子犬を迎えたばかりだと、「しつけはいつから始めればいい?」「まず何から教えればいい?」と悩む飼い主さんも多いのではないでしょうか。
子犬のしつけは、何ヶ月になったら始めると決まっているわけではなく、新しい環境に慣れることを優先しながら、迎えた日から少しずつ始めることができます。
特に子犬の時期は、人やほかの犬、生活音、さまざまな環境などに慣れていく「社会化」においても大切な時期です。
ただし、最初からすべてを完璧に教える必要はありません。トイレやハウスなど生活に必要なしつけから始め、子犬の成長や性格に合わせて少しずつできることを増やしていくことが大切です。
この記事では、子犬のしつけを始める時期や教える順番、月齢別の目安をわかりやすく解説します。
子犬をしつけるときのポイントや、うまくいかない場合の対処法についても紹介するので、初めて犬を迎えた方はぜひ参考にしてください。
子犬のしつけはいつから始める?

子犬のしつけは、自宅に迎えた日から少しずつ始めることができます。
ただし、迎えたばかりの子犬は、住む場所や一緒に暮らす人など、生活環境が大きく変化したばかりです。
最初からたくさんのことを覚えさせようとせず、まずは新しい環境に慣れてもらうことを優先しながら、無理のない範囲で進めましょう。
名前を覚えてもらう、トイレの場所を教える、ハウスで落ち着いて過ごすなど、日常生活に必要なことから少しずつ教えていくことが大切です。
生後2~3ヶ月頃はしつけを始める大切な時期
生後2~3ヶ月頃は、しつけを始めるとともに、さまざまな人や犬、音、物、環境などに慣れていく「社会化」にとって大切な時期です。
環境省の資料では、生後3~16週頃を「社会化期」とし、この時期の子犬はさまざまな刺激を受け入れやすいと説明しています。
また、「おすわり」や「ふせ」などを教えること以上に、適切な社会化や排泄・甘噛みといった子犬特有の問題への対応が重要とされています。
そのため、この時期はコマンドをたくさん覚えさせることだけを目的にせず、家族以外の人や生活音、日常的に目にする物などに少しずつ慣れる経験を積ませることも大切です。
ただし、子犬の性格や成長には個体差があります。
怖がっているものに無理に近づけるのではなく、子犬の様子を見ながら少しずつ経験させていきましょう。
参考
環境省|動物の適正譲渡における飼い主教育(外部リンク)
子犬を迎えた初日からできるしつけもある
子犬を迎えた初日からでも、名前を呼ぶ、トイレの場所へ誘導する、ハウスで落ち着いて過ごしてもらうなど、簡単なしつけは始められます。
ただし、迎えてすぐの数日は、新しい家や家族に慣れてもらうことも大切です。
長時間の練習をしたり、一度にいくつものことを覚えさせたりする必要はありません。
まずは安心して過ごせる環境を整え、食事や睡眠、排泄などの生活リズムをつくりながら、できることから少しずつ教えていきましょう。
また、しつけは「何ヶ月になったから次へ進む」と一律に決めるものではありません。
子犬の成長や覚えるペースに合わせて進めることが大切です。
子犬のしつけは何から?教える順番と始める時期

子犬のしつけは、まず名前やトイレ、ハウスなど、日常生活に必要なことから始めるのがおすすめです。
その後、アイコンタクトや体に触られる練習、おすわり・待て・おいでなど、子犬の成長や覚えるペースに合わせて少しずつ教えていきましょう。
また、しつけには必ず守らなければならない順番があるわけではありません。
社会化や甘噛みへの対応など、子犬の時期から並行して取り組みたいこともあります。
教える順番と始める時期の目安は、以下の通りです。
| 順番の目安 | しつけ | 目的 | 始める時期の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 名前を覚える | 名前を呼ばれたら飼い主に注目できるようにする | 迎えた日から |
| 2 | トイレ | 決められた場所で排泄する習慣をつける | 迎えた日から |
| 3 | ハウス | ケージやクレートで安心して過ごせるようにする | 迎えた日から |
| 4 | アイコンタクト | 飼い主に注目し、指示を受けやすくする | 新しい環境に慣れてきたら |
| 5 | 体に触られる練習 | お手入れや診察のために体を触られることに慣れる | 新しい環境に慣れてきたら |
| 6 | 甘噛み・噛み癖への対応 | 人の手足などを噛む習慣をつけないようにする | 迎えた日から |
| 7 | おすわり・待て・おいで | 日常生活で必要な指示を覚える | 生後2~3ヶ月頃から |
| - | 社会化 | 人や犬、音、物、さまざまな環境に慣れる | 子犬のうちから |
| - | 留守番 | 飼い主と離れても落ち着いて過ごせるようにする | 新しい環境に慣れてから少しずつ |
| - | 散歩 | 外の環境に慣れ、安全に歩けるようにする | ワクチン接種状況を獣医師に確認してから |
表の順番はあくまで目安です。
「1つできたら次へ」と順番に進める必要はなく、子犬の様子を見ながら複数のしつけを並行して進めて構いません。
特に社会化は、前述したように子犬の時期から意識したい取り組みです。
家の中でも生活音や家族以外の人などに触れる機会をつくり、無理のない範囲でさまざまな経験をさせてあげましょう。
また、甘噛みは子犬によくみられる行動ですが、成長するにつれて噛む力も強くなります。
人の手足を噛んだときの対応を家族で統一し、噛むことでおやつや遊びなどのご褒美が得られる状況をつくらないことも大切です。
【月齢別】子犬のしつけの目安

子犬は月齢によって成長段階が異なるため、その時期に合わせてしつけを進めることが大切です。
ただし、以下の月齢はあくまで目安です。
「この月齢までにできなければならない」というものではないため、子犬の性格や成長、家庭での生活環境に合わせて進めましょう。
生後2ヶ月頃
生後2ヶ月頃は、新しい家庭に迎えられることも多く、まずは飼い主や新しい生活環境に慣れてもらうことを優先する時期です。
名前を呼んで飼い主に注目してもらうことや、トイレ、ハウスなど、毎日の生活に必要な基本的なしつけから少しずつ始めましょう。
また、この時期は社会化においても重要です。
人や生活音、さまざまな物などに無理のない範囲で触れさせ、「怖くない」「楽しい」と感じられる経験を少しずつ増やしていくことも大切です。
一度に多くのことを教えようとせず、子犬が疲れたり集中力が切れたりしたら休ませましょう。
生後3~4ヶ月頃
生後3~4ヶ月頃は、これまで続けてきたトイレやハウスなどのしつけに加えて、おすわり・待て・おいでなど、日常生活で役立つ基本的な指示も少しずつ練習していきます。
また、人やほかの犬、車や生活音など、今後の生活で出会うさまざまな刺激に慣れる経験も引き続き大切です。
American Veterinary Society of Animal Behavior(AVSAB)は、子犬の社会化で特に重要なのは生後3ヶ月までとしており、感染症への配慮をしながら、ワクチン接種がすべて完了する前から安全な方法で社会化を進めることを推奨しています。
ただし、ワクチン接種が完了していない子犬を、不特定多数の犬が利用する場所へ連れて行くことには感染症のリスクがあります。
社会化は散歩だけで行うものではありません。
抱っこで外の音や景色に触れさせるなど、安全に配慮した方法も取り入れながら、ほかの犬との接触や散歩を始める時期は、ワクチンの接種状況に応じてかかりつけの獣医師に確認しましょう。
参考
American Veterinary Society of Animal Behavior(AVSAB)|Puppy Socialization Position Statement(外部リンク)
生後5~6ヶ月頃
生後5~6ヶ月頃になったら、これまで覚えてきたことを繰り返し練習し、さまざまな状況でも飼い主の指示を聞けるようにしていきましょう。
たとえば、家の中では「待て」ができても、散歩中など周囲に刺激がある環境ではうまくできないことがあります。
最初は落ち着いた場所から始め、少しずつ場所や状況を変えながら練習していきます。
散歩では、リードを強く引っ張らずに歩くことや、飼い主に意識を向けることなども教えていきましょう。
また、体が大きくなり活動量も増えてくるため、遊びや散歩などで十分に体を動かす機会をつくることも大切です。
生後7ヶ月以降
生後7ヶ月以降も、しつけが終わるわけではありません。
これまで覚えたことを日常生活の中で繰り返し、定着させていきましょう。
成長に伴い、以前はできていた指示に従わなくなったり、興奮しやすくなったりすることもあります。
そのような場合も、強く叱って従わせようとするのではなく、できた行動を褒めながら根気よく練習を続けることが大切です。
また、子犬の時期を過ぎても、新しい人や場所、さまざまな環境に慣れる経験は続けていきましょう。
AVSABも、重要な社会化期を過ぎたあとも、人や動物、場所などへの社会化を継続することを勧めています。
しつけは月齢だけを基準に進めるのではなく、愛犬の性格や得意・不得意を見ながら、その子のペースに合わせて続けていくことが大切です。
子犬をしつけるときのポイント

子犬のしつけでは、できないことを叱るよりも、できたことを褒めながら「どの行動をすればよいのか」を教えていくことが大切です。
なかなか覚えてくれない場合も焦らず、以下のポイントを意識して取り組みましょう。
- できたらすぐに褒める
子犬が正しい行動をできたら、その場ですぐに褒めましょう。
時間が経ってから褒めても、子犬はどの行動を褒められたのか理解しにくくなります。
「おすわり」ができた瞬間など、望ましい行動をした直後に褒めることがポイントです。
- 一度の練習は短時間にする
子犬は長時間集中して練習を続けることが得意ではありません。一度にたくさんのことを覚えさせようとせず、短時間の練習を繰り返しましょう。
子犬が飽きたり疲れたりする前に終えることで、しつけを楽しい経験にしやすくなります。
- 家族でルールや指示を統一する
家族によって使う言葉やルールが違うと、子犬が混乱してしまいます。
たとえば「おすわり」と「座って」を人によって使い分けるのではなく、同じ行動には同じ言葉を使うよう家族で統一しましょう。
また、「ソファに上がってよい」「人の食べ物を与えてよい」などの生活上のルールについても、あらかじめ家族で決めておくことが大切です。
- 失敗しても強く叱らない
トイレを失敗したり、指示どおりにできなかったりしても、叩く、大声で怒鳴るなど、子犬に恐怖を与える方法は避けましょう。
また、失敗してから時間が経って叱っても、子犬は何について叱られているのか理解できないことがあります。
失敗を罰するのではなく、できたときに褒めて望ましい行動を覚えてもらうことを意識しましょう。
AVSABも、犬のしつけにはご褒美を用いた方法を推奨しており、身体的・心理的な罰を伴う方法は使用しないよう示しています。
参考
American Veterinary Society of Animal Behavior(AVSAB)|Humane Dog Training Position Statement(外部リンク)
- おやつやおもちゃを上手に活用する
おやつやおもちゃは、子犬に正しい行動を教えるためのご褒美として活用できます。
ただし、与えるタイミングには注意が必要です。
たとえば、人の足を噛んだ直後に気をそらそうとして毎回おやつを与えると、「足を噛むとおやつがもらえる」と学習してしまう可能性があります。
おやつは問題行動を止めるために与えるのではなく、「おすわりができた」「噛むのをやめて落ち着けた」など、褒めたい行動ができたタイミングで与えるようにしましょう。
おもちゃも渡したままにするだけではなく、一緒に遊ぶ時間をつくることで、飼い主とのコミュニケーションにも活用できます。
子犬のしつけがうまくいかない場合は?

子犬がなかなかしつけを覚えない場合は、まず教え方や練習する環境が子犬に合っているかを見直してみましょう。
周囲におもちゃや人など気になるものが多いと、飼い主の指示に集中できないことがあります。
最初は静かで落ち着ける場所で練習し、できるようになってから少しずつ環境を変えていくのがおすすめです。
また、子犬にとって難しいことを一度に求めすぎていないかも確認しましょう。
たとえば「待て」を長時間続けるのが難しい場合は、数秒できたところで褒めるなど、成功しやすいところから少しずつ難易度を上げていくことが大切です。
同じ方法を続けてもうまくいかない場合や、甘噛み・吠えなどへの対応に困っている場合は、ドッグトレーナーやしつけ教室などの専門家に相談する方法もあります。
第三者に子犬の様子を見てもらうことで、家庭では気づきにくかった原因や、その子に合った教え方が見つかることもあります。
一方、これまでできていたことが急にできなくなった、触られるのを嫌がる、元気や食欲がないなど、普段と違う様子がみられる場合は注意が必要です。
体調不良や痛みなどが行動に影響している可能性もあるため、しつけだけの問題と考えず、気になる変化があれば動物病院を受診しましょう。
よくある質問

ここでは、子犬のしつけを始める時期について、よくある疑問に回答します。
子犬のしつけはいつまでに終わらせる?
子犬のしつけに「いつまでに終わらせる」という明確な期限はありません。
子犬のうちに基本的な生活ルールを教え、その後も成長に合わせて繰り返し続けることが大切です。
一度覚えたことでも、環境や成長によってうまくできなくなる場合があります。
成犬になってからも、日常生活の中でできたことを褒めながら習慣として定着させていきましょう。
生後3~4ヶ月からでは遅い?
生後3~4ヶ月からしつけを始めても遅くありません。
子犬の成長や性格に合わせて、できることから少しずつ教えていきましょう。
ただし、社会化にとって重要な時期には限りがあるため、人や生活音、さまざまな環境などに慣れる経験は早い時期から始めることが大切です。
生後3~4ヶ月だからと焦って一度に多くのことを教えようとせず、トイレやハウス、基本的な指示など、その子に必要なしつけから取り組みましょう。
子犬が一番やんちゃになる時期はいつ?
やんちゃになる時期には個体差がありますが、生後6ヶ月頃から思春期に入る犬もおり、行動に変化がみられることがあります。
それまでできていた指示に従わなくなったり、興奮しやすくなったりすることもありますが、強く叱るのではなく、これまでのしつけを繰り返し練習しましょう。
なお、思春期を迎える時期は犬種や体格、個体によって異なるため、「生後6ヶ月になったら必ずやんちゃになる」というわけではありません。
子犬のしつけにおやつはいつから使える?
子犬がおやつを食べられる時期になれば、しつけのご褒美として活用できます。
ただし、子犬の月齢に適したものを選び、与えすぎないようにしましょう。
しつけでは、おすわりや待てなどができた直後に少量を与えるなど、「望ましい行動をすると良いことがある」と覚えてもらうために使うのがポイントです。
普段の食事量とのバランスが気になる場合は、いつも食べているフードの一部をご褒美として利用する方法もあります。
子犬のしつけ教室はいつから通える?
しつけ教室に通い始められる時期は、教室によって異なります。
子犬向けのパピークラスでは、対象となる月齢やワクチン接種などの参加条件が設けられている場合があります。
利用したい教室が決まったら、対象月齢や必要なワクチン接種、健康状態などの条件を事前に確認しましょう。
また、しつけ教室は「問題行動が起きてから通う場所」とは限りません。
子犬のうちから飼い主が接し方や教え方を学んだり、安全な環境でさまざまな経験をしたりする場として利用することもできます。
まとめ
子犬のしつけは、何ヶ月になったら始めると決まっているわけではなく、新しい環境に慣れることを優先しながら、迎えた日から少しずつ始めることができます。
まずは名前やトイレ、ハウスなど、毎日の生活に必要なことから始め、成長に合わせておすわり・待て・おいでなども教えていきましょう。
また、子犬の時期は社会化にとっても大切です。
しつけの順番や月齢だけにとらわれず、愛犬の性格や成長のペースに合わせて、できたことを褒めながら続けていくことが大切です。
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ぽちたま薬局のライターです。
実家では猫を飼っています。
これまでに犬やインコ、ウーパールーパーなど、動物に囲まれて暮らした経験があります。






