「最近、愛犬が寝てばかりいる」
「散歩に行っても歩きたがらない」
愛犬のこうした変化を、老化によるものと感じていませんか。
その変化は老化によるものではなく、甲状腺機能低下症のサインかもしれません。
この記事では、犬の甲状腺機能低下症の主な症状や初期症状、歩き方の変化、老化との見分け方を解説します。
あわせて、検査・治療の流れと、生涯続く薬代を抑える方法もご紹介します。
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犬の甲状腺機能低下症とは?

犬の甲状腺機能低下症は、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが不足することで起こる病気。
中高齢の犬に多く、犬のホルモンの病気の中ではよく見られます。
甲状腺は、喉のあたりの両脇にある小さな器官。
ここで作られる甲状腺ホルモンは、全身の細胞に働きかけて代謝を活発にする役割があります。
このホルモンが足りなくなると、全身の働きが徐々に低下していきます。
甲状腺機能低下症を発症する主な原因は、9割以上が、甲状腺が壊れてしまう原発性によるもの。免疫の異常によって甲状腺に炎症が起こるリンパ球性甲状腺炎や、原因がわからないまま甲状腺が縮んでしまう特発性甲状腺萎縮が主な原因です。
一度壊れてしまった甲状腺の機能は元に戻らないため、足りないホルモンを薬で補い続けることが治療の基本になります。
参考(外部リンク)
日本獣医師会雑誌 64巻 128〜131頁(2011)「Q&A 小動物編」犬の甲状腺機能低下症
主な症状
甲状腺ホルモンが不足すると、体のさまざまな部分に症状が現れます。
代表的な症状としては、全身・皮膚や被毛・顔つき、神経症状の4つが挙げられます。
元気がない・寝てばかりいる
一番多く見られるのが、代謝が落ちることによる全身の変化です。
なんとなく元気がなくなる、だるそうといった様子が目立つようになります。
- 元気がなく、寝ている時間が増える
- 名前を呼んでも反応が鈍い、ぼんやりしている
- 寒がりになり、暖かい場所から離れようとしない
- 食べる量は変わらないのに太ってくる
- 心拍数がゆっくりになる(徐脈)
特にごはんの量は変わっていないのに太るのは、甲状腺機能低下症を疑うひとつのきっかけになります。
毛が抜ける・皮膚が黒ずむ
皮膚や被毛の変化は、飼い主さんが目で見て気づきやすい症状です。
- 左右対称の脱毛が見られる
- しっぽの毛が抜けて、ネズミのしっぽのように細くなる(ラットテイル)
- 鼻の上の毛が薄くなる
- 毛艶が悪く、パサつく
- 皮膚が黒ずむ(色素沈着)、フケが増える、皮膚が脂っぽくなる
- 膿皮症や外耳炎を何度も繰り返す、皮膚病が治りにくい
甲状腺機能低下症による脱毛は、かゆみを伴わないことが多いです。
「かゆがっていないから大丈夫」と様子を見ているうちに、脱毛の範囲が広がってしまうこともあるため注意しましょう。
悲しそうな表情になる
甲状腺機能低下症が進むと、皮膚が厚くむくんだような状態(粘液水腫)になることがあります。
この変化は顔に現れやすく、まぶたが垂れ下がり、目の上の皮膚が厚くなることで、どこか悲しげな顔つきに見えるようになります。
悲劇的顔貌(ひげきてきがんぼう)と呼ばれる、甲状腺機能低下症に特徴的な変化です。
「最近、顔つきが変わった気がする」
「表情がぼんやりしている」と感じたら、それも動物病院に相談するきっかけのひとつにしてください。
ふらつき・顔の麻痺
頻度は高くありませんが、甲状腺機能低下症では神経や筋肉に関わる症状が出ることもあります。
- 体がふらつく、首をかしげたままになる(斜頸)
- 顔面神経麻痺により、片側のまぶたや唇が垂れ下がる
- けいれん発作を起こす
- 食道が広がって動きが悪くなる「巨大食道症」により、食べたものを吐き戻す
- 喉頭麻痺により、鳴き声が変わったり、呼吸の音がゼーゼーしたりする
参考
動物の末梢神経および神経筋接合部の代謝障害 – 神経系 – MSD獣医マニュアル
愛犬に当てはまる?初期症状チェックリスト

甲状腺機能低下症の初期症状は、「なんとなく元気がない」程度の小さな変化から始まります。
愛犬の普段の様子を思い出しながら、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
- 以前より寝ている時間が増えた
- 散歩に行きたがらない・途中で座り込む
- 食べる量は同じなのに太ってきた
- 暖かい場所から離れない
- 毛艶が悪い・毛が薄くなってきた
- トリミング後の毛の伸びが遅い
- 皮膚病や外耳炎が治りにくい
- 表情がぼんやりしてきた
複数の項目に当てはまる場合は、甲状腺機能低下症の可能性があります。
かかりつけの動物病院で気になる様子を伝え、甲状腺ホルモンの血液検査を受けることを検討してください。
当てはまる項目が1つだけでも、その状態が数週間以上続いているなら、一度相談しておくことをおすすめします。
年のせいと見過ごされやすい理由
甲状腺機能低下症は、老化と見分けにくい病気です。見過ごされやすい理由として、次の2つが挙げられます。
・老化のサインが目立ち始める時期と、発症しやすい年齢が重なる
・症状がゆっくり進行するため、変化に気づきにくい
その一方で、老化と病気を見分けるヒントもあります。
- ここ数か月のあいだに、急に元気がなくなった
- 食欲は変わらないのに太ってきた
- 元気がないだけでなく、脱毛や皮膚の黒ずみなど皮膚の変化もある
こうした変化が見られる場合は、年のせいと決めつけず甲状腺機能低下症を疑ってみましょう。
なお、甲状腺機能低下症を見過ごさないためには、シニア期の健康診断に甲状腺ホルモンの検査を追加することです。
年に1〜2回、健康診断を受けることを習慣にしておきましょう。
歩き方はどう変わる?

甲状腺機能低下症では、歩き方に変化が現れることもあります。
歩き方の変化は、大きく分けて次の3つのパターンがあります。
①だるさから歩きたがらなくなる
②筋肉や末梢神経の障害で、足がうまく動かなくなる
③平衡感覚の障害で、まっすぐ歩けなくなる
散歩を嫌がる・歩くのが遅くなる
よく見られるのが、代謝が落ちてだるさや疲れやすさが出ることによる変化です。
体を動かすエネルギーが十分に作られず、筋力も落ちやすくなるため、散歩中に次のような様子が見られるようになります。
- 歩くペースが遅くなり、すぐに立ち止まる
- 途中で座り込んだり、家に帰りたがったりする
- 以前は喜んでいた散歩に、自分から行こうとしない
- 階段やソファの上り下りをためらう
「もう老犬だから散歩もしたがらないのかな?」と思われがちですが、急に散歩を嫌がるようになった場合は、病気が隠れている可能性もあります。
後ろ足がふらつく・足先を引きずる
甲状腺ホルモンの不足が続くと、手足の神経(末梢神経)がダメージを受け、足先の感覚が鈍くなることで歩き方に次のような異常が現れます。
- 足の甲を地面につけたまま歩く(ナックリング)
- 歩くと爪が地面を擦るという音がする
- 爪先が不自然にすり減っている
- 後ろ足がもつれる、ふらつく
- 足に力が入りにくく、立ち上がるのに時間がかかる
- 片足をかばうように歩く
普段から愛犬が歩く姿を観察しておくことで、小さな変化にも気づきやすくなります。
首をかしげてまっすぐ歩けない
耳の奥にある器官、前庭(ぜんてい)は、体のバランスを保つ役割を担っています。
甲状腺機能低下症によって前庭の働きが妨げられると、平衡感覚が乱れて次のような症状が現れることがあります。
- 頭が片側に傾いたままになる(斜頸)
- 同じ方向にぐるぐると回る
- ふらついて倒れる
- 眼球が小刻みに揺れる(眼振)
歩き方の異常は他の病気の可能性も
歩き方の異常は、甲状腺機能低下症以外にもさまざまな病気で起こります。
・椎間板ヘルニア
・関節炎、膝蓋骨脱臼(パテラ)
・特発性前庭疾患
・アジソン病(副腎皮質機能低下症)
見た目だけで原因を判断するのは難しいため、自己判断はせずに動物病院を受診しましょう。
受診の際は、歩いている様子をスマートフォンで動画撮影しておくのがおすすめです。
自宅や散歩中の様子を獣医師に見てもらうことで、診察がスムーズに進みます。
発症しやすい犬種
甲状腺機能低下症は、5歳以上の中高齢の犬に多い病気です。
一方で、若い犬も発症するケースはあります。
発症しやすいと言われているのは、次のような犬種です。
- 柴犬
- トイ・プードル
- ミニチュア・シュナウザー
- ビーグル
- シェットランド・シープドッグ
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ゴールデン・レトリーバー
- ラブラドール・レトリーバー
- ドーベルマン
- ミニチュア・ダックスフンド
愛犬が当てはまる場合は、目立った症状がなくても定期的に健康診断を受けておくと安心です。
特に中高齢になったら、甲状腺ホルモンの検査も検討してみてください。
似た症状の病気との違い
元気がない、毛が抜けるといった症状は、甲状腺機能低下症だけではありません。
たとえばクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症も、中高齢の犬に多く、左右対称の脱毛が見られる病気です。
ただしクッシング症候群では、水をたくさん飲んで尿の量が増える(多飲多尿)、食欲が増す、お腹がぽっこりふくれるなど、別の症状も挙げられます。
また、アレルギー性皮膚炎や膿皮症などの皮膚病でも脱毛は起こりますが、かゆみや赤みを伴うことが多いです。
注意が必要なのが、クッシング症候群や糖尿病、重い感染症などにかかっている場合、甲状腺は正常でも、血液中の甲状腺ホルモンの数値が下がることがあります。
似た症状や数値だけで判断するのは難しいため、病気の診断については、必ず獣医師に診てもらいましょう。
検査と治療法

甲状腺機能低下症については、血液検査で診断します。
診断後は、甲状腺ホルモン剤の投薬により治療を進めていきます。
血液検査
甲状腺機能低下症は、健康診断などの一般的な血液検査をきっかけに疑われることが少なくありません。
甲状腺機能低下症の犬では、コレステロール値が高くなったり、軽い貧血が見られたりすることが多いためです。
疑いがある場合は、甲状腺ホルモンの検査を行い、次の3つを主に調べます。
・T4(サイロキシン)
・fT4(遊離サイロキシン)
・TSH(甲状腺刺激ホルモン)
甲状腺ホルモン(T4・fT4)が低く、甲状腺刺激ホルモンTSHが高くなっている場合、甲状腺機能低下症の可能性が高いと考えられます。
ただし前述のとおり、ほかの病気や薬の影響でも数値は変わるため、症状やほかの検査結果とあわせて総合的に判断されます。
なお、検査費用は動物病院ごとに異なるため、気になる場合は事前に問い合わせておきましょう。
ホルモン剤(レボチロキシン)で治療
甲状腺機能低下症の治療では、不足している甲状腺ホルモンを薬で補います。
使われるのは「レボチロキシンナトリウム」という成分の甲状腺ホルモン剤です。
獣医師が決めた量を1日1〜2回飲ませるのが一般的です。
治療を始めて数週間後に血液検査を行い、ホルモンの数値を確認しながら薬の量を調整します。
量が安定したあとも、定期的な血液検査は欠かせません。
改善までの目安は、次のとおりです。
- 元気回復:1〜2週間ほどで改善が見られることが多い
- 体重:数か月かけて少しずつ減っていく
- 皮膚・被毛・神経症状:改善までに数週間~数か月かかる
なお、薬の量が多すぎると心拍数が増える(頻脈)、水をたくさん飲んで尿が増える、体重が減る、落ち着きがなくなる、呼吸が荒くなるといった症状が出ることがあります。
こうした様子が見られたら、すぐにかかりつけの獣医師に相談してください。
自己判断で薬の量を増やしたり、減らしたりするのは避けましょう。
完治する?薬は一生続く?
原発性の甲状腺機能低下症の場合、壊れてしまった甲状腺は元に戻りません。
そのため、基本的には生涯にわたって薬を飲み続ける必要があります。
甲状腺機能低下症は薬でホルモンを補うことで症状の改善が期待でき、健康な犬と変わらない生活を送れることが多い病気です。
適切な治療を続けていれば、寿命への影響も少ないとされています。
大切なのは、症状が良くなったからといって自己判断で薬をやめないこと。
薬を中断するとホルモンが再び不足し、症状が戻って悪化してしまいます。
毎日の投薬と定期的な検査を、根気よく続けていきましょう。
薬代を抑える方法

甲状腺機能低下症の治療は生涯続くため、薬代の負担も少なくありません。
動物病院での治療費は、月5,000〜10,000円程度が目安とされていますが、治療が長期間続けば、決して小さな金額ではありません。
そこで薬代を抑える方法として、動物病院で処方されている薬と同じ成分の薬を、通販で購入するという選択肢があります。
なお、通販で薬を購入する場合も定期的な診察と血液検査は必ず動物病院で受けてください。
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通販で購入できるお薬

ぽちたま薬局では、犬の甲状腺機能低下症の治療薬「チロノーム」を取り扱っています。
チロノームは、動物病院の治療でも使われるレボチロキシンナトリウムを有効成分として含む、甲状腺ホルモン剤です。
成分量は50mcg・100mcg・150mcg・200mcgの4つがあり、愛犬や獣医師からの指示に合わせた量を選べます。
価格は120錠で1,900円(1錠あたり約15円)から購入できます。
毎日続けるお薬だからこそ、負担を抑えて無理なく続けたい方におすすめです。
なお、通販でお薬を購入する際は、次の点に注意しましょう。
- 動物病院で処方されている薬と同じ成分・同じ含有量(mcg)のものを選ぶ
- 切り替える前にかかりつけの獣医師に相談し、定期的な血液検査は続ける
- 海外から発送されるため、届くまでに日数がかかる。薬が切れないよう余裕を持って注文する
まとめ
犬の甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンが不足することで全身の代謝が落ちる病気です。
年のせいかな、と思っていた変化が実は病気のサインだったということは少なくありません。
愛犬の小さな変化に気づいたら、早めに動物病院へ相談しましょう。
治療が始まったら、無理なく続けられる方法で、愛犬の毎日を支えてあげてくださいね。
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実家で猫を保護したことをきっかけに猫の魅力に陥落。
猫に負けず劣らず犬にもメロメロ。
愛猫とゴロゴロしながらお茶を飲むのが一番の幸せ。








