「チンチラのうんちが柔らかい」「お尻のまわりが汚れている」……普段コロコロのフンを見慣れているほど、いつもと違う形にドキッとしますよね。
- チンチラの下痢・軟便は、青菜やおやつの与えすぎ、急なフードの切り替え、寄生虫・細菌などで起こる、よく見られる症状です
- 食欲がない、フンが出ない・極端に小さい、お腹が張っている、ぐったりしている――どれか1つでもあれば早めに動物病院へ相談しましょう
- 獣医師向けの資料では、チンチラは下痢よりも「フンが出ない・減る」ほうが多いとされています。下痢が落ち着いたあとも、フンの量と大きさを確認してください
- 自己判断での絶食や、人用・ほかの動物用の薬を与えるのは避け、まずは相談するのが安心です

ぽちたま薬局ではチンチラに使用されるお薬も取り扱っています
目次
チンチラの下痢で受診したいサイン
まずは「様子見をしないほうがいい状態」から確認しましょう。
MSD獣医マニュアルでは、下痢や軟便のチンチラは目立った症状がないこともある一方、重い場合は食欲がなくなり、脱水やぐったりした様子が見られるとしています。次のようなサインがあるときは、早めに動物病院へ相談してください。
- 牧草もペレットも食べない、食べる量が明らかに減った
- フンが出ない、またはいつもより極端に小さく、数が少ない
- お腹がふくらんで張っている、苦しそうに息をする、転がったり体を伸ばしたりする
- 水っぽい下痢が出る、軟便がなかなか元に戻らない
- 乾いたフン・濃い色のおしっこ・つまんだ皮膚が戻りにくい(脱水のサイン)
- 背中を丸めてじっとしている、呼びかけへの反応が鈍い
- お迎え直後や、離乳して間もない若いチンチラの下痢
特に急ぎたいのが、お腹の張りです。MSD獣医マニュアルによると、急な食事の変化、とくに食べすぎをきっかけに腸にガスがたまる「鼓腸(こちょう)」が起こることがあり、動きの止まった腸の中では2〜4時間ほどで急速にガスがたまるとされています。
元気がなく、呼吸が苦しそうで、お腹が痛そうにふくらんでいるときは、夜間でも受診できる病院を探しましょう。
また、細菌がつくる毒素による腸の病気では、食欲不振・呼吸の乱れ・下痢が見られ、発症から数日で亡くなることもあると報告されています。
脱水のサイン(乾いたフン・濃い尿・皮膚をつまんだときの戻りの遅さ)は、飼い主向けの解説でも「見つけたらすぐに獣医師へ連絡を」と案内されています。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」/MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」)
健康なうんちと下痢・軟便の見分け方
下痢かどうかを判断するには、まず「いつものフン」を知っておくことが大切です。毎日の掃除のときに、形・硬さ・量の3つをざっと見ておくと、変化にすぐ気づけます。

| 状態 | フンの様子 | 目安の対応 |
|---|---|---|
| 普段のフン | 形のそろった粒で、乾いている。量もいつもどおり | 毎日の掃除で変化がないか確認 |
| 軟便 | 粒の形はあるが柔らかく、つぶれる・床にくっつく | 食事を見直し、食欲と元気を確認 |
| 下痢 | 形がない・水っぽい。お尻まわりの毛が汚れる | 早めに動物病院へ相談 |
| 小さい・少ない | 数が減る、小さく細く硬い。血がつくことも | 早めに動物病院へ相談 |
「小さい・少ない」フンは、獣医師向けの資料で便秘や腸の動きの低下のサインとして挙げられている状態です。
下痢とは逆の変化に見えますが、こちらも受診を考えたいサインです(詳しくはこちら)。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
フンを食べるのは?
チンチラは、うさぎと同じように2種類のフンを出します。ひとつは栄養(窒素分)の多いフンで、チンチラが自分で食べて栄養をとり直すためのもの。
もうひとつは、そのまま出されるふつうのフンです。チンチラが自分のフンを食べていても、それ自体は異常ではありません。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
チンチラの下痢・軟便の主な原因
MSD獣医マニュアルは、チンチラの下痢・軟便の原因として、寄生虫や細菌などの感染、青菜(生の葉物)の不適切な与え方、炭水化物の多い食事、急な食事の変化を挙げています。
ここでは、飼い主さんが見直しやすい順に整理します。

青菜・おやつの与えすぎ、急なフードの切り替え
いちばん見直しやすいのが食事です。チンチラは食物繊維を多く必要とする動物で、食事の中心は良質なイネ科の牧草、ペレットは補助という位置づけとされています。
飼い主向けの解説では、新鮮な野菜は1日に小さじ1杯ほどの少量が目安として紹介されています。
次のような変化があったあとに軟便になった場合は、食事が関係しているかもしれません。
- 野菜や青菜を一度に多く与えた
- ドライフルーツ・穀物入りのおやつなど、炭水化物の多いものを続けて与えた
- ペレットや牧草の種類を急に切り替えた
- 牧草をあまり食べず、ペレット中心になっている
急な食事の変化や食べすぎは、前述の「鼓腸(お腹にガスがたまる状態)」のきっかけにもなるとされています。フードを変えるときは、今までのものに少しずつ混ぜて切り替えるのが安心です。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」/MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」)
寄生虫(ジアルジア)や細菌
チンチラの下痢の原因としてよく知られているのが、ジアルジアという原虫です。
ただし、健康なチンチラの腸にも少数のジアルジアがいることがあり、それだけで病気になるとは限りません。ストレスや飼育環境の悪化をきっかけに数が増え、下痢を起こすと考えられています。
離乳して間もない若い個体は症状が出やすく、食欲不振と下痢をくり返しながら、体や毛並みの状態が落ちていくことがあるとされています。
細菌では、緑膿菌(りょくのうきん)という菌が重要とされています。
健康なチンチラの約4割から見つかるほど身近な菌ですが、ストレス、ほかの病気、汚れた飲み水などが感染のきっかけになるとされ、腸炎を起こすこともあります。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
自己判断で与えた薬
飼い主向けの解説では、すべての抗生物質がチンチラに安全なわけではないとされ、獣医師の指示がある場合にのみ与えるよう案内されています。
獣医師向けの資料でも、一部の薬は量に応じて食欲を落とすことがあるとして、慎重な使用が求められています。家にある人用・犬猫用の薬を「お腹の薬だから」と与えるのは避けましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」/MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
ストレス・飼育環境
ジアルジアや緑膿菌のところで触れたとおり、ストレスや不衛生な環境は、腸の中の微生物のバランスを崩すきっかけになるとされています。
お迎え直後、引っ越し、同居個体とのトラブルなど、環境が変わったタイミングの軟便には注意してあげてください。
下痢より多い「フンが出ない」に注意
意外かもしれませんが、獣医師向けのMSD獣医マニュアルでは、チンチラでは下痢よりも便秘のほうが多いとされています。いきんでもフンが出ない、または小さく細く硬いフンが少しだけ出る、といった状態です。
さらに、フンの量が減る原因は便秘だけではありません。
急な食事の変化、食物繊維の不足、感染による腸内環境の乱れのほか、脱水、食欲不振、歯の病気などでもフンは減るとされています。歯のトラブルを抱えたチンチラは、かなり悪化するまで食べられているように見えることもあります。
いきんでいるのにフンがまったく出ないときは、腸の一部が重なり込む「腸重積(ちょうじゅうせき)」との区別が重要とされています。
フンが出ない・極端に少ない状態は、下痢と同じかそれ以上に急いで相談したいサインと考えておきましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
チンチラの下痢、家でできる対処
食欲も元気も普段どおりで、軟便が少し出た程度なら、原因になりそうなものを取り除きながら様子を見られるケースもあります。ただし、少しでも迷ったら動物病院へ相談してください。
- 牧草はいつでも食べられるようにしておく:飼い主向けの解説では、牧草は無制限に与えるものとされています
- 青菜・おやつはいったん控える:原因として挙げられているものを減らし、牧草中心の食事に戻します
- 新鮮な水を毎日交換する:給水ボトルや食器は1日おきに洗うことが推奨されています
- 床材は毎日取り替える:飼い主向けのチェックリストでも毎日の交換が推奨されています。寄生虫の再感染を防ぐ意味でも、フンで汚れた床材は早めに片づけましょう
- フンの状態を記録しておく:形・量・回数をメモしたり、写真を撮っておくと、受診時に役立ちます
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」)
絶食させるべき?情報源で分かれる考え方
以前からある飼育情報の中には、下痢のときに1〜2日食事を抜き、少しずつ牧草から戻していく方法を紹介しているものもあります。
一方、獣医師向けのMSD獣医マニュアルでは、消化器トラブルの治療の柱として、水分の補給、栄養・カロリーの補給、痛みのケアを挙げています。
また、長いあいだ食べない状態が続いたチンチラでは、解剖時に脂肪肝が見つかることが多いとも書かれています。
どちらが適しているかはチンチラの状態によっても変わりうるため、この記事ではどちらかに決めつけません。
ただ、牧草まで抜く判断は家庭だけでせず、絶食を考える前に動物病院へ相談するようにしてください。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
動物病院での検査と治療
受診すると、食事や飼育環境の聞き取りに加えて、便の検査が行われるのが一般的です。
MSD獣医マニュアルでは、顕微鏡での便の観察、寄生虫卵などを浮かせて調べる検査、便の培養、遺伝子(PCR)検査などで感染が原因かどうかを確かめるとされています。
必要に応じて、全身のレントゲンや血液検査で、腸以外の病気が隠れていないかも調べます。
治療は原因によって異なりますが、皮下や静脈への点滴で水分を補い、栄養補給や痛み止めを組み合わせるのが基本です。
細菌感染が疑われる場合は抗菌薬が使われますが、腸の調子が悪いときは飲み薬の吸収が落ちるため、注射で投与し、食べられるようになってから飲み薬に切り替えることがあるとされています。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
ジアルジアは便に出てくるタイミングにムラがあり、1回の検査で見つからなくても感染を否定しきれないことが、犬のジアルジアについての日本獣医師会誌の総説で解説されています。
チンチラで同様の調査は見当たりませんでしたが、下痢をくり返す場合は、間隔をあけて検査を受けることも選択肢になります。
(出典:日本獣医師会雑誌「犬のジアルジア感染」)
チンチラの下痢を防ぐ毎日の習慣
下痢の多くは、食事と環境の積み重ねで起こりにくくできます。MSD獣医マニュアルの飼い主向けチェックリストをもとに、毎日のお世話を整理しました。
| 頻度 | やること |
|---|---|
| 毎日 | 新鮮な水と牧草を用意し、古いエサを片づける/野菜は小さじ1杯ほどの少量に/床材を交換する |
| 1日おき | 食器と給水器を洗う |
| 週1回 | ケージ全体を掃除・消毒する |
あわせて、牧草とかじり木を十分に用意して歯の健康を保つこと、暑さを避けることも大切です。
飼い主向けの解説では、27℃を超えると熱中症のおそれがあるとされています。歯や体調の不調はフンの量の変化として表れることもあるので、毎日の掃除のついでにフンを見る習慣をつけておくと安心です。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの日常の健康管理(飼い主向け)」)
チンチラの下痢でよくある質問
元気があれば様子見でいい?
軟便が少し出た程度で、食欲・元気・フンの量がいつもどおりなら、食事を見直しながら様子を見られるケースもあります。
ただし、チンチラは重い状態になるまで変化が目立たないこともあります。受診したいサインに1つでも当てはまる場合や、軟便がなかなか戻らない場合は、早めに相談しましょう。
ほかのチンチラにうつる?
寄生虫や細菌が原因の場合は、うつる可能性があります。
MSD獣医マニュアルでは、ジアルジアの再感染を防ぐため、感染した個体と接触していた動物もすべて治療し、環境をしっかり消毒することが勧められています。ジアルジアは涼しく湿った環境で数週間は感染力を保つとされるため、多頭飼いの場合はケージを分け、掃除道具も分けるのが安心です。
人にうつることはある?
MSD獣医マニュアルでは、チンチラから人への感染リスクとして最も重要なのはジアルジアだとされています。下痢をしているチンチラのお世話や掃除のあとは、しっかり手を洗いましょう。
(出典:MSD獣医マニュアル「チンチラの病気と飼育管理(獣医師向け)」)
あわせて読みたい
下痢と同じように、毎日の様子から気づける体調のサインもチェックしておきましょう。
まとめ
- チンチラの下痢・軟便は、青菜やおやつの与えすぎ、急なフードの切り替え、寄生虫・細菌、ストレスなどで起こります
- 食欲がない、フンが出ない・小さい、お腹の張り、脱水のサインがあれば早めに動物病院へ相談しましょう
- チンチラでは下痢より便秘のほうが多いとされます。フンの「量」と「大きさ」もあわせて確認してください
- 家では牧草をいつでも食べられるようにし、青菜・おやつを控え、水と食器を清潔に保ちます
- 絶食は情報源によって考え方が分かれるため、自己判断せず相談を。人用・ほかの動物用の薬も与えないようにしましょう
ぽちたま薬局ではチンチラに使用されるお薬も取り扱っています

幼少期にやんちゃなビーグル・うさぎ・ハムスターと過ごしました。現在は動物と暮らしてはいませんが、オウムと猫の動画を見て栄養補給を欠かしません。






