フェレットの黒目が白っぽく濁ってきた……。「白内障かも」「このまま見えなくなるの?」と、心配になりますよね。
白内障はフェレットでよく見られる目の病気で、一部の飼育集団では約半数に見られたという報告もあります(Journal of Exotic Pet Medicine)。
家では次のポイントを押さえておきましょう。
- 目が白く見える原因は白内障だけではない → 家では見分けられないので、一度は受診して確認を
- 濁りそのものを治す飲み薬や目薬は、今回確認した獣医学資料では見当たらなかった
- 本当に気をつけたいのは、進行した白内障が起こす目の炎症や緑内障 → 目をしょぼしょぼさせる、目が大きく見えるなどは早めに受診を
- 見えなくなっても、住み慣れた家の中では暮らしに慣れていく子が多いとされている
ぽちたま薬局ではフェレットに使用されるお薬も取り扱っています。
目次
目が白いフェレットの受診を急ぐサイン
白内障は、ゆっくり進むことが多い病気です。ただし、白く濁っているのに加えて次のような様子があるときは、白内障以外の病気や、白内障が引き起こした合併症の可能性があります。

- 目をしょぼしょぼさせる・開けにくそうにしている
目の痛みや炎症のサインのことがあります。白内障の手術後に水晶体が再生して炎症を起こしたフェレットでも、この様子が見られたと報告されています。 - 片目が大きく見える・飛び出して見える
緑内障で眼球が大きくなったり、目の奥の腫瘍で目が押し出されたりしたフェレットの例が報告されています。 - ドロッとした目やに・鼻水が出て、食欲もない
フェレットでは、ほぼ助からないとされるジステンパーの初期症状として、目や鼻からの濃い分泌物が挙げられています。
出典:Journal of Exotic Pet Medicine「若いフェレットの片目の白内障に対する手術と、その後の水晶体の再生」(2024年)
英国小動物獣医師会(BSAVA)「フェレットの眼科」
MSD獣医マニュアル「フェレットの感染症」
フェレットの白内障とは?
白内障は、目の中でレンズの役割をしている水晶体(すいしょうたい)が白く濁る病気です。水晶体が濁ると光が目の奥まで届きにくくなり、見えにくさにつながります。
獣医学では、白内障は発症した時期によって「生まれつき(先天性)」「若いうちに出るもの(若年性)」「年齢を重ねて出るもの(老年性)」などに分けられ、濁りの進み具合でも段階分けされます(MSD獣医マニュアル)。
フェレットでは、研究用に飼育されていた集団で濁りの程度がさまざまな白内障が多数見つかっており、2024年の報告では「一部の集団では発生率が50%近い」とまとめられています(Journal of Exotic Pet Medicine)。
目がとても小さい
フェレットの眼球は、前後の長さが約7mmほどしかありません(BSAVA)。目が小さいぶん、犬や人と同じような白内障の手術が難しい理由のひとつになっています。
出典:MSD獣医マニュアル「動物の水晶体の病気」
英国小動物獣医師会(BSAVA)「フェレットの眼科」
目が白い=白内障とは限らない
「目が白い」と感じても、濁っている場所によって考えられる原因が変わります。

| 白く見える場所 | 考えられるもの |
|---|---|
| 黒目の奥(瞳の中) | 白内障のほか、年齢とともに水晶体の中心がうっすら灰色がかって見える変化(核硬化) |
| 目の表面(黒目全体) | 角膜の傷やむくみなど、目の表面の病気 |
獣医学の解説では、白内障は高齢の動物で自然に起こる水晶体の中心の濃くなり(核硬化)と区別する必要があるとされています(MSD獣医マニュアル)。また、フェレットでは角膜の潰瘍でむくみが起きた例も報告されています(BSAVA)。
上の表はあくまで目安です。フェレットの目はとても小さいため、どこが濁っているかを家で見分けるのは困難です。区別には、動物病院で目の中を照らして調べる検査が必要になります。
出典:MSD獣医マニュアル「動物の水晶体の病気」(犬・馬などを含む動物全般の解説)
英国小動物獣医師会(BSAVA)「フェレットの眼科」
フェレットの白内障の原因
白内障は、加齢によるもの、若いうちに出るもの、生まれつきのものなどがあります。
フェレットでは、研究用に飼育されていた集団で白内障が多発した例や、生まれつき目が小さい・網膜の異常などを伴う遺伝性の病気の一部として白内障が出る例が報告されています(Journal of Exotic Pet Medicineの参考文献より)。
一方で、原因がはっきりしないことも少なくありません。2024年に報告された1歳のフェレットの症例では、手術で取り出した水晶体を詳しく調べても、白内障の原因は特定できませんでした(同上)。
動物全般では、ほかに糖尿病、栄養不良、目の炎症、ケガなども白内障の原因として挙げられています(MSD獣医マニュアル)。
出典:Journal of Exotic Pet Medicine「若いフェレットの片目の白内障に対する手術と、その後の水晶体の再生」(2024年)
MSD獣医マニュアル「動物の水晶体の病気」
白内障は治る?治療の考え方
結論からいうと、濁った水晶体を元の透明な状態に戻す薬は、今回確認した獣医学資料では見当たりませんでした。動物全般の解説でも、白内障の根本的な治療は手術で水晶体を取り除くことだけとされています(MSD獣医マニュアル)。
フェレットの白内障手術はまだ例が少ない
犬では白内障手術は一般的な治療ですが、フェレットでは事情が違います。
2024年の報告では、それまでフェレットで手術がうまくいき視力が戻った例は、査読付きの論文では報告されていなかったとされています。
この報告で手術を受けた1歳のフェレットは、手術した目の視力が戻りました。ただし約4か月半後に水晶体が再生して目に炎症が起き、2か月の内科治療のあと、再び手術を受けています(Journal of Exotic Pet Medicine)。
手術が「できない」わけではないものの、目が小さく手術そのものが難しいこと、長期的な経過がまだよくわかっていないことから、受けるかどうかは眼科に詳しい獣医師とよく相談して決めることになります。
手術をしない場合は経過観察が大切
手術をしない場合でも、「何もしなくていい」わけではありません。
動物全般の解説では、手術をしない場合は炎症を抑える目薬を続けながら、定期的に目の状態を確認していくことが重要とされています(MSD獣医マニュアル)。
国内の一部の解説では「目薬などで白内障の進行を遅らせられる」とされています。
一方で、今回確認した英語圏の獣医学資料では、目薬の役割は主に白内障に伴う炎症を抑えることとして説明されており、濁りの進行を遅らせる効果についての根拠は確認できませんでした。目薬が処方された場合は、何のための目薬かを獣医師に確認しておくと安心です。
出典:MSD獣医マニュアル「動物の水晶体の病気」(犬・馬などを含む動物全般の解説)
Journal of Exotic Pet Medicine「若いフェレットの片目の白内障に対する手術と、その後の水晶体の再生」(2024年)
白内障で本当に怖いのは合併症
白内障で見えなくなったフェレットも、家の中ではよく適応して暮らせることが多いとされています(小型哺乳類の眼の病気)。そのぶん注意したいのは、進行した白内障が目の中に炎症を起こすことです。
白内障が進むと、濁った水晶体の成分が目の中に漏れ出し、それに体が反応して炎症(水晶体起因性ぶどう膜炎)が起こることがあります。
フェレットでは、白内障が完全に濁った段階や、さらに進んで水晶体が溶け始めた段階で、この炎症が起こりやすいとされています(BSAVA)。
この炎症が続くと、緑内障(目の圧が上がる病気)や、眼球が縮んでしまう状態につながることがあります(MSD獣医マニュアル)。
どちらも痛みを伴うことがあるため、白内障と診断されたあとも、目をしょぼしょぼさせていないか、目の大きさが左右で違ってきていないかを日ごろから見ておきましょう。
出典:英国小動物獣医師会(BSAVA)「フェレットの眼科」
MSD獣医マニュアル「動物の水晶体の病気」(犬・馬などを含む動物全般の解説)
見えなくなっても暮らせる工夫
見えなくなっても家の中では適応しやすいとはいえ、飼い主さんのちょっとした配慮で過ごしやすさは変わります。見えにくくなった子が安心して過ごせるよう、次のような工夫を取り入れてみてください。

- ケージの中のトイレ・食器・寝床の位置を変えない
- 部屋の家具の配置をなるべく変えない
- 触る前に名前を呼ぶなど、声をかけてから触れる
- 段差や高い場所からの落下に気をつけ、遊ぶ場所を見直す
- 知らない場所に連れ出すときは、いつもより目を離さない
見えにくさは少しずつ進むことが多く、飼い主さんが気づかないうちに暮らしに慣れていることもあります。ぶつかりやすくなった、段差をためらうようになったなどの変化に気づいたら、環境を見直すタイミングです。
出典:Veterinary Clinics of North America: Exotic Animal Practice「小型哺乳類の眼の病気」(PMC掲載)
あわせて読みたい
フェレットに多いほかの病気についても、あわせて確認しておきましょう。
フェレットの白内障まとめ
- 白内障は水晶体が白く濁る病気で、フェレットではよく見られる
- 目が白く見える原因はほかにもあるため、家では判断せず一度は受診を
- 濁りを元に戻す薬は確認できず、フェレットの手術はまだ例が少ない
- 注意したいのは合併症の炎症や緑内障。目をしょぼしょぼさせる、目が大きく見えるなどは早めに受診を
- 見えなくなっても、家の中の配置を変えないなどの工夫で暮らしに慣れていける
ぽちたま薬局ではフェレットに使用されるお薬も取り扱っています。
この記事は獣医学の資料をもとにした一般的な情報で、診断や治療の代わりになるものではありません。フェレットの体調に不安があるときは、フェレットを診られる動物病院に相談してください。

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。






