老いた愛犬の反応が鈍くなってくると、「そろそろお別れが近いのかも」と不安になりますよね。
最期のときに現れる変化を知ることで、飼い主さんも落ちついて心の準備ができるのではないでしょうか。
この記事では、老衰を迎える愛犬が死ぬ間際にみせる兆候をまとめました。
安らかに見送るためにできることも解説します。後悔のない最期を迎えるために、ぜひご覧ください。
目次
犬が老衰で死ぬ間際にみせる兆候

愛犬の最期のときに現れる変化には、次のようなものがあります。
- 呼吸が変化する
- おもらしをする
- 手足が冷える
- 食事をまったく受け付けない
- いつもと臭いが違う
- 痙攣が起きる
こうした変化が起こるのは、体の機能を静かに休ませようとしている証拠です。
愛犬が旅立つ準備をしていると考え、焦らず優しく寄り添ってあげましょう。
呼吸が変化する
死期が近づくと、真っ先に変化が現れやすいのが「呼吸」です。
「チェーンストークス呼吸」といって、浅い呼吸と深い呼吸を交互に繰り返したり、途中で呼吸が止まったりする呼吸パターンが起こります。
また、最期の直前には、口を大きく開けて下あごを動かす「下顎(かがく)呼吸」が見られるケースもあります。
一見すると苦しそうですが、これは意識が遠のく中で起こる自然な反射現象です。
強い苦痛を感じているわけではないので、慌てずに見守ってあげましょう。
おもらしをする(尿失禁・便失禁)
括約筋などの筋肉が緩むことで、おしっこやうんちが漏れ出ることがあります。
体の状態によっては、下痢やおう吐も起こりやすくなります。
膀胱や腸が溜まっているときによく起こる現象で、最期を迎えるときの自然な現象です。
愛犬の下にペットシーツを敷くか、おむつをつけておくと安心です。
できるだけこまめに拭いて清潔を保ちましょう。
手足が冷える
心臓のポンプ機能が次第に弱まって血液が巡りにくくなり、手足の先から冷たくなっていきます。
口の中や肉球が白っぽくなることもあります。
体が冷たいと感じたら、手をつないで温めたり軽く毛布をかけたりするとよいでしょう。
ただし、愛犬は暑くても自力で体勢を変えられないので、温めすぎに注意してください。
食事をまったく受け付けない
消化器官の働きが低下して、食欲が急激に落ちます。
大好きなおやつを見せても口をつけず、水すら受け付けなくなることもあります。
無理に与えてしまうと誤嚥の恐れがあるだけでなく、摂取したものが体内で処理できずに余計な苦痛を与えてしまうことにもなりかねません。
こうした絶食状態は、体が自然と旅立つ準備を始めている証拠です。
口元を軽く湿らせるなどのケアに切り替えることを検討しましょう。
いつもと臭いが違う
今までとは違う独特な臭いを感じることがあります。
これは、代謝機能や内臓の働きが低下して、体臭や口臭、排泄物の臭いが変化するためです。
人によっては甘酸っぱい臭いや、強いアンモニア臭を感じることもあるようです。
失禁したときに臭いが漂いやすくなるため、体をこまめに拭いてペットシーツも頻繁に取り替えるなど、できるだけ清潔な環境を保ちましょう。
痙攣が起きる
脳神経の乱れによって、筋肉がピクピク動いて痙攣を起こすことがあります。
これは苦痛や痛みを感じているわけではなく、反射的な脳の反応と考えられています。
終末期の痙攣は短時間で治まるケースが多いです。
ぶつかりそうな周辺の物はすべて片づけ、可能であれば抱っこして治まるまで見守りましょう。
最期の挨拶?犬が死ぬ前に鳴くのはなぜか

「犬は死ぬ前に挨拶する」という話を耳にしたことがあるかもしれません。
意識が朦朧とする中で飼い主さんに向かって鳴く姿は、まるで感謝の気持ちを伝えているように見えますね。
犬は、まれに死ぬ直前に鳴くことがあります。
これは脳の信号が無秩序になることで、うめき声や吠え声が自然に出てしまうのではないかと言われています。
このとき犬自身はほとんど意識がなく、苦痛を感じて鳴いているわけではないようです。
真相がどうであれ、大切なのはそばに寄り添うこと。
愛犬が安心できるように、名前を呼びながら優しくなでてあげてください。
亡くなる前に元気になる「ラストラリー」

亡くなる数時間から数日前に、それまでぐったりしていた愛犬が急に起き上がったり、ごはんを食べようとしたりすることがあります。
この現象は「ラストラリー」や「中治り現象」と呼ばれ、「燃え尽きる前に一瞬大きく燃え上がるろうそくの炎」と表現されることもあるようです。
持ち直したように見えますが、間もなく容体が急変する可能性があります。
あまり期待をしすぎず、お別れが近づいているサインかもしれないことを覚えておきましょう。
愛犬が最後にくれた穏やかな時間を、大切な思い出にしてください。
眠るように旅立つために飼い主ができること

愛犬が眠るように旅立てるよう、飼い主さんができるケアがあります。
心を込めたケアを届けてあげましょう。
落ちついた環境を整える
家族の気配を感じられて、なおかつ、静かで落ちつける場所で休ませてあげましょう。
少しでも寝心地をよくするため、通気性がよく高反発なベッドがおすすめです。
床ずれができないよう、2~3時間おきを目安に優しく体の向きを変えてあげることも大切です。
床ずれを防ぐ寝返りケアのやり方はこちらのコラムで詳しく紹介しています。
ガーゼで水分を含ませる
一切水が飲めなくなると、口が乾いて不快感につながりやすくなります。
湿らせたガーゼや綿棒で、口の中を優しく拭いてあげましょう。
すでに水を飲みたがらないなら、無理に飲ませる必要はありません。
無理をすると誤嚥をしたり、余計な苦痛を与えたりしかねません。
ごくわずかな量で口を湿らせる程度で十分です。
声かけとふれあい
「聴覚」は最後まで残るといわれています。
反応が薄くても、飼い主さんの声はしっかり届いているはずです。
愛犬が衰弱して骨と皮のような状態になってしまうと、心配のあまり「かわいいね」「いい子だね」という言葉をかけてあげられなくなったという飼い主さんは少なくありません。
今まで通り、ポジティブな言葉をたくさんかけてあげましょう。
飼い主さんの声と体温で包み込んであげることが、最高の看取りになります。
自宅で看取る?病院にお任せする?迷ったときの考え方

最期のときを自宅で静かに迎えるか、動物病院で医療ケアを受けながら迎えるか、悩んでしまう飼い主さんは多くいらっしゃいます。
後悔のない選択をするためのポイントをまとめました。
■ 自宅で看取るメリット・デメリット
愛犬にとって最も安心できる環境です。
通院のストレスを避けられるのもメリットです。
一方で、ご家族の精神的な負担が大きくなりやすく、また、急変時の医療処置が受けられないためお別れが早まることがあります。
■ 病院にお任せするメリット・デメリット
酸素吸入や点滴など苦痛へのケアが可能で、急変にも素早く対応してもらえます。
また、精神的に「愛犬の最期に耐えられない」と感じる方は、お任せした方がよいかもしれません。
ただし、タイミングによっては最期の瞬間に立ち会えない可能性があります。
一番大切なのは「どこで過ごすか」よりも「愛犬を想って選択したかどうか」です。
どんな結果になっても、「家にいさせてあげればよかった」「病院にいればもっと穏やかだったかも」と自分を責める必要はありません。
迷ったときはかかりつけの獣医師に相談し、ご自宅でのケアが可能な状態かアドバイスをもらうのも手です。
ご家族で話し合い、納得できる形でお別れの時間を過ごしましょう。
もしものときに慌てないための準備
最期のとき。愛犬の胸に手を当てて呼吸や心拍が止まったことを確認したら、旅立ちの準備をしてあげましょう。
(1) 姿勢を整える
手足を胸の方へ優しく折り曲げて自然な姿勢をとらせ、目が開いている場合はそっと閉じさせます。
(2) きれいに拭く
ウェットティッシュや濡れタオルで、口元や下腹部など汚れている部分をきれいに拭き取ります。
(3) 遺体を安置する
段ボール箱にペットシーツと毛布を敷いて愛犬を寝かせます。
タオルで頭を少し高くすると体液が漏れにくくすることができます。
頭とお腹、体の下などに保冷剤を当てて冷やします。上から薄い毛布をかけると保冷効果が保ちやすいです。

遺体は直射日光が当たらない風通しがよい場所に安置します。
夏場やお別れまで時間をとりたいときは、冷房を使用するようにしてください。
我が家の見送りエピソード
最後に、大切な愛犬を見送った飼い主さんたちの体験談をご紹介します。
枯れるように旅立った愛犬
「食べられなくなり、最後は湿らせたガーゼで口を拭くだけでも苦しそうに吐いてしまって、文字通り枯れるように亡くなりました。
枯れるように逝く姿を見るのはつらかったです。何もできず見守るしかできないので。
後悔は残りますが、最期までお世話させてもらえてありがとうの気持ちでいっぱいです」
急な老衰に戸惑いも
「元気だった14歳の愛犬が突然食べなくなり、病院へ行くと「老衰」との診断。老衰はゆっくり進むと思っていたので、しばらくは信じられませんでした。
でも犬ってつらい姿を見せまいと我慢し続けて、結果的に急に衰えたように見えることがあるみたいで。このことを知ってから、愛犬の死を受け入れられるようになったと感じます」
点滴をやめて自然に任せた最期
「飲まず食わずになって数日、点滴を受けていましたが咳やおう吐が続き、愛犬の負担を考えて中止を決断しました。苦痛から解放されたようで、久しぶりに穏やかな顔を見ることができました。
最期を看取れたことがなにより幸せだと感じています」
帰りを待っていてくれた
「実家を出てからしばらくして、年老いた愛犬に会いに帰省したときのこと。衰えた体でよろよろと近寄ってきて、ずっと横で寝ていました。翌朝もクンクン鳴くので、ひとなでしてあげると苦しそうだった息遣いが静かになり、そのまま息を引き取りました。家族から「私の帰りを待っていたのかも」と言われ、涙が止まりませんでした」
愛犬の最期を看取るのは大変つらいものです。
なかには苦しそうに目を見開いたまま旅立つ子もいます。
そんな姿を見ると大きなショックを受けてしまいますが、しかしそのとき愛犬は、旅立つと同時にすべての苦痛から解放されていることも事実です。
「お疲れさま」と優しく声をかけて、労いと感謝の気持ちを伝えてあげてください。
愛犬の最期に寄り添うために
愛犬の老衰と向き合う最期の時間は、飼い主さんにとって大変に辛いものです。
しかし、お別れの兆候を理解してお世話することは、愛犬への最高の恩返しになります。
最期の瞬間まで温かい声をかけ、寄り添ってあげてくださいね。
参考サイト

ペットのお薬通販『ぽちたま薬局』スタッフです。
10年以上の犬の飼育経験と動物介護士の知識をもとに、ペットの病気やお薬の情報を発信します。







