同居している犬同士の喧嘩が激しくて、「このままだと、どちらかが死んでしまうのでは」と不安になっていませんか。
- 同居犬同士の喧嘩でも、胸やお腹を噛まれると命に関わることがあります。体格差が大きいペアは特に注意が必要です
- 皮膚が破れるほど噛む、顔を見ただけで襲いかかる喧嘩は、早めに専門家へ相談したいサインです
- 止めるときは首輪をつかまず、手を間に入れないこと。2人いれば後ろ足を持って引き離します
- 喧嘩のあとは、傷が小さく見えても動物病院への相談を検討しましょう

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多頭飼いの犬の喧嘩で死亡することはある?
結論からいうと、同じ家で暮らす犬同士の喧嘩でも、命に関わるケガにつながることはあります。
ただ、犬同士の小さな言い合い自体は珍しくありません。じっと見る、唇を上げる、唸るといった行動は「それ、いやだよ」という普通の合図とされています。
心配なのは、合図で終わらずに本気で噛み合ってしまう喧嘩です。
出典:オハイオ州立大学獣医学部「新しい犬を今いる犬に会わせる方法」
死亡につながりやすいのは胸やお腹のケガ
犬に噛まれて動物病院に来た犬185頭を調べた研究があります。
この研究で亡くなったのは、胸かお腹にケガをしていたケースだけでした。
また、もっとも多く噛まれていたのは体重10kg以下の小型犬で、何か所も噛まれやすい傾向もみられました。
出典:エルサレム・ヘブライ大学獣医学部ほか「犬に噛まれた犬と猫の傷:196例の調査」(2002年)
小さな傷でも中で大きく傷んでいることがある
犬の噛み傷は、皮膚には小さな穴しか見えなくても、その下の組織が大きく傷んでいることがあります。
はじめは元気そうに見えても、傷んだ組織から感染や炎症が広がり、命に関わる状態になることもあるとされています。
出典:国際獣医情報サービス(IVIS)「傷の手当て②:犬の噛み傷などの深い傷」
犬同士の喧嘩は家の中でも起きている
南アフリカの大学病院で、噛み傷の治療に来た犬を調べた調査があります。
喧嘩の85.4%は飼い主さんの家の敷地内で起きていて、相手も同じ家で暮らす犬がもっとも多くなっていました(68.5%)。
国や飼い方が違うので、そのまま日本に当てはまるとは限りません。それでも「家の中の喧嘩だから大丈夫」とは言い切れないことがわかります。
出典:プレトリア大学獣医学部「家庭内のいさかい:噛み傷の治療が必要になった犬同士の攻撃行動の調査」(2025年)
多頭飼いで犬同士が喧嘩する原因
犬同士の喧嘩には、たいてい「きっかけ」があります。原因がわかると、喧嘩が起きやすい場面を前もって避けやすくなります。
ものや場所の取り合い
同じ家で暮らす犬同士の攻撃行動について、305組のペアを調べた研究があります。
喧嘩のきっかけとしてもっとも多かったのは、ごはんやおもちゃなど「ものを守ろうとする行動」で、72.8%のペアにみられました。
ものだけでなく、飼い主さんのそば、寝床やソファ、特定の部屋といった「場所」から、相手を遠ざけようとすることもあります。
出典:米国獣医師会雑誌「同じ家で暮らす犬同士の攻撃行動の特徴と、うまくいかなかったペアに共通する要因」(2020年)/オハイオ州立大学獣医学部「新しい犬を今いる犬に会わせる方法」
同性同士・あとから迎えた犬
同じ研究では、喧嘩をするペアの61.6%が同性同士でした。
また、攻撃する側があとから迎えた犬だったペアも59.3%ありました。
「先住犬がいじめている」とは限らず、新しく来た犬から仕掛けていることも少なくありません。
出典:米国獣医師会雑誌「同じ家で暮らす犬同士の攻撃行動の特徴と、うまくいかなかったペアに共通する要因」(2020年)
興奮する場面・体を押さえる場面
来客などで家の中が騒がしくなる場面は、犬同士が慣れるまではできるだけ避けたほうがよいとされています。
また、ブラッシングやシャンプーなど体を押さえるお手入れを、もう1匹の前でするのも注意が必要です。
見ていた犬が、押さえられている犬を攻撃することがあります。
出典:オハイオ州立大学獣医学部「新しい犬を今いる犬に会わせる方法」
命に関わる危ない喧嘩のサイン
小さな言い合いなら、片方が引けばそこで終わります。止めに入るか様子を見るかは、次のような点で見分けましょう。
| 危ないサイン | 見るポイント |
|---|---|
| 相手が引いても止まらない取っ組み合い | 合図で終わらず、体ごとぶつかって噛み合っている |
| 止まらないにらみ合い・こわばり | 声をかけても視線がそれない、体のこわばりが数秒以上続く |
| 逃げる相手を追い続ける | 目をそらす・お腹を見せる・逃げようとしている相手に、もう1匹がやめない |
| 皮膚が破れるほど噛む | 噛み傷ができる喧嘩が一度でもあった |
| 顔を見ただけで襲いかかる | きっかけがなくても、相手を見た瞬間に攻撃する |
| 体格差が大きい | 小型犬が大きな犬に噛まれると、何か所もケガをしやすい |
このうち「皮膚が破れるほど噛む」「顔を見ただけで襲いかかる」があるペアは、一緒に暮らし続けるのが難しくなりやすいことがわかっています。
研究者は、こうしたペアには早めに対応することをすすめています。
出典:オハイオ州立大学獣医学部「新しい犬を今いる犬に会わせる方法」/米国獣医師会雑誌「同じ家で暮らす犬同士の攻撃行動の特徴と、うまくいかなかったペアに共通する要因」(2020年)/エルサレム・ヘブライ大学獣医学部ほか「犬に噛まれた犬と猫の傷:196例の調査」(2002年)
後住犬が先住犬にしつこく噛みつく・飛びかかる場合は、こちらで見分け方を紹介しています。
犬同士の喧嘩の止め方
本気の喧嘩を止めようとして手を出すと、飼い主さんが噛まれるおそれがあります。自分の安全を守りながら止める方法を知っておきましょう。

首輪をつかむ・手を入れるのはNG
とっさに首輪をつかみたくなりますが、首輪をつかんだり、犬と犬の間に手を入れたりしないようにします。
2人いるときは後ろ足を持って引き離す
1人が1匹ずつ担当して、犬の後ろ足を持ちます。
そのまま後ろへ、少し持ち上げるように引いて、噛んでいる口がゆるむまで引き離します。手押し車のような形になるので「ウィールバロー法」とも呼ばれます。
1人のときは布や音で気をそらす
- 犬の頭に上着やタオルなどをかぶせる
- 音が出るものを犬の近くに投げ、同時に大きな声で「ダメ」と言う
2匹が離れたら、それぞれを別の部屋やケージに移します。
出典:パーマストンノース市(ニュージーランド)「犬に襲われたとき」
飼い主さんも注意
止めに入って飼い主さんが噛まれたときは、早めに医療機関を受診してください。小さな傷でも、自己判断しないほうが安心です。
喧嘩のあとにすること
まずは別々の場所で落ち着かせる
引き離したあとすぐに同じ空間に戻すと、また喧嘩が始まることがあります。
それぞれが落ち着くまで、別の部屋やケージ、ゲートで仕切った場所で過ごさせましょう。
全身の傷をチェックする
犬が落ち着いたら、毛をかき分けて全身を確認します。
噛み傷は小さな穴にしか見えないことがあります。表面の傷が小さくても、中が傷んでいることがある点を覚えておきましょう。

- 喧嘩で噛まれた、または噛まれたかもしれない(傷が小さく見えても)
- 胸やお腹を噛まれた
- 出血が止まらない、傷のまわりが腫れてきた
- 元気や食欲がない、ぐったりしている
- 体を触られるのを嫌がる、足をかばって歩く
はじめは元気そうでも、あとから状態が悪くなることがあります。様子を見ずに、早めに動物病院へ相談しましょう。
出典:パーマストンノース市(ニュージーランド)「犬に襲われたとき」/国際獣医情報サービス(IVIS)「傷の手当て②:犬の噛み傷などの深い傷」
喧嘩を繰り返さないための対策
喧嘩が起きた場面を思い出して、きっかけになりやすいものや状況を減らすところから始めましょう。
取り合いになるものを減らす
- 水入れや寝床は、数を多めに用意する
- 守りたがるおもちゃは、しばらく片付ける
- ごはんは別々の部屋であげる
- 骨やガムなど特別なおやつは、慣れるまで別々の場所であげる
留守番中は2匹だけにしない
犬同士が安心して過ごせるとわかるまでは、留守中に2匹だけで過ごさせないようにします。
ケージやゲートで空間を分けておくと安心です。
叱らずに場面を切り替える
唸る・にらむといった段階で叱ると、不安が恐怖や嫌悪に変わり、かえって対立が続くことがあるとされています。
叱るよりも、気をそらしたり、取り合いの中心になっている飼い主さんがその場を離れたりして、喧嘩になる前に場面を切り替えましょう。
出典:オハイオ州立大学獣医学部「新しい犬を今いる犬に会わせる方法」
噛み傷が出る喧嘩は早めに相談する
皮膚が破れるほど噛む、顔を見ただけで襲いかかるといった喧嘩は、家庭の工夫だけでおさめるのが難しいことがあります。
まずは、かかりつけの動物病院に相談してみましょう。
問題行動を専門に診る獣医師もいます。日本獣医動物行動研究会では、行動診療にくわしい獣医師を「獣医行動診療科認定医」として認定しています。
出典:日本獣医師会雑誌「学会・研究会紹介 日本獣医動物行動研究会」
多頭飼いの犬の喧嘩でよくある質問
犬同士の喧嘩で死亡する可能性はありますか?
あります。犬に噛まれた犬を調べた研究では、胸やお腹にケガをしたケースで亡くなった犬がいました。
小型犬が大きな犬に噛まれるなど、体格差があるときは特に注意が必要です。
多頭飼いの犬同士の仲が悪いときは?
無理に仲良くさせようとせず、まずは喧嘩のきっかけになる場面を減らします。ごはんの場所を分ける、留守中は空間を分けるなど、生活の中で管理しましょう。
多くの犬は、お互いに慣れればうまく暮らせるようになるとされています。噛み傷ができるような喧嘩があるなら、早めに動物病院や専門家に相談してください。
喧嘩をした犬は叱ったほうがいいですか?
叱るのはおすすめできません。不安が恐怖に変わり、対立が長引くことがあるためです。
喧嘩になりやすい場面を先回りして避け、起きてしまったときは安全に引き離すことを優先しましょう。
あわせて読みたい
多頭飼いの犬同士の関係で悩んでいるときは、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
まとめ
多頭飼いの犬の喧嘩について、ポイントをまとめます。
- 同居犬同士の喧嘩でも、胸やお腹のケガは命に関わることがある
- 体格差が大きいペア、皮膚が破れるほど噛む・顔を見ただけで襲うペアは特に注意
- 喧嘩のきっかけで多いのは、ごはんやおもちゃなど「ものの取り合い」
- 止めるときは首輪をつかまず、2人なら後ろ足を持って引き離す
- 喧嘩のあとは、傷が小さくても動物病院への相談を検討する
犬猫のお薬の個人輸入は「ぽちたま薬局」へ

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。








