ケージのトイレや床材に赤っぽい汚れを見つけると、「血尿かも」とドキッとしますよね。体の小さなハムスターだからこそ、何が起きているのか早く知りたいと思います。
- ハムスターの血尿の原因には、膀胱炎・尿石症(結石)・腎臓の病気のほか、メスでは子宮の病気があります。子宮からの出血はおしっこと混ざるため、見た目では血尿と区別しにくいです
- ハムスターの尿は、健康でも白く濁ったり色がついたりすることがあります。見た目だけで「血尿かどうか」を決めるのは難しいので、尿検査が手がかりになります
- 血尿が1回だけで元気があっても、尿検査で結晶が見つかった例があります。できれば新鮮な尿を採って、動物病院への相談を検討してください
- おしっこが出ない、ぐったりしている、陰部から血や膿が続く、お腹がふくらんでいるときは、早めに受診しましょう

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目次
急いで受診したいハムスターの血尿
血尿そのものより注意したいのは、「おしっこが出ているかどうか」と「全身の元気さ」です。
結石が尿の通り道に詰まると、おしっこが出にくくなります。
小動物の獣医学の資料では、尿道が詰まった状態は緊急とされています。また、メスで陰部からの出血が止まらない子宮の病気は、基本的に手術が必要になるとする動物病院の症例報告もあります。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「小動物の尿石症の概要」/横浜エキゾチック動物病院「ゴールデンハムスターの子宮蓄膿症(外科手術例)」

- おしっこが出ていない・トイレで何度も踏ん張っている
- ぐったりしている・食べない
- 陰部から血や膿が出続けている(メス)
- お腹がふくらんできた
- 赤いおしっこが続く、何度もぶり返す
- 水を飲む量や尿の量が増え、体重が減ってきた
ハムスターの尿の正常な色と血尿の違い
健康なハムスターの尿は、透明〜薄い黄色です。
ただしハムスターは尿に大量のカルシウムを出す動物で、その割合は犬や猫の約2%に対し、ハムスターでは45〜60%ともいわれます。そのため、尿が白っぽく濁るのは正常な範囲のことがあります。
さらに、体の中でつくられる色素(ポルフィリン)や食べ物の代謝物によって、病気でなくても尿に色がつく個体もいます。
獣医師向けの解説では、こうした理由から見た目だけで血尿を判断するのは難しい場合があるとされ、尿検査(試験紙や顕微鏡での検査)が役立つとされています。
出典:アークレイ 動物の医療と健康を考える情報サイト(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」
| 尿の見え方 | 考えられること | 目安 |
|---|---|---|
| 透明〜薄い黄色 | 健康な尿の色 | いつもの様子を覚えておく |
| 白く濁っている | カルシウムの排泄による濁り(正常なことが多い) | 頻尿・踏ん張りがなければ観察 |
| オレンジ〜赤・茶色っぽい | 血尿のこともあれば、色素による色のこともある | 尿を採って動物病院で検査を相談 |
いつもの色
普段から「うちの子の尿はこんな色」と知っておくと、変化に気づきやすくなります。白い紙製の床材やトイレ砂を一部に使うと、色が見やすくなります。
赤い汚れの出どころを確認しよう
ケージの赤い汚れは、尿以外から出ていることもあります。慌てて抱き上げる前に、次の場所を順番に見てあげてください。
陰部(メス):白いおりものは正常、赤は注意
メスのハムスターは約4日周期で発情し、最終日にクリーム状の白いおりものがたくさん出ます。
独特のにおいがあり、糸を引くように伸びるのが特徴です。これは正常な生理現象なので心配いりません。
一方で、陰部から赤い血や膿が出ている場合は別です。ハムスターの子宮の病気(子宮内膜炎・子宮蓄膿症・腫瘍など)では、血尿のような症状で気づかれることが多いと報告されています。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」/横浜エキゾチック動物病院「ゴールデンハムスターの子宮蓄膿症(外科手術例)」
お尻:便に血が混じっていないか
赤い汚れがうんちの周りについている、お尻の毛が濡れて汚れている場合は、尿ではなく腸からの出血や下痢のことがあります。
便の様子が気になるときは、こちらの記事も参考にしてください。
体:ケガをしていないか
体の表面にケンカの傷や切り傷がないかも確認しましょう。獣医師向けの資料でも、ハムスターの診察では外陰部の分泌物とあわせて、傷やケガの有無を確認するよう挙げられています。
ハムスターの血尿の原因になる病気
血尿の原因は1つではありません。代表的なものを見ていきましょう。
膀胱炎
膀胱に炎症が起きる病気で、頻尿や血尿が見られます。尿検査では、赤血球や白血球が増えるのが特徴で、治療は抗生物質などの内科治療が中心です。
出典:アークレイ(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」
尿石症(膀胱結石・尿路結石)
尿の中のミネラルが固まって石になる病気で、血尿・頻尿・排尿時に力む・おしっこが出にくいといった症状が見られます。
結石は主に膀胱で見つかり、ハムスターではカルシウムを主成分とするシュウ酸カルシウム結石ができやすいといわれています。
はっきりした理由はわかっていませんが、ヒマワリの種やクルミのようにカルシウムの多い種子を好むことや、尿にカルシウムを大量に出す体のしくみが関係しているのでは、と考えられています。
治療では、レントゲンで確認した結石を手術で取り出すことが選ばれ、再発を防ぐための食事管理も大切とされています。
出典:アークレイ(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」
子宮の病気(メス)
子宮内膜炎・子宮蓄膿症・子宮の腫瘍などがあり、検査をしても炎症なのか腫瘍なのかがはっきりせず、手術で子宮を取り出してから判明することも多いとされています。両方が同時に起きていることもあります。
出典:横浜エキゾチック動物病院「ゴールデンハムスターの子宮蓄膿症(外科手術例)」/MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
腎臓の病気
高齢のハムスター、特にメスでは腎臓の病気が起こりやすくなります。腎臓の炎症では、体重が減る、水をよく飲む、尿の量が増える(ケージが濡れやすくなる)といった変化が見られることがあります。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」/MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
このほか、腫瘍が血尿の原因になることもあります。
出典:北摂けものみち動物医療センター「ハムスターの血尿【考えられる原因と診断結果】」

ゴールデンは泌尿器と子宮の病気が多め
英国王立獣医大学(RVC)が、動物病院にかかった約4,000匹のハムスターの診療記録を調べた研究があります。
それによると、ゴールデンハムスターはほかの種類のハムスターと比べて、泌尿器の病気が約5.0倍、メスの生殖器の病気が約5.2倍記録されやすいという結果でした。
ゴールデンハムスターを飼っていて、特にメスの場合は、トイレの色や陰部の汚れをこまめに見ておくと安心です。
ただしこれは「ほかの種類は血尿にならない」という意味ではありません。ジャンガリアンやロボロフスキーでも、赤いおしっこに気づいたら同じように対応してください。
出典:英国王立獣医大学「過去最大規模の調査で分かった、ペットのハムスターに多い病気と寿命」
血尿が1回だけ・元気なときは?
「一度赤いおしっこが出たけれど、その後は普通だし元気もある」というケースもあると思います。
国内の動物病院が紹介している症例では、お迎えから3日目、生後1か月ほどのハムスターが2日前に一度血尿を出し、来院時には血尿も治まって元気・食欲にも問題はありませんでした。
それでも尿検査をしたところ、結石のもとになる結晶が見つかり、抗生物質とヒマワリの種・クルミなどのおやつ制限から治療を始めています。
出典:北摂けものみち動物医療センター「ハムスターの血尿【考えられる原因と診断結果】」
1回だけで治まったように見えても、原因が隠れていることはあります。元気があるうちに、尿を採って動物病院に相談しておくのがおすすめです。
動物病院へ尿を持っていく方法
ハムスターは体が小さく、血液検査で評価するのが難しい動物です。そのぶん尿検査や画像検査が診断の大きな手がかりになります。獣医師向けに紹介されている採尿の方法を、家でできる形にまとめました。
出典:北摂けものみち動物医療センター「ハムスターの血尿【考えられる原因と診断結果】」/アークレイ(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」

- ①床材を敷いていないプラスチックケースにハムスターをしばらく入れる(またはトイレの砂を抜いて空にしておく)
- ②おしっこをしたら、すぐにスポイトなどで吸い取る
- ③漏れないようラップで包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫で保管する
- ④採ってから3時間以内を目安に、保冷剤で冷やしながら動物病院へ持っていく
出典:アークレイ(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」
尿は時間がたつと温度やpHが変わり、もともとなかった結晶ができてしまうことがあるため、新鮮なものほど正確に調べられます。
採尿が難しいときは、赤い汚れがついた床材の写真を撮っておくだけでも説明の助けになります。持っていく方法は病院によって違うこともあるので、受診前に電話で確認しておくと安心です。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「小動物の尿石症の概要」
動物病院での検査と治療
動物病院では、飼い主さんからの話と体の診察に加えて、尿検査やレントゲン・超音波などの画像検査を組み合わせて原因を探します。
治療は原因によって変わり、膀胱炎では抗生物質などの内科治療、尿石症では結石の摘出と食事管理、子宮の病気では手術が検討されます。手術が難しい事情がある場合は、薬での治療を相談することもできます。
出典:アークレイ(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」/横浜エキゾチック動物病院「ゴールデンハムスターの子宮蓄膿症(外科手術例)」
家にある抗生物質を使ってもいい?
自己判断での使用は避けてください。
ハムスターでは一部の抗生物質が腸内細菌のバランスを崩し、命に関わる下痢を起こすことがあります。獣医師向けの資料では、ペニシリン・リンコマイシン・バシトラシンなどを与えた3〜5日後に起こりうるとされています。
犬猫用や人用の薬を流用せず、薬は獣医師の処方と指示に従って使いましょう。
出典:MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」/MSD獣医マニュアル(飼い主向け)「ハムスターの病気」
ハムスターの血尿でよくある質問
血尿が出たら寿命は短くなる?
原因によって大きく変わるため、「血尿=余命◯か月」とは言えません。膀胱炎のように治療で落ち着くものもあれば、腫瘍のように経過が厳しいものもあります。
参考までに、英国の調査では動物病院にかかったハムスターが亡くなった年齢の平均は約1.75歳(21か月)でした。ハムスターはもともと寿命が短い動物なので、早めに原因を調べることが、残りの時間を穏やかに過ごすことにもつながります。
出典:英国王立獣医大学「過去最大規模の調査で分かった、ペットのハムスターに多い病気と寿命」
食べ物で気をつけることはある?
カルシウムの多い種子(ヒマワリの種・クルミなど)を好んで食べることが、結石の一因と考えられています。
先ほどの症例でも、治療の一環としてこうしたおやつを制限していました。また、主食は種子のミックスではなく、ハムスター用のペレットが勧められています(種子だけを選んで食べてしまうため)。
ただし、結石の種類によって適した食事は変わります。治療中の食事は獣医師の指示に従いましょう。
出典:アークレイ(獣医療従事者向け)「ハムスターにおける尿検査のポイントと有用性」/MSD獣医マニュアル(獣医師向け)「ハムスター」
自然に治ることはある?
赤い色が一度きりで消えることはあります。ただ、前の章の症例のように、見た目が落ち着いても尿の中に結晶が残っていることがあります。「治った」と判断する前に、一度尿検査で確認してもらうと安心です。
治療費はどのくらい?
必要な検査(尿検査だけか、レントゲンや超音波まで行うか)や、内科治療で済むか手術になるかによって大きく変わります。受診前に、動物病院へおおよその費用を問い合わせておくとよいでしょう。
まとめ
- ハムスターの血尿の原因は、膀胱炎・尿石症・腎臓の病気・腫瘍、そしてメスでは子宮の病気
- ハムスターの尿は健康でも白く濁ったり色がついたりするため、見た目だけで血尿と決めるのは難しい
- メスの白いおりものは正常。陰部から赤い血や膿が出ているときは注意
- ゴールデンハムスターは泌尿器・メスの生殖器の病気が記録されやすい
- 1回だけ・元気でも原因が隠れていることがある。新鮮な尿を持って動物病院に相談を
- おしっこが出ない、ぐったりしている、出血が続くときは早めに受診する
- 家にある抗生物質や犬猫用の薬を自己判断で使わない
※この記事は獣医学の資料をもとにまとめたものです。ハムスターの健康状態や投薬については、必ず獣医師にご相談ください。
ぽちたま薬局ではハムスターに使用されるお薬も取り扱っています

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。






