「最近うちのフェレットがよだれを垂らすことが増えた」
「なんとなく元気がない気がするけど、年齢のせいかな…」
それはもしかしたら、インスリノーマのサインかもしれません。
インスリノーマはフェレットに多く見られる腫瘍性疾患のひとつです。
初期症状が老化と勘違いされることが多く、発見が遅れやすい病気で、放置すると命に関わる状態に陥ることもあります。
このページでは、インスリノーマの基本的な情報から治療法、飼い主さんにできるケアなどをご紹介していきます。
ぽちたま薬局では、フェレットに用いられる薬も取り扱っています。
目次
インスリノーマってどんな病気?

インスリノーマとは、膵臓にあるβ細胞(インスリンを分泌する細胞)が腫瘍化し、インスリンを過剰に分泌してしまう病気です。
インスリンには血糖値を下げる働きがあります。
そのため、インスリンが過剰に分泌されると血糖値が必要以上に下がり、さまざまな低血糖症状を引き起こします。
フェレットに多い腫瘍性疾患のひとつ
インスリノーマは、副腎疾患・リンパ腫と並んで、フェレットで特に多く見られる腫瘍性疾患のひとつです。
フェレットに診断される腫瘍全体の約25%を占めるという報告もあり、特に中高齢のフェレットで多く見られます。
一般的には3〜4歳以降で発症することが多いですが、若いフェレットでも発症することがあります。
参考
フェレットのインスリノーマの発生率と臨床的アプローチに関するレビュー(DVM360 Proceedings)(外部リンク)
なぜフェレットに多いの?
原因は完全には解明されていません。
遺伝的要因や高炭水化物、高糖質な食事が関与する可能性も指摘されていますが、それだけが原因と断定できるものではありません。
症状が出る数ヶ月〜数年前からすでに腫瘍が存在していた可能性もあり、早期発見が難しい病気でもあります。
他の病気との併発に注意
インスリノーマを発症しているフェレットは、副腎疾患・リンパ腫・心臓疾患などを併発していることもあります。
特に中高齢のフェレットでは複数の病気が同時に進行しているケースもあるため、定期的な健康診断で全身状態を確認することが重要です。
こんな症状が出たら要注意
インスリノーマの症状は、主に低血糖によって引き起こされます。
初期は「老化かな?」と見過ごしてしまいやすい変化から始まるため、注意が必要です。
「老化」と「インスリノーマ」の初期症状の違い
| 症状 | 老化による変化 | インスリノーマのサイン |
|---|---|---|
| 活動量 | 少しずつ減っていくことがある | 急に元気がなくなる、特定の時間帯にぐったりする |
| よだれ | 急に増えることは一般的ではない | 低血糖により急によだれを垂らすことがある |
| ふらつき | 足腰の衰えとして徐々に出ることがある | 突然ふらつく、後ろ足に力が入らない、歩き方がおかしい |
| 意識の変化 | 急な変化は通常あまり見られない | ぼーっとする、反応が鈍い、目に力がない |
| 食欲・体重 | 食欲が徐々に落ちることがある | 食べているのに痩せる、発作的に食欲が落ちる |
進行すると現れる症状
インスリノーマが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。
- 口を前足でひっかく・こする
- よだれが増える
- 体の震え・筋肉のけいれん
- 後ろ足が麻痺したように動かない
- 意識がもうろうとする
- 倒れる
- 痙攣発作
- 昏睡状態
「特定の時間帯」に症状が出やすい
インスリノーマの症状は、食後しばらく経った空腹時・運動後・睡眠から目覚めた直後などに出やすい傾向があります。
- 朝起きたらぐったりしていた
- 遊んだ後にふらついた
- ごはんの前になると元気がなくなる
このような様子は、低血糖が関係している可能性があります。
すぐ病院へ!様子見NGのサイン

インスリノーマは様子を見ている間に進行し、命に関わることがあります。
以下の症状が見られたら、その日のうちに動物病院へ連絡してください。
- よだれが急に増えた
- 口をひっかく・こする仕草をしている
- 突然ふらつく
- 後ろ足に力が入らない
- ぼーっとしている
- 目に力がない
- 体が震えている
- けいれんしている
- 意識がもうろうとしている
- 倒れている
- 半日以上ごはんを食べていない
- 急激に痩せてきた
特に、痙攣・意識消失・起き上がれない場合は緊急性が非常に高い状態です。
すぐに動物病院へ連絡し、指示を受けながら応急処置を行ってください。
「いつもと違う」と感じたら、迷わず受診しましょう。
病院ではどんな治療をするの?
診断について
症状があり、血糖値が低い場合にインスリノーマが疑われます。
ただし、低血糖はインスリノーマ以外の病気でも起こるため、血糖値だけで判断することはできません。
血液検査や画像検査などを組み合わせ、獣医師が総合的に判断します。
その為、確認できた症状や様子をメモしておくと診断に役立ちます。
レントゲンや超音波検査を行うこともありますが、インスリノーマの病変は小さいことが多く、画像検査だけで確認できないケースも少なくありません。
参考
超音波検査によるフェレットのインスリノーマ膵臓結節の特徴に関する研究(Kurosawa et al., 2017)(外部リンク)
主な治療法
インスリノーマの治療は、内科的治療・外科的治療・食事療法を組み合わせて行います。
治療方針は、年齢、全身状態、低血糖の程度、併発疾患の有無などを踏まえて決定します。
| 治療法 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 内科的治療 | プレドニゾロンなどの薬で血糖値の低下を抑える | 効果が不十分な場合は、ジアゾキシドを併用することもあります |
| 外科的治療 | 膵臓にできた腫瘍を取り除く | 小さな腫瘍が複数ある場合、完全に取りきれないことがあります |
| 食事療法 | 高タンパク・高脂質・低炭水化物の食事をこまめに与える | 空腹時間を長くしないことが大切です |
治療方針は、年齢、全身状態、低血糖の程度、併発している病気の有無などをふまえて決定します。
手術する?しない?治療方針は慎重に判断する
手術では、膵臓にできた腫瘍を取り除き、低血糖症状の改善を目指します。
しかし、フェレットのインスリノーマは小さな腫瘍が複数できていることが多く、すべてを完全に取り除くのは難しい場合があります。
また、時間経過とともに再発する可能性や、手術そのものがフェレットに与える負担も考慮する必要があります。
そのため、プレドニゾロンなどの薬と食事療法を中心に管理を続ける飼い主さんも少なくありません。
手術を選択するかどうかは、獣医師とよく相談し総合的に考え判断しましょう。
プレドニゾロンは、ぽちたま薬局にも取り扱いがございます。
※商品ページは犬猫用のご説明となっている点にご注意ください。自己判断での投与はせず、必ず獣医師の診断と指示に従ってください。
※プレドニゾロンは、フェレットの状態や血糖値に応じて用量調整が必要な医薬品です。必ず獣医師の診断・指示に従って使用してください。
参考
フェレットのインスリノーマ57頭における診断・治療・長期予後に関する後ろ向き研究(Caplan et al., 1996)(外部リンク)
【発症後】飼い主さんができること
低血糖発作が起きたときの応急処置

低血糖発作が起きたときは、落ち着いて対応することが大切です。
以下に、低血糖発作が起きた際の対応について一例をご紹介します。
ただし、応急処置はあくまで一時的な対応ですので、動物病院への連絡も合わせて行いましょう。
- ハチミツなどの糖分を少量、指や綿棒に取って、口の端や歯ぐきにそっと塗る
- 無理に飲ませようとせず、舐められる範囲で少量ずつ与える
- 意識が戻り自分で飲み込める状態になったら、少量のフードや高タンパクの食事を与え、できるだけ早く動物病院へ連絡する
- 誤嚥や咬傷の危険があるので、無理に飲ませたり口をこじ開けたりしない
- ハチミツなどの糖分を少量だけ綿棒などに取り、歯ぐきや口唇の内側にそっと塗る
- 口の奥に入れたり、シリンジで流し込んだりしてはいけない
- 安全な場所に寝かせ、体を冷やさないようにしながら、すぐに動物病院へ連絡する
- 発作中は噛まれる危険があるため、指を口の中に入れない
- ハチミツなどの糖分は緊急時のみ使用する
- 平常時に甘いものを与えるのは避ける
- 応急処置後は、症状が落ち着いても必ず動物病院を受診する
- 日頃から、ハチミツ・綿棒・タオル・キャリーを準備し、緊急時に備えておく
なぜ普段から甘いものを与えてはいけないの?
「低血糖なら、甘いものを与えれば良い」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、平常時に甘いものを与えると血糖値が急上昇し、それに反応してインスリンがさらに過剰分泌されることがあります。
結果、時間が経ってから血糖値が急激に下がり、かえって低血糖が悪化する可能性があります。
フェレットバイトなどの甘いおやつは、緊急時以外は控えましょう。
投薬管理
プレドニゾロンなどの薬は、獣医師の指示通りの用量・回数を守って投与します。
自己判断で減薬・中断してはいけません。
症状が落ち着いたように見えても、薬を急にやめると低血糖症状が再び悪化することがあります。
効き目が悪くなったときや、よだれ・ふらつき・ぼーっとする様子が増えてきた場合はすぐに獣医師に相談してください。
状態が安定してからも、定期的な検査で血糖値や全身状態をチェックしましょう。
プレドニゾロンは、ぽちたま薬局にも取り扱いがございます。
※商品ページは犬猫用のご説明となっている点にご注意ください。自己判断での投与はせず、必ず獣医師の診断と指示に従ってください。
※プレドニゾロンは、フェレットの状態や血糖値に応じて用量調整が必要な医薬品です。必ず獣医師の診断・指示に従って使用してください。
食事管理
高タンパク・高脂質・低炭水化物の専用フードを選び、血糖値を急激に上下させない食事管理が重要です。
空腹時間が長くなると低血糖症状が出やすくなるため、食事は1日4〜6回程度に分けてこまめに与えるのが基本です。
運動後や睡眠から目覚めた後は、特に低血糖になりやすいため、給餌を意識しましょう。
食欲が落ちている場合や強制給餌が必要な場合は、獣医師に方法を確認してください。
環境管理
遊ばせること自体は大切ですが、長時間の激しい運動や過度は低血糖を誘発することがあります。
また、冬場の寒さは体力を消耗しやすく、状態悪化のきっかけになることがあります。
室温を管理し、体を冷やさないようにしましょう。
ストレスの少ない快適な環境を整えることも、日常管理では重要です。
日常ケアとインスリノーマとの付き合い方
インスリノーマは完治が難しく、長期的な管理が必要になることが多い病気です。
しかし、低血糖をコントロールすることで元気や食欲が戻り、生活の質が改善することもあります。
そのために必要な事項を以下にまとめました。
定期的な検査
治療開始直後や薬の変更後は、獣医師の指示に従って血糖値を確認します。
状態が安定した後も、数ヶ月ごとの定期検査で血糖値や全身状態をチェックしましょう。
体重の記録
週1回程度を目安に体重を測り、急激な増減がないか確認します。
食べているのに痩せてきた場合は、低血糖や他の病気が関係している可能性があります。
症状の記録
よだれの頻度やふらつきが出た時間帯、食事、運動後の様子などをメモしておくと、通院時に役立ちます。
他の疾患の定期チェック
インスリノーマのフェレットは、副腎疾患・リンパ腫・心臓疾患を併発していることもあります。
定期健診では、血糖値だけでなく全身状態も確認してもらいましょう。
かかりつけ医との連携
状態が変化したときにすぐ相談できるよう、かかりつけの動物病院と連携しておくことが大切です。
定期的な検査で、早期発見を
インスリノーマは、フェレットに多くみられる腫瘍性疾患です。
初期症状が老化と似ているために発見が遅れ、気づいたときには進行していることも少なくありません。
早期発見には、定期的な血液検査を受けるのが確実だと言われています。
完治は難しい病気ですが、治療開始が早いほど生活の質を保ちやすくなります。
「いつもと違う」と感じたら、迷わず動物病院へ相談してください。
ぽちたま薬局では、フェレットに用いられる薬も取り扱っています。

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。






