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クッシング症候群とは、副腎皮質ホルモンが過剰に分泌される病気のことで、「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれます。
副腎は生きていくために必要なホルモンを合成、分泌している臓器ですが、ここで生成されているコルチゾールが過剰に分泌された状態をクッシング症候群といいます。
コルチゾールには脂質・タンパク質の代謝をはじめ、血糖値を上昇させたり、免疫抑制や抗炎症作用などもあり、生きていくうえで不可欠なホルモンです。
しかし過剰に分泌されてしまうと、ご飯を必要以上に食べる、たくさん水を飲むようになる、オシッコの量が増える、筋力が落ち歩行が難しくなる、糖尿病を併発するなど様々な問題が起きます。
なお、クッシング症候群は犬によく見られる病気であり、猫での発症はまれです。
猫がクッシング症候群を発症した場合、以下の症状が現れます。
愛猫が急に水をたくさん飲むようになり、オシッコの量も増えた、食欲が増した、お腹が垂れ下がるように太ってきたという場合は、クッシング症候群を疑った方がよいでしょう。
クッシング症候群を発症している猫の多くは、糖尿病を併発している場合が多いため、注意が必要です。
コルチゾールが過剰に分泌されると、体内の血糖値が下がりにくくなる「インスリン抵抗性」という状態になります。
インスリン抵抗性になると、血糖値を下げる働きのあるインスリンが分泌されても、その効果がうまく発揮されず、血液中の血糖値が高いままとなります。
血液中の血糖値が下がらず常に高い状態のままだと糖尿病となり、徐々に血管が蝕まれて合併症も起こりやすくなるため、早めの治療が大切です。
猫のクッシング症候群の原因は、主に3つあります。
ここでは、それぞれの原因について説明します。
副腎の機能は、脳下垂体によって管理されています。
脳下垂体に腫瘍ができることで副腎への制御が失われてしまい、コルチゾールが過剰に生成されてしまいます。
猫のクッシング症候群の原因は、約8割が脳下垂体の腫瘍によるものです。
副腎そのものに腫瘍ができることで、コルチゾールが過剰に生成されてしまいます。
猫のクッシング症候群の原因のうち、約2割が副腎の腫瘍によるものです。
アレルギーや腫瘍、炎症、自己免疫疾患などの治療のためにステロイド薬を過剰投与、または長期投与することで、クッシング症候群になる場合があります。
猫の場合はステロイド薬の影響で発症することはまれですが、発症した場合は投与量を減らすなどの対応が必要となります。
・にゃんペディア|猫のクッシング症候群【獣医師が解説】(外部リンク)
猫のクッシング症候群の発症自体まれであるため、かかりやすい猫の種類は特にありません。
ただし、中高齢の猫が発症しやすいとされています。
猫のクッシング症候群の検査には、以下の方法があります。
猫は血液検査だけでは判断が難しいため、エコー検査で副腎の大きさを確認したり、クッシング症候群で見られる症状が出ているかどうかで診断する場合もあります。
ACTH刺激試験は、副腎にコルチゾールの分泌を促すホルモンを投与し、コルチゾールの推移を見て発症しているかを判別する検査です。
デキサメタゾン抑制試験は、コルチゾールに似た作用のお薬を投与し、コルチゾールの値の変化を見て、下垂体と副腎のどちらに原因があるのかを調べる検査です。
・【獣医師監修】うちの子おうちの医療事典|クッシング症候群 [猫](外部リンク)
猫のクッシング症候群の治療方法は、大きく分けて3つあります。
それぞれの治療方法は、以下の通りです。
副腎や下垂体に腫瘍がある場合、外科手術で摘出します。
なお、下垂体に腫瘍がある場合は手術可能な施設が限られているため、手術自体が難しい場合があります。
手術ができない場合は、放射線治療に切り替えることもあります。
下垂体に腫瘍があり、神経症状を引き起こしている場合に適応される治療方法です。
外科手術と同じく、放射線治療も特殊な設備が必要となるため、治療できる施設が限られます。
過剰に分泌されるコルチゾールを内服薬で抑制する治療方法で、生涯投薬が必要となります。
副作用が現れないよう低用量から投薬を開始して、様子を見ながら徐々に適量まで増やしていきます。
糖尿病を併発している猫の場合は、クッシング症候群の治療と平行して、糖尿病の治療も行います。
・にゅうた動物病院|犬と猫のクッシング症候群について|(外部リンク)
猫がクッシング症候群を発症した場合、生涯を通して投薬が必要となります。
なお、治療薬は病院だけでなく通販でも購入できます。
海外通販では、クッシング症候群の治療のために処方される治療薬と同じ有効成分、ケトコナゾールが含まれている「ケトコナゾールジェネリック」を購入できます。
商品名:ケトコナゾールジェネリック
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有効成分:ケトコナゾール
抗菌剤ですが、コルチゾールの生成を抑える作用があり、クッシング症候群の治療薬としても用いられます。
クッシング症候群の治療を内科治療で行う場合、投薬量が多いとアジソン病(副腎皮質機能低下症)を引き起こすことがあるため、注意が必要です。
内科治療では投薬前後の血液検査を行い、投薬量の細かい調整が重要となります。
※アジソン病(副腎皮質機能低下症)
コルチゾールが過剰に生成されるクッシング症候群とは逆で、コルチゾールを始めとした副腎ホルモンの生成が不足する病気です。
猫がアジソン病を発症するのは非常にまれですが、気になる症状がある場合は獣医師に相談しましょう。
猫がクッシング症候群にならないための有効な予防方法は、残念ながらありません。
明確な予防法がないため、早期発見・早期治療が重要となります。
日頃からクッシング症候群の症状らしき変化がないか注意し、定期的に健康診断を受けるようにしてください。
なお、皮膚疾患の治療のためにステロイド剤を長期に渡って使用している場合、クッシング症候群を発症する可能性が高くなると言われているため、ステロイドを使用している猫は特に注意が必要です。
猫のクッシング症候群は発症自体が少ないですが、糖尿病を併発する可能性が高いため注意が必要です。
クッシング症候群は一度発症してしまうと、生涯にわたりお薬の服用が必要となります。
明確な予防方法はないため、日頃から愛猫にクッシング症候群と思われる症状が発症していないか、注意深く観察する必要があります。
急に水を飲む量やオシッコの量が増えた、食欲も旺盛でお腹だけ膨れたように太ってきた、抜け毛が増え皮膚が薄くなってきたなど、気になる症状がある場合は、すぐに獣医師に相談してください。
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