、UVBライトの有無などによって異なります。
サプリメントを使用する場合は、必要以上に与えたりしないよう、爬虫類を診られる獣医師に相談してください。
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※サプリメントは卵詰まりの治療を目的とするものではありません。卵詰まりが疑われる場合は、爬虫類を診られる動物病院へ相談してください。
普段と異なる変化に気付くことが大切
爬虫類の卵詰まりとは、形成された卵を正常に産み出せない状態です。
レオパやカナヘビ、ヤモリなどのメスは、交尾なしでも無精卵を形成することがあります。
成熟したメスを飼育している場合は、普段と異なる変化を早めに見つけることが大切です。
卵詰まりが疑われるときは、静かな環境で安静にしながら、爬虫類を診られる動物病院へ連絡しましょう。
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幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。








