フェレットの歯が欠けている、黒っぽく見える……と気づくと、「痛くないのかな」「病院に行ったほうがいい?」と心配になりますよね。
- フェレットに多い歯のトラブルは犬歯が折れる・歯石と歯肉炎(歯周病)・歯のすり減りの3つ
- 折れた犬歯は、見た目に変化がなくても中で炎症が進んでいることがあるため、見た目だけで様子見を決めない
- ごはんを食べていても口の痛みがないとは限らない。歯の異変に気づいたら動物病院へ相談を
- 家では綿棒+ペット用歯磨き粉で歯磨き。年1回の健診で歯もチェックしてもらう

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フェレットの歯で受診を急ぐサイン
まずは「今すぐ相談したほうがいいか」の判断から。
フェレットは口に痛みがあってもごはんを食べ続けることがあり、痛がるしぐさも飼い主さんが気づきにくいほど控えめだと、獣医看護師向け専門誌の解説「フェレットの歯科 ― 見過ごさないための基礎知識」で指摘されています。「食べているから大丈夫」とは限りません。

- 歯が折れた・欠けた(出血がなく、元気そうでも)
- 歯が内側から茶色〜灰色っぽく変色してきた
- 顔やあご、歯ぐきが腫れている
- よだれ・口を前足で掻く・歯ぎしりがある。ぐったりしている、ふらつく場合は急いで受診を
参考:フェレットの歯科 ― 見過ごさないための基礎知識(Today’s Veterinary Nurse)/フェレットの歯科疾患の診断と治療(Journal of Exotic Pet Medicine)
最後の「よだれ・口を掻く」は、歯の痛みだけが原因とは限りません。
獣医師向けの総説「フェレットの救急・集中治療」では、フェレットの歯ぎしり・よだれ・口を掻くしぐさは、多くの場合、低血糖などによる吐き気や胃腸の不調を示すとされています。
同じ総説では、低血糖の原因として最も多いのはインスリノーマ(膵臓の腫瘍)とされています。口まわりのしぐさに元気のなさが重なるときは、歯の問題と決めつけずに受診を検討してください。
※ここで挙げたのは受診を考える目安です。当てはまらなくても、いつもと様子が違うと感じたら動物病院に相談してください。
フェレットの歯は34本|本数と生え変わり
大人のフェレットの歯は全部で34本です。フェレットの歯は犬や猫と同じ「短冠歯(たんかんし)」というタイプで、歯冠(見えている部分)が短く、しっかりした歯根をもつのが特徴。
スロベニア・リュブリャナ大学獣医学部の論文「飼育フェレットの折れた上あご犬歯に対する抜歯の追跡調査」でも、歯や頭の骨のつくりが犬猫と似ているため、犬猫の歯科の考え方を応用することが勧められてきたと述べられています。
| 歯の種類 | 本数(上下左右の合計) | 主な役割 |
|---|---|---|
| 切歯(前歯) | 12本 | 食べ物をくわえる・つかむ |
| 犬歯(牙) | 4本 | 突き刺す |
| 前臼歯 | 12本 | 引き裂く・切る |
| 後臼歯(奥歯) | 6本(上2本・下4本) | すりつぶす・砕く |
参考:フェレットの歯科 ― 見過ごさないための基礎知識(Today’s Veterinary Nurse)の歯式・歯の役割の表をもとに作成
乳歯は28〜30本あり、成長とともに永久歯に生え変わります。
生え変わりの時期は資料によって幅があり、前述のリュブリャナ大学の論文では永久歯は生後50〜74日ごろまでに生えるとされる一方、獣医看護師向け専門誌の解説では生後9ヶ月までに完全に生えそろうとされています。
歯には個体差も
下の前歯のうち2番目の歯が内側に引っ込んで見えるのは、フェレットでよく見られる所見とされています(獣医看護師向け専門誌)。
また、下の奥歯(第2後臼歯)が生まれつきない子や、上の前歯のあいだに余分な歯がある子もいると報告されています(フェレットの歯科疾患の診断と治療)。本数や並びがきっちり教科書どおりでなくても、すぐに異常とは限りません。気になるときは健診で相談してみてください。
フェレットに多い歯のトラブル3つ
飼い主さんのもとで暮らすフェレット57匹の口の中を詳しく調べた研究「飼育フェレットにみられる口と歯の病気」では、歯周病、歯のすり減り、歯の破折(特に犬歯)がよく見られたと報告されています。
| トラブル | 気づけるサイン | 主なきっかけ |
|---|---|---|
| 犬歯の破折 | 牙の先が欠ける・短くなる | 落下、ケージの柵をかむ |
| 歯石・歯肉炎・歯周病 | 歯の表面の汚れ、歯ぐきの赤み・腫れ | 歯垢の蓄積。年齢とともに進みやすい |
| 歯のすり減り | 奥歯が平らに・低くなる | 硬い物をかむ、ケージかじり |
参考:飼育フェレットの折れた上あご犬歯に対する抜歯の追跡調査(Frontiers in Veterinary Science)/フェレットにも歯のケアが必要(イリノイ大学獣医学部)/フェレットの歯科疾患の診断と治療(Journal of Exotic Pet Medicine)
犬歯が折れる・欠ける
フェレットで特に多いのが、上あごの犬歯(牙)の破折です。
リュブリャナ大学の論文では、折れた犬歯23本(18匹)を調べたところ、診断時の年齢は平均2.6歳で、生後3ヶ月の子もいました。高齢の子だけの問題ではなく、若いうちから起こりうるトラブルです。
この研究で注目したいのが、見た目と中身のギャップです。どの破折も飼い主さんか獣医師が「たまたま」見つけたもので、歯の変色がみられたのは23本中3本だけでした。
ところがX線検査では、評価できた22本のうち半数に、歯の内部(歯髄)の病気を示す所見が見つかっています。
つまり、折れた歯は見た目がきれいでも、中で炎症が進んでいることがあるということ。獣医看護師向け専門誌でも、折れた歯はすべてX線で評価して、根の治療か抜歯かを決める必要があるとされています。
なお同じ論文では、抜歯を受けた子はいずれも2週間後の再診時には傷が治っており、飼い主さんの評価では18匹中7匹で「前より生活の質が上がった」と感じられたと報告されています。
歯石・歯肉炎・歯周病
イリノイ大学獣医学部のコラム「フェレットにも歯のケアが必要」によると、フェレットの歯のトラブルでよく見られるのが、年齢とともに進む歯石と歯肉炎です。
同コラムでは、口の中の感染を放っておくと体に慢性的な炎症が起こり、心臓や腎臓の病気のリスクが高まるとも説明されています。
歯周病は、犬や猫と同じように飼い主さんに気づかれにくい病気です。表面の歯石を取るだけでなく、歯ぐきの下の状態まで確認するには、動物病院での検査が欠かせません(治療の流れは後半の章で紹介します)。
歯のすり減り
イリノイ大学のコラムでは、特に高齢のフェレットで奥歯の過度なすり減りがよく見られ、家の中の不適切な物をかむことによる口のけがも多いとされています。
フェレットの歯は、もともと獲物を丸ごと食べるためのつくりで、物をかみ続けるためのものではありません。ケージの柵をかんだり、おもちゃを過剰にかんだりする癖は、破折やすり減りの原因になるため注意しましょう。
歯が黒い・茶色いのは歯石?変色?
「歯が黒っぽい」「茶色い」と感じたときは、表面に何かが付いているのか、歯そのものの色が変わっているのかで意味が大きく変わります。
| 見え方 | 考えられるもの | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 歯の表面に汚れが付着している | 歯石(歯垢が固まったもの) | 健診で相談。歯ぐきの赤み・腫れがあれば早めに |
| 歯そのものが内側から茶色〜灰色 | 歯の中の神経(歯髄)の炎症・壊死 | 早めに受診 |
| 牙の先が欠けている・短い | 破折(歯髄が露出していることも) | 早めに受診 |
参考:フェレットの歯科 ― 見過ごさないための基礎知識(Today’s Veterinary Nurse)/フェレットの歯科疾患の診断と治療(Journal of Exotic Pet Medicine)
獣医看護師向け専門誌では、歯が茶色や灰色に色づくのは歯髄の壊死や炎症の結果であり、外から見て欠けていない歯でも、ぶつけたなどの外傷のサインのことがあるとされています。
内側から色が変わった歯は、様子見をせず早めに相談してください。
とはいえ、表面の汚れなのか中からの変色なのかを家で見分けるのは簡単ではありません。「黒っぽい歯に気づいた」時点で、一度動物病院で診てもらうのが安心です。
家でできるフェレットの歯のチェック
フェレットの口の中を見るときに便利なのが、首の後ろをつまむ保定です。
獣医師向け専門誌の解説「小型哺乳類の安全でやさしい保定法」では、首の後ろをつまんで体を軽く伸ばすようにうまく保定すると、フェレットはその直後にあくびをすることが多いとされています。このあくびのタイミングで口の中を確認しましょう。

- 首の後ろの皮をやさしく、しっかりつまむ。もう片方の手で下半身を支え、体を軽く伸ばす
- あくびで口が開いたら、犬歯の先が欠けていないか、歯の色が変わっていないかを見る
- 歯ぐきの赤み・腫れ、歯の表面の汚れを確認する
- 口の外から、顔やあごに左右差や腫れがないかも見ておく
ただし、家で見えるのは主に前歯と犬歯まで。奥歯や歯ぐきの下の状態は、家ではほとんど分かりません。
2016年の研究でも、全身麻酔下での詳しい口腔検査とX線検査を、定期的な健康管理の一部として行うべきだと結論づけられています。家でのチェックは「異変に早く気づくため」のもので、健診の代わりにはならないと考えてください。
※どんなに慣れた子でも、興奮したり怖がったりすると強くかむことがあります(小型哺乳類の安全でやさしい保定法)。嫌がるときは無理をせず、短時間で切り上げましょう。
フェレットの歯磨きのやり方と注意点
イリノイ大学のコラムでは、家で口の健康を保ついちばんの方法は定期的な歯磨きで、若いうちから習慣にするのがよいとされています。

- 道具:犬用の歯ブラシはフェレットの口には大きすぎるため、綿棒を「ブラシ」代わりに使う方法が紹介されています(イリノイ大学獣医学部)。毛のやわらかい小さな歯ブラシを使う方法もあります
- 歯磨き粉:犬猫用の酵素入り歯磨き粉がフェレットにも使えるとされています(同上)
- 磨き方:歯の表面と、歯と歯ぐきの境目をやさしくなでるように。嫌がる子は短時間から始める
- 頻度:獣医看護師向け専門誌では、やわらかい歯ブラシでの毎日の歯磨きが理想(ゴールドスタンダード)とされています。まずは続けられるペースで習慣化を
歯磨き粉で気をつけたいのが、人間用の製品です。MSD獣医マニュアル「フェレットの日常的な健康管理」では、フッ素入りの人間用歯磨き粉は飲み込む前提で作られておらず、フェレットにとって有害になるおそれがあるとしています。
人間用のフッ素入り歯磨き粉は使わないでください。同マニュアルでは、動物病院でペット用の歯磨き粉が手に入るとも案内されています。
硬いフードは?
「ドライフードは歯にいい?」については、資料によって見解が分かれます。MSD獣医マニュアルでは、歯磨きとフェレット用ドライフードが歯垢の蓄積を抑える助けになるとしています。
一方イリノイ大学獣医学部では、研磨性のあるデンタルおやつは歯の過度なすり減りを招くおそれがあり、硬いドライフードでさえ問題になりうると注意しています。フードやおやつだけに頼らず、歯磨きと健診を軸にするのが無難です。
おもちゃ選びも歯の健康に関わります。イリノイ大学のコラムでは、フェレットはおもちゃをかじって破片を飲み込み、腸閉塞を起こすこともあるため、かむ行動を促さないおもちゃを勧めています。
例として挙げられているのは、ハンモック、トンネル、ボールプールなどです。
動物病院での歯石除去と治療の流れ
MSD獣医マニュアルでは、フェレットの歯と歯ぐきは年に1回、獣医師に診てもらうよう勧めています。
歯石を取って歯周病や歯が抜けるのを防ぐためのクリーニングには全身麻酔が必要で、口の中を詳しく調べるときも全身麻酔が必要になることがあるとされています。
イリノイ大学のコラムによると、クリーニングでは麻酔をかけたうえで歯石を取り除き、歯を研磨します。
あわせて専用の器具で歯ぐきや骨の状態を確認し、必要に応じて歯のX線検査や組織の検査を行って治療方針を決めます。折れた歯は、X線での評価をもとに根の治療か抜歯かが選ばれます(獣医看護師向け専門誌)。
麻酔前の絶食にも注意が必要です。フェレットは代謝が速く、獣医看護師向け専門誌では、絶食は麻酔の前投薬の2時間ほど前までにとどめ、前の晩からの絶食は勧めないとされています。
一方、フェレットの救急・集中治療の総説では、麻酔導入前に4〜6時間の絶食が理想とされており、資料によって差があります。絶食の時間は自己判断で決めず、必ず病院の指示に従ってください。
インスリノーマなど持病のある子は、麻酔中に低血糖を防ぐためブドウ糖入りの点滴が必要になる場合があるとされています(獣医看護師向け専門誌)。持病や飲んでいる薬は、事前に必ず伝えておきましょう。
処置のあとは、やわらかい食事が必要になることがあります。
同誌では、いつものフードを細かく砕いたり、ぬるま湯でふやかしたりして食べやすくする方法が紹介されています。フェレットは食べない状態が続くと低血糖になりやすいとされているので、帰宅後に食べない様子があれば、早めに病院へ連絡してください。
フェレットの歯のよくある質問
フェレットの歯は何本ですか?
大人の歯(永久歯)は34本、乳歯は28〜30本とされています。内訳は切歯12本、犬歯4本、前臼歯12本、後臼歯6本です。生まれつき奥歯が少ない子や、余分な歯がある子もいます。
フェレットの歯の生え変わりはいつですか?
資料によって幅があり、永久歯は生後50〜74日ごろまでに生えるとする論文と、生後9ヶ月までに完全に生えそろうとする専門誌の解説があります。
フェレットの歯磨きは毎日必要ですか?
獣医看護師向け専門誌では毎日の歯磨きが理想とされていますが、嫌がる子に無理をさせるとかえって続きません。綿棒とペット用歯磨き粉で、短時間からでも習慣にしていくことが大切です。
歯が折れたけど元気です。様子見でいいですか?
折れた犬歯は、見た目に変化がなくても内部に病気の所見が見つかることが研究で報告されています。元気や食欲があっても、一度動物病院で診てもらうことをおすすめします。
あわせて読みたい
よだれや口を掻くしぐさが気になる場合は、低血糖を起こすインスリノーマについても確認しておきましょう。
フィラリア予防の検査で動物病院に行くときは、歯もあわせて診てもらうよい機会です。
フェレットの歯のまとめ
- フェレットの歯は34本。犬猫と同じタイプの歯で、トラブルも犬猫に近い
- 多いのは犬歯の破折、歯石・歯肉炎(歯周病)、歯のすり減り
- 折れた犬歯は見た目がきれいでも中で炎症が進んでいることがある。様子見せず相談を
- 内側から茶色〜灰色に変わった歯は、歯髄のトラブルのサインとされる
- よだれ・口を掻くしぐさは低血糖や吐き気のサインのことも。元気がなければ急いで受診を
- 家では綿棒+ペット用歯磨き粉で歯磨き。人間用のフッ素入り歯磨き粉は使わない
- 年1回の健診で歯も診てもらう。麻酔前の絶食は病院の指示に従う
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。フェレットの様子に不安があるときは、フェレットを診られる動物病院に相談してください。
ぽちたま薬局ではフェレットに使用されるお薬も取り扱っています

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。









