北海道のみに生息していると思われていたエキノコックスですが、実は本州でも感染例が報告されています。
本州にエキノコックスが定着しているのかは定かではありません。しかし、発生例が青森県や愛知県の知多半島で確認されているのは事実です。
この記事では、本州にエキノコックスが侵入する経路や予防対策を説明していきます。
エキノコックスの生態や感染経路などは、以下のコラムも参考にしてください。
目次
エキノコックス症の感染者数が2番目に多いのは青森県
国立感染症研究所のホームページでは、都道府県別に1927～2001年までに確認されたエキノコックス症の感染者数を公表しています。
そのデータによるとエキノコックス症の感染者数が2番目に多い地域は青森県。
圧倒的に多いのは北海道で417人でしたが、青森県でも22人の感染者が確認されたのです。
参考
・NHK青森放送局「エキノコックス症 北海道の病気じゃなかったの？」（外部リンク）
愛知の知多半島でもエキノコックスが発見されている
エキノコックスは愛知県の知多半島でも発見されています。しかしなぜ知多半島で感染が拡がったのか原因はよくわかっていません。
ただ、知多半島に生息する野犬の糞からは8件以上のエキノコックスが検出されています。
知多半島地域では、駆虫薬入りの餌を散布させるという北海道の対策を模範例として、感染拡大防止に取り組んでいるようです。
参考
・愛知県 感染症対策課感染症・体制整備グループ「犬におけるエキノコックス症の発生に伴う注意喚起について」（外部リンク）
首都圏でも過去に感染者の報告があった
過去には、首都圏でもエキノコックスの感染者が報告されていました。
1927～2001年の間には、東京都や神奈川県などの首都圏、その他では宮城県や新潟県も感染が確認されています。
エキノコックスが北海道にしか生息していないと思われていたのは過去の話。本州に住んでいるから安全と考えるのはとても危険なことなのです。
エキノコックスが本州に侵入したのは動物の移動や旅行が原因？
エキノコックスが本州に侵入した原因は、動物の移動や旅行ではないかと考えられています。
北海道と青森県の間には、函館トンネルがあります。
エキノコックスを運ぶキツネやネズミなどが函館トンネルを通り、本州に感染が拡がったという説もあるようです。
また、北海道や海外への旅行で感染源を連れ帰る可能性も否定できません。
エキノコックス症は早期発見しないと完治が難しい
エキノコックス症は、早期発見しないと完治が難しい病気です。
感染すると肝腫大や腹痛、肝臓周辺の臓器が圧迫され、胆道閉塞や胆管炎を併発して破裂する場合もあります。
さらに巣病は脳に転移する可能性もあり、最悪の場合は死に至ります。
エキノコックスは潜伏期間が5～15年ほどもあるので、感染初期は自覚症状がありません。
感染が心配な方は、症状がない場合でも検査を受けましょう。
エキノコックス症の詳しい情報については、以下のコラムで確認できます。
エキノコックス症に感染していたら？
エキノコックス症は早期に発見することで完治を目指せます。検査を受け実際に感染が発覚した場合、どうすれば良いのでしょうか。
ここからは、エキノコックス症の治療法を紹介していきます。
治療薬を使う
エキノコックス症には、治療薬が用いられます。
アルベンダゾールという治療薬で、エキノコックスの代謝を阻害して増殖を抑える効果があります。
しかし、厳密にいえば治療薬だけで完治させるのは困難。完治を目指すには、病気が及んだ部分を切除しなければいけません。以下で詳しく説明します。
参考
・おくすり110番「アルベンダゾール」（外部リンク）
完治を目指すなら病巣部分を手術で切除する
エキノコックス症の完治を目指す方法は、手術による病巣部分の切除です。
ただ、手術すれば必ず治るというわけでもないので注意してください。
手術はあくまでも根治的治療。早期であれば摘出できますが、発見が遅れると切除できないケースもあります。
エキノコックス症を治すには、早期発見をすることが大切。心配な方は必ず検査を受けてください。
エキノコックス症を防ぐ対策は？
エキノコックス症を防ぐ主な対策は、以下の通りです。
- 旅行などで北海道に行った際は、キツネや糞などに触れないように注意する
- 犬や猫を飼っている場合はエキノコックスに有効な駆除薬を投与する
エキノコックス症は早期で治療できれば完治できます。しかし、長い潜伏期間によって早期発見が難しいことも事実。
そのためエキノコックス症は、まず感染しないために予防することが大切です。
詳しい対策については、以下のコラムからも確認してください。
まとめ
エキノコックスは、北海道だけではなく本州でも感染が確認されています。旅行に出かけたときや、犬猫を飼っている方はとくに注意をしてください。
また、エキノコックス症は早期の治療で完治できますが、潜伏期間があるので初期には症状がありません。
エキノコックス症は、発見が遅れると治療が困難な恐ろしい病気です。
本州にも生息している可能性があるため、まずはしっかり対策をして感染を防ぎましょう。
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