ハリネズミの歯は伸びない!歯周病と口の腫瘍のサイン

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ハリネズミの歯は伸びない!歯周病と口の腫瘍のサイン

ハリネズミの口がにおう、ごはんを食べにくそうにしている……そんな様子を見ると「歯が伸びすぎたのかな?」と心配になりますよね。

この記事の結論
  • ハリネズミはげっ歯類ではなく、歯は伸び続けません。うさぎのように歯を切ったり削ったりする必要はありません
  • 歯のトラブルの中心は歯周病と、見た目がよく似た口の中の腫瘍(扁平上皮癌)です
  • 口臭・口の周りの血・前足で口を触る・食欲低下・顔の腫れが見られたら、エキゾチックアニマルを診られる動物病院への相談を検討しましょう

ハリネズミの歯は伸びない・トラブルの中心は歯周病と口の腫瘍・異変に気づいたら受診相談、の3つのポイントをまとめた図

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ハリネズミの歯の異変サイン

ハリネズミは触られると丸まってしまうため、おうちで口の中をしっかり見るのはほぼ不可能です。

動物病院でも、基本的な診察の段階から麻酔や鎮静が必要になることが多いとされています。そのため、口の中を直接見るよりも、普段の様子の変化で気づくことが大切です。

ハリネズミの歯や口の異変サイン。口臭、前足で口を触る、口の周りの血、食べない・体重減少、歯茎の腫れ、顔の片側の腫れ

こんな様子はありませんか?

  • 口のにおいが強くなった
  • 前足でしきりに口元を触る
  • 口の周りや食器に血がついている
  • ごはんを食べない、食べる量が減った
  • 飲み込みにくそうにしている
  • 体重が減ってきた
  • 歯茎が腫れている、歯がぐらついている・抜けた
  • 顔の片側だけが腫れている

出典:VCA動物病院「ハリネズミに起こりやすいトラブル」、MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」

早めに動物病院へ相談を

次のような様子があるときは、様子見を続けずにエキゾチックアニマルを診られる動物病院への相談を検討してください。

  • ごはんを食べない、または体重が減ってきている
  • 顔の片側が腫れている、左右の形が違って見える
  • 歯茎の腫れやしこり、口からの出血がある

顔の腫れや歯のぐらつきは歯周病だけでなく、口の中の腫瘍でも見られるサインです(後述)。

ハリネズミの歯は伸びない

「歯のトラブル」と聞くと、うさぎやハムスターの「歯が伸びすぎる」「歯を切る」を思い浮かべる方も多いかもしれません。ですが、ハリネズミはこれに当てはまりません。

ハリネズミはげっ歯類ではない

ペットとして飼われているハリネズミの多くはヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)です。

見た目や大きさからネズミの仲間と思われがちですが、分類はげっ歯目(ネズミの仲間)ではなく真無盲腸目で、トガリネズミやモグラの仲間にあたります。

歯のつくりもげっ歯類とは違い、ハリネズミの歯は根元が閉じた「短冠歯(たんかんし)」です。人や犬・猫の歯と同じように、生え揃った後は伸び続けません。

うさぎの歯は一生伸び続けるのに対し、ハリネズミの歯は伸びないことを比較した図

項目 うさぎ ハリネズミ
歯の伸び方 前歯・奥歯とも一生伸び続ける 伸び続けない
歯を切る処置 伸びすぎた場合に必要なことがある 切ってはいけない
主な歯のトラブル 不正咬合(噛み合わせの異常) 歯周病、口の中の腫瘍

出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミの基礎知識」、MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」、MSD獣医マニュアル「うさぎの歯のケア」

歯の本数と乳歯

大人のハリネズミの歯は36本が基本です(個体差があります)。
赤ちゃんの乳歯は生後18日ごろから生え始めて9週ごろまでに揃い、永久歯は生後7〜9週ごろから生え始めます。生後2か月前後の子の歯が抜けた場合は、生え変わりの可能性があります。

出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミの基礎知識」

ハリネズミの歯周病の症状

ハリネズミでは、歯石・歯肉炎・歯周炎といった歯周病がよく見られます。歯周病には細菌が関わっていることが多いとされています。

歯周病で見られる様子

口臭、食欲低下、口の周りの血、前足で口を触るといった様子が、歯のトラブルのサインとして挙げられています。

また、歯茎が厚く盛り上がる「歯肉増殖」もハリネズミでよく見られ、飲み込みにくさの原因になることがあります。

原因はまだはっきりしていない

「ふやかしたフードや柔らかい食事が原因」と説明されることがありますが、MSD獣医マニュアルでは、ハリネズミの口や歯の病気は原因も治療法もまだ十分にわかっていないとしています。

一方で、予防策として硬いドライフードなど歯の表面をこする食べ物を取り入れることは挙げられています。

柔らかい食事が関係している可能性はありますが、「ふやかしをやめれば防げる」と言い切れるものではない、と考えておくとよいでしょう。

出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」、VCA動物病院「ハリネズミに起こりやすいトラブル」

歯周病に似た口の腫瘍

ハリネズミの歯のトラブルで見落とせないのが、口の中の腫瘍です。ハリネズミは腫瘍がとても多い動物で、MSD獣医マニュアルでは腫瘍が主な死因のひとつとされています。

なかでも口の中の扁平上皮癌はとても多いと記載されています。

歯周病と見分けにくい理由

口の扁平上皮癌は、はじめは歯茎の腫れとして見つかることが多く、進むと顔の左右非対称、歯のぐらつきや脱落、歯肉炎が見られます。

つまり、歯周病とよく似た見た目で始まるということです。

また、飼い主さんが気づくきっかけとして多いのは「口のにおい」と「体重の減少」で、診断されたときにはかなり進行していることも多いとされています。

若くても起こることがある

腫瘍が見つかるのは3歳を超えたハリネズミが多いものの、1歳ほどの若い子で見つかることもあります。

「まだ若いから歯周病だろう」と決めつけず、気になる様子があれば一度診てもらうことを検討しましょう。腫瘍かどうかは、組織や細胞を調べる検査で判断されます。

出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」、VCA動物病院「ハリネズミに起こりやすいトラブル」

動物病院での検査と治療

麻酔・鎮静をかけて口の中を診る

ハリネズミは丸まってしまうため、口の中をしっかり調べたり、レントゲンを撮ったり、歯のクリーニングをしたりするには、全身麻酔や注射による鎮静が使われます。

歯の根元の感染を調べるために、口の中のレントゲンやCTが役立つとされています。

麻酔にはわずかながらリスクがありますが、VCA動物病院は、必要な検査をせずに正しく診断・治療できないことのほうがリスクは大きいとしています。不安な点は、事前に獣医師へ相談してみてください。

主な治療

  • 歯石の除去などのクリーニング
  • 細菌感染に対する抗菌薬
  • 進行した場合の抜歯

抜歯後の食事

重い歯周病ですべての歯を抜くことになっても、ハリネズミは柔らかい食事で暮らしていけるとされています。抜歯をすすめられたときは、術後の食事について獣医師に確認しておくと安心です。

出典:VCA動物病院「ハリネズミに起こりやすいトラブル」、MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」

ハリネズミの歯の予防ケア

MSD獣医マニュアルでは、ハリネズミの歯の病気の予防として次の3つが挙げられています。

  • 硬いドライフードなど、歯の表面をこする食べ物を取り入れる
  • 酵素入りの歯みがきペーストで歯をみがく
  • 動物病院で定期的に歯のクリーニングを受ける

歯みがきは慣れていない子には難しいため、無理をせず、方法を獣医師に相談しながら取り入れるのがおすすめです。

硬ければ何でもよいわけではない

一方で、ニンジンのかけらやピーナッツの半割れのような硬い食べ物が、上あごに挟まってしまうことがあります。

この場合も食欲の低下や、前足で口を触る様子が見られます。取り除くには麻酔や鎮静が必要になるため、硬くて割れやすい食べ物の形や大きさには注意しましょう。

歯を切る・削るケアは不要

ハリネズミの歯は伸び続けないため、長さを整えるケアは必要ありません。自己判断で歯を切ったり削ったりしないでください。

出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」、VCA動物病院「ハリネズミに起こりやすいトラブル」

ハリネズミの歯のよくある質問

Q. ハリネズミはげっ歯類ですか?

いいえ。ハリネズミは真無盲腸目という、トガリネズミやモグラと同じグループに分類されます。げっ歯類とは歯のつくりも異なり、歯は伸び続けません。

Q. ハリネズミの歯は切る必要がありますか?

必要ありません。MSD獣医マニュアルでも、ハリネズミの歯は伸び続けないので切るべきではないとされています。

Q. ハリネズミの歯が抜けました。大丈夫?

生後2か月前後の子なら、乳歯から永久歯への生え変わりの可能性があります。大人の子の歯が抜けた・ぐらつく場合は、歯周病や口の腫瘍のサインのこともあるため、動物病院への相談を検討しましょう。

Q. 口から泡を出して背中になすりつけています

ハリネズミには、においの強いものなどに触れたあと、泡状のよだれを作って針に塗りつける「塗りつけ行動(アンティング)」という独特の行動があります。

ただし、口臭や食欲低下など他の変化もある場合は、口のトラブルの可能性も考えて相談しましょう。

出典:MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミの基礎知識」、MSD獣医マニュアル「ヨツユビハリネズミ(ピグミーヘッジホッグ)の病気」

あわせて読みたい

ハリネズミに多い皮膚のトラブルについてはこちらで解説しています。

まとめ

  • ハリネズミはげっ歯類ではなく、歯は伸び続けない。歯を切る・削る必要はない
  • 歯のトラブルの中心は歯周病と、よく似た見た目で始まる口の扁平上皮癌
  • 口臭・口の周りの血・前足で口を触る・食欲低下・体重減少・顔の腫れはサイン
  • 口の中の検査や治療には麻酔・鎮静が使われる。重い場合は抜歯も
  • 予防は硬いフード・歯みがき・定期的なクリーニング。硬く割れやすい食べ物の詰まりには注意

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