掃除のたびにケージの中に針が落ちていると、「このまま抜け続けたらどうしよう」と不安になりますよね。
- 若いハリネズミの針が抜けるのは、多くの場合「生え変わり(クイリング)」です
- 正常かどうかは抜けた本数ではなく、針の根元の皮膚で見分けます。フケが多い・赤い・かさぶたがある場合は、ダニや真菌(カビ)の可能性があります
- お迎え直後の若い子は、生え変わりの時期とダニをもらいやすい時期が重なります。「成長期だから」と決めつけず、一度動物病院で皮膚を診てもらうと安心です

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目次
受診を考えたい針の抜け方
まずは、様子見せずに動物病院への相談を検討したいサインから確認しましょう。どれも獣医学の資料で「異常」または「病気のサイン」として挙げられているものです。

- 針の根元にフケやかさぶたが目立つ、皮膚が赤い
- 針がまとまって抜け、地肌が見えている部分がある
- 目や鼻のまわりに白い粉のようなものが付いている
- 耳のふちがギザギザになっている、かさぶたがある
- 元気や食欲が落ちた、体重が減った
- 飼い主さんや家族の皮膚に、かゆみのある赤い発疹が出た(人は皮膚科へ)
出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」/メルク獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミの飼育管理と診察」/VCA動物病院「ハリネズミのダニ」
ハリネズミは病気のサインを隠しやすい動物とされています。受診先は、ハリネズミを診られるエキゾチックアニマル対応の動物病院を事前に探しておくと慌てずに済みます。
生え変わり(クイリング)とは
ハリネズミの針は、ずっと同じものが生えているわけではありません。子どもの針から大人の針へ入れ替わる時期があり、これをクイリングと呼びます。
アメリカの動物専門病院グループMedVetの飼育ガイドでは、次のように説明されています。
- ハリネズミの針は5,000本以上ある
- 若いハリネズミは、生後およそ2〜6か月ごろから針が抜け始める
- クイリングはたいてい1か月ほど続き、その後はふだんの様子に戻る
- この時期は長く丸まったままになる、威嚇の声を出す、食欲が落ちることがある
生え変わり中はチクチクして触られるのを嫌がる子もいます。抱っこは無理をせず、いつもよりそっと接してあげましょう。
時期は目安
クイリングの時期は、飼育書やサイトによって書かれている月齢に幅があります。
個体差も大きいため、「この月齢だから生え変わり」と月齢だけで判断せず、次の章の「皮膚のサイン」と合わせて見るのがおすすめです。
本数より針の根元の皮膚を見る
「1日◯本までなら正常」という目安を見かけることがありますが、今回確認した獣医学の資料(MSD獣医マニュアル、VCA、MedVet)には、抜けた本数で正常・異常を分ける基準は見当たりませんでした。
代わりに獣医学の資料が重視しているのは、針の生えている部分の皮膚の状態です。
メルク獣医マニュアルでは、針の部分の皮膚が少し乾いていたり軽くフケっぽかったりするのは正常範囲としつつ、フケが多い・針の脱落・赤み・かさぶたは異常と整理されています。
| 見るところ | 様子見しやすい | 相談を検討 |
|---|---|---|
| フケ・乾燥 | 少し乾いている、フケが少しある | フケが目立って多い |
| 皮膚の色 | 赤みがない | 赤みがある |
| かさぶた | ない | 針の根元や目のまわりにある |
| 耳のふち | なめらか | ギザギザ、かさぶたがある |
出典:メルク獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミの飼育管理と診察」/MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」
かゆがらなくても
ダニや真菌による皮膚病でも、体をかかない子が多いとされています。
「かゆがっていないから大丈夫」とは言い切れないので、かゆみの有無より皮膚の見た目で判断しましょう。また、食欲が落ちるのは生え変わりでも病気でも起こりうるため、食欲だけで見分けるのは難しいところです。
病気で針が抜ける主な原因
生え変わり以外で針が抜ける原因として、獣医学の資料で特に多いと挙げられているのがダニと真菌(カビ)です。
ダニ(キュウセンダニなど)
ペットのハリネズミには、キュウセンダニ(カパリニア・トリピリス)というダニの寄生がとても多いとされています。MSD獣医マニュアルが挙げる主な症状は次のとおりです。
- 皮膚のフケ(鱗屑)
- 針が抜ける
- 針の根元や目のまわりの白っぽい・茶色っぽいかさぶた(ダニのフン)
- 鼻や目のまわりの白い粉のようなもの
- 元気がない、食欲が落ちる
症状がほとんど出ないまま寄生していることもあります。
VCA動物病院によると、ダニはブリーダーやペットショップなどでほかのハリネズミと接触したり、汚れた床材を介したりしてうつるとされ、ノミの寄生でも針が抜けることがあるそうです。
出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」/VCA動物病院「ハリネズミのダニ」
ダニの種類や治療・予防については、こちらの記事でくわしく解説しています。
真菌(皮膚糸状菌症)
皮膚糸状菌というカビの感染も、ハリネズミによくみられる皮膚病です。MSD獣医マニュアルでは、特に顔や耳のまわりのかさぶたが目立ち、針が抜けることもあるとされています。
- かゆがらない子も多い
- ダニや皮膚のケガのあとに続いて起こることが多いと考えられている
- 検査では、針そのものを培養したり遺伝子検査をしたりして調べる
注意したいのは、この真菌は人にもうつることです。ハリネズミから人への感染は医学文献でもよく知られていて、症状がないまま菌を持っているハリネズミもいるとされています。お世話のあとは手洗いを習慣にしましょう。
出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」
しこりがある場合
MSD獣医マニュアルでは、ハリネズミは皮膚の腫瘍も多い動物とされています。
針が抜けた部分や体の表面にしこりやできものを見つけた場合は、早めに動物病院へ相談することを検討しましょう。
お迎え直後の子は要注意
ここが見落とされやすいポイントです。
- クイリングが始まるのは生後およそ2〜6か月ごろ(MedVet)
- ダニはブリーダーやペットショップでうつることがある(VCA)
- ダニは症状が出ないまま寄生していることもある(MSD獣医マニュアル)
つまり、お迎えしたばかりの若いハリネズミは、生え変わりの時期とダニをもらっている可能性のある時期がちょうど重なりやすいということです。
「成長期だから抜けて当たり前」と思っていたら、実はダニも隠れていた、ということが起こりえます。

メルク獣医マニュアルでは、ハリネズミは病気のサインを隠しやすいため、6〜12か月ごとの健康診断が勧められています。
お迎えしたら一度、皮膚のチェックを兼ねて動物病院で診てもらうと安心です。
出典:MedVet「ハリネズミの基本情報と飼育のすすめ」/VCA動物病院「ハリネズミのダニ」/メルク獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミの飼育管理と診察」
家でできること・避けること
自己判断で使わないほうがいいもの
ダニが心配になると市販の防ダニグッズを使いたくなりますが、VCA動物病院は、ハリネズミに使ってはいけないものとして次を挙げています。
- ダニよけの首輪
- 有機リン系の殺虫剤
- ペルメトリンを含むスプレーや滴下剤
また、ハリネズミ専用のダニ駆除薬はなく、動物病院では猫用のセラメクチン製剤(レボリューションなど)を適用外で使うことがあります。
ただし量は体重で変わり、多すぎると重い副作用が出るおそれがあるため、ハリネズミの診療経験がある獣医師の指示のもとで使うことが前提です。MSD獣医マニュアルでも、治療は間隔をあけて数回くり返すのが一般的とされています。
出典:VCA動物病院「ハリネズミのダニ」/MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」
ケージまわりのお手入れ
ダニの卵や成虫は体から落ちてしばらく生き残るため、治療と並行して環境のお手入れも大切です。
- 床材は取り除き、タオルや布類は洗うか交換する
- ケージの中の物は消毒するか処分する
- 治療中は床に紙を敷き、毎日取り替える
- ハリネズミを複数飼っている場合は、全員を同時に治療する
- ケージのまわりも掃除機をかけて拭き掃除する(洗剤は獣医師に相談)
出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」/VCA動物病院「ハリネズミのダニ」
受診のコツ
いつから抜け始めたか、抜ける量の変化、皮膚の様子を写真に残しておくと、診察のときに伝えやすくなります。針の根元が見えるように、明るい場所で撮っておきましょう。
あわせて読みたい
ハリネズミの皮膚トラブルで特に多いダニについて、種類・症状・治療・予防をまとめています。
まとめ
- 若いハリネズミの針が抜けるのは、多くの場合「生え変わり(クイリング)」
- 正常かどうかは本数より、針の根元の皮膚(フケ・赤み・かさぶた)で判断する
- 病気で抜ける原因として多いのはダニと真菌。どちらもかゆがらないことがある
- 真菌は人にもうつるため、お世話のあとは手洗いを
- お迎え直後の子は、生え変わりとダニの時期が重なりやすい。一度動物病院で皮膚チェックを
- 市販の防ダニ首輪やペルメトリン系の製品は自己判断で使わない
※この記事は獣医学の公開資料をもとに作成しています。ハリネズミの健康状態やお薬の使用については、動物病院で獣医師に相談してください。
ぽちたま薬局ではハリネズミに使用されるお薬も取り扱っています

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。







