「散歩に連れて行っても大丈夫?」
「ストレスが発作を引き起こしているのかも…」
「どんなことがてんかんの発作のきっかけになるの?」
愛犬がてんかんと診断された後、日常生活の中でこんな疑問や不安を感じている飼い主さんは多いのではないでしょうか。
犬のてんかんでは、ストレスや睡眠パターンの変化などが発作のきっかけになる場合があります。
愛犬に発作が起きやすい状況を把握し、可能な範囲で避けることも発作を管理するうえで役立ちます。
この記事では、以下について詳しく解説します。
- ストレスが発作に与える影響とストレスサインの見分け方
- 発作を誘発しやすいトリガーと起きやすいタイミング
- てんかんの犬の散歩の可否と注意点
- 日常のストレスを減らすための具体的な対策方法
愛犬が穏やかに過ごせるよう、できることから取り入れてみてください。
犬のてんかんの原因

犬のてんかんは、脳の神経細胞が異常に興奮することで発作が起こる病気です。
原因によって大きく「特発性てんかん」と「構造性(症候性)てんかん」の2つに分けられます。
特発性てんかんは検査をしても脳に明らかな異常が見つからないケースで、遺伝的な要因が関係していると考えられています。
犬のてんかんの中で最も多いタイプです。
構造性てんかんは脳腫瘍・脳炎・水頭症・外傷など、脳の病変が原因で起こります。
ストレスそのものがてんかんの原因になるわけではありませんが、すでにてんかんのある犬では、ストレスが発作を引き起こすきっかけのひとつになる可能性があります。
てんかんの症状については、以下のコラムで詳しく解説しています。
ストレスが犬のてんかんに与える影響

てんかんのある犬では、ストレスや不安、過度な興奮などが発作のきっかけになる場合があります。
実際に、特発性てんかんの犬を対象とした研究では、生活環境の変化や来客、慣れない場所、睡眠パターンの変化などが、発作に関連する要因として飼い主から報告されています。
ただし、発作のきっかけには個体差があり、すべての犬がストレスによって発作を起こすわけではありません。
発作が起きたときの状況を記録し、愛犬にどのような傾向があるのかを把握しておくとよいでしょう。
参考
Remarkable anecdotes illustrating the nature and effect of seizure-precipitating factors in Border Collies with idiopathic epilepsy(外部リンク)
Seizure‐precipitating factors in dogs with idiopathic epilepsy(外部リンク)
犬がストレスを感じているサインとは
犬はストレスを感じていても、言葉で伝えることができません。
以下のようなサインが見られる場合、ストレスを感じている可能性があります。
- 落ち着きがなく、うろうろする
- 過度に吠える・鳴く
- 体を過剰に舐める・噛む
- 食欲が落ちる・水をがぶ飲みする
- 隠れる・飼い主にべったりくっつく
- あくびを繰り返す・鼻をなめる
- 震える・筋肉がこわばる
- 耳を後ろに倒す・尻尾を下げる
- 瞳孔が開いている
- 呼吸が速くなる
これらのサインが見られたときは、愛犬がストレスを感じている可能性があります。
発作が起きた際の状況と合わせて記録しておくと、発作が起きやすい状況や傾向を把握する手がかりになります。
発作を誘発しやすいストレスの種類
以下のような刺激・状況が、てんかん発作を誘発するトリガーになる可能性があります。
| 発作のきっかけとなる可能性がある状況 | 具体例 |
|---|---|
| 環境の変化 | 引っ越し・リフォーム・家具の配置変え |
| 家族構成の変化 | 新しいペットが増えた・家族の入院や別居 |
| 騒音・光の刺激 | 雷・花火・工事音・フラッシュ・強い光 |
| 天候の変化 | 暑さ・寒さなど |
| トリミング・動物病院 | 慣れない場所・知らない人に触られる |
| 過度な興奮 | 激しい遊び・来客・帰宅時の興奮 |
| 睡眠パターンの変化 | 普段と睡眠時間や生活リズムが変わった |
愛犬に発作が起きた際は、その直前の状況(天気・出来事・行動など)を発作日誌に記録しておきましょう。
愛犬に発作が起きやすい状況や傾向を把握しやすくなります。
発作が起きやすいタイミング
てんかんの犬には、発作が起きやすい時間帯やタイミングがあることが知られています。
- 睡眠中・休息中・起床時
- 興奮やストレスがかかった後
- 生活リズムや睡眠パターンが変化したとき
こうしたパターンを把握しておくことで、発作が起きやすい時間帯に注意して見守ったり、発作のきっかけを事前に回避したりしやすくなります。
てんかんの犬の散歩はしても大丈夫?
結論から言うと、てんかんの犬でも散歩は基本的に問題ありません。
適度な散歩は運動不足の解消や気分転換にもなるため、愛犬の体調に合わせて無理のない範囲で続けましょう。
ただし、過度な興奮や疲労は発作を誘発するリスクがあるため、散歩の仕方や環境には注意が必要です。
散歩時の注意点
時間帯を選ぶ
過去の発作記録から愛犬に発作が起きやすい時間帯や状況が分かっている場合は、そのタイミングを避けるのもひとつの方法です。
過度な興奮を避ける
他の犬との激しいじゃれ合いや、長時間の激しい運動は過度な興奮につながり、発作のリスクが高まることがあります。
愛犬のペースに合わせた穏やかな散歩を心がけましょう。
コースを一定にする
慣れない場所で強い不安を感じる犬の場合は、普段から慣れている散歩コースを選ぶとよいでしょう。
天候の変化に注意する
てんかんの犬の中には、暑さや寒さなどの天候の変化が発作のきっかけになる場合があります。
また、雷や豪雨の音・光を怖がる犬もいるため、荒天時は無理に散歩へ出かけず、愛犬の様子を見ながら判断しましょう。
リードは必ず使用する
散歩中に発作が起きた場合に備えて、リードは必ず使用してください。
発作中に道路に飛び出すなどの事故を防ぐためにも重要です。
散歩中に発作が起きた場合の対処法
散歩中に発作が起きた場合は、以下の手順で対応してください。
1.安全な場所に移動する:道路や水辺など危険な場所にいる場合は、安全を確保できる範囲で危険から遠ざける。無理に抱き上げたり押さえつけたりしない
2.時間を計る:発作が始まった時刻を確認し、継続時間を計る
3.動画を撮影する:可能であれば発作の様子をスマートフォンで撮影しておく。動物病院での診断に役立ちます
4.触れずに見守る:発作中は刺激を与えないよう、落ち着いて見守る。口に手を入れないこと
5.5分以上続く場合はすぐに病院へ:重積発作の可能性があるため、発作が5分以上続く場合や、短時間に発作を繰り返す場合は、すぐに動物病院へ連絡する
散歩から帰ったら、発作が起きた状況(時間帯・天気・コース・前後の行動)を記録しておきましょう。
発作が起きた状況を記録しておくことで、愛犬に発作が起きやすい状況を把握する手がかりになります。
犬のストレスを減らすための対策方法

てんかんの犬では、日常生活のストレスをできるだけ減らし、安心して過ごせる環境を整えることも大切です。
完全にストレスをゼロにすることは難しいですが、愛犬が安心して過ごせる環境を整え、発作のきっかけとなり得る状況をできる範囲で減らしていきましょう。
安心できる環境作り
愛犬が安心して過ごせる環境を整えることは、ストレス軽減の基本です。
- 騒音対策:外からの騒音が気になる場合は、防音カーテンや防音シートを活用する。テレビや音楽は適度な音量を心がける
- 寝床を整える:愛犬が安心して眠れる静かな場所に寝床を用意する。クレートやケージを活用すると、愛犬専用の安心できる空間を作りやすい
- 生活リズムを一定にする:食事・散歩・睡眠の時間をできるだけ一定に保つことで、環境の変化によるストレスを減らせる
- 急な環境変化を避ける:引っ越しや家具の配置変えなど、大きな環境変化はできるだけ避ける。やむを得ない場合は段階的に変化させる
適度な運動と睡眠
適度な運動は、過度な緊張や興奮を和らげストレスを発散させる効果があります。
毎日の散歩を習慣にしながら、愛犬の体力に合ったペースで続けましょう。
一方で、激しすぎる運動や過度な興奮は発作を誘発するリスクがあります。
愛犬の様子を見ながら、無理のない範囲で運動させることが大切です。
睡眠パターンの変化が発作のきっかけとして報告される犬もいます。
愛犬が十分に休める、静かで落ち着いた睡眠環境を整えましょう。
飼い主さんとのコミュニケーション
飼い主さんとのコミュニケーションを好む犬では、優しく声をかけたり、愛犬が望む範囲で触れ合ったりすることが安心につながる場合があります。
ただし、発作後は過度にかまいすぎず、静かな場所で落ち着かせることが大切です。
発作後の愛犬はぼーっとしていたり、混乱していたりすることがあるため、そっと見守るようにしてください。
急なストレス発生時の対処法
雷・花火・工事音など、突発的なストレスが発生した場合は以下の方法で対応しましょう。
- 静かな部屋や愛犬が安心できる場所(クレートなど)に移動させる
- 遮光カーテンを閉め、外からの光・音の刺激を遮断する
- 飼い主さんが落ち着いた声でゆっくり話しかけ、安心感を与える
- 好きなおもちゃやブランケットをそばに置いてあげる
- 天気予報を確認し、雷雨・台風が予想される日は外出を控える
- 花火大会や工事など、大きな音が予想されるイベントがある場合は事前に対策する
- 日頃からクレートトレーニングをしておき、愛犬が自分から入れる安全な場所を作っておく
急なストレスが続いたり、その後に発作が起きたりした場合は、状況を記録してかかりつけの獣医師に相談しましょう。
よくある質問
犬のてんかんとストレスについて、ストレスを与えてしまったときの対応や、天候の変化への対策など、よくある疑問をまとめました。
てんかんの犬にストレスを与えてしまったら?
「気づかずにストレスを与えてしまった」「発作が起きてしまった」と自分を責めてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、すべてのストレスを完全に防ぐことは難しいため、過度に心配する必要はありません。
ストレスを与えてしまった場合は、以下の対応をしましょう。
- 静かで落ち着ける場所に移動させ、そっと見守る
- 過度に声をかけたり抱きしめたりせず、愛犬が自分のペースで落ち着くのを待つ
- 発作が起きた場合は時間を計り、5分以上続く場合はすぐに動物病院へ連絡する
- 状況を記録して次回の予防に活かす
発作が起きたときの状況を記録し、愛犬に発作が起きやすいパターンがないか確認することが大切です。
天候の変化への対策は?
てんかんの犬の中には、暑さや寒さなどの天候の変化が発作のきっかけとして報告される犬もいます。
ただし、天候と発作の関係には個体差があり、すべての犬に当てはまるわけではありません。
愛犬に天候と発作の関連が疑われる場合は、発作日誌にその日の天候や気温なども記録しておくと、発作が起きやすい状況を把握する手がかりになります。
また、雷や豪雨の音・光を怖がる犬では、カーテンを閉めたり、安心して過ごせる場所を用意したりするなど、できる範囲で刺激を減らしてあげましょう。
まとめ
ストレスそのものが犬のてんかんの原因になるわけではありませんが、てんかんのある犬では、ストレスや不安、過度な興奮などが発作のきっかけになる場合があります。
ただし、発作のきっかけには個体差があるため、日頃から愛犬の様子や発作が起きたときの状況を記録し、傾向を把握しておくことが大切です。
- ストレスや過度な興奮などが発作のきっかけになる場合がある
- ストレスサインや発作が起きたときの状況を記録しておく
- 睡眠中や休息中、生活リズムが変化したときなどに発作がみられる犬もいる
- てんかんの犬でも散歩は基本的に問題ないが、愛犬の体調や発作の傾向に合わせて無理のない範囲で行う
- 安心して過ごせる環境を整え、発作のきっかけとなり得る状況をできる範囲で減らす
- 発作日誌をつけて、愛犬に発作が起きやすい状況や傾向を把握する
発作が増えた、新たな症状が出たなど気になる変化があれば、自己判断せず、かかりつけの獣医師に相談してください。
てんかんの治療薬は、長期的な投薬が必要になることもあります。
ぽちたま薬局では、犬のてんかん治療に使用されるお薬を取り扱っています。
取り扱っているお薬については、以下のページからご確認いただけます。
>>犬用てんかん治療薬はこちら
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ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。









